ゴールドカップレース第3戦は各カテゴリーで熱戦が展開!不安定な「オートポリスウェザー」の気になる行方は如何に!?

レポート レース

2021年6月23日

6月12~13日、大分県のオートポリスで「ゴールドカップレース第3戦」が開催された。ここまでの2戦は、第1戦が既報の通り全レースキャンセル、第2戦は予選こそ全てドライコンディションが保たれたが、一部の決勝レースは雨に見舞われ、どうにも天候に恵まれずにいる。果たして、第3戦は天気の女神が晴天に微笑むのかも、注目となった。

2021ゴールドカップレース第3戦
TOYOTA GAZOO Racing 86/BRZ Race 2021第3大会

開催日:2021年6月12~13日
開催地:オートポリス(大分県日田市)
主催:APC、株式会社オートポリス

 気になる天候は、このレースウィーク最後の決勝となったスーパーFJだけは、雨に見舞われてしまった。それも10周のうち終盤の2周のみ!早くも遅くもタイミングが違っていたら、展開はまったく異なっていた可能性もあった。

 今回はJAF地方選手権とともに、ジャパンスカラシップシステム(JSS)設定の全国転戦シリーズ「スーパーFJジャパンチャレンジ」とのダブルタイトルとなっていたこともあり、鈴鹿から4台の遠征もあって17台で覇が競われた。ポールポジション(PP)を獲得したのは遠征組、鈴鹿シリーズチャンピオンで、昨季もオートポリスで2勝を挙げている岡本大地選手だった。

 「渋滞の中で走っていたので、途中ピットに戻って、間合いをとって最後にドンと行くつもりだったのに、右前のナックルが折れてしまってコースアウト。ポールじゃないと思っていたので、その前に(タイムを)出していて良かったです」と岡本選手。チームメイトの高口大将選手に0.138秒差にまで迫られた、僅差でのPPだった。

スーパーFJ岡本大地選手(FTK・レヴレーシングガレージ)の予選タイムは、3番手以下を1秒以上離す2分代だった。「最後にドンといくつもりだった」と更なる更新が期待できただけに、PPを獲ったもののトラブルが悔やまれた。

 しかし、10周で競われた決勝の岡本選手はオープニングラップのうちに2番手以下と2秒2の差をつけ、後続を一切寄せつけず。2周目に予選タイムを上回るファステストラップを記し、3周目には5秒差にまで広げていた。どこまでリードを築くか注目された矢先に、1コーナーでアクシデントが発生。3周にわたり、セーフティカーが導入される。

 これでせっかくのリードが水の泡となった岡本選手ではあったが、リスタートを完璧に決めて、またしても2番手の高口選手以下を引き離す。ところが、ゴール間際になって雨がついに降り始め、一気に高口選手が差を詰めるも、それまで築いていたリードが効いて岡本選手は逃げ切りに成功。

 「セーフティカー入らなかったら、最後までドライな状態で走れたんでしょうね。今週末、あまり練習できていなかったんで、最後の雨は怖くて(笑)。高口選手はああいうコンディションを走っていたので、たぶん自信持って行けたんだと思います。なんとか持ちこたえて良かったです」と岡本選手。

 3位争いは地元ドライバーの間で繰り広げられ、東慎之介選手とKOUKI SAKU選手、そして篠田義仁選手が目まぐるしく順位を入れ替え合っていた。しかし、9周目の第2ヘアピンでアクシデントが発生。東選手とSAKU選手がコースアウトしてリタイア、何とかコースに留まった篠田選手が、2年ぶりの表彰台に上がることになった。

決勝でも速さを見せつけた岡本選手。セーフティカーや雨にも動じない強さも見せて、ポール・トゥ・ウィンを達成した。
スーパーFJの表彰台。左から2位の高口大将選手、優勝した岡本選手、5番手スタートから3位となった篠田義仁選手。

 VITAには15台がエントリーし、総合ポールポジションはデビュー戦のCROSSクラス、首藤哲也選手がいきなり獲得した。「みんな、どのぐらいのタイムで走るか予想できなかったので、自分の中では上位に入れば……という気持ちで走っていました」と言うから、まさに無欲の走りが光った格好に。

 トヨタNCP13型ヴィッツRSにも搭載されていた、1NZエンジンを搭載した車両で競うACEクラスは、前戦に続くクラス優勝を狙う小西隆詔選手がトップタイム、総合12番手スタートとなった。

トップ4台が1秒以内にひしめく接戦となったVITA CROSSクラスの予選を制したのは首藤哲也選手(ジェットの建売☆RBJ/TMR)。

 首藤選手はデビュー戦PPの緊張からか10周で競う決勝ではスタートに出遅れ、総合2番手スタートのCROSSクラス北川和文選手の先行を許すも、遅れをとることなく続いていく。そして中盤からは、燃料ポンプのトラブルで予選7番手に甘んじていた前戦の総合ウィナー、CROSSクラスの今岡達哉選手の接近も許し、3台でトップ争いを繰り広げることとなった。

 そして、三つ巴の争いはファイナルラップの1コーナーで、首藤選手が北川選手の虚を突く形で逆転に成功して決着。「途中、諦めかけたんですが、タイム見たら、いいラップ刻んでいたので。チャンスを逃さず捕らえられました」とデビューウィンを大いに喜んでいた。逆に「少し油断しました」と北川選手は悔しそうにレースを振り返った。ACEクラスは小西選手が総合9位に食い込む力走で、2連勝を達成した。

三つ巴の熱戦を制してガッツポーズの首藤選手。デビュー戦でポール・トゥ・ウィンとなった。
VITA CROSSクラスの表彰台には、左から2位の北川和文選手、優勝の首藤選手、3位の今岡達哉選手が登壇した。
VITA ACEクラスはクラストップから発進の小西隆詔選手(STILLWAY☆アンダーレ☆VITA)が、2位以下を20秒以上離して圧勝。
VITA ACEクラスの表彰台。左から2位の岡井貴経選手、優勝の小西選手、3位の野村浩二選手。

 今季3戦目はオートポリスで競われたTOYOTA GAZOO Racing 86/BRZ Race(GR86/BRZレース)。プロフェッショナルシリーズ(プロシリーズ)では「チームとしても走り出しから調子良くて、順調に走れていたので、こうやって予選でしっかり実力を発揮できて、上の方に3人で固まれたのは、すごく良かったと思います」と語る、菅波冬悟選手がポールポジションを獲得。その言葉にもあるように、宮田莉朋選手、服部尚貴選手とともにOTG MotorSports(OTG)勢がトップ3を独占した。

 決勝でも3人は盤石。オープニングラップのうちに後続を引き離し、痛恨のシフトミスで服部選手は遅れをとるも、菅波選手と宮田選手によるトップ争いは最後まで続いた。

 最後までミスを犯さなかった菅波選手は、宮田選手の猛攻をしのぎ続けて、2連勝を達成。「お世話になっているTN滋賀として1勝というのが目標だったんですが、こうなったらチャンピオンを狙っていきます。チームメイトと予選、決勝ともにワン・ツー・スリーができて、その中で自分が優勝できたことは、本当に嬉しいです」と菅波選手はポール・トゥ・ウィンを振り返った。

 一方、宮田選手は「チャンスがあれば、と思っていましたが……。菅波選手が勝ってくれて、チームとしてチャンピオンを獲れる可能性が高まったので、僕は今日のレースに満足です」と、満足そうに語っていた。服部選手に続く4位は谷口信輝選手、そして坪井翔選手が8番手スタートから、3ポジションアップを果たして5位に入った。

GR86/BRZレース、プロシリーズの菅波冬悟選手(OTG TN滋賀86)は、宮田利朋選手(後、OTG DL86)と予選から接戦を繰り広げながらポール・トゥ・ウィン。
プロシリーズの表彰台は予選と変わらずOTG勢が独占。左から2位の宮田選手、優勝の菅波選手、3位の服部尚貴選手。

 GR86/BRZレースのクラブマンシリーズ、EXPERTクラス(EXクラス)では、「月に2〜3回は走っています」と言うオートポリスのスペシャリスト、丸田敏正選手を地頭所光選手が1000分の1秒差で抑えてポールポジションを獲得。「ちょっと走りとしては余らせちゃって、でもミスはなかったけど、もう少しはっちゃけても良かったかなと、走り終わった今は思います」と地頭所選手。

 一方、さぞかし丸田選手は悔しい思いをしているかと思いきや、「予選の5分ぐらい前に、エンジンのチェックランプが点いてリタイア寸前だったんです。カプラーが抜けていたんですけど、最後尾かリタイアだったことを思えば上出来です」と、むしろ清々しい表情を見せていた。

GR86/BRZレースのEXクラス、スタートはPPの地頭所光選手(手前、GB CAMP 86)がホールショットを決め、逃げる展開となった。

 決勝では地頭所選手がひとり逃げる中、丸田選手の後方が呉良亮選手、菱井将文選手、神谷裕幸選手の順で大渋滞。必死にガードを固めていた丸田選手ではあったが、堪えきれずに6周目には呉選手、7周目には菱井選手の逆転を許し、表彰台にはあと一歩のところで届かなかった。

 地頭所選手は、これが開幕戦に続く2勝目。「ハイパークリーンで、完璧なレースになりました。タイヤを傷めないよう全集中していたのが、こうやって逃げられた理由だと思います。次は2レース制なんで、両方ともまた勝ちます!」と地頭所選手。2位は呉選手、3位は全日本ジムカーナ選手権でも活躍する、菱井選手が獲得した。

EXクラス優勝の地頭所選手はペナルティで沈んだ前戦から復活の勝利を挙げた。後ろは2位の呉良亮選手。
EXクラス表彰台は左から2位の呉選手、優勝の地頭所選手、3位の菱井将文選手が登壇。呉選手は第1戦から3連続、菱井選手は前戦に続いての表彰台登壇となった。

 GR86/BRZレース、クラブマンシリーズのOPENクラスでは、レース歴2年の高月瑠偉選手が計測1周目に、しっかりベストタイムをマークし、初PPを獲得する。

 しかし、決勝では高月選手はスタートに出遅れ、予選2番手の佐々木敬規選手にトップを明け渡す。元プロ野球選手の山崎武司選手を加えて、3台による激しいバトルを繰り広げたが、佐々木選手は最後まで後方からの激しいプレッシャーに屈することなく、そのまま逃げ切って初優勝。

 佐々木選手は「クリーンなレースを自分でできる範囲で、一生懸命やりました。普段、通勤にも使っているクルマでも、ここまでやれるんだって言うのを証明できて嬉しいです」と初優勝の喜びを語っていた。

GR86/BRZレース、OPENクラスの佐々木敬規選手(ミッドレス86ライトニング)はPPの高月瑠偉選手(中央、JOBU関東工大86)と山崎武司選手(奥、OTG TN滋賀86)との接戦を制して初優勝。
OPENクラスの表彰台。左から2位の高月選手、優勝の佐々木選手、3位はOTG勢の一角、山﨑選手。

フォト/皆越和也 レポート/はた☆なおゆき、JAFスポーツ編集部

ページ
トップへ