M4 MADONNA開催! 女性だけのレンタルカート耐久は終始白熱‼

レポート その他

2021年7月9日

昨年、好評を博した女性オンリーのエンジョイカート大会として企画されたMadonnaKARTが今年もスケールアップして開催された。モータースポーツに興味がある“走り好き”な女性参加者たちが神戸スポーツサーキットに集結。1時間以上に及ぶレンタルカートでの耐久走行を存分に満喫し、モータースポーツへの門戸を開いた。

NEO KART FES IN KOBE M4 MADONNA
開催日:2021年7月4日
開催地:神戸スポーツサーキット(兵庫県神戸市)
主催:有限会社KRP

 2020年11月上旬に産声を上げた女性だけのレンタルカート大会“MadonnaKART”は、初の試みとは思えないほどの大盛況ぶりで終了した。参加した選手たちは大会の体験談や感想をSNS等で発信し、その話題はモータースポーツの業界にも瞬く間に広まった。また各所から挙がった好評の声が主催者やスポンサーにも届き、2021年はスケールアップして開催が実現したというワケだ。

 とくに初めての大会が千葉県市原市の新東京サーキットという、東日本エリアでの開催だったこともあり、遠方の参加希望者から近場での開催をという要望の声も少なからずあったようだ。そこで今年は東と西の2戦があらかじめ設定され、まずは神戸スポーツサーキットを舞台に西日本エリアでの開催となった。

 7月4日、梅雨真っただ中の神戸スポーツサーキットで行われたこの大会は、JAF公認競技ではないものの、モータースポーツに興味がある女性に向けて「安全に楽しく走る」ことに主眼を置いて開催された。勝負にこだわったり、マナーが悪かったり、イベントの趣旨を理解できない参加者はお断りという、ビギナーでも心置きなく楽しめる大会となっている。

 参加条件は18歳以上、1チーム2~3人(うち初心者2名)で編成し、主催者が用意したレンタルカートで1時間の耐久走行を行う。なお参加費用は1チーム税込み10,000円で、その中にカートのレンタル代や練習走行費、ガソリン代が含まれている。また、事前に準備するものとしてはレーシングスーツ着用を推奨するも、長袖長スボンでも参加可能。そのほか、フルフェイス型のヘルメット、グローブ、運動靴が必要だが、身近で用意できるものばかりで、モータースポーツへの敷居の高さもグッと下がっている。

華やかな雰囲気に包まて開催されたM4 MADONNA。男性に気兼ねすることも一切なく、モータースポーツが楽しめる大会となっている。
使用するマシンは200ccエンジンを搭載したBirelARTのN35。レンタルカート用ではあるが、レーシングカートに近い操作感が味わえる。
1チームあたり2~3名で構成して耐久走行に臨む。60分間の走行時間を考慮すると、1名あたり20分くらいを担当する計算だ。
カレーと唐揚げの「NICO NICOCURRY」や、コーヒーとワッフルの「カバンナコーヒーバス」といったお店も出店して、大会をサポート。

 当初、エントリーは22台を予定していたが、雨天での開催が予想されたために直前にキャンセルがあり、最終的には18台/48名での耐久走行となった。今回は、昨年の大会でトップ周回数を重ねたチーム・C's splash Oが参戦したほか、レースクイーンやレースアナウンサー(!?)まで、バラエティに富んだエントリー。だが実際のところ、初めてカートに乗るという参加者が半数以上を占めていた。

 7時40分から受付が開始されると、次々に選手たちがテント受付に集まってきた。この受付時に、大会で使用するレンタルカートの抽選が行われ、各チームは14号車から31号車に割り振られる。また参加者にはレディースブランド「SHEER」とのコラボTシャツが手渡され、会場の熱気も高まっていた。

 参加者全員がお揃いのTシャツに着替えたところでブリーフィングが始まり、大会のルールやサーキット走行の注意事項、フラッグの説明が行われる。事前に配布された資料を見ながら、皆、表情が真剣モードに。と、ここで、2020年はKYOJO CUP等で大活躍したドライバー・三浦愛選手がゲストとして登場するサプライズ。今回は初心者チームにメンバーとして加わって耐久走行にも参加するようだ。

新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止のため、マスク装着をはじめ、検温や消毒などの対策もしっかり採られての開催となった。
受付では参加者全員にTシャツやマスクなどが配られる。今回の耐久走行で使用するマシンは、机の上に並んだ緑の番号札をめくって決められた。
昨年のMadonnaKARTはスーパー耐久シリーズと重なって参戦が叶わなかった三浦愛選手。今回は「阪神三美ィ」チームから出場を果たした。
ブリーフィング以外に、初心者を対象とした講習会や練習走行の時間もしっかり設けられ、サポート体制も万全。

 タイムスケジュールでは10時から11時までの1時間耐久走行を予定していたのだが、天候等も考慮されて前倒しで9時45分にスタート、実質1時間15分の耐久走行となった。この耐久走行では最低3回のドライバー交代が義務付けられており、何周もしくは何分で交代するかの作戦を各チームは練っていたようだ。

 恐る恐るスタートしたチームもあれば、最初から全開走行のチームもあり、走り方は十人十色。レース中盤にもなると走り慣れてきた初心者がアクセルをしっかり踏み込んで、各コーナーでオーバーテイクショーを繰り広げる展開となった。事前に危惧された天候も一瞬の小雨程度で何とか持ちこたえ、大きなトラブルもなく大会は進行した。

 神戸スポーツサーキットはハイスピードとテクニカルなコース特性を持ちつつ、1周約960mと走りごたえも十分だったようで、走り終えた選手たちは満足感に満ち溢れた表情を見せた。なお、58秒765のベストタイムを叩き出したLittle Venusチームが、73周でトップチェッカーを受けて耐久走行はフィニッシュを迎える。

ギャラリーに見守られながらスタートが切られたM4 MADONNA。高まる緊張感を抑えつつ、18チームが一斉に走り出した。
ドライバーの交代を行いながら完走を目指す。チームの連携も求められた。交代回数はピット内のスタンプで管理されている。
トップチェッカーは#20「Little Venus」チーム。トータル周回数は73周、ベストタイムは58秒765を記録した。
疲労したり、充実したり……。さまざまな想いが交錯する中、ピットロードに設けられた花道を通りぬけて健闘を称え合っていた。

 興奮冷めやらぬ雰囲気に包まれた神戸スポーツサーキット。表彰式では参加者全員にくじ引きによる賞典が贈られるとともに、最多周回数を重ねた4チームはじゃんけんで1チームに絞り込まれ、協賛品のレーシングスーツを受け取った。大会終了が惜しまれつつも、次回は9月19日に新東京サーキットでの開催が決まっている。

 今回も「楽しかった」という率直な感想の声が、パドックの至るところから聞こえてきた。このM4 MADONNAは「モータースポーツに興味があるけどなかなか踏み出せない」、そんな女性たちに手を差し伸べる存在となっていることは間違いないだろう。

NEO KART FES IN KOBE M4 MADONNAを主催した有限会社ケー・アール・ピーの河本卓也代表は「これだけの女性が一堂に介するっていうのは滅多にないと思います。男性だらけの汗臭さもなくて(笑)。1時間の耐久ということでスケジュール的にはドタバタ感はありますけど、ビギナーにはこの1時間くらいがちょうどいいのかなと。ゆくゆくは子供をターゲットにしたカート大会も考えています」とコメント。本大会でのしっかりとした手ごたえ、そして新たな企画に向けての挑戦が垣間見えた。
「長らく河本さんのところ(Masters 4 stroke、レンタルカートの耐久レース)のスポンサーをしていて、カートを盛り上げたいという話の中で、企画の僕は面白いことがしたいよねって、昨年に実現したのがMadonnaKARTです。M4自体が身体ひとつで来て気軽に参加できる大会なので、女性には入りやすい環境だと思います」と、大会をスポンサードする株式会社スリーボンドの宣伝企画部・足立守氏。2021年の開催は東日本と西日本に拡大されたが、現場での反響を感じ、2022年は中日本での開催も構想に入っているようだ。
主に神戸スポーツサーキットをホームコースとしてカートを楽しんでいるというLittle Venusの2名。「今日は頑張りました! トップはラッキーだったらいけるのかなと思っていました。走り慣れているぶん、他の人よりは有利だったのかもしれません。とにかくロングで引っ張って、コースが混んできたら交代、という作戦でした。神戸は走りやすいしスタッフもいいし、環境もいいので好きです」と73周の周回数を記録、見事トップチェッカーを受けた小倉扶美選手(左)と山内ゆかり選手(右)。
「一緒に走ってみて、女性陣速すぎです! モータースポーツはまだまだ男性がメインというイメージが強いですけど、この大会を通じて女性が楽しんでモータースポーツを盛り上げてくれるのは非常にうれしいことですね。同じような感覚を持つ女性同士で、プロアマ問わずに競えるというのも魅力のひとつではないでしょうか。とにかく参加して良かったです。今後も何かしら協力できればいいなと思っています」と、この開催に好印象を抱いたのは、ゲストドライバーとして招かれた三浦愛選手。
普段、レースアナウンサーとしてレーシングカートのレース実況をする立場から一転、選手の立場で参加した稲野一美選手。「前から出てみたいなと思っていて、いい機会なので参戦しました。女性ばかりがこんなに集まることもないし、同じ土俵の上で戦っている感があり、雰囲気も楽しかったです。全日本の選手がどんなラインで走っているのかなって想像しつつ、実況にも活かせるのかなと思いながら走っていました。今日はノースピン、ノーやってもうた!で無事に終えましたヨ!」

■参加チームの皆さん

#14/阪神三美ィ、#15/A&M、#16/ILC2、#17/K-girl's、#18/ILC1、#19/Stella Cinque。
#20/Little Venus、#21/S*Sレーシング@NSP、#22/モタスポ.net Lady's Team、#23/Stella Cinque 2、#24/FRESH BREEZE、#25/ちびっこバスターズ。
#26/LaLaSweet GT、#27/かおりーず、#28/3P Wings、#29/ごるふぁーでやんす、#30/C's splash O、#31/MPドリーム。

フォト/遠藤樹弥、JAFスポーツ編集部 レポート/JAFスポーツ編集部

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