全日本カート選手権OK部門2021シーズン徹底解剖!

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2021年6月3日

2021シーズンの全日本カート選手権最高峰のOK部門が鈴鹿で開幕した。FS-125部門からステップアップしたルーキー、チームの移籍、タイヤ/フレームの変更、新たなチームの参入……と話題に事欠かないシーズンになりそうだ。そこで注目すべきポイントをまとめるとともに、全チーム&ドライバーのラインアップ紹介も行っていこう。

 国内カートレースの最高峰、全日本カート選手権OK部門の2021シリーズは5月22~23日、三重県・鈴鹿サーキット国際南コースで話題豊富な開幕戦を迎えた。

 その第一の注目ポイントは、参加台数の多さだ。多数のドライバーが前年度から継続参戦する一方で、FS-125部門2020シリーズの上位ランカーを中心に12名ものルーキーがここに参入して、開幕戦のエントリーは36台に到達。最大出走台数(34台)を超え、2台の予選落ちが出る厳しい戦いとなった。

 このため第1戦・第2戦とも予選はABの2グループに分けて行われ、各グループ15位以下による敗者復活戦(セカンドチャンスヒート)も実施。公式練習やタイムトライアルを含めた全セッション数は14にも達した。

 ふたつめの注目ポイントは、チーム・マテリアル面のトピックスの多さだ。ディフェンディングチャンピオンの渡会太一選手(Drago CORSE)がタイヤをブリヂストンからヨコハマタイヤに変更。ルーキーながら2020シリーズ終盤の中心的存在となってランキング3位を得た荒尾創大選手(TONYKART RACING TEAM JAPAN)がチームを移籍し、シャシーを乗り慣れたビレルARTからトニーカートにチェンジ。それと入れ替わるように、トニーカートの顔的存在だったベテランの高橋悠之選手(BirelART Access Racing)がビレルARTを使用するチームに移るなど、有力選手が新たな体制で2021シーズンに挑んでいる。

 また、しばらく全日本から姿を消していたシャシー、フォーミュラKが木内秀柾選手と山越陽悠選手(ともにFormula K JAPAN)のドライブでレースに登場。パロリンも金子修選手(TEAM WOLF)の搭乗で最高峰部門に初お目見え。スカイブルーがイメージカラーのドラゴコルセ勢では、目新しいピンク色のシャシーでそろえた新チーム『Rosa Drago CORSE』が5台体制で新規参戦するなど、フレッシュなマシンやチームもカートファンの目を楽しませている。

 こうして新たな戦いの幕を開けた鈴鹿での開幕2戦は、第1戦でベテランの佐々木大樹選手(TONYKART RACING TEAM JAPAN)が、第2戦でルーキーの鈴木斗輝哉選手(K.SPEED・WIN)が優勝。両レースとも各年代の選手が入り混じってホットな優勝争いが繰り広げられ、今季も見応えのあるシーズンになることを予感させてくれた。

渡会太一選手(わたらいたいち/17歳/Drago CORSE)

2020年OK部門チャンピオンの渡会太一選手は、タイヤをブリヂストンからヨコハマタイヤに変更した。
「ヨコハマタイヤの特徴は、耐摩耗性がよくてレース後半に強いこと。フロントの入り方も特徴です。今年からタイヤの開発ドライバーになったので、いいタイヤを開発して優勝できるようにすることが今年のテーマです。去年まではいろんな種類のタイヤがあってもテストできなかったりしたので、タイヤの開発は楽しみな部分がありますし、責任はもちろん感じるんですが、今までと違った感覚を味わえています。開幕戦の目標は、トップ10に入ること。今はそれが現実的な目標だと思います」

荒尾創大選手(あらおそうた/15歳/TONYKART RACING TEAM JAPAN)

OK部門参戦2年目となる荒尾創大選手。赤のビレルのイメージが強く残るが、今年は緑のトニーカラーを纏う。
「トニーカートはビレルと比べると柔らかいイメージで、乗り方もブレーキングなどいろいろと変えていく必要があります。今はまだ自分がそれに合わせ切れていない状態で、ちょっと苦戦気味ですね。去年は序盤戦にポイントを取れなくてランキング3位に終わってしまったので、今年は序盤戦から確実にポイントを重ねていって、より上位を獲りたいです。それとレースの後半の強さも向上させたいです。今年のルーキーの選手たちはテストから速いので、油断できない存在だと思っています」

高橋悠之選手(たかはしはるゆき/24歳/BirelART Access Racing)

ベテランカーターの高橋悠之選手はトニーカートを離れてビレルARTのチームに移籍、心機一転チャンピオンを狙う。
「このレースウィークはまだドライで走れていないのですが、ビレルはタイヤの負担を軽減しやすいシャシーだと感じています。テストでのフィーリングもいいし、優勝を狙えると思います。前のチームでは佐々木大樹選手に勝てそうで勝てないレースが続いたので、別のチームになって心置きなく戦えるのは楽しみです。理想は全部のレースで優勝してチャンピオンになることだけれど、まずは参加台数が増えた中でコンスタントに完走して、ランキングのトップでシリーズを終えたいですね」

山越陽悠選手(やまこしひゆう/14歳/Formula K JAPAN)

2020年はFS-125部門で存在感を示した山越陽悠選手。フォーミュラKでOK部門に旋風を巻き起こせるか?
「今年から親のOKが出て名前が本来の漢字表記になりました(2020年までのエントリー名は「ヒユウ」)。フォーミュラKは、去年乗っていたプラガに比べてちょっと硬めのフレームですね。その分リアの蹴り出しがいいので、路面が重くなった時に対応の幅が広がると思います。OK仕様のマシンにはだいぶ慣れてきたけど、スペシャルタイヤの限界をまだつかみ切れていないので、これから学んでいくところです。OK部門のベテランの選手たちにしっかり対抗してチャンピオンを目指したいです」

斎藤愛未選手(さいとうあいみ/Rosa Drago CORSE)

斎藤愛未選手は幼少のころからカートの腕を磨き、満を持して最高峰クラスに登りつめた女性カーターだ。
「子供のころから全日本の最高峰に出場することが夢で、ここを目標にずっと頑張ってきました。その夢がやっと叶ってすごく楽しみです。OK部門のカートは未知の領域で、今まで乗ってきたカートよりタイヤのグリップもスピードもケタ違いです。レース自体のレベルがすごく高いので、それに負けないように頑張ろうと思います。開幕戦はシングルでゴールすることが目標。シリーズはトップ5を目指して、1回以上優勝したいです。新しいチームは団結力があって、すごくやりやすいですね」

■2021年全日本カート選手権OK部門 ドライバー&チームラインアップ

Drago CORSE(#34 清水啓伸選手、#1 渡会太一選手)
TONYKART RACING TEAM JAPAN(#24 岩崎有矢斗選手、#2 佐々木大樹選手、#3 荒尾創大選手)
TEAM EMATY(#4 平安山良馬選手)
Rosa Drago CORSE(#14 AIKO選手、#18 斎藤愛未選手、#12 樋江井琉翔選手、#5 遠藤照剛選手、#25 谷岡力選手)
Croc Promotion(#7 三村壮太郎選手、#43 皆木駿輔選手)
BirelART Access Racing(#11 佐野雄城選手、#8 高橋悠之選手)
TEAM WOLF(#13 金子修選手、#69 半田昌宗選手)
HRT(#15 田中照久選手)
K.SPEED WIN(#17 鈴木斗輝哉選手、#16 洞地遼大選手)
EXGEL with MASUDA RACING(#19 野村勇斗選手)、MASUDA RACING PROJECT(#35 朝日ターボ選手)
TGR TEAM TAKAGI PLANNING(#22 松井啓人選手、#20 田中風輝選手、#21 渡部樹選手)
Formula K JAPAN(#66 山越陽悠選手、#23 木内秀柾選手)
Team KOSMIC Karting(#27 小椋梓選手)
30'sレーシング(#30 大宮賢人選手)
INTREPID JAPAN CORSE(#44 佐藤凌音選手)
CUORE(#64 井本大雅選手)
XENON.RT(#95 綿谷浩明選手、#77 渡部智仁選手)
ASSO MOTOR SPORTS(#78 津野熊凌大選手)
PONOS HIROTEX(#88 山田杯利選手、#89 奥住慈英選手)

フォト/小竹充、JAFスポーツ編集部 レポート/水谷一夫、JAFスポーツ編集部

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