0.1秒を争う緊迫した攻防!! 勝田範彦/木村裕介組が今季初優勝
2021年7月14日
今シーズンのグラベル初戦となる全日本ラリー選手権第7戦「2021 ARKラリー・カムイ」が、7月2~4日に北海道ニセコ町周辺を舞台に開催。昨年はコロナ禍の影響で中止を余儀なくされた今大会は、2019年以来の開催となる。また、初日と2日目の両日、それぞれ100名限定でSS内にギャラリー観戦エリアが設定された。
2021年JAF全日本ラリー選手権第7戦「2021 ARKラリー・カムイ」
開催日:2021年7月2~4日
開催地:北海道
主催:TEAM ARK、ROC.H
ラリーは初日の7月3日に3か所の林道SSを、サービスを挟み2回ずつ、4日も初日とは異なる3か所の林道SSを2回ずつ走る、合計12SSを設定。SS総距離は100kmを超える108.84kmが用意され、ポイント係数は1.5となる。
中速コーナーが主体のステージは、一部で轍が掘れる区間があったものの、2ループ目に入っても大きく路面が荒れることがなく、選手から「走りやすくて攻め甲斐がある」と好評。ラリー前日のレッキ日にはコースの一部で雨が降ったが、本番当日は両日とも好天に恵まれたドライコンディションの中で戦われることとなった。
第6戦までのターマックラウンドでは国産車勢を圧倒した福永修/齊田美早子組と柳澤宏至/保井隆宏組の2台のシュコダ・ファビアR5勢だが、グラベルラウンド初戦では国産車勢が主導権を握った。
まずはオープニングのSS1で鎌田卓麻/松本優一組のスバルWRX STIがベストタイムを刻むと、続くSS2と3では新井敏弘/田中直哉組のスバルWRX STIがベストタイム。さらにSS4と5では勝田範彦/木村裕介組のトヨタGRヤリスがベストタイム、さらに初日最終SSとなるSS6は鎌田/松本組がベストタイムと、初日は国産車勢3台が2本ずつベストタイムを分けた。
初日をトップで折り返した鎌田/松本組と3番手の新井/田中組とのタイム差は6.4秒。4番手につける福永/齊田組はトップから15.3秒差、さらにセッティングに苦しんだ柳澤/保井組とは34.0秒差と、初日は上位3台の国産車勢がR5勢に大きく水を開ける結果となった。
2日目に入ると、先頭スタートの鎌田/松本組がSS7からSS9までの最初のループで路面の掃除役となり、ペースが上がらずポジションを下げるなか、勝田/木村組と新井/田中組が0.1秒を競う接戦を展開する。SS7と8で勝田/松本組がベストタイムを刻みトップに立つと、ロングステージのSS9で新井/田中組が3.3秒差をひっくり返して一気に逆転。
SS10でベストタイムを分け合ったふたりだが、SS11でふたたび勝田/木村組がベストを奪う。最終SSを前にして勝田/木村組が新井/田中組に0.5秒差をつけてトップを奪い返す。残すはSS9のリピートステージとなるSS12のみ。
ここで新井選手は「これ以上のタイムは無理っていうくらい、限界まで攻めきった」というフルアタックで、SS9で自身がマークしたタイムを20.8秒上回るタイムでフィニッシュする。だが、その前にフィニッシュした勝田/木村組のタイムには0.2秒届かず。「ひとつのミスも許されないなかでの戦いだった」とラリーを振り返る勝田選手が今季初優勝を飾るとともに、全日本ラリー選手権でGRヤリスでの初優勝を飾った。
JN2クラスは、初日トップのヘイキ・コバライネン/北川紗衣組を、初日は1.3秒差の2番手で折り返した上原淳/漆戸あゆみ組が2日目のオープニングとなるSS7で一気に逆転。その後も上原/漆戸組はSS9まで3連続ベストタイムを重ね、コバライネン/北川組とのタイム差を25.7秒まで広げたが、SS10の約1.5km付近にあるストレートエンドからの左コーナーで痛恨のコースアウト。上原/漆戸組のリタイアによりふたたびトップを取り戻したコバライネン/北川組が、今季4勝目を飾った。
JN3クラスは、初日に曽根崇仁/竹原静香組が大竹直生/藤田めぐみ組に23.7秒差を付けてトップに立つが、2日目に入ると大竹/藤田組がミッションにトラブルを抱えながらも猛追。曽根/竹原組とのタイム差を12.2秒まで縮めてくる。20分サービスでミッションを交換した大竹/藤田組はその後も快走を続ける一方、トップの曽根/竹原組はSS10でコースアウトし、無念のリタイア。「最後まで諦めずにプッシュしていたのが良かった。サービスの皆さんにも感謝です」という大竹選手が、今季2勝目を獲得した。
JN4クラスは、SS1でトップに立った香川秀樹/松浦俊朗組が、クラッチが切れにくくなるトラブルに見舞われながらも、一度もトップの座を譲ることなく快走し、久々の全日本優勝を獲得した。2位にはセッティングに苦しめられた須藤浩志/新井正和組が入賞している。
JN5クラスは、第5戦丹後で優勝の内藤学武/小藤桂一組が、SS1のわずか800m地点で転倒リタイアという波乱含みの展開のなか、SS1で地元の松倉拓郎/尼子祥一組がベストタイムをマーク。だが、続くSS2からはチャンピオンカーのヴィッツをシリーズに再投入した天野智之/井上裕紀子組が、初日最終となるSS6までベストタイムを連取。松倉/尼子組とのタイム差を26.0秒差に広げて迎えた2日目は、レグトップポイントこそ0.7秒差で松倉/尼子組に奪われるものの、マージンを活かしてトップの座をキープ。今季2勝目を獲得し、シリーズランキングトップの座をしっかりと守った。
JN6クラスは、全日本デビュー以来4連勝を挙げている吉原將大選手が、ベテランコ・ドライバーの石田裕一選手とコンビを組み出場。シリーズランキング2番手の水原亜利沙/竹下紀子組に4本のSSでベストタイムを奪われるものの、その他8本のSSでは初コンビとは思えない絶妙なコンビネーションを見せ、危なげなく連勝記録を5に伸ばした。
フォト/加藤和由、中島正義、CINQ、JAFスポーツ編集部 レポート/CINQ、JAFスポーツ編集部
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