新緑眩しい信濃路を舞台に、今年も長野県戦がスタート!

レポート ラリー

2021年6月24日

信州の高地を走るラリーシリーズとして知られ、関東各地からもラリーストが集うJMRC長野県ラリーシリーズが、今年も6月第1週に開幕を迎えた。

2021JMRC関東ラリーカップ
長野県ラリーシリーズ第1戦
上高地ラリー2021

開催日:2021年6月5~6日
開催場所:長野
主催:K.A.P.S.

 今年、全5戦が予定されているJMRC長野県ラリーシリーズは、6月5~6日に行われた伝統の「上高地ラリー」で幕を開けた。上高地ラリーは、長野の老舗JAF登録クラブとして知られるチーム上高地(K.A.P.S)が主催するラリーで、チームの本拠である安曇野の地を主たる舞台として開催されてきたラリーだ。

 上高地ラリーは県シリーズという枠を超えて、地区戦にも劣らない距離のSSを設定するのが特徴で、その走り甲斐のあるステージを求めて、毎年、県外からも腕に自慢の多くの参加者が集う。特別規則書の表紙にも、敢えて、「初級者」の文字を入れず、「中級者向けラリー」と断りを入れていることからも、このラリーのレベルを窺い知ることができる。

 トータルで40km近いSSを設定したこともある同ラリーだが、今年は名物の美ヶ原高原エリアのSSは断念。それでも総計約26kmのSSを設定し、中級者向けラリーとしては十分な距離を確保した。まずセクション1は、HQとサービスのある安曇野スイス村から東に進み、1.5車線のツイスティなターマックSS約3kmを2回、走行する。そしてセクション2は、今度はスイス村から西に進み、穂高連峰へと続く、やはり1.5車線幅のターマックを駆け上がるという設定だ。

 ここは1本の林道を2区間に分けて、それぞれ約5kmを設定。下りは使わず、上りだけ、それぞれ2回使用する。4本のSSの合計は約20km。このステージは標高も高く、新緑を縫うように山岳路を走る、自然王国長野らしいステージだ。今回で2度目の使用と言うことだが、上高地ラリーの新たな名物ステージになるかもしれない。

 7台が参加したクラス1は、東京から遠征してきたベテランの中村一朗/迫田雅子組のランサーが序盤の2本のSSでベストを連取し、好調な滑り出しを見せる。3週間前に参戦したJAF東日本ラリー選手権MSCCラリーでクルマの動きが今一つだったため、セッティングを大きく変えて臨んだという中村組は、ステージが変わったSS3以降もスピードが衰えない。東日本戦では中村組の順位を上回ってゴールした栃木の村里尚太郎/御纏喜美子組の追撃を最後まで許さず、終わってみれば全SSベストを奪って村里組を大差で下して優勝を果たした。

上高地ラリーと言えば、安曇野スイス村。同施設の駐車場にHQ、サービスが置かれた。
クラス1は中村一朗/迫田雅子組が全SSベストの快走を見せて優勝した。
クラス1優勝の中村/迫田組。「セクション2の道は前回も走っていますが、かなり印象が変わっていて、初めて走る道みたいでした。2本とも途中でコースの性格が変わるから、走りも切り替えないとダメで、特にSS4とSS6は高速のスラロームセクションになるので、いかに高速寄りの運転ができるかどうかの勝負だったと思います。でも長野のラリーは元々、アベレージスピードが高い道が多いので、僕は面白かったですね。まぁ長野らしいラリーだったと思います。このクラスはほとんどラリータイヤだったと思いますが、僕もフロント7分山、リア8分山のラリータイヤで行きました。ちょうど良かったと思います。セッティングもMSCCとは真逆の足回りにしたら、ドンピシャでした」と中村選手。
クラス1で2位入賞の村里尚太郎/御纏喜美子組。

 続くクラス2でも、MSCCラリーで東日本戦初優勝を飾った群馬の小暮ひかる選手の86がSS1、SS2と連続してベストをマーク。東日本戦で見せたスピードがフロックでないことを証明してみせた。小暮選手のコ・ドライバーを務めるのはヌタハラ・ラリースクール時代から講師として小暮選手に接してきた田中直哉選手とあって、ラリー開始早々からペースを掴んだ形だ。

 しかし急峻な上りが続くセクション2に入るとDC2インテグラの三富仁/松野昭二組が猛追撃を開始。SS4、SS6と二度、ベストを奪ってこのセクションはトップタイムで上がったが、セクション1での20秒のビハインドが最後まで響いて逆転は果たせず。小暮組が15秒差で逃げ切って、東日本戦に続く連勝を果たした。

クラス2では弱冠20歳の若手、小暮ひかる選手と田中直哉選手のクルーが3週間前の東日本戦に続く優勝をさらった。
クラス2優勝の小暮/田中組。「今回も田中さんに色々と助けてもらいました」とコ・ドライバーの田中選手に感謝しきりだった小暮選手。「道も所々、泥とかウェットがあって、経験値が少ないので難しかったです。コーションの入れ所なども掴み切れてないので、ペースノートもまだまだ課題がたくさんですね。ただそんな中でも、経験を積んできた分、舗装については、ラリーの流れが分かってきて、走りも色々な道に対して、照準が合わせられるようになってきた感じはしています。グラベルの経験も積んでいきたいと思ってます」。
セクション2で追い上げを見せた三富仁/松野昭二組だったが、クラス2の2位でフィニッシュ。

 クラス3では地元長野のRWDスペシャリストとして知られる羽賀幸雄/高島幸信組のRX-8がSS1でベストを奪うが、新潟から参戦の田辺紘一/鶴巻駿介組のEP82スターレットが同秒で食らいつく。SS1の再走となるSS2では、SS1より10秒近くもタイムを詰めた田辺組が単独ベストを奪ってラリーリーダーに立った。

 セクション2の1本目となるSS3でも田辺組は羽賀組を下して、その差を10秒近くまで広げるが、SS4では羽賀組が田辺組を5秒差で下すベストを奪い、田辺組の背後に迫る。しかし田辺組はSS5で再び、羽賀組を引き離して首位固めに。SS4の再走となる最終のSS6では、羽賀組がこの日3度目となるベストをマークするが、田辺組には届かず。田辺組は昨年の八子ケ峰ラリーに続いて、長野県戦2連勝となる勝利を手にした。

クラス3では、4月の東日本戦を制するなど、そのスピードが注目されている田辺紘一/鶴巻駿介組が逃げ切って、長野県戦2連勝を果たした。
クラス3優勝の田辺/鶴巻組。「最後の2本で“まくって”何とか勝てましたが、厳しいラリーでした。自分のクルマはもうコーナーで稼ぐしかなかったので、泥もありましたが、ギリギリのスライドで走り切れた感じですね。前戦MSCCでは走り足りなくて、負けて悔しくもあったので、今回は実は練習のつもりで出たんですが、そんなつもりで走っていたら、置いてかれちゃう状況になったので、最後まで攻め続けました。今回は同じ道を2回ずつ走る設定だったので、1本目は様子見した所があって、結果論ですけど、1本目からしっかり攻めていれば、少しは余裕を持って走れていたかもしれない、と思いますね」と田辺選手。
クラス3の羽賀幸雄/高島信組はRX-8の速さを見せつけたが、逆転は果たせず、2位。
OPクラスでは斉藤明宏/菅原一則組が快勝を飾った。

フォト/佐久間健、JAFスポーツ編集部 レポート/JAFスポーツ編集部

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