四国ダートトライアル地区戦は、本拠地香川SLでシリーズ第2戦が開催!

レポート ダートトライアル

2021年7月16日

四国地区で開催されるJAFダートトライアル地方選手権のシリーズ第2戦が6月27日、香川スポーツランドで開催された。

2021年JAF四国ダートトライアル選手権第3戦
2021年JMRC全国オールスター選抜ダートトライアル第3戦
2021年MACダートトライアル

開催日:2021年6月27日
開催場所:香川スポーツランド(香川県さぬき市)
主催:MAC、ETOILE

 4月に開幕した今年のJAF四国ダートトライアル選手権は、5月に予定されていた第2戦が新型コロナウイルス感染症拡大の動きを受けて開催延期を決定したため、今回の第3戦が、約2か月のインターバルを置いたシリーズ第2戦として行われる形になった。

 会場はいつもと同じく、香川県さぬき市にある香川スポーツランド。ラリー気分に浸れるブラインドコーナーが続く林間セクションとふたつのストレート、そしてスタート&ゴールが置かれる広場のセクションで構成されたコースだ。走行の最後に、広場に置かれた複数のパイロンをクリアしてゴール、というのが香川の定番レイアウトになる。

 通常、パイロンはこの広場のセクションにしか置かれないが、今回は林間セクションからの出口からストレートに繋がる場所に突如、パイロンが1本、置かれた。林間セクションからこのパイロンまではクレスト状になっており、今回は、全開で見通しの効かないストレートを駆け上がった後に、左回りでフルターンに挑むという設定。過去、経験したことのない大胆なレイアウトの攻略に、選手達は慣熟歩行から大いに頭を悩ますことになった。

 梅雨時ということもあり、当日は路面が乾き切らず、香川名物の激しく砂埃を巻き上げるシーンは残念ながら見られなかったが、雨が本格的に降り出すこともなかったため、路面状況はそれほど悪化せず、第2ヒートでもタイムアップする選手が目立った。

 なお、この地区戦に毎回併催されるJMRC四国ダートトライアルシリーズでは、独自なクラス分けを行っており、1,600ccを超える4WDのG1クラスと、2WD及び1,600cc以下の4WDの車両を対象としたG2クラスのふたつにJMRC四国のタイトルを懸けている。両クラスとも車両区分はなく、一見すると改造範囲の広い車両が有利に見えるが、パワー勝負になりにくい香川では地区戦で設定されたクラスの間でもタイムが拮抗することが多いため、JMRCシリーズのタイトルを巡る戦いも、四国地区では注目ポイントになっている。

ブラインドコーナーが続く林間セクションも香川の名物。狭い道幅をいかにロスなく走り抜けるか、ラリーにも通じる技術を学べる。
今回注目のパイロンが置かれたフルターンセクション。コース上にパイロンが置かれるのは、香川では稀な設定だ。
当日のコース図。2分を超える走り甲斐のあるコースが用意された。

 まず、2WD及び1,600cc以下の4WDのN車両を対象としたN1クラスでは、ミラージュ・アスティの谷芳紀選手が、2017年から今季の開幕戦まで何と16連勝中という圧倒的な速さを見せている。今回も、過去何度か谷選手を追い詰めたブーンX4の田川知明選手が打倒谷選手の一番手と見られていたが、谷選手はヒート1から、田川選手に隙を見せず、大差でトップに立つ。ヒート2ではアスティがマシントラブルに見舞われ、ノータイムとなったが、谷選手がヒート1のタイムで逃げ切って、連勝キープに成功した。

N1クラスは、谷芳紀選手がヒート1のタイムで逃げ切って優勝。JMRC四国シリーズのG2クラスも制した。
優勝の谷選手。「今日は路面も締まっていて、ベストに近い状態だったと思うので、自分もいい感じで走れました。1本目はほぼ納得できる走りができたと思います。フルターンの設定は初めてでしたが、このコースではこれまでもサイドを引く走りをして走るので、いつも通りに走れたと思います。新鮮味があって良かったですね」と振り返った。
ブーンX4を駆った田川知明選手がN1クラス2位に入賞した。
N1クラス表彰の各選手。

 一方、SD1クラスは、2WD及び1,600cc以下の4WDのSA、SAX、SC、D車両を対象としたクラス。こちらもDC5インテグラを駆る谷正史選手が、2018年から王座を守っているが、2019年からダートトライアル競技に復活した萩原豪選手がめきめき力をつけており、谷選手の背後を脅かしている。車両も昨年までのEK9シビックからDC2インテグラにチェンジし、悲願のタイトルを狙うが、開幕戦は谷選手が萩原選手を1.6秒差で抑え込んで勝利を飾った。

 まずは今季初優勝を飾って勝ち星で五分に持ち込みたかった萩原選手だったが、何と第1ヒートはドライブシャフトのトラブルのため、リタイヤ。一方の谷選手はN1クラスの谷芳紀選手と同じ2分15秒台にタイムを入れてトップに立った。しかし第2ヒートでは、マシン修復が間に合った萩原選手が、約0.6秒、谷選手の暫定ベストを上回って逆転に成功。再逆転を期した谷選手だったが、「2本目に向けてセッティングを変えたのが裏目に出てしまった」と、タイムは2分17秒台に留まり、タイムダウン。萩原選手が逆転で今季初優勝を飾った。なおJMRC四国シリーズのG2クラスは、N1クラスの谷芳紀選手が、第1ヒートのタイムで萩原選手の優勝タイムを0.364秒凌いで優勝を飾っている。

SD1クラスでは、ヒート1は駆動系トラブルでタイムを残せなかった萩原豪選手が、逆転で優勝をさらった。
今季初優勝を飾った萩原選手は、「今日はもう本当にマシンを短時間で直してくれた藤井さんのおかげで勝てました」と、マシンのメンテナンスを担当しているフジイ自動車の藤井博樹氏に感謝した。「インテグラもようやくセッティングが見えてきました。2本目も、いくつか失敗はありましたが、何とか谷さんのタイムを上回って最低限のプレッシャーを与えられたことが、勝ちに繋がったと思います。広島のタカタで開催された新井敏弘選手のレッスンで色々なことを教えてもらい、自分のドライビングの方向性を見つけられたので、これからも結果を出していきたいですね」と今季初優勝に笑顔を見せた。
開幕2連勝を狙った谷正史選手だったが果たせず、2位にとどまった。
SD1クラス表彰の各選手。

 1,600ccを超える4WDのクラスは、N車両対象のN2クラスと、SA、SAX、SC、D車両を対象とするSD2クラスに分かれる。N2クラスでは、橋本充弘選手が、N1クラスの谷選手同様、連戦連勝の強さを見せてきたが、昨年の開幕戦で敗北を喫して連勝はストップ。しかし仕切り直し後は再び負けなしの戦いを続けている。

 その橋本選手は、今回はヒート1で、ヘアピンをオーバーランしかけるなどのミスを喫するものの、松原宏選手を0.4秒抑えて、辛うじて首位で折り返した。しかしヒート2では松原選手が1.5秒、自らのタイムを更新して暫定首位を奪取。対する橋本選手は、フルターンで大きくタイムロスをするが、後半区間で巻き返してゴール。再逆転に成功して開幕2連勝をさらった。

N2クラスは、このクラスの第一人者である橋本充弘選手が、2本ともベストを叩き出して優勝した。
「今日は慣熟走行があったおかげで、勝てました」と振り返った橋本選手。「路面がいつもと違う感触があったので、その後の決勝の2本で何とか走りを合わせなければ、と攻略法を考え直した結果、勝てた感じですね。ギリギリでしたけど(笑)。昨年負けて、“勝ち続けなければ”というプレッシャーから解放されたので、またチャレンジャーに戻って、走りたいと思います」。
橋本選手を脅かす走りを見せた松原宏選手だったが、2位に甘んじた。
N2クラス表彰の各選手。

 SD2クラスは、昨年、N2クラスの橋本選手と4WD総合ベストの座を争ったこのクラスの第一人者、梶田昌弘選手が開幕戦に続いて欠場。開幕戦のウィナーである石田隆三選手も不参加だったため、今季初優勝を狙うドライバー達によるバトルとなった。ヒート1は、ともに梶田選手のチームメイトである岩見文輝選手、上谷英男選手が1-2で終えたが、ヒート2でもそのオーダーは変わらず。4WD総合ベストのG1クラスの優勝は橋本選手に譲ったものの、今季初参戦となった岩見選手が、約4年ぶりとなる勝利をさらった。

SD2クラスでは、岩見文輝選手が2ヒートともベストを奪って快勝した。
「フルターンは1本目はダメでしたが、2本目はそこそこ回れました」という岩見選手。「走りも2本目の方が全体的にも良かったんですけど、思ったほどタイムアップできなかったですね。路面は、いつもよりきれいでしたけど、所々、今までにないようなギャップがあって難しかったです」と振り返った。
岩見選手のチームメイトである上谷英男選手が2位に入賞した。
SD2クラス表彰の各選手。
CLクラスは乾翔太選手が、ヒート1のミスコースを挽回して優勝を飾った。

フォト&レポート/JAFスポーツ編集部

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