沖縄に誕生のNEWコースで、初のジムカーナ競技会が開催!

レポート ジムカーナ

2021年6月1日

4月末に沖縄県沖縄市にオープンしたばかりのモータースポーツマルチフィールド沖縄(MSMF沖縄)で、5月16日、JAF公認ジムカーナ競技会であるJMRC九州ジムカーナ沖縄シリーズの今年の開幕戦が行われた。

2021年JMRC九州ジムカーナ沖縄シリーズ第1戦
チーム沖縄MABUIジムカーナ

開催日:2021年5月16日
開催場所:モータースポーツマルチフィールド沖縄(沖縄県沖縄市)
主催:OMM

 JMRC九州ジムカーナ沖縄シリーズは2018年からスタートしたシリーズだが、昨年はコロナ禍を受け、全戦中止を余儀なくされたため、実質的には今年で3シーズン目を迎えるシリーズになる。一昨年までは読谷村のレーシングカートコース、ククル読谷サーキットが主戦場だったが、MSMF沖縄のオープンにより、今年は10月第1週の最終戦まで、全6戦がMSMF沖縄で行われる予定だ。

 記念すべきMSMF沖縄での初戦に参加したのは54台。天候は晴れで、気温は30度を超え、真夏を思わせる暑さの中での開催となった。コースレイアウトは、敷地をフルに使った設定が採られ、スタート後はまず奥まで一直線に進んだ後に、スラロームをこなして折り返し、再び、コース奥まで進んでタイトなパイロンセクションにアプローチするという設定。ゴール前には、これでもかという程の、コテコテのパイロンターンが連続する。大半の選手は40秒台後半で走り抜けるコンパクトな設定となったが、それ故、ワンミスが命取りになるシビアなバトルが各クラスで展開された。

新コースでの開催となった開幕戦では54台のエントラントが集まった。
新型コロナウイルス感染防止策が随所で図られた一戦となった。
ドライバーズブリーフィングは一か所に集合せず、各自、自分の競技車の元で注意事項を聞く措置が採られた。
ブリーフィングでは旗の意味を再確認するなど、初心者にも配慮された内容となった。
今回のコースをスタート位置から見る。基本的にはフラットなコースだが、排水性が考慮され、コース中央部が若干高くなっており、降雨時には外側に向かって流れるため、水たまりができにくい形になっている。
当日のコース図。前半はスラローム、終盤はタイトなパイロンセクションが続くというジムカーナの総合力が求められる設定となった。ただしこれまで沖縄のジムカーナはパイロンジムカーナが基本とあって、パイロンワークに優れた選手が多いため、スラロームを抜けてから、パイロンセクションに戻ってくるまでの中盤の比較的、速度の乗るセクションを勝負所と捉える選手が多かった。

 JMRC九州の沖縄シリーズではFF車を対象としたクラスが1,586ccを境に2クラスが設定されているが、排気量が大きい方のB-FF2クラスは、DC2インテグラ4台による戦いとなった。第1ヒートは2番ゼッケンで走った安田翔選手が、2番手に2秒以上もの大差をつける45秒996という断トツのタイムでトップに立つ。第2ヒートでは安田選手が大きくタイムを落としたことで後続のドライバーの反撃が期待されたが、各選手とも48秒台にとどまり、安田選手が第1ヒートのタイムで快勝した。

 一方、RWD車を対象とするB-FR部門は、1,998ccを境に2クラスが設定されている。まずB-FR1クラスはAE86を駆る高安司選手がただ一人、46秒を切る45秒687を叩き出して首位で折り返す。高安選手は2018年には、兄の博之選手とともにAE86でダブルエントリーし、2度も兄弟で1-2フィニッシュを飾るなど、沖縄ではAE86のスペシャリストとして知られる一人だが、今回は二人とも、自分専用のAE86でエントリーしてきた。

 第2ヒートに入ると、昨秋、遠征した東京・千葉フェスティバルで優勝し、沖縄のドライバーの速さを知らしめた神里義嗣選手のAZ-1がタイムを詰めてくるも、46秒の壁は崩せず、逆転はならず。クラス最終ゼッケンの長嶺將次選手のロードスターも46秒060に留まって2番手キープを強いられることに。結果、タイムダウンはしたものの、第2ヒートもきっちりと45秒台に乗せた高安司選手が、優勝を飾った。

B-FF2クラスは沖縄シリーズ初参戦となった安田翔選手が1本目のタイムで逃げ切った。
B-FF2クラス優勝の安田選手は沖縄在住で全日本ジムカーナ3連覇中の高江淳選手の直系弟子。DC2インテグラも全日本の某トップスラローマーが駆っていたSA車両をドライブする。「ここは今日で3回目の走行でしたが、その経験も踏まえて、タイヤを含めたセッティングを準備できたのが良かったと思います。今日はあまりパイロンに振り過ぎたセットだと中盤のセクションがきついので、そのバランスを取るのが難しかったですね。高江さんに少しでも追いつこうと頑張ってきたお陰で今日は勝てたと思います。今年は九州地区戦や全日本へのスポット参戦等も考えていきたいと思っています」。
B-FF2クラス2位には知花圭太選手が入賞した。
B-FF2クラス表彰の各選手。
B-FR1クラスは2本ともただ一人、45秒台にタイムを入れた高安司選手が優勝。
B-FR1クラス優勝の高安選手は、「ここは今日が初走行でしたが、路面がいいので、楽しく走れました」とNEWコースに好印象だったようだ。「今日は、ともかくアクセルを踏んで行って、あとはブレーキ踏んだ時の挙動に合わすような感じで走ろうと思って、その通りにできたのですが、2本目、特にミスもしていないのに、タイムを上げられなかったことが悔しいですね。AE86が簡単に勝てるような甘いクラスではないのは分かっているので、もっと勝てるようになってから、次のクルマのことは考えたいと思います(笑)」。
第2ヒートでタイムを詰めた長嶺將次選手だったが、逆転は果たせず、B-FR1クラス2位にとどまった。
B-FR1クラス表彰の各選手。

 B-FR2クラスでは、第1ヒートでパイロンタッチを喫して幻のベストタイムに終わったS13シルビアの長濱真也選手が、第2ヒートではきっちりとタイムを残してゴール。第1ヒートの最下位から、ごぼう抜きを果たして優勝をさらった。ソアラをドライブした宮城聡選手が、第1ヒートの順位を守って2番手に入った。

 話題のGRヤリスもエントリーしたB-4WDクラスは、参加した7台が6車種に分かれるというバラエティに富んだクラスとなった。第1ヒートではラス前のゼッケンで走った大城剛選手のランサー・エボリューションXが46秒195を叩き出してそれまでの暫定ベストを更新。このクラスも46秒の壁を巡っての戦いになるかと思われたが、ラストゼッケン、﨑山太一選手のGDBインプレッサが一気に44秒634までベストを詰めて大きなリードを築いた。

 第2ヒートに入っても、﨑山選手がマークした、このスーパーベストには各選手とも歯が立たず、勝負はこのまま決着。最後はウイニングランを見せた﨑山選手が、タイム更新は果たせなかったものの、第1ヒートのタイムで優勝を獲得。記念すべきMSMF沖縄初開催の公認ジムカーナでのオーバーオールウィナーとなった。2番手には第2ヒートで大城選手を凌いだ謝敷宗一郎選手のGRBインプレッサが入り、このクラスはスバル勢が1-2フィニッシュを飾った。

B-FR2クラスは、第1ヒートはパイロンタッチで沈んだ長濱真也選手が逆転で優勝を果たした。
20年乗り続けているS13シルビアで優勝を果たした長濱選手。「ここは2回目の走行でしたが、今日は横のグリップの感じが掴めず、うまく路面に対応できなかったですね。1本目にパイロンタッチしてしまったので2本目はタイムを残す無難な走りをしてしまったのも反省点です。あと1.5秒は詰めたかったです(笑)。沖縄はロードスターの人達が速いんですが、ターボ車としては負けるわけにはいかないので、クラスは違えど、いい勝負をして、次はRWD最速のタイムで優勝したいですね。もっともっと、練習します」。
B-FR2クラスの2位にはソアラを駆った宮城聡選手が入賞した。
B-FR2クラス表彰の各選手。
B-4WDクラスは44秒台というスーパーベストを叩き出した﨑山太一選手が快勝した。
「昨日の練習走行の時よりは今日は滑る路面に変わっていました」と振り返ったB-4WDクラス優勝の﨑山選手。「なので1本目はグリップを探りながらの走りでしたが、思いのほかタイムが出たので、2本目は攻めようと思ったら、やりすぎちゃいました(笑)。沖縄の人は、パイロンも上手だし、ミスしてもごまかすのも上手いから(笑)、今日は終盤のパイロンセクションへのアプローチまでが勝負だったと思います。でも、僕が見た限りでは、ノーミスで100%の走りでゴールした人はいなかったので、これから速い人は皆、ちゃんと合わせてくるでしょうね。夏になっても、沖縄はどこでも2本目勝負になるから、ここもそうなると思います。僕のクラスも速い人が多いので、次は必ず僅差のバトルになるはずなので、また頑張っていきたいですね」。
B-4WDクラス2位には第2ヒートでタイムアップを果たした謝敷宗一郎選手が入賞。
B-4WDクラス表彰の各選手。
ビギナー対象のチャレンジクラスでは、ビギナーらしからぬ速さを見せた佐久本鈴輝選手が0.043秒という僅差で優勝を獲得。
チャレンジクラス2位にはS2000を駆った比嘉誠選手が入賞した。
チャレンジクラス1~3位表彰の各選手。
チャレンジクラス4~10位表彰の各選手。
モータースポーツマルチフィールド沖縄の詳細については、こちらをご覧ください。

フォト&レポート/JAFスポーツ編集部

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