105回目のINDY500はHondaエンジン勢のカストロネベス選手が偉業に並ぶ勝利をゲット!
2021年6月1日

2021年5月18日の練習走行から始まった105回目のINDY500は、5月30日の決勝レースで2週間近くに渡るレースウィークが終了。エリオ・カストロネベス選手が4回目の優勝を果たし、INDY500勝利数でA.J.フォイト氏をはじめ、3名の偉大なドライバーたちが持つ最多記録に並んだ。
2021インディカー・シリーズ 第6戦 第105回インディアナポリス500マイル
NTT INDYCAR SERIES 105TH RUNNING OF THE INDIANAPOLIS 500
開催日:2021年5月18日~30日
開催地:インディアナポリスモータースピードウェイ(アメリカ合衆国)
2021年5月30日、抜けるような青空の下、13万5,000人を集めて開催されたアメリカ伝統のイベント、第105回インディアナポリス500マイル(以下、INDY500)が開催され、本田技研工業株式会社(以下、Honda)製エンジン搭載車両が1-2フィニッシュでの勝利を飾ったことを、Hondaが明かした。
Mayer Chank Racingから出場したエリオ・カストロネベス選手が史上最多タイに並ぶ4回目の優勝を成し遂げ、インディカー・シリーズ参戦2年目のアレックス・パロウ選手(Chip Ganassi Racing)がカストロネべス選手の後方0.4928秒でフィニッシュした、とのこと。1994年にINDY500に初挑戦したHondaにとって、今回は世界最大のレースにおける14回目となる優勝だそうだ。
今年でINDY500への出場が21年連続となったカストロネベス選手は、8番グリッドからスタートを切ったそうだ。彼は序盤からトップグループでポジションを維持し続け、勝負の時を待っていた、とのこと。レースが終盤に入ってからトップ3に食い込み、パロウ選手との一騎討ちに持ち込んだそうだ。
カストロネベス選手はリードラップを20周しか記録しなかったそうだが、見事に4度目の優勝を果たしたそうだ。200周のレースのゴール前2周でトップに躍り出ると、食い下がるパロウ選手を振り切り、大歓声の中でフィニッシュラインへと飛び込んだ、とのことだ。
クールダウンラップを終えたカストロネベス選手はメインストレートに車両を停め、グランドスタンドとの間にあるフェンスによじ登った。そうやって勝利の喜びをファンと分かち合うのが彼の伝統なのだそうだ。
ウイニングチームとなったMayer Shank Racingは、Hondaエンジン搭載のプロトタイプスポーツカー、そしてGTカーで活躍し、’17年からインディカー・シリーズへの挑戦を始めた、とのこと。そして今回、ついに彼らはアメリカの最高峰オープンホイールチャンピオンシップでの念願の初勝利を記録したそうだ。
パロウ選手はダブルポイントが与えられるINDY500での2位フィニッシュにより、Chip Ganassi Racingのチームメイトで、INDY500のポールシッターだった昨年のシリーズチャンピオン、スコット・ディクソン選手を追い抜き、ポイントスタンディングで再びトップに立ったそうだ。
第6戦を終え、パロウ選手が獲得しているポイントは248、ディクソン選手は212ポイント、とのこと。一方、Hondaとシボレーが競うマニュファクチャラーズチャンピオンシップでは、Hondaが476ポイントを獲得し、シボレーが472ポイント。パロウ選手がインディカー・シリーズ初勝利を挙げた開幕戦アラバマ以来、Hondaがリードを保ち続けているそうだ。
「Hondaは素晴らしいです。私は以前に3年間、HPD(Honda Performance Development)とともに仕事をしました」と切り出したカストロネベス選手。昨年、終盤2戦にシボレーエンジン勢のArrow McLaren SPから参戦した。
「今年、久しぶりにHondaと一緒に仕事をすることになったのですが、プラクティスからの共同作業は本当にうまくいきました。HPDのエンジニアたちは、とても長くの時間を私のために使い、話を聞いてくれました。それが勝つためには必要なのです。」
昨年のINDY500までは、強豪のTeam Penskeで幾多の勝利を挙げてきたカストロネベス選手は更に「私は最高のチームで何年も走ってきたので、彼らの経験や情報を自分の中に蓄積し、それらを使って色々試すことができました。彼らがやってきたことが正しかったからこそ、私たちはこうしてビクトリーサークルに立つことができたと思います。」と勝利のコメントをよせた、とのことだ。
昨年のINDY500を制したRahal Letterman Lanigan Racingの佐藤琢磨選手は15番グリッドからスタートし、14位でフィニッシュしたそうだ。「まず最初にエリオ・カストロネベスの優勝を大いに讃えたいと思います。INDY500で4回も優勝するなんて、彼は生きる伝説です。驚くべき偉業です。彼と素晴らしい戦いを繰り広げたこと、大勢のファンを前にしてそれができたことを素晴らしいと感じています。今日のスピードウェイには本当に信じられない雰囲気が満ちていました。以前のINDY500に戻ったと感じました」と無観客の中で、INDY500の2度目の勝利を挙げた昨年と比較した琢磨選手。
「レースは私たちにとって厳しいものになりました。最終スティントを燃費作戦で戦うという決断は苦しいものでした」と琢磨選手はレースを振り返ったそうだ。
更に「私たちにとって奇跡的なタイミングでフルコースコーションが出されることでしか勝機はなく、実際にレース展開はそうなりませんでした。あの決断がなされる前、私たちのポジションは6、7番手でカストロネベスのすぐ後ろにつけていたんです。チームは本当に一生懸命に優勝を実現すべく頑張りましたが、今日の私たちには勝利を達成することはできませんでした。とてもがっかりしています。ここからまた何かを学び、前へと進むのみです」と琢磨選手。
次戦の開催地はデトロイト。6月12日・13日のダブルヘッダーとなる。




フォト/Honda、INDYCAR SERIES(Chris Owens、James Black、Matt Fraver) レポート/Honda、JAFスポーツ編集部