視界不良でワンデイ2レースの大会では佐野雄城選手が開幕4連勝、そしてフレデリック選手が佐野選手の連勝を阻止

レポート レース

2025年6月2日

全日本スーパーフォーミュラ・ライツ選手権の第2大会は、5月16~18日にオートポリスにて3レースを行う予定だったが、17日は視界不良ですべての走行が中止、18日に2レースが行われた。第4戦では開幕3連勝の佐野雄城選手が4連勝、第5戦ではケイレン・フレデリック選手が今季初優勝を挙げた。

2025年全日本スーパーフォーミュラ・ライツ選手権 第4戦/第5戦/第6戦
開催日:2025年5月16~18日
開催地:オートポリス(大分県日田市)
主催:APC、株式会社オートポリス

 開幕戦から2か月以上のインターバルを挟んで開催された全日本スーパーフォーミュラ・ライツ選手権(SFL)の第2大会には、マスタークラスの3台を含む6チーム14台がエントリーした。怪我のために開幕ラウンドを欠場したエステバン・マッソン選手(TOM’S)と今田信宏選手(JMS RACING TEAM)も元気な姿を見せ、15~16日の専有走行5本を走り込んだ。

 しかし17日は早朝から強い風雨に見舞われ、それが収まると今度は濃い霧が立ち込め、視界不良のためにスケジュールが変更。最終的にレースカーがコースインすることなくすべての走行はキャンセルとなった。このためSFLは18日に決勝レースを2戦のみ行うことに。公式予選が実施されなかったこともあり、第4戦のグリッドは16日の専有走行5回目のベストタイム順、また第5戦のグリッドは専有走行5回目のセカンドベストタイム順で決まった。

第4戦

 17日朝はまだ薄い霧に包まれてコースもうっすらと濡れているコンディションだったが、気温17度の8時33分に第4戦がスタート。ポールポジションの野村勇斗選手(B-MAX RACING TEAM)が出遅れると、開幕3連勝を飾ったSFLルーキーの佐野雄城選手(TOM’S)がフロントローからホールショットを決める。これに3番手スタートのケイレン・フレデリック選手(B-MAX RACING TEAM)が続き、野村選手は3番手にドロップした。

 フレッシュタイヤを履いた佐野選手は、オープニングラップでユーズドタイヤを履くフレデリック選手に1秒234の差をつけ、徐々に引き離して独走状態へ。やがてフレデリック選手、野村選手、マッソン選手の3台による2番手争いへと発展。さらに野村選手とマッソン選手による3番手争いが白熱化し、フレデリック選手がここから抜け出して単独走行となった。

 中盤10周目のナカヤマ精密コーナー(1コーナー)で野村選手とマッソン選手が並ぶも、マッソン選手は接触を避けようとわずかにダートにはみ出した。ここでの野村選手のドライビングマナーに対し、”決勝結果に5秒加算”というタイムペナルティが発表される。18周目のナカヤマ精密コーナーでもマッソン選手は野村選手に仕掛けたが、抜くまでには至らなかった。

 21周のレースは、佐野選手がフレデリック選手に13秒320の大差をつけて圧勝し、開幕戦からの連勝を4に伸ばした。3番手でゴールした野村選手には5秒が加算されて8位へ。3位はマッソン選手で、SFLデビュー戦でうれしい表彰台を獲得した。4位以下は古谷悠河選手(TOM’S)、ザック・デビッド選手(B-MAX RACING TEAM)、 小林利徠斗選手(TOM’S)の順でポイントを獲得している。

「オートポリスに入ってからは若干苦戦気味だったのですが、それを改善して4連勝ができたのは良かったです。スタートは少し路面が濡れていたリスタート練習でホイールスピンがあったので、意識してうまくミートできました」と18歳の佐野選手。「次のレースはユーズドタイヤになるので、うまく対応して上位でフィニッシュしたい」と続けた。

 マスタークラスは、ポールの今田選手がスタートで出遅れている間にDRAGON選手(B-MAX RACING TEAM)がトップを奪ったが、スタート手順違反のために”決勝結果に10秒加算”というペナルティが与えられることになった。ここに迫ったのが清水康弘選手(GNSY RACING)で、中盤14周目のナカヤマ精密コーナーで仕掛けるも逆転はできず。しかし終盤18周目の同じコーナーでついに逆転してトップチェッカー。2位は今田選手だった。

第4戦優勝は佐野雄城選手(TOM’S)。
佐野選手は苦戦気味で臨んだ第4戦ながら、うまくアジャストして開幕4連勝を飾った。
2位はケイレン・フレデリック選手(B-MAX RACING TEAM)、3位はエステバン・マッソン選手(TOM’S)。
第4戦の表彰式。左から2位のフレデリック選手、1位の佐野選手、3位のマッソン選手、マスタークラス優勝の清水康弘選手。

第5戦

 第5戦は曇りで気温18度というコンディションの12時18分にスタートが切られた。ポールポジションはニュータイヤを履くフレデリック選手で、小林選手、野村選手、古谷選手、佐野選手、マッソン選手というグリッド順だったが、ここで素晴らしいダッシュを見せたのが4連勝中の佐野選手。一気に加速すると、隊列の真ん中を割って2番手まで一気に順位を上げた。

 3番手は古谷選手で、4番手を小林選手と野村選手が激しく争い、第2ヘアピンで小林選手が前に出る。トップのフレデリック選手は1周目で2番手の佐野選手に2秒228の差をつけると、徐々にその差を広げにかかった。2番手グループは佐野選手、古谷選手、小林選手と3台のTOM’S勢となったが、その間隔は縮まることも広がることもなく周回を重ねていく。

 14周レースの中盤7周目に入ったころ、5番手を走行中の野村選手に対してスタート手順違反のために”決勝結果に5秒加算”というタイムペナルティが発表された。トップのフレデリック選手は2位との差を8秒862にまで広げ独走で優勝。昨年9月の岡山大会第15戦以来のSFL2勝目を飾り、ランキング2番手となった。2位は佐野選手、3位は古谷選手で、4~6位は小林選手、マッソン選手、三井優介選手(DELiGHTWORKS RACING)だった。

「まずまずのスタートを切ることができました。ニュータイヤのアドバンテージを生かして序盤からギャップを築くことができたので、そこからペースをキープして走りました」とフレデリック選手は今季初優勝を喜んだ。

 一方、マスタークラスは2周目に清水選手がスピンを喫して大きく遅れたが、最後は今田選手、DRAGON選手、清水選手がほぼひと塊でチェッカー。清水選手の連勝は4でストップとなり、今田選手が今季初優勝を挙げた。

第5戦優勝はフレデリック選手(B-MAX RACING TEAM)。
戦略がうまくハマっての勝利だと振り返るフレデリック選手。昨年以来の優勝となった。
2位は佐野選手(TOM’S)、3位は古谷悠河選手(TOM’S)。
第5戦の表彰式。左から0位の佐野選手、1位のフレデリック選手、3位の古谷選手、マスタークラス優勝の今田信宏選手。

 なお第6戦の開催は延期(日程および開催地は未定)。次の第3大会は6月20~22日に岡山国際サーキットで開催予定だ。

PHOTO/吉見幸夫[Yukio YOSHIMI] REPORT/皆越和也[Kazuya MINAKOSHI]、JAFスポーツ編集部[JAFSPORTS]

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