関東パイロンジムカーナの聖地、浅間台で地区戦序盤戦を締め括る一戦が開催!

レポート ジムカーナ

2021年6月17日

5月23日、JAF関東ジムカーナ選手権のシリーズ3戦目となる大会が、千葉県の浅間台スポーツランドで開催された。

2021年JAF関東ジムカーナ選手権第4戦
2021年JMRC関東オールスターシリーズ第4戦
2021年JMRCオールスター選抜第4戦
LATTESTONE HARD SLALOM

開催日:2021年 5月23日
開催場所:浅間台スポーツランド(千葉県香取市)
主催:Narashino

 ここまで茨城中央サーキット、宝台樹スキー場駐車場とパイロンジムカーナが主戦場となっている今年のJAF関東ジムカーナ選手権。シリーズ3戦目となる今回の第4戦の舞台も、関東地区におけるパイロンジムカーナの聖地、浅間台スポーツランドだ。かつて全日本選手権も開催された浅間台での今回の大会では、向かって左奥に配置されたターンセクションと、島回りからバスストップへと向かう繋ぎのセクション、最終手前のテクニカルセクションが、勝負を分けるコースレイアウトだ。

 まず、口火を切ってスタートしたのは1600㏄以下の2WD・PN車両で争われるJG8クラス。関東地区戦ではロードスターのワンメイク状態だ。前日の降雨の影響から、所々に濡れた路面が散見するバッドコンディション。その中、第1ヒートでトップタイムをマークしたのは三上将寛選手だったが、「1本目は皆、マトモに走れてなかったですよね。2本目勝負ですね」とコメントは慎重だ。

 そんな三上選手の言葉通り、第2ヒートは完全ドライ状態へ。2番手スタートのイトウヨウイチ選手が早速、三上選手のタイムを更新すると、ベテラン山口晃一選手がさらにそのタイムを更新。しかし、2本目勝負と割り切っていた三上選手は落ち着いてスタートを切る。最小限のホイールスピンできれいにスタートを切ると、第1ヒートで失敗してしまった左奥のターンも見事に成功。その後もリズムよく、メリハリのある走りで後半セクションへ。結果は、2位以下をコンマ5秒以上突き放すトップタイムで、このクラス、今シーズン3人目となる勝利を飾った。

 続くJG7クラスはアバルト124スパイダーVSスイフトスポーツの対決。第1ヒートはスイフトの山田真二選手がトップを奪うも、第2ヒートに入って路面が乾いてきた所で、全日本でも活躍中のアバルトの大橋政哉選手がトップタイムを更新。そのまま逃げ切った。

JG8クラスは両ヒートともベストを奪った三上将寛選手が快勝。 「テクニカルセクションは自分でも100%の出来だったと思います。彼女が来ている大会で勝てて嬉しいです!」と絶好調の1日だったようだ。
JG8クラス表彰の各選手。
僅差の優勝争いが展開されたJG7クラスは、大橋政哉選手が逆転優勝を飾った。「優勝はもちろんですが、(3位の)梅澤さんに差を付けられたのが嬉しいです」と大橋選手。
JG7クラス表彰の各選手。

 全日本経験者も多く参加し13台の参加を集めたJG6クラスは大激戦となった。第1ヒートは僅かに路面にウェット箇所が残るものの、ほとんどドライの状態。ここまでランキングトップの掛札雄一選手に期待が集まるも、掛札選手は島回りを抜けるセクションでアンダーを出してしまい、タイムを落としてしまう。

 微妙に規制パイロンが多い今回のコースでは、突っ込みすぎてミスを犯してしまう選手が続出するが、そんな中、第1ヒートからトップタイムをマークしたのは、この時点で、全日本でもシリーズランキングトップに立っていた大坪伸貴選手。第1ヒートで唯一の1分18秒台をマークする。第2ヒートに入ってもこのタイムを更新するドライバーはなかなか現れなかったが、井上良選手が唯一、大坪選手のタイムを更新する。しかし、大坪選手はさらに踏み抜いて、井上選手のタイムを更新。勝利を手にした。

 第1ヒートからドライ状態で走れたのは続くJG13クラスからだった。本大会最多の25台を集めたこのクラスでは、各選手、第1ヒートのタイムを第2ヒートで抜けないという、不思議な現象が発生する。1本目よりも路面が良くなったと思い、突っ込んでしまう選手が続出したからだ。そんな中、第1ヒートから落ち着いた走りを見せて、勝利を収めたのはスイフトを駆る木村圭佑選手。コースレイアウト的にFF勢には不利と思われるレイアウトながらも、ロスを少なくまとめた走りで、今季2勝目を飾った。

JG6クラスは、大坪伸貴選手が一旦は逆転を許すも、再逆転。前回に続いて激戦区を制した。「きょうもギリギリで、表彰台の頂上に立てましたが、正直ミスは多かったですね。島の中のスラロームと最後のテクニカルセクションは難しかったです。それでも、しっかりアクセルを開けていけたことが勝利に繋がったと思いますが、周りのミスにも助けられました。全日本より厳しい関東のパイロンジムカーナは健在ですね」。
JG6クラス表彰の各選手。
今回、最大の激戦区となったJG13クラスは、木村圭佑選手が第1ヒートのタイムで、86/BRZ、ロードスターといったRWD勢を抑えて優勝。 「左奥の270度ターンで、狙っていた軸とズレてしまったことは悔やまれますが、最終セクションは自分の中でも100点だったので、巻き返せたのかなと思っています。他の車両に対してのビハインドは少なく走れたのかなと思いました」と自分の走りを分析した。
JG13クラス表彰の各選手。

 名手、岡野博史選手がGRヤリスで参戦するJG12クラス。このクラスは、UTQG(米国運輸局が定めた統一タイヤ品質等級基準)のTREAD WEAR(耐摩耗性)が280以上(タイヤの刻印にて確認)のタイヤを装着する4WDのPN車両で争われる。圧倒的なパワー感でスタートダッシュを決めるランサー勢に岡野選手は軽量を活かしたコーナリングで対抗。第1ヒートこそ、パイロンタッチで沈んでしまったものの、第2ヒートは盤石な走りで見事トップタイムを更新した。

 JG3クラスはインテグラのワンメイク状態。勝利を収めたのは日本大学自動車部出身24歳の石澤一哉選手。第1ヒートから、一人1分15秒台をマークしての逃げ切り勝利だった。石澤選手はそんな勝利に、「走り込んでいる浅間台なので、1本目から悔いを残さないように、やれることは徹底的にやれたことが勝利に繋がったと思います。バスストップでクルマを斜めに動かす所が良かったポイントですね。でも、最終セクションの三角巻きで離れたのはタイムロスでした。2本目は自分の点検不足でシャフトトラブルでリタイアしてしまったのは悔しいですね」と振り返っていた。

JG12クラスは名手、岡野博史選手が第1ヒートのPタッチを帳消しにする走りで優勝。 「テクニカルセクションもありましたが、小さなターンが少なかったのでGRヤリス向きなコースでしたね。1本目は奥のターンでミスってしまい、2本目も縁石に乗りすぎてしまって姿勢が乱れてしまって、周囲のミスに助けられた勝利でした。これで3連勝ですが、色々分析すると細かい所で何とかギリギリ勝てているのが現状です。あんまり楽観視はしていません」と、勝って兜の緒を締めていた。
JG12クラス表彰の各選手。
JG3クラスは第1ヒートで2WD総合ベストのタイムを叩き出した石澤一哉選手が、そのまま逃げ切った。
JG3クラス表彰の各選手。

 そして、全日本開幕戦でGRヤリス初勝利を挙げた奥井優介選手のいるJG1クラス。今回は所属ディーラーの茨城トヨタのフルサポートで大会に臨んだ奥井選手。父・奥井毅選手との親子対決にも注目が集まる。そんな奥井選手は、「自分の考えたように走ってみたんですが、ちょっと大きくワイドに走りすぎました」と言いながらも、第1ヒートから、他をよせつけない1分13秒台というオーバーオールウィンタイムをマーク。2本目も走りを修正してさらにタイムを更新。圧倒的なベストタイムで表彰台のてっぺんに登った。

 浅間台名物JG11クラスは往年の名ドライバーたちが参戦。優勝を飾ったのはベテラン関谷光弘選手。暴れるマシンを丁寧にコントロールしての勝利だった。「2本目きちんとタイムを残せてよかったです」とホッとした表情の関谷選手は、「D車をまだ走らせてもらえるのは本当に有難いことです。久しぶりのスリックタイヤで思いっきり楽しませてもらいました」と、本大会を締め括った。

JG1クラスは全日本開幕戦を制した奥井優介選手がオーバーオールウィンを達成。 「全日本でシリーズランキングトップなのに、ここ2戦の地区戦、全日本は連続2位だったのでヤバイと思っていました(笑)。勝てて良かったです」とゴール後は本音を洩らした。
JG1クラス表彰の各選手。
JG11クラスは関谷光弘選手が優勝を飾った。
JG11クラス表彰の各選手。
当日のコース図。前半は速度の乗る区間が多いが、終盤は浅間台らしいタイトなターンが連続する設定となっている。

フォト&レポート/鈴木あつし

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