2シーズン目を迎えたフォーミュラ・リージョナルは、片山義章選手がホームコースでの躍動で開幕!!!
2021年7月14日
フォーミュラ・リージョナル・ジャパニーズ・チャンピオンシップ(FRJ)の第1大会が、岡山国際サーキットで6月26〜27日に開催された。今シーズンは5大会・全14戦での開催が予定されている。第1大会の3つのレースは片山義章選手が3連勝を飾り、2シーズン目の幕が切って落とされた。
2021 OKAYAMAチャレンジカップレース第4戦
FORMULA REGIONAL JAPANESE CHAMPIOMSHIP 2021 Round1
開催日:2021年6月26~27日
開催地:岡山国際サーキット(岡山県美作市)
主催:株式会社岡山国際サーキット、AC
いよいよ開幕を迎えたFRJには、14台のエントリーを集めた。そのうち半数を占める7台が、マスタークラスのジェントルマンドライバーたちとなった。昨シーズンまでマスターズクラスと呼ばれていたクラスは今シーズンから名称が変わり、年齢も40歳以上と改められたのだ。
第1大会の予選は15分間ずつ、2回に分けて行われ、1回目のベストタイムでレース1、2回目のベストタイムでレース2、そして1回目のセカンドベストタイムでレース3のスターティンググリッドが決定した。
木曜日から行われていた専有走行で総合ベストタイムを叩き出したのは、FRJの開発ドライバーでもある片山義章選手だった。しかし、26日の午前中に行われた予選1回目では「シフトがヘアピンとダブルヘアピンの1個目でおちなくて、すごく大回りになってしまって」とベストラップを記録できなかった。
その片山選手を上回ってレース1の総合ポールポジション(PP)を獲得したのは「今週から乗り始めて、マシンのパフォーマンスが分からない状態だったんですが、うまくまとめられたのは自分としてもすごく良かったと思います。四輪で初めてのポールなので、そのまま勝てるよう頑張ります」と語った塩津佑介選手だった。
そして予選2回目は、総合トップを片山選手が奪い返した。問題のギヤ不調は「確実にシフトダウンできるようにやって、手堅くまとめました」と走り方を改めて修正したそうだ。しかも、1回目のセカンドベストタイムでもきっちり総合トップタイムをマークしていた。
これで片山選手は27日に行われるレース2とレース3の総合PPも獲得し、「車両のトラブルをしっかり見つけてもらって、FRJは抜けると聞いていますから、日曜の2レースだけじゃなく、今日のレース1でも抜いてきて3連勝を目指します」と語っていた。
逆に塩津選手の2回目は、いざタイムアタック、いうタイミングで痛恨のガス欠になってしまった。ぶっつけ本番にも近い状態だったため、不可抗力といったところか。レース2は総合11番手からの巻き返しに挑まざるを得なくなってしまった。
マスタークラスでは3戦ともに、田中優暉選手がクラストップからスタートを切ることとなった。「練習どおりというか、練習以上に修正するところは修正できて、いい走りができました」と田中選手は満足そうに語っていた。
タイヤは予選と決勝を通して使用できるのは3セット。うち2セットを予選に投入して、残る1セットをどのレースで使うかも勝負のカギとなるが、片山選手はレース1から投入した。総合PPの塩津選手に続いて1コーナーに飛び込むと、「すごくスリップ効いて、アトウッドでも後ろ着けたので、ヘアピンで並んでリボルバーで抜けました」と、早々に総合トップを奪い取る。
一方、塩津選手は2周目の2コーナーで、古谷悠河選手にもかわされ、総合3番手に後退。古谷選手はそのまま総合トップにも迫ることが期待されたが、片山選手のニュータイヤ効果は絶大。古谷選手を一歩も寄せ着けず、最後は14秒以上差をつけての圧勝となった。
「明日の天気が分からないので、ニュータイヤで行ったのが、すごく良かったんだと思います。スリップがすごく効くのが分かったので、最初にプッシュして逃げちゃって、ある程度見えなくなってからはあまり無茶せず走りました」と片山選手はレース1の勝因を語ってくれた。総合2位は古谷選手で、総合3位は三浦愛選手に0.72秒差まで迫られたものの、辛くも振り切った塩津選手が獲得した。
マスタークラスでは、田中選手がスタート直後に今田信宏選手の先行を許したが、終始遅れることなく続いてクラス2番手でフィニッシュ。そして、今田選手にスタート手順違反の判定が下されて10秒加算となり、繰り上がった。田中選手は「今田選手は気の毒ですけど、僕はラッキーでした。どこかでミスしないかと後ろで見ていたんですけど、今田選手は全然ミスしてくれなかったので」と、マスタークラス初優勝を振り返った。
先の片山選手のコメントにもあったように、当初、27日は雨が降る天気予報だった。しかし、近づいていた台風の進路がずれたことで、懸念された雨はレース中は一粒も落ちず。ただし、未明まで降っていた雨によってレース2のスタート時点でも路面が濡れていたため、セーフティカースタートとなった。
3周の先導後、いよいよバトルは開始された。総合PPの片山選手は好スタートを切り、古谷選手だけが大きく遅れることなく続いた。ふたりはファステストラップ合戦を繰り広げて、大いに見応えがあるレースとなった。結果は古谷選手が逆転の決め手を欠き、逃げ切った片山選手が総合トップでフィニッシュ。
「初めてのポールからのセーフティカースタートで、後続をどうやってうまく引き離せるか、駆け引きが面白かったんですが、逃げられて良かったです」と片山選手は2連勝達成を振り返った。総合11番手スタートだった塩津選手はセーフティカースタートが仇となったのか、古谷選手、三浦選手に続く総合4位まで追い上げるのが精いっぱいだったようだ。
マスタークラスのレース2も田中選手が2連勝を果たした。「今のレースはすっきり、満足しています。ただ、オーバーオールクラスの若い子に着いていこうと思ったんですが、まだまだ。課題はありますね」と語っていた。
片山選手、塩津選手、古谷選手という順の総合スターティンググリッドとなったレース3では古谷選手がニュータイヤを投入した。スタートを決めてまずはホールショットを奪いたい古谷選手だったが、実際に好スタートを切ったのは塩津選手。片山選手に一矢報いたいのは、塩津選手ももちろん同じ。総合トップに立ったものの、片山選手と古谷選手が遅れずに続いた。
三つ巴のバトルは中盤まで続き、大きく動いたのは18周のレースの丁度半分の9周目だった。ヘアピンでの塩津選手のミスを、片山選手は見逃さずにパス、さらに次の周には古谷選手にも抜かれ、塩津選手は総合3番手に後退してしまった。
古谷選手は2秒近く前を走る片山選手を徐々に追い詰めていくも、0.792秒差で片山選手が逃げ切り、3連勝を達成。「FRJの開発ドライバーを務めていたので、ちゃんとした成績を残せたのが嬉しく思います。前半に合わせてセットしていたので、タイヤは後半きつかったですけど、なんとかマネージメントできました」と僅差となったレース3を語ってくれた。
ランキングでもいきなり大きなリードを得た片山選手だが、今大会限りのスポット参戦とのこと。しかし「続きも出たいですね」と本音をポツリとこぼしていた。今後の片山選手の動向も要注目となりそうだ。
マスタークラスのレース3は、田中選手の3連勝ならず。クラストップを快走していたが、オーバーオールクラスのドライバーとのバトル中に、接触を避けようとしてスピン、無念のリタイアとなってしまったのだ。
これでクラス3番手からスタートしたDRAGON選手がクラストップに浮上、チームメイトの今田選手との激闘を制して、久々の優勝を飾っている。「今週はもう、まったく何もかも噛み合わなかったので、ここで流れを取り戻せてラッキーでした」とレース1とレース2でリタイアを喫してしまっていたDRAGON選手は一矢を報いたかたちとなった。
FRJの第2大会は8月21~22日、スポーツランドSUGOでレース4~6が開催される予定だ。
フォト/吉見幸夫 レポート/はた☆なおゆき、JAFスポーツ編集部