新たな予選フォーマットが試されたイギリスGPで角田裕毅選手が4度目の入賞!優勝争いは1周目に波乱が起こる

レポート レース

2021年8月6日

F1史上初めて“予選レース”という形で、決勝のスターティンググリッドを決めるためのスプリントレースが土曜日に行われた第10戦イギリスGP。角田裕毅選手(アルファタウリ・ホンダ)は安定した走りを見せて、今シーズン4度目となるポイント獲得を果たした。

2021年FIAフォーミュラ1世界選手権 第10戦イギリスグランプリ
開催日:2021年7月16~18日
開催地:シルバーストーン・サーキット

 注目の予選レースのスターティンググリッドは初日の午後、2回目のフリー走行に代わって組み込まれたノックアウト方式の予選で決めた。角田選手はF1屈指の高速サーキットを果敢に攻めていったが、惜しくもQ2進出ならず16番グリッドからのスタートとなった。

 決勝レース周回数の約3分の1である、17周の短期決戦で争われた予選レース。この周回数であれば途中のピットストップもなく、まさにガチンコ勝負である。翌日の決勝レースに向けて少しでも前の順位を勝ち取りたかった角田選手だったが、なかなか前の車両を攻略できず。結局、金曜日と同じ16番グリッドからのスタートとなった。

「満足いくポジションでフィニッシュできず、翌日も同じグリッドからスタートすることになりました。予選前のフリー走行が1回という今週末のフォーマットは、ルーキーにとって非常に厳しいのですが、ファンの皆さんが楽しんでくれていればと思います」(予選レース後の角田選手のコメント)

 迎えた日曜日の決勝レース。ここまでは走り込み不足がどうしても出てしまっている部分があった角田選手だったが、いざ本番になるとしっかりと合わせ込んできた。

 ミディアムタイヤでスタートし、序盤は様子を伺いつつのレースとなったが、他車よりもピットストップを遅らせる作戦を採り、角田選手は30周目にピットイン。レース後半で徐々に順位を上げていき、残り4周のところで10番手に浮上。そのままチェッカーを受け、今季4度目となる入賞を飾った。

 一方、チームメイトのピエール・ガスリー選手は、終始苦戦を強いられるレースとなり、11位でフィニッシュ。2台が完走したレースとしては初めて、角田選手がガスリー選手よりも前でチェッカーを受けた。

「ポイント獲得を果たせてとてもうれしいです。プランに忠実にレースを進めようと、タイヤマネージメントに集中しましたが、うまくやれたと思います。レースウイークを通じて苦戦していましたし、新フォーマットによって僕のようなルーキーには厳しさが増したと思います。そうした中でもチームにとって重要なポイントを持ち帰ることができて、満足しています」(決勝レース終了後の角田選手のコメント)

予選レースでは後方に沈んでしまった角田裕毅選手だったが、決勝レースではピットとのチームワークも冴えて順位を上げていき、10位入賞を果たした。
このレースウィークは調子が上がらなかったピエール・ガスリー選手は予選レースで手にしたグリッドと同じ、11位フィニッシュで入賞はならず。

 そして優勝争いでは、チャンピオンを賭けた一進一退の攻防が展開された。予選レースではポイントランキング首位のマックス・フェルスタッペン選手(レッドブル・ホンダ)が安定した速さをみせ、トップでフィニッシュ。見事、新予選フォーマットで初のポールポジション(PP)ドライバーとなった。

 しかし、決勝レースでは地元グランプリで一矢報いたいフロントロー発進のルイス・ハミルトン選手(メルセデス)と、1周目から抜きつ抜かれつの激しいバトルを展開。そんな中、コプスコーナーで2台が接触し、フェルスタッペン選手のマシンはコントロールを失い、バリアに激突してしまった。

 激突した瞬間の衝撃は51Gと非常に大きなものだったが、彼はコースマーシャルの手を借りて車両から降りることができた。その後、検査のために病院に向かったが、怪我などは確認されなかったのは幸いだった。

 ホンダのパワーユニット搭載車両を駆るドライバーたちを牽引するエースが早々にリタイアしたこともあって、ホンダ勢にとってイギリスGPは苦しいレースとなってしまった。結局入賞できたのは角田選手の10位のみ、レッドブル・ホンダの連勝も途絶えてしまった。

F1史上初開催となった予選レースのトップに立ち、PPを獲得したマックス・フェルスタッペン選手にはトロフィーの代わりにリースが贈られた。4連勝が期待された決勝レースは、リタイヤとなってしまった。

フォト/本田技研工業、Red Bull Content Pool レポート/吉田知弘、JAFスポーツ編集部

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