年々盛り上がりをみせるSUGOチャンピオンカップレースは7カテゴリーで切磋琢磨のバトル
2021年6月1日

5月15~16日、スポーツランドSUGOを舞台に「SUGOチャンピオンカップレースシリーズ第2戦」が行われた。初日は青空がサーキット上空に広がるほどコンディションに恵まれたものの、2日目は朝から曇天。後半のレースで雨に見舞われたが、混乱をきたすまでには至らなかったのは何よりだった。
「SUGOチャンピオンカップレースシリーズ第2戦」
2021年JAFフォーミュラ4選手権 第3戦/第4戦
2021年JAFもてぎ・菅生スーパーFJ選手権 第3戦
2021年JAFもてぎ・菅生ツーリングカー選手権 第3戦
2021年JAF菅生サーキットトライアル選手権 第1戦
ロードスター・パーティレースⅢ 北日本シリーズ 第3戦
JMRC東北 Moty's杯 ロードスターカップ 第2戦/第3戦
Porsche Sprint Challenge Japan 2021 第3戦/第4戦
開催日:2021年5月15~16日
開催地:スポーツランドSUGO(宮城県村田町)
主催:株式会社菅生、SSC
全10戦で争われるF4地方選手権の第3戦で、ポールポジションを獲得したのは金井亮忠選手。予選は終始トップでタイムを縮め続け、最後に「自己ベストだと思います」と言うとおり、自身が持つレコードタイムを塗り替えていた。コンマ2秒差でハンマー伊澤選手が続くも、「予選で新品タイヤを初めて入れたので、気分良く行けるかと思ったらイマイチ合わせきれなくて」と不満そう。決勝が混戦になるのは必至と見えた。
伊澤選手がスタートに失敗して大きく順位を落としたのとは対照的に、金井選手はオープニングの1周だけで1秒7のリードを確保。2番手には徳升広平選手が浮上して後続を大きく引き離したものの、金井選手との差は終盤にわずかに縮めるのみに留まった。
「F4は今シーズン初。楽勝ではなかったですが、勝てて良かったです」と金井選手。3位は挽回に成功した伊澤選手が獲得、40歳以上のジェントルマンドライバーを対象とするGクラスでも優勝した。そして4位の宮下源都選手は予選12番手から順位を着実に上げ、さらにファステストラップも記録。
第4戦のグリッドは、第3戦のベストタイム順となるため、宮下選手がポールポジションを獲得した。その宮下選手は「予選でシフトダウンできなくなったので3周で戻ってきたんです。次のレースはポールなんでそれは良かったです」と前向きな様子。
第4戦で宮下選手に続いてグリッドに並んだのは伊澤選手、金井選手、徳升選手。決勝ではこの4人による激しいバトルが繰り広げられた。最初に宮下選手に続いたのは金井選手で、連勝を狙うも「変えてくれたセットが裏目に出た上に、ラジエターに貼ったガムテープが多すぎてオーバーヒート気味になってしまって」と、やがてペースを落としてしまう。
続いて宮下選手に迫ったのは、6周目に2番手に浮上した徳升選手だった。逆転の決め手を欠く中、SPコーナーでクラッシュがあったため、9周目からセーフティカー(SC)が導入される。
12周目のリスタートを誰より決めたのが伊澤選手。1コーナーで徳升選手を抜き、その勢いで宮下選手にプレッシャーをかけ続けたが、最後まで屈してはくれなかった。
宮下選手はF4初優勝で、「SCの後のリスタートは失敗しましたが、それ以外はトップを死守できたので良かったです。今後の自信にもなりそうです」と笑顔で語っていた。2位の伊澤選手はこれでGクラス4連勝となった。








もてぎ・菅生スーパーFJ選手権の第3戦は佐藤樹選手がポールを獲得。だが2回の赤旗中断でリズムを崩され、「全然タイムが出たはずなのに、最後の1周をまとめられなかったのが悔しいですね」と不満そう。ストレス一掃のはずの決勝においても、後続をなかなか振り切れずにいた。
そればかりか、途中から強く降ってきた雨によってさらなる接近を許して防戦一方に。9周目の馬の背コーナーでブレーキをロックさせてあわやの光景も見られたものの、「あそこで粘れたのが、何より大きかったです」と佐藤選手。後続の1台にオーバーランがあり、その結果として2番手争いが激しくなったことで、差を広げることができたからだ。
10周目の最終コーナーで、前田大道選手が四倉悠聖選手をかわして2番手に。さらに佐藤選手にも迫っていった前田選手だったが、1秒3あった差をコンマ5秒にまで詰めるも、無情にもチェッカーが。
「急に雨が降ってきて、逃げ切れるのがベストだったんですが、かえって防戦一方になっちゃって。課題も多いレースでした」と、佐藤選手は2連勝にも反省しきりの様子だった。




FIT 1.5チャレンジカップと、もてぎ・菅生ツーリングカー選手権第3戦のダブルタイトルレースは、TCRジャパンにも出場する開幕戦ウィナーのHIROBON選手が不在の中、「こんなタイム出るとは思っていませんでした。直前にハブボルトが折れているのが分かって、3本で走らなくてはならず、一発で決めるしかないと。いい意味で緊張感を保って走れたのが良かったんでしょう」と語る安井亮平選手がポールポジションを奪う。
その安井選手は決勝、スタート直後から激しい2番手争いが勃発したこともあり、1周目を終えるとほぼ1秒半のリードを奪っていた。2番手争いは芳賀邦行選手と松尾充晃選手、横田剛選手、そして窪田俊浩選手とで繰り広げられる。
それぞれ隙を見せなかったことから順位変動は最後までなく、芳賀選手が2位となったが、「見ている方は面白かったでしょうが、やっている方は本当に大変なレースでした」とは偽らざる本音だろう。
そんな後続のバトルを尻目に逃げ切った安井選手は「最初のうちだけプッシュして、後ろは離れてくれたから楽な展開になったので、落ち着いて自分のペースで走れました。SUGOでは初の勝利で、何よりチームで(芳賀選手と)ワンツーできて良かったです」と語っていた。


菅生サーキットトライアル選手権第1戦はエントリー22台と大盛況。第1ヒートはドライコンディションが保たれたが、第2ヒートは直前まで雨が降っていたため、もう勝負には決着がついたかと思われた。
しかし予想外に路面の乾きが早く、しかも気温も下がったことで、実際にはコンディションが向上。その恩恵を最も受けたのが、総合優勝を飾ったB5クラスでRX-7を駆る森田正穂選手だった。
「第1ヒートはクーラントホースが裂けて、自分のクーラントに乗ってスピンです。だからすぐピットに入って。『今日は終わった~』と思っていたので、コンディションが戻って助かりました。まわりの皆さんが助けてくれて、地元の方が裂けたホースの代わりになるものを調達してくれ、外に買い出しに行けたので本当に感謝です!」と森田選手。サーキットトライアルのコミュニティ力の高さを、改めて感じさせてくれるエピソードにもなった。
B6クラス優勝はランサーの佐藤清貴選手。第1ヒートからの短縮はごくわずかだったが、「ベストラップが出たので良かったです。ちょっとセッティングを変えて、走らせ方を変えて、教えてもらったりしたのが良かったんでしょう」と嬉しそうに語っていた。
B4クラス1位は86の進藤廣朗選手。第1ヒートのタイムで逃げ切りとなった。「雨が降る前の第1ヒートが勝負だと。第2ヒートは雨だと思って変えたセッティングがハマりませんでした。サーキットトライアルには去年初めて出て、今年からフル参戦しようと思っています。1位は初めてです」と進藤選手。
B1クラス優勝はカプチーノの吉崎久善選手ながら、勝った以上に嬉しいことが。「去年、一昨年と台数が足りず、ずっと不成立。それでもずっと出ていたんですけど、今日やっと成立したので、それだけでも嬉しい限りです」と、実に感慨深げに語っていた。
唯一目まぐるしくトップが入れ替わっていたのがB2クラスだった。第1ヒートはまず西村真美選手がトップに立ち、すかさず早坂幸久選手が逆転。続いて千葉睦宏選手がトップに立つも、終了間際にマーチの上原和音選手が逆転を果たす。第2ヒートでも上原選手がトップながら、千葉選手がコンマ2秒差という接戦ぶりだった。「去年ライセンスを取って、SUGOのサーキットトライアルは初めてです。優勝できて嬉しいです。今後もまた参戦します」と上原選手。








ロードスター・パーティレースⅢ北日本シリーズ第3戦は、予選の折り返しのあたりで赤旗が出されるハプニングが発生。その前にきっちりタイムを出していた横田剛選手を、再開後に上回るドライバーは現れず。
「暑かったから、最初のうちに出さないと後からは出ないんでね。狙いどおりでした。でも僅差ですから、決勝は接戦になりますね」と横田選手。実際、そのとおりの展開となって横田選手、和光博紀選手、野島俊哉選手、そして関豊選手の間で激しくトップが競われる。
その均衡が崩れたのは5周目。1コーナーで和光選手がコースアウトして4番手に後退。これで2番手に躍り出た野島選手が、勢いそのままに横田選手に迫って2コーナーでトップに立つと、そのまま逃げ切りを果たすことに。
「初優勝です。去年から参加して、今年初めてきた北日本シリーズに。アツかったですね、楽しかったです。みなさんクリーンだったので、接触もなくなかなかいいバトルができたと思います」と野島選手。開幕2連勝の関選手が、横田選手に続く3位となった。
また混走のNDクラブマンでは、マツダニャンコネン選手が須藤利明選手と僅差で争い合った。しかし7周目の馬の背で須藤選手がスピンを喫し、そのあとはマツダ選手が逃げ切り成功。
「須藤さんの方が速かったので、なんとか逃げきりたいなぁと。スピンされてからは安全に走りきることだけ考えていました」とマツダ選手。




JMRC東北Moty's杯ロードスターカップは、第2戦と第3戦のダブルヘッダー開催。第3戦では常勝・川﨑俊英選手を下し、佐藤覚選手が初のポールポジションを獲得する。
「このレースは5年目になりますが、ずっとやっているのは川﨑さんとふたりだけ。初めて川﨑さんより前に来られました。決勝はこのまま逃げ切りたいと思います」と佐藤選手。
クラスは1600ccを境にふたつに分けられ、フロントローはUnクラスのふたりで独占され、3番手はOvクラスの原優樹選手だった。決勝では佐藤選手が好スタートを切るも、誰より勢いに満ちていたのが原選手。3コーナーで川﨑選手をかわし、2周目の1コーナーでは佐藤選手を抜き去っていた。3周目には川﨑選手が2番手に浮上し、原選手を追いかけたものの、400ccの差は大きかった。
「すごいプレッシャーでした。タイヤが最後の方、ギリギリだったので。あと2周あったら行かれていたんじゃないかと。クラス優勝はしたことあるんですが、川﨑さんを抜いたのは初めてなので、非常に嬉しいです」と原選手。一方、Unクラスは制したものの、「これだけ暖かいと追いつかないですよ、全然。登っていく時に離れちゃう。無理っす」と川﨑選手は悔しそう。
それだけに第4戦の予選では「今さら走りを変えました、若い頃の走りに。飛ぶ寸前でした、最後の周は全部」と川﨑選手がポールポジションを獲得し、原選手と佐藤選手を従えた。その気迫に恐れをなしたか、原選手はスタートで前に出ることができず、着いていけたのも1周だけ。
最後までアクセルを緩めることなく走り続けた川﨑選手は、「ちょっと優しさをなくしてやりました。昨日の総合2位も悔しいもん! 久々に本気出してやりました。終始アタックモードで、初心に戻って走らせていただきました!」と、負けず嫌い魂を遺憾なく発揮していた。
総合2位で、Ovクラスでは連勝も「ぶっちぎられたんで……。前半のペースが上がらなくて、追いつけることすら厳しかったので、反省点は多いです」と原選手は複雑な表情で語っていた。








PSCJことポルシェスプリントチャレンジジャパンもダブルヘッダー開催。第3戦の予選こそ長嶋重登選手がトップだったが、9周目の1コーナーで痛恨のスピン。これでトップに躍り出たTETSUO OGINO選手が第4戦も制し、開幕4連勝を達成した。
GT4クラスでは第3戦でトップを快走していた澤龍之介選手がマシントラブルでリタイアし、横井克一郎選手が初優勝。しかし、第4戦ではしっかり澤選手が走りきって3勝目をマークした。


フォト/石原康 レポート/はた☆なおゆき、JAFスポーツ編集部