ダブルヘッダーの鈴鹿スーパーFJ、岡本大地選手の連勝が6で止まるも、レース2で定位置を奪還!
2021年6月29日

鈴鹿サーキットを舞台に、「鈴鹿クラブマンレースRound3」が6月19〜20日に開催された。19日土曜日の午後開催の予選は悪天候により、CS2クラスとFFチャレンジ(FFC)クラス以外の4クラスはキャンセルとなり、翌20日日曜日の早朝に順延された。翌日は天候に恵まれ、決勝レースはすべてドライコンディションで競われた。
2021鈴鹿クラブマンレースRound3
TOYOTA GAZOO Racing Yaris Cup 2021西日本シリーズ 第2戦
開催日:2021年6月19日~20日
開催地:鈴鹿サーキット(三重県鈴鹿市)
主催:KRHC、SMSC
ダブルヘッダー開催となったスーパーFJ、レース2ではレース1のトップ6台がリバースグリッドに着く。鈴鹿では年に一度、これが3回目の開催となるが、過去2回はいずれも同じドライバーが連勝していた。今回も同じ結末となるのかも、注目となった。
日曜日の朝一番に順延されて行われた予選は、路面はほぼドライながら、やや滑りやすい状態。その中でレース1のポールポジション(PP)を獲得したのは、昨季から鈴鹿では6連勝、前週には既報の通りオートポリスでも優勝を飾り、圧倒的な強さを誇る岡本大地選手だった。
2番手の佐藤巧望選手に0.38秒の差をつけた岡本選手は「どんどん佐藤選手が速くなってきて、うまくスリップストリームが使えた分の差でしかないので、今週は楽に勝てないと思います」と語ったが、予想が違う形で的中してしまうことになってしまった。

レース1の決勝、スタートを決めた岡本選手はそのまま逃げていき、3周目の1コーナーで3番手スタートの上野大哲選手が佐藤選手を抜く間に、リードを1秒半にまで広げていた。ところが、その後のペースは明らかに鈍り、徐々に上野選手の接近を許してしまう。
「3周目あたりからエンジンが吹けなくなった」という岡本選手に、何度もプレッシャーをかけ続けた上野選手は、ファイナルラップのスプーンでピタリと合わせ、バックストレートで逆転に成功して優勝。「1年半かけて、やっと連勝を止められました。次のレースはリバースグリッドですが、抜くだけなので!」と上野選手は連勝に自信を見せていた。



リバースグリッドのレース2は、レース1で6位の森山冬星選手がPP。しかし、5番グリッドから岡本選手が絶妙のスタートを決め、オープニングラップのうちに2番手にまで浮上する。そして3周目の1コーナーでは森山選手をかわして、早くもトップに。次の周にはもう1秒の差を、2番手に上がってきた佐藤選手に対してつけていた。
そのまま逃げてレース折り返しの段階で、佐藤選手と3秒差にまで広げていた岡本選手だったが、今度はミッション不調に見舞われてしまう。最後は佐藤選手との差が1秒を切るまでになったが、辛くも逃げ切りを果たして今季3勝目をマークした。
「エンジンのスロットルボディを交換してもらって、そっちは大丈夫だったんですが、今度は4速から3速が落ちづらくなって。1〜2コーナーは4速固定で回っていました。逃げきれて良かったです」と岡本選手。一方、佐藤選手はここまで連続表彰台を獲得しているが、またも優勝には一歩届かず。「また2位です。スタートで岡本選手の前に出ていれば、また違った展開になっていたと思います」と悔しそうにレースを振り返った。
3位はこれがデビュー3戦目の居附明利選手。レース1を制した上野選手はメーターディスプレイの故障で一時は7番手まで退いていたが、終盤の挽回で森山選手に続く5位でフィニッシュした。


TOYOTA GAZOO Racing Yaris Cup西日本シリーズ(ヤリスカップ)第2戦には41台がエントリー。2週間前、富士スピードウェイで開催された東日本/西日本シリーズ第1戦に比べれば半分以下ながらも、ほぼフルグリッド状態は圧巻の一言だった。
予選は第1戦2位の雪辱を期す神谷裕幸選手がPPを獲得。終盤には第1戦のウィナーで、予選2番手となった大島和也選手の背後につけて、様子をうかがう余裕さえ見せていた。「タイム的には今ひとつでしたが、みんな上がってこなかったので、結果オーライで良かったです」と神谷選手。

決勝は第1戦に続き、神谷選手と大島選手の一騎討ちに。しっかりガードを固め続けていた神谷選手だったが、再び悪夢が襲う。4周目に大島選手に前に出られたものの、遅れず続いて再逆転を狙う最中にギヤ不調が発生。これで大島選手の逃げを許してしまったのだ。
開幕2連勝の大島選手は「一昨年の86クラブマンで苦しめられた相手なので、今のうちに仕返ししておこうかと思って(笑)。序盤から揺さぶりかけて、もう行くポイントはシケインと決めていたのが、うまくはまった感じです。けっこう今、周回のラップ的にも、一発のラップ的にも、すごくいい感じにタイムが出せているので、このアドバンテージを活かして勝ち続けたいと思います」と好調を語った。3位は木村建登選手の猛攻を最後まで封じ込んだ、森口優樹選手がスタート位置を死守した。



鈴鹿と岡山国際サーキットを舞台とする、NゼロVitz関西シリーズ(NゼロVitz)第2戦でPPを獲得したのは、三谷明正選手。2番手の大崎達也選手に1.709秒の差をつけた。「運良くスリップをいただけたので、タイムが伸びたんだと思います。前の岡山でミッションが壊れたんですが、いろんな人たちに助けていただいたので、その方々のおかげかなと。決勝も頑張ります」と三谷選手は控え目に語った。

決勝では、序盤こそ大崎選手の接近を許していた三谷選手。しかし、中盤からのペースは明らかに勝るようになり、やがて独走態勢に持ち込み、最後は3秒差にまで広げた。
「苦しかったです、序盤はずっと突かれていたので。それでも終盤にはいろいろ考えて走れるようになりました。優勝は91ヴィッツの頃に2回していますが、131では初めてです」と三谷選手は久方の優勝を喜んでいた。3位は鯉江保秀選手が6番手スタートから追い上げて入賞した。


土曜日、雨中での予選となったFFCクラスは、開始から間もなく赤旗が出される波乱の幕開けとなった。再開後もスピンやコースアウトが相次ぐ中、最速タイムを記したのは、古川一弘選手だった。「午前中の練習と(雨量は)同じぐらいで、いろいろつかんでいたことがあったので、修正してタイムを上げることができました」と満足そうだった。
ドライコンディションの下、8周で競われた決勝レースでも古川選手は好スタートを決めて、一時は後続に2秒の差をつけた。しかし、中盤になって徐々に差を詰めてきたのが3番手スタートの住直哉選手だった。完全に古川選手の背後につけた後、7周目のシケインで古川選手の痛恨のシフトミスを逃さず捕らえ、ファイナルラップの1コーナーでトップに浮上。
住選手は0.195秒差で古川選手を振り切って、初めてのトップチェッカーを受けた。「最後の最後になんとかチャンスが来ました。めちゃくちゃ嬉しいです。帰って来る途中で泣きました」と住選手。3位は6番手スタートから着実に順位を上げた、開勇紀選手が獲得した。



2016年のクラス設立以来、混走となっていたRSクラスが長年の歴史に昨季限りで幕を閉じたため、初めて単独開催となったCS2クラス。車両は排気量1,600cc、直列4気筒のトヨタ4A-Gエンジンを搭載する、ウエスト16C、タイヤはヨコハマのスリックのワンメイク。ミッションはシーケンシャル、パドルシフトの使用が可能という、大人気を誇るVITA-01の上級カテゴリーでもあるクラスだ。
FFCクラスの前に行われた雨の予選で、激しいシーソーゲームを繰り広げたのが、金久憲司選手といむらせいじ選手。互いにトップを入れ替え合う展開となった最後はベストタイムを金久選手がマークしたものの、スプーンで走路外走行があり、そのタイムは採用されず。
結局、僅か0.06秒差でいむら選手が金久選手を抑えて、PPを獲得した。「毎周のように金久選手とトップが入れ替わっていたのが分かっていたので、ずっとプッシュしていて、リスクも背負いながら行ったのが効きましたね」と、いむら選手はPPの決め手を語った。

翌日、ドライコンディションに転じた8周の決勝では、スタートから2周はいむら選手と金久選手、そして3番手スタートの東督也選手による、三つ巴のトップ争いが繰り広げられた。しかし、3周目以降はいむら選手が徐々にリードを広げていき、最後は約5秒差の圧勝となった。
今季はCS2クラス初参戦だったいむら選手は「まだタイヤの温まっていない1周目に、130Rで飛び出しちゃって、それでもちょっとマージンあったので1位守れて、そこから落ち着いて、ミスのないように走っていました」と、ポール・トゥ・ウィンを飾るも、ミスもあった事を明かした。


VITA-01によるクラブマンスポーツクラスの予選は、鈴鹿のみならず岡山でも今季に入って無敗を誇る、大八木龍一郎選手が「トップだったのは分かっていたんですが、もうちょっとと思って、最後にしっかりまとめて、また詰められたので良かったです」とPPを獲得。2番手には関正俊選手、そして3番手には中里紀夫選手がつけた。
決勝では関選手がスタートに出遅れ、中里選手が大八木選手に続いて1コーナーをクリア。ピタリと食らいついて離れなかった中里選手は、オープニングラップのうちに大八木選手を抜いてトップに躍り出る。しかし、大八木選手も負けてはいなかった。2、3周目こそ抜けなかったものの、アタックをかけた4周目、中里選手と同じく1コーナーで再逆転に成功。
その後もふたりのバトルは続いたものの、辛くも逃げ切った大八木選手が鈴鹿で3連勝、岡山と合わせて6連勝を飾った。「楽しかったです、中里選手といい勝負ができて!でも、僕もけっこうミスしていたので、トップに立ってからも危ないところがあって、抑えるのに必死でした」と、大八木選手は正直な胸の内も明らかにした。3位は関選手が獲得した。


フォト/遠藤樹弥 レポート/はた☆なおゆき、JAFスポーツ編集部
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