東地域の熱戦は、FS-125部門を堂園鷲選手、FP-3部門を村田悠磨選手が制してともに2勝!!

レポート カート

2021年6月23日

全日本カート選手権2021シリーズの東地域第3戦が埼玉県本庄市のGOLDEX本庄モーターパークで開催された。FS-125部門では堂園鷲選手(Energy JAPAN)が独走で2連勝。FP-3部門では村田悠磨選手(SPS川口)が開幕戦に続く2勝目を飾った。

2021年JAF全日本カート選手権 FS-125部門/FP-3部門 東地域第3戦
2021年JAFジュニアカート選手権 FP-Jr部門/FP-Jr Cadets部門 東地域第3戦

開催日:2021年6月19~20日
開催地:GOLDEX本庄モーターパーク(埼玉県本庄市)
主催:T.KBF、SPH

 好天に恵まれた決勝日。前日の雨の影響で早朝は路面がまだ濡れていたが、それもみるみるうちに乾き、レースはドライコンディションで行われることとなった。6月にして陽光はすでに強く、気温は30度近くまで上昇。厳しい暑さの中での一戦だ。

 2020年に経営体制が変わったGOLDEX本庄モーターパークは、一部コースが改修された。路面の再舗装で数か所がフラットになり、縁石も一部が低くなってより走りやすいコースになった。また、最終コーナーのインフィールドに設置されている電光掲示板も真新しいものに替わり、上位の順位やラップタイムの表示が非常に鮮明になった。

 22台が参加したFS-125部門。前戦のウィナー堂園選手は、タイムトライアル首位から予選ヒートを独走して、決勝をポールからスタートすることとなった。

 そして25周の決勝が始まると、堂園選手は長いストレートの終わりで首を振ってライバルたちのポジショニングをしっかり確かめてから1コーナーに入り、先頭をキープすることに成功。ここから一気にスパートをかけた。

 自動車やバイクの走行にも使われる本庄は、カートコースとしては異例の高速レイアウトを持つサーキットで、スリップがしっかり効くため逃げ切りは難しいのだが、堂園選手はそんなことを意にも介さず後続をぐいぐいと引き離していく。8周でリードを2秒に広げた堂園選手は、早くもマシンを労わる走行モードに移行。このアドバンテージを保ったまま着々と周回数を消化して、バンザイ・フィニッシュで2連勝のチェッカーをくぐった。

 1日を通じて一度もトップの座を譲ることのないパーフェクトウィン。この飛び抜けた速さの自己分析を求めると、堂園選手はこう語ってくれた。

 「今年からシャシーをエナジーに変えて、最初の頃はセッティングに苦労したけれど、だんだんそれが分かってきて、1セッションでセッティングを決められるようになってきました。エナジーはトニーカートなんかに比べると硬いフレームなんですが、セットが決まると速いです。ドライビングの面では、毎周コンマ1秒か2秒くらいの違いで崩れずに走ることができるのが、自分の強みだと思います」

 2戦続けてのポール・トゥ・ウィンで、堂園選手はシリーズポイントを97点に伸ばし、西地域首位の加藤大翔選手を22点上回って、東西両地域を通じてのポイントリーダーに浮上。東地域では2番手の上野晴紀選手に44点もの大差をつけている。

 堂園選手の後方では、浅見謙心選手(BirelART Access Racing)と玉橋悠月選手(サーティーズレーシング)がレース序盤からバトルを展開。だが、最終ラップの最終コーナーで浅見選手がスピンを喫し、2位は玉橋選手、3位はレース後半の追い上げが光った梅垣清選手(ガレージC)のものとなった。玉橋選手も梅垣選手も、デビュー3戦目での初表彰台ゲットだ。

前戦の新東京に続き2勝目をもぎ取った堂園鷲選手。「もっとバトルになるかと思ったけれど、後ろがついてこなかったので、狙いどおりの展開で勝つことができました。10周目が終わったくらいで後ろが大きく離れて集団になっていたので、そこからは大丈夫だなと思って落ち着いて走れました。決勝はちょっと気温が上がってカートの動きが悪くなるかと不安もあったけれど、それも問題ありませんでした」。
FS-125部門の表彰式。左から2位の玉橋悠月選手、1位の堂園選手、3位の梅垣清選手が登壇。

 FP-3部門の決勝では、第1戦のウィナー村田選手が圧巻のレースを披露した。ポールからスタートした村田選手は、オープニングラップで背後にギャップを築くと、2番手以下が大集団でバトルを繰り広げている間にリードを広げ、後半戦はマシンをケアしながらゴールへ。スリップの効く高速コースでは理想的なレース展開で2勝目を飾った。

 自身初のポール・トゥ・ウィンでシリーズポイントを大きく積み上げた村田選手は、東西両地域を通じてのランキング首位に浮上した。西地域で首位に立つ中村海斗選手との差は3点と僅差。シリーズ後半戦は、地域を隔てての熱いチャンピオン争いが繰り広げられそうな気配だ。

 村田選手の後方では、熱海瑛達選手(ガレージC)と豊島里空斗選手(HRT with カローラ新茨城Jr)が接近戦を展開。ゴール間際になると、ここに柳沼光太選手(ガレージC)も追い付いてきたが、熱海選手はポジションを譲ることなく走り切って2位を獲得。豊島選手が柳沼選手の追い上げを0.046秒差で退けて3位となった。

「予選で逃げられたので決勝も突っ走っていこうと。ブレーキのタイミングや体力温存にも気を遣いながら、全開で走って最初に後ろを引き離して、最後の方はタイヤやエンジンを壊さないように、自分もミスしないように気を付けながら走っていました。ここまでうまくいっているので、この先は練習でもレースでも速く走れるように頑張りたいです」と、こちらも2勝目を挙げてポイント争いで優位に立った村田悠磨選手。
FP-3部門の表彰式。左から2位の熱海瑛達選手、1位の村田選手、3位の豊島里空斗選手が登壇。

 同時開催のジュニアカート選手権・東地域第3戦。出走7台のFP-Jr部門では、鈴木恵武選手(RT-APEX)、春日龍之介選手(SPS川口)、髙田陽大選手(SuperRacingJunkie!)の3台がトップ争いを演じた。ポールスタートの鈴木選手は、抜かれてもすぐに抜き返す積極的なレース運びで、この戦いを牽引。結局、鈴木選手が先頭のまま20周を走り切って2連勝を遂げた。

 鈴木選手の後ろでバトルを続けた春日選手と髙田選手は、最終ラップのゴール間際に接触。グリッド最後尾から挽回してきた岡澤圭吾選手(HRT)が、このアクシデントをすり抜けて2位を手に入れた。3位は春日選手。健闘が目を引いた髙田選手は4位でゴールした。

 8台が出走したFP-Jr Cadets部門の決勝では、2020ランキング3位で今季初参戦の吉岩泰選手(Mitsusada PWG Racing)、開幕戦のウィナー遠藤新太選手(AAA motor sports)らが二転三転のトップ争いを展開。そこからいったん吉岩選手と遠藤選手が抜け出したが、ゴールが近づくとこの2台に木内翼選手(Racing Team YRHKS)が、さらに坂野太絃選手(EDO Marine Racing Team)が追い付き、ラスト2周は4台一丸のバトルが繰り広げられた。

 この熱戦の勝者は吉岩選手。最終ラップのコース後半で遠藤選手からトップを奪い、参戦2年目での初優勝をつかみ取った。坂野選手は吉岩選手に続いて遠藤選手の前へ出ると、吉岩選手とほぼ横一線でフィニッシュして、2戦連続の2位に。3番手でゴールした遠藤選手はフロントフェアリングのペナルティを受け、代わってゴール間際のワンチャンスでポジションを上げた松井沙麗選手(BEMAX RACING)が3位入賞となった。

鈴木恵武選手は冷静な判断で優勝を手繰り寄せ、「本庄も前回の新東京と同じでストレートが長いコースで、逃げ切れたらいいなと思っていたけれど、やっぱり逃げ切れなくて、それでも1位になれてよかったです。今回はストレートが遅かったので、抜かれたらすぐに前へ出て後ろの展開を見ようと思っていました。3コーナーから先が速かったので、自分の強みを活かしながら落ち着いて走ることができました」とコメント。
FP-Jr部門の表彰式。左から2位の岡澤圭吾選手、1位の鈴木選手、3位の春日龍之介選手が登壇。
「チームのみんなが手伝ってくれて、いいクルマを作ってくれて、僕が勝てるようにいろんなことをしてくれたので、すごくうれしかったです。最終ラップに入った時は2位だったのでヤバいと思ったけれど、前のインが空いたところにマシンをねじ込みました。残りのレースについてはまだ決まっていないけれど、出られるなら出たいです」と、笑顔で初優勝の喜びを語った吉岩泰選手。
FP-Jr Cadets部門の表彰式。左から2位の坂野太絃選手、1位の吉岩選手、3位の松井沙麗選手が登壇。

フォト/JAPANKART レポート/水谷一夫、JAFスポーツ編集部

ページ
トップへ