いよいよヤリスカップが開幕!初戦からフィニッシュまで目が離せないアツいレースに!!

レポート レース

2021年6月15日

2021富士チャンピオンレースシリーズ第2戦
TOYOTA GAZOO Racing Yaris Cup 2021東日本シリーズ/西日本シリーズ 第1戦

開催日:2021年6月5日~6日
開催地:富士スピードウェイ(静岡県小山町)
主催:富士スピードウェイ(株)、FISCO-C、MSCC

 2020年に発売したトヨタのヴィッツ改め「ヤリス」に、ロールケージや専用チューニングが施されたサスペンションセットなどが奢られた「Yaris Cup Car」による新たなレース、TOYOTA GAZOO Racing Yaris Cup(ヤリスカップ)が開幕。東西に分かれているシリーズが、第1戦は合同開催となり、91台ものエントリーとなった。

 予選はA組とB組に分かれ、トップタイムが速かった組がポールポジションのアウトサイドグリッド、もう一方の組がインサイドグリッドとなり、各組下位だったドライバーたちはコンソレーションにまわる形式をとることとなった。

 91台のトップに輝くタイムで、自身にとっても初めてのポールポジションを奪ったのはB組の松本康平選手。「今までシリーズを通して出たことがなくて、スポットで筑波とか富士のレースを走らせてもらっただけで。ちょっとびっくりしています、自分でも。タイヤのピークを迎える直前に、いいスリップが使えて本当に状況が良かったです」と本音をチラリ。

 2番手以降には松原亮二選手にはじまり、渡辺圭介選手、神谷裕幸選手とヴィッツレースのシリーズチャンピオン経験者たちが控えており、松本選手は決勝で楽な戦いを許されるはずがないことが予想された。

ヤリスカップ初めてのポールポジションの名誉は、ボディにアニメキャラクターを描いた「痛車」を駆る松本康平選手(PAK☆SPEC7 Yaris)が獲得した。

 32台で争う4周の超スプリントレースとなる、コンソレーションが決勝レースの前にスタート。2番手スタートの迫田善貴選手、4番手スタートのRYU1選手を中心にスタート直後から激しいトップ争いを繰り広げ、そのままファイナルラップに突入。

 そしてトップグループの背後につけていた、3番手スタートの岩岡万梨恵選手が、一瞬の隙をついた鮮やかなごぼう抜きでトップに浮上。フィニッシュラインまで受けた猛追をしのいだ岩岡選手が、トップフィニッシュを果たした。

4周に濃縮された激戦は一瞬のチャンスを逃さなかった、KYOJO CUPにも参戦する岩岡万梨恵選手が制した。後ろは2位に入ったRYU1選手。

 予選を勝ち抜いた54台が、8周で争う決勝レースは戦前の予想どおり、松本選手、松原選手、渡辺選手、神谷選手の4人によって早々にトップグループが形成された。まずは2周目のTGRコーナーで神谷選手が渡辺選手をパスして3番手に浮上。そして激しく競い合う松原選手と松本選手の虚を突く形で、3周目のTGRコーナーで神谷選手は一気にトップに躍り出た。

 そして5周目、渡辺選手と立場が入れ替わる格好でトップグループに加わったのが、11番手スタートだった大島和也選手。じわりじわりと順位を上げてきた勢いそのままに、6周目には2番手に浮上し、神谷選手とトップ争いを繰り広げた。

 そして、大島選手に千載一遇のチャンスがファイナルラップに訪れた。TGRコーナー立ち上がりで神谷選手がシフトミス、それを逃さず捕らえてコカコーラコーナーでついにトップに立つと、そのままヤリスカップ初レースのウィナーに輝いた。

 大金星を挙げた要因はタイヤ戦略にあったようだ。「予選は失敗しましたが、チームと打ち合わせしていた内圧がはまって、序盤からペースも良くて。後半のタレも少なかったから、なんとか展開を味方にして勝てたかな、という感じです。これから長く続くレースになると思うので、その初戦を制せたというのは、すごく嬉しいです」と大島選手。3位は最終ラップのダンロップコーナーで、松原選手を捕らえた松本選手が獲得した。

 6台が参戦したCVTクラスの中では、予選A組で8番手を獲得、16番手からスタートを切った乙津竜馬選手が決勝でもMT車両に引けを取らないレースを展開。スタート位置を守る総合16位、CVTクラスではトップでフィニッシュした。

記念すべきヤリスカップ初ウィナーとなった大島和也選手(KTGYIC京都WMYaris)は、10台抜きの快走を見せた。
ヤリスカップ第1戦は、左から2位の神谷裕幸選手、優勝の大島選手、3位の松本康平選手が表彰台に登壇。
総合順位では劣勢を強いられたCVTクラスの中でも、乙津竜馬選手(Tモビリティ神奈川YarisCVT)は16番手スタートからその順位を守り切る大健闘を見せた。

 KYOJYO CUPのワンメイク車両でもある、VITA-01で競われるFCR-VITAには24台がエントリー。「すごく路面は滑ってダスティな感じだったので、目標とするタイムは出せませんでした」と語りながらもイノウエケイイチ選手がポールポジションを獲得、これに2019年のJAF-F4王者の徳升広平選手、そして、いむらせいじ選手が続いた。

 10周で競う決勝では、FCR-VITAデビュー戦の徳升選手が好スタートを切ってインから1コーナーに飛び込み、逆にアウトから行ったイノウエ選手が「頑張りすぎて」ブレーキをロックさせ、オーバーシュート。その間に4番手スタートの新井薫選手が、チームメイトのいむら選手をかわして2番手に浮上した。

 トップに立った徳升選手は、好走を見せて逃げていたが、終盤になって「何かがが壊れたのは間違いないんですが……」と一気にペースが鈍る。9周目のストレート、苦しむ徳升選手を新井選手が捉えてトップに浮上し、快走する。徳升選手はさらに、フィニッシュ間際のストレートで、いむら選手にもかわされて3位でフィニッシュ。

 逃げ切った新井選手は22年ぶりのレース復帰で、2戦目にして優勝。「まさか、こうなるとは思っていませんでした。すべてチーム監督の指導のおかげです!」と、嬉しそうに語った。

4番手スタートから着実なレース運びを見せた新井薫選手(オートルックVITA-01)が、レース復帰2戦目で早くも勝利を挙げた。
FCR-VITAの表彰台。左から2位のいむらせいじ選手、優勝した新井選手、3位の徳升広平選手。

 昨年までヴィッツレースで使われていたNCP131型ヴィッツで競うFCR-Vitzは今回が第2戦。開幕戦から4台増しの20台がエントリーした。

 ポールポジションを獲得したのは、開幕戦を制した國枝惣一郎選手。「1周目はそれなりに走って、タイムを出しに行ったんですが、想定していたタイムより1秒以上遅かったんで、スリップを支える相手を待っていたんですけど、引っかかっちゃった部分の方が多かったですね」と語るも、2番手の堀内秀也選手にコンマ4秒の差をつけていた。

 決勝では堀内選手が好スタートを決めるもTGRコーナーで、国枝選手も絡むアクシデントが発生してセーフティカーが出動した。3週目のリスタートを完璧に決めた堀内選手は、後続を寄せつけず。しかし、再車検で車両違反が発覚し、失格となってしまう。これにより、5番手スタートの白井博選手が優勝を遂げた。最後尾から再スタートを切った国枝選手はファステストラップを記録し、ポールシッターの意地を見せた。

開幕戦は3位獲得の白井博選手(白井家お父さんVitz)が優勝。ポイントリーダーに立った。
FCR-Vitz第2戦の暫定表彰台。左から暫定2位の白石選手は1位に、暫定1位の堀内秀也選手は失格、12番手スタートから暫定3位に駆け上がった三浦誠選手は2位に。3位には鈴木陵太選手が繰り上がった。

 トヨタ86とスバルBRZによって競うレースはN1レースの86&BRZと、ナンバー付きチューニングカーレースの富士86BRZチャレンジカップ(富士86BRZ)の混走で行われた。

 総合ポールポジションを奪ったのは富士86BRZ・JP-2Rクラスに挑む古田聡選手。「誰にも引っかからなかったし、タイミングは良かったですね。先輩方に遊んでもらいつつ、逃げ切れればいいですけど、雨降りそうなので分からないですね。パワー差も帳消しになっちゃうので」と語っていたが、そんな不安はウェットコンディションとなった決勝で的中してしまう。

 一方、86&BRZの予選トップは松本晴彦選手。「昨日、変えたセットが合わず、予選では戻したんですが、イマイチ伸びなくて、理想のタイムじゃなかったですね」ということもあって、総合では7番手に留まっていた。しかし、決勝では一気に主役へと躍り出ることとなった。86&BRZ勢は専用のウェットタイヤを装着できるため、ウェットコンディションでは富士86BRZ勢とのパワー差を埋められるからだ。

 オープニングラップのうちに古田選手を抜きさったのは、古田選手と同じクラスのたしろじゅん選手と、松本選手。ふたりはその後、クラスの壁を超えた激しい一騎討ちを演じた。コーナーで詰める松本選手をストレートで引き離していた、たしろ選手だったが堪えきれず、8周目のヘアピンでついに総合トップを明け渡してしまう。

 松本選手が「ウェットは練習でバランスを見られていたので、うまくいきました。向こうはコーナーがつらかったみたいで、なんとか抜くことができました」と語れば、たしろ選手は「完全に遊んでもらっていました(笑)。楽しんでいましたけど、疲れました」と、ともに繰り広げていたバトルを満足げに語っていた。

 総合3位は最後まで単独走行だった古田選手、そして総合4位は鍛冶田昇選手が、ファイナルラップにJP-2Rクラス3位の小野田貴敏選手を逆転、併せて富士86BRZ・JP-2Sクラスの優勝も飾ることに。「コカコーラコーナーで、前のクルマがミスして、その時に行けました。着いていくのがやっとだったんですけど、逆に着いていけたからチャンスが生まれたんだと思います」と鍛冶田選手はファイナルラップを振り返った。

 そして富士86BRZ・JP-3Sクラスは「序盤に築いたマージンを、うまく守りながら走りきった感じでした、終盤は。全体的に安定して走れたけれど、ミスもちょこっとあったので、そこは反省して。次回以降の課題です」と語った長和樹選手が優勝。富士86BRZ・JP-4Sクラスは、参戦した青柳貴明選手が完走を果たした。

86&BRZは総合優勝を飾った松本晴彦選手(埼玉自動車大学校MS86)が、2位と24秒差をつける大差で制した。
86&BRZの表彰台には、左から2位の森田幸二郎選手、優勝した松本選手、3位の田代良二選手が登壇。
富士86BRZ・JP-2Rクラスは松本選手とアツいバトルを繰り広げた、たしろじゅん選手(AUTOFACTORY86)が2連勝。
富士86BRZ・JP-2Rクラスの表彰台。左から総合ポールポジションスタートだった、2位の吉田聡選手、優勝したたしろ選手、3位は総合5位フィニッシュの小野田貴敏選手。
富士86BRZ・JP2-Sクラスを制した鍛冶田昇選手(ケイズレーシングBRZ)はファイナルラップの逆転劇で総合4位フィニッシュ。
富士86BRZ・JP-2Rクラスの表彰台。左から2位の咲川めり選手はヤリスカップ第1戦で6位の女性ドライバー、そして2連勝を果たした鍛冶田選手、3位の関篤人選手。
長和樹選手(ProμBOXレーシング青86)は今シーズン初参戦の富士86BRZ・JP-3Sクラスでいきなり優勝を果たした。
富士86BRZ・JP-3Sクラスは完走した3選手が表彰台に。左から開幕戦では優勝した2位の木幡修一郎選手、優勝の長選手、3位も今シーズン初参戦の五十嵐剛木選手。
一台だけの参戦となった富士86BRZ・JP4-Sクラスでは、青柳貴明選手(PGK小川R BANDOH86)がしっかり完走。

フォト/小竹 充、JAFスポーツ編集部 レポート/はた☆なおゆき、JAFスポーツ編集部

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