全日本カート選手権OK部門始動! 鈴鹿大会はベテランとルーキーがそれぞれ優勝を飾る!!

レポート カート

2021年6月1日

国内カートレースの最高峰、全日本カート選手権OK部門の2021シリーズが、初夏の三重県・鈴鹿サーキット国際南コースで開幕を迎えた。第1戦では29歳のベテラン佐々木大樹選手(TONYKART RACING TEAM JAPAN)が快勝。第2戦では14歳のルーキー鈴木斗輝哉選手(K.SPEED.WIN)が佐々木選手を下して優勝を飾った。

2021年JAF全日本カート選手権 OK部門 第1戦/第2戦
開催日:2021年5月22~23日
開催地:鈴鹿サーキット国際南コース(三重県鈴鹿市)
主催:SMSC

 OK部門の2021シリーズには、昨季のFS-125部門の上位ランカーをはじめ、大量12名のルーキーが参入。エントリーは36台と最大出走台数の34台を超え、2台の予選不通過が出る事態となった。

 これに伴い第1戦、第2戦とも予選はふたつのグループに分けて行われ、敗者復活戦(セカンドチャンスヒート)も実施。1日半の会期で、OK部門だけで公式練習を含めて14ものセッションが行われるタイトなスケジュールが組まれた。

 2021シリーズは有力選手のチーム移籍やマテリアル変更も活発。2020シリーズ王者の渡会太一選手(Drago CORSE)がタイヤをブリヂストンからヨコハマタイヤへ変更、同3位の荒尾創大選手(TONYKART RACING TEAM JAPAN)がシャシーをビレルからトニーカートにチェンジするなど、話題の多いシーズンインを迎えている。

2020年シリーズチャンピオンの渡会太一選手は、ブリヂストンからヨコハマタイヤに変えて今シーズン挑む。

 大会初日、前日まで降り続いた雨は夜半のうちに止み、全ての走行セッションはドライコンディションで行われた。この日はタイムトライアルと第1戦の予選A/Bグループ、セカンドチャンスヒートが行われる。

 まずタイムトライアルでトップタイムを叩き出したのは、OK部門2年目の大宮賢人選手(30'sレーシング)。2番手に奥住慈英選手(PONOS HIROTEX)が続き、大宮選手が予選Aグループのポール、奥住選手が同Bグループのポールとなった。

 続いて行われた第1戦の予選ヒート。Aグループではトップ走行中の大宮選手がメカトラブルでペースダウンし、代わってトップでゴールした鈴木選手はペナルティで降格に。これでルーキーの洞地遼大選手(K.SPEED.WIN)がトップとなった。Bグループでは、佐々木選手が4番グリッドからたちまちトップに浮上してトップでゴール。第1戦決勝のグリッドは、予選トップ同士のタイムトライアルの順位を比較した結果、洞地選手がポールを獲得、佐々木選手が2番手となった。

 一夜明けて迎えた第1戦の決勝。快晴の下で行われた24周の戦いは、オープニングラップに流れが大きく動いた。佐々木選手がヘアピンで洞地選手をパスしてトップに躍り出たのだ。すかさずマシンに鞭を入れた佐々木選手は、0.4秒ほどのリードを築く。その背中に懸命に追いすがる洞地選手。両者の間隔は広がりも縮まりもしないままラップが重ねられていく。静かだが白熱するトップ争いに、サーキットは緊迫感で満たされた。

 レースが終盤戦に入ると、佐々木選手のリードがじわりと拡大。さらに6番グリッドから浮上の清水啓伸選手(Drago CORSE)が洞地選手の真後ろに追いついたことで、洞地選手は背後にも神経を配らざるをえなくなった。これでいくらか楽になった佐々木選手は、大切なリードを保ったままゴールに飛び込み、ピットウォールで待ち受けるチームの仲間たちに右拳を突き付けて勝利を宣言した。

 14歳の洞地選手はトップカテゴリー初レースで2位となって並々ならぬ才能を披露したが、「佐々木選手が後半に速くなった。タイヤが苦しくなったこともあるけれど、巧さの違いですね」と悔しさをにじませた。2年目のOK部門に挑む清水選手は自己最上位タイの3位で新シーズンを発進したが、「予選のスタートミスが最後まで響いた。めちゃくちゃ悔しい」と貪欲なコメントだ。

第1戦優勝で幸先の良いスタートを切った佐々木大樹選手。「最初からトップに出たのは、去年からロングランに懸念を抱えているので、自分でレースを引っ張って主導権を握る方が得策だと思ったからです。去年は1回も勝っていないので、ランキング2位とはいえワーストのシーズンでした。その中でチームとどうしたらいいのかを考えてきたことが当たったというか、進化が見られたレースでした。ルーキーの選手も勉強していてロングラン重視ということが分かっているので、やりにくさはありませんでした」と冷静にコメント。
第1戦の表彰式。左から2位の洞地遼大選手、1位の佐々木選手、3位の清水啓伸選手が登壇した。

 第2戦の予選ヒートでは、大宮選手がAグループのレースを独走してトップとなり、初めて決勝をポールからスタートすることとなった。セカンドグリッドはBグループトップの高橋悠之選手(BirelART Access Racing)だ。

 そして、鈴鹿大会最後のレースとなる第2戦の決勝は、タイムスケジュールどおり午後3時45分に戦いの火蓋を切った。大宮選手はトップを守って1周目を終えたが、2周目に入ると立て続けに後続の先行を許し、大きくポジションを下げてしまった。高橋選手も明らかにペースが遅く、中団まで順位を落とすと9周でレースを終えた。

 替わってラップリーダーとなったのは、4番グリッドから発進した佐々木選手。7番グリッドから浮上してきた鈴木がそこに迫り、24周レースの折り返し点でトップを奪った。さらに洞地選手も佐々木選手に追いつき、先頭集団は3台に。同じチームの新鋭ふたりにはさまれることに危機感を覚えた佐々木選手は、8周を残したところで鈴木選手を抜き返してトップに復帰する。だが、鈴木選手と洞地選手はその背中を捕らえて離さない。

 残り2周、2コーナーで鈴木選手が佐々木選手のインにマシンをねじ込んで再度トップを奪い、洞地選手もそれに続いて2番手に上がった。佐々木選手は最終ラップのヘアピンで洞地選手の前に出たが、鈴木選手まではキャッチできない。真っ先にチェッカーをくぐったのは最年少のひとり、鈴木選手。ルーキーの優勝一番乗りだ。

 佐々木選手は2位でポイントを重ねて開幕大会をランキング首位で終えることに成功したが、鈴木選手のいささか強引な抜き方に不満ありありの様子。洞地選手は3位フィニッシュで2戦続けて表彰台に上がるも、「今のは勝てたレース。ぜんぜんダメでした」と無念を噛みしめていた。

「すごくうれしいです。まさかあのグリッド(7番手)から勝てるとは思いませんでした。残り2周か3周になって、自分が抜けるところは佐々木選手も閉めてくると思ったので、抜けるのは2コーナーしかなかったのかなと思います。タイヤは思った以上に大丈夫でした。予選でセーブしたのがよかったのかなと思います。洞地選手のことはあまり気になりませんでした。後ろを気にすると焦ってしまうので、前だけを見て走りました」とOK初優勝を喜ぶ、ルーキーの鈴木斗輝哉選手。
第2戦の表彰式。左から2位の佐々木選手、1位の鈴木選手、3位の洞地選手が登壇。

フォト/JAPANKART、JAFスポーツ編集部 レポート/水谷一夫、JAFスポーツ編集部

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