エビス東コースを舞台に開催のサーキットトライアルは、天候に翻弄された一戦に!

レポート ジムカーナ

2021年8月10日

福島県のエビスサーキット東コースで開催されるエビスラップタイムアタックはシーズン2戦目が開催。不安定な天候の中、各選手、果敢なアタックに臨んだ。

2021年エビスラップタイムアタックⅡ
開催日: 2021年7月11日
開催場所: エビスサーキット東コース(福島県二本松市)
主催: (株)エビスサーキット

 今年の梅雨入りは九州地方では早かったのにもかかわらず、東北地方では例年より一週間ほど遅かった。全国的に梅雨入りしてからは、平日それほど雨が降らないのになぜか週末になると必ず雨が降り、モータースポーツに参加する全ての選手たちは天気に翻弄されることが多かったようだ。7月11日に行われた『エビスラップタイムアタック2』も、やはり雨に翻弄されることになった。

 はじめに、サーキットトライアルとはどんな競技なのか、説明しよう。レースと違ってバトルはなく、全員で2回、走行時間内でラップタイムを競ってサーキットを走り、その中のベストタイムを順位で決める競技だ。エビスラップタイムアタックは、エビスサーキットで10年以上続くサーキットアタック。使用するコースはエビス東コースで全長2061mあり、最大標高差が67mとアップダウンのある激しいコースだ。上りでタイムを狙うだけでなく、下りでタイムを縮めることも重要なため、必ずしもパワーのあるクルマが有利ではない。

 エビスラップタイムアタックは今年は全3戦が行われる予定で、今回はその2回目となる。今年から使用できるタイヤの銘柄が変更され、競技用やジムカーナ用などのタイヤは使用禁止となった。クラスはJAF公認のA部門とクローズドのC部門を合わせて8クラス。クラス分けは“A-1/C-1”が160cc以下の2輪駆動、“A-2/C-2”が1601~2000ccの2輪駆動、“A-3/C-3”が 2001cc以上の2輪駆動、“A-4/C-4”が4輪駆動の車両が対象だ。今回の参加台数は全部で13台で、A-2クラス3台、A-3クラス8台、A-4クラス2台と、全てJAF公認クラスでの参加となった。

 7月11日の天気予報は雨。参加選手はそれを予想して雨用のタイヤを用意して、足回りのセッティングも雨用に変更してきた。朝の20分間のフリー走行では予報通りの雨の中での走行となり、各選手は本番に向けて、エア圧や減衰などを調整をしながらの走行を繰り返した。

エビスラップタイムアタックの舞台となったのはエビスーサーキットの東コース。当日は天候に翻弄される一日となった。
全約2kmのコースは標高差も67mもあり、アップダウンの激しいコースを攻略するためのテクニックが必要とされる。

 そして迎えた1stトライ。直前に雨は止んだもの路面はウェット状態。選手はそれぞれの思惑の中もコースインしていく。残念ながらフリー走行では数周しか走ることができなかったA-4クラスの香内栄行選手は、車両トラブルにより僅か3周で出走を取りやめることとなった。同クラスは、高岩良行選手が1分12秒885で総合1位のタイムを出した。

 今回エントリー台数の一番多かったA-3クラスは 武田敦生選手が1分9秒433でクラス1位、総合でも2位のタイムを叩き出した。武田選手は昨年からこのエビスラップタイムアタックに挑戦を始めて、今回が3回目の参戦となる。「雨が止んだので、雨量が減ってタイヤのエア圧を気にしながら走ったのが良かったのかなと思います」(武田選手)。2位は神庭浩選手、3位はフリー走行ではクラス1位だった濱松哲央選手。A-2クラスは鴻巣和也選手が1位、佐久間智春選手が2位で折り返すこととなった。

 午後からは2ndトライが行われた。天気は昼を過ぎた頃から雨が止み、時には日差しが出るほど回復し、気温も上昇。路面状況は1stトライのウェット路面からドライ路面へと変わった。だが、スタート3分前から天気予報通りに雨が降り始める。そして雨は小雨でなく徐々に強くなる一方となった。各選手はそのままドライのセッティングで行くか、雨のセッティングに戻すかの選択が難しい状況となった。

 A-3クラスの1stトライで1位だった武田選手は、そのまま雨のセッティングで出ていく。一方、1stトライで4位と出遅れた小林和夫選手は、ドライのセッティングで出ていく。インラップから初めの数周までは、ドライセッティングの方が若干有利に見えたが、徐々に雨足が強くなる中、小林選手は1コーナーやヘアピンなどでカウンターを当てながら懸命に走る。しかし、自身が目標としていた1分6秒台に入らなかったため、優勝を逃したと思い、ピットに戻ってきた。

 一方、フリー走行で一番時計を出した濱松選手は、ドライ路面が残っている内にと果敢に攻めるも、小林選手に届かず2位。ウェットセッティングで行った武田選手は、徐々に雨足が強くなる中でドライで行った選手のタイムに届くことができずに、3番手タイムに沈む。その結果、小林選手が1分7秒161で優勝した。

 小林選手は「走行前はドライになったので、6秒台を出せれば優勝できるかなと思いましたが、雨が降ってきたので、悩んだ末、ドライのセッティングで行きました。何とか、優勝できて良かったです」。逆転を許して3位と順位を落としてしまった武田選手は、「雨が降るのが10分くらい遅かったですね。他の上位入賞の選手たちがドライのセットだったので……。次回は金色のメダルが欲しいです」と、悔しがっていた。

A-3クラスは1stヒートは4位だった小林和夫選手が逆転で優勝を飾った。
ライバルの追撃を退けて開幕2連勝達成の小林選手。
A-3クラスの2位には濱松哲央選手が入賞した。
武田敦生選手がA-3クラス3位に入った。
A-3クラス表彰の各選手。

 A-2クラスの1stヒートの1位をさらったのは、今年から本格的に自動車競技を始めた鴻巣選手。始める競技として選んだのは友人が参戦していたこともあり、エビスラップタイムアタックだった。そして前回、初参戦で初優勝と、いきなりの速さを見せた。その鴻巣選手は2ndトライではドライのセッティングでスタート。早めにタイムを出すべく、インラップから攻めていったが、結果、1分11秒193とベストを更新して、ライバルを抑えて優勝し、2連勝を飾った。2位の佐久間選手は「今年からFFからMRのエリーゼに乗り換えたばかり。まだクルマに慣れてないので、雨になったことが練習になったと思えば、結果的に良かったです」と振り返っていた。

A-2クラスは2ndヒートの最初の数ラップに賭けた鴻巣和也選手が優勝した。
「正直2~3周しかドライで走れないと思っていたのですが、意外とドライのままで走れたので何とかタイムを出すことができました」。開幕2連勝達成の鴻巣選手。
佐久間智春選手はA-2クラス2位に入賞。
A-2クラス表彰の各選手。

 A-4クラスは高岩良行選手が優勝。今回で使い切りのタイヤで勝負したため、雨が降り始めたばかりのドライ路面のうちにタイムを出すことに集中し、3周目に自身の1stトライのタイムを1秒以上縮めて1分6秒045を出した。結局、このタイムが今回のオーバーオールのタイムとなった。次回は9月5日に同じく東コースで行われる予定。またまだ暑い日差しの中での戦いとなりそうだが、どんなバトルが展開されるのか、楽しみだ。

A-4クラスは唯一、1分6秒台にタイムを乗せた高岩良行選手がオーバーオールウィンも達成した。
「3周目以降は路面が濡れてタイムが出ない状況になっていましたね」と振り返った高岩選手。今季初参戦となった一戦を制した。
A-4クラス2位には前回優勝の香内栄行選手が1stヒートのタイムで入賞した。
A-4クラス表彰の各選手。

レポート&フォト/小竹充

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