北の大地で約3カ月ぶりにシリーズが再開。各クラスでシリーズチャンピオン争いがさらに激化!

レポート ダートトライアル

2021年8月12日

全日本ダートトライアル選手権第4戦「北海道ダートスペシャルinスナガワ」が、7月31日~8月1日に北海道砂川市のオートスポーツランドスナガワ ダートトライアルコースで開催された。

2021年JAF全日本ダートトライアル選手権第4戦「北海道ダートスペシャルinスナガワ」
開催日:2021年7月31日~8月1日
開催地:オートスポーツランドスナガワ ダートトライアルコース(北海道砂川市)
主催:AG.MSC北海道

 当初は5月29~30日にカレンダーが組み込まれていた全日本ダートトライアル選手権第4戦だが、新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、北海道で緊急事態宣言が発令されたことを受け、開催日程を6月19~20日に延期。ところが、この日程も緊急事態宣言が延長されていたため、開催日程を7月31日~8月1日に再延期しての開催となった。

 またこの間、第5戦切谷内ラウンドが中止、第6戦野沢ラウンドが延期となったため、4月24~25日に開催された第3戦丸和ラウンド以来、実に約3か月ぶりのシリーズ再開となった。

 真夏の北海道で開催された第4戦は、公開練習が行われた土曜日の最高気温が砂川市で35度を超す猛暑日となり、決勝が行われた日曜日も最高気温が30度を超える過酷なコンディションの中で行われた。

 コースレイアウトは、国内屈指のハイスピードコースであるオートスポーツランドスナガワ ダートトライアルコースの特徴を活かしたハイスピード設定。第1ヒート中盤から一部の路面が掘れ始まると、コース上に選手たちが「穴」と呼ぶ大きなギャップができ、第2ヒートはハイスピードレイアウトの中、スタートからゴールまでできた合計7か所のギャップをどうこなすかが、勝敗の大きな鍵を握った。

上段ストレートをハイスピードで一気に駆け抜けて、下段から上段にかけて高速S字や複数の中高速のコーナーを経てフィニッシュするコースレイアウト。
自然環境に配慮すべく、北海道ダートスペシャルinスナガワ事務局は、選手や関係者にカーボンオフセット運動への参加を呼び掛けた。

 シリーズランキングトップの太田智喜選手が欠場したJD9クラスは、太田選手と同点の工藤清美選手や、3点差で太田選手を追う濱口雅昭選手にとって、シリーズを挽回する大きなチャンスだ。その第1ヒートは、開幕戦優勝の上野倫広選手がベストタイム。第2ヒートに入ると、新型ヤリスの川島秀樹選手が上野選手の第1ヒートのタイムを約0.03秒更新。さらに第1ヒート2番手の工藤選手が川島選手のタイムを約0.9秒更新してくる。

 その中、「第1ヒートは穴で抑えすぎてしまったので、第2ヒートはラインを考えながら車速を維持できるように攻めました。かなり攻めましたよ!」と言う第1ヒート5番手の濱口選手が、工藤選手のタイムを約1.8秒更新。

 第1ヒートトップの上野選手は、「最後の穴に真っ正面から入ってしまって……」と、スローダウンしながらゴールを果たすものの、駆動系やタイヤ&ホイールにダメージを受け、その後は自走不能の状態に。濱口選手が今季2勝目を挙げ、シリーズポイントでも2番手の工藤選手に2点差をつけてトップに躍り出た。

JD9クラスの表彰式。左から2位の工藤清美選手、1位の濱口雅昭選手、3位の川島秀樹選手、4位の上野倫広選手。

 小関高幸選手と寺田伸選手が同点でシリーズトップに立つJD11クラス。今回は寺田選手が欠場のため、小関選手としてはここで大きく引き離しておきたいところだ。第1ヒートは、その小関選手がベストタイムをマーク。このタイムは第2ヒートに入っても誰にも破られることはなく、第1ヒートのタイムで逃げ切った小関選手が今季2勝目を飾り、シリーズでも単独トップに躍り出た。2位は福西貴志選手で、第2戦恋の浦ラウンド以来となる表彰台を獲得、3位には地元の左近弘道選手が入賞した。

JD11クラス優勝は小関高幸選手(DL・KIT・BRZ-AT)。
JD11クラスの表彰式。左から2位の福西貴志選手、1位の小関選手、3位の左近弘道選手。

 今シーズンは谷尚樹選手が3連勝を挙げているJG8クラスは、ベテラン勢が活躍を見せた。第1ヒートで鳥居晴彦選手がベストタイムをマークすると、第2ヒートはこのラウンドからクラスと参戦車両を変更してきた中島孝恭選手がベストタイムを更新。第1ヒートトップの鳥居選手もタイムアップを果たすものの「穴に慎重になりすぎてしまった」と中島選手に約0.6秒及ばず。シリーズランキングトップの谷選手はマシントラブルでフィニッシュできなかった。中島選手が、SA1クラスのタイトルを獲得した2016年以来となる全日本優勝を獲得した。2位に鳥居選手、3位には第2ヒートで約5.5秒タイムを縮めてきた九州のベテラン・永田誠選手がそれぞれ入賞した。

JD8クラス優勝は中島孝恭選手(TEINルブロスYHスイフト栗)。
JD8クラスの表彰式。左から2位の鳥居晴彦選手、1位の中島選手、3位の永田誠選手。

 JD7クラスは、北海道出身の和泉泰至選手が第1ヒートのトップタイムを奪うが、第2ヒートは「ギャップに心が折れてしまって……」と、タイムアップは果たすもののクラス5位に転落。優勝は「第2ヒートはスタート後に大きくミスをしてしまったんですけど、そこからいかにクルマが縦方向に進み、長くアクセルを開けられるかということを考え、とにかく踏み続けました」という山崎利博選手が、リアバンパーが外れそうになるほどの激走を見せ、逆転優勝を飾った。2位には崎山晶選手が入賞し、今シーズンJD7クラスに移籍後初となる表彰台を獲得。3位は「ギャップを丁寧に攻めすぎ、タイムを伸ばせなかった」と悔やむ坂井義浩選手が入賞した。

JD7クラス優勝は山崎利博選手(itzz☆DL☆鳥居ATS86)。
JD7クラスの表彰式。左から4位の佐藤秀昭選手、2位の崎山晶選手、1位の山崎選手、3位の坂井義浩選手、5位の和泉泰至選手。

 JD6クラスは、地元開催を迎えたシリーズランキングトップの北條倫史選手が公開練習の第1ヒートから決勝第2ヒートまで一度もトップを譲らない走りで圧勝。今季2勝目を挙げ、このラウンドを4位で終えたシリーズランキング2番手の岸山信之選手とのポイントを35点差に広げた。西田裕一選手が2位に入り開幕戦以来となる表彰台を獲得。3位には、九州の馬場一裕選手が、第2戦恋の浦ラウンド以来となる表彰台を獲得している。

JD6クラス優勝は北條倫史選手(DL☆MJT☆NTランサー)。
JD6クラスの表彰式。左から4位の岸山信之選手、2位の西田裕一選手、1位の北條選手、3位の馬場一裕選手、5位の宝田ケンシロー選手、6位の伊藤益弘選手。

 細木智矢選手が2勝を挙げているJD5クラスは、その細木選手が「このコース特有の穴にはまらず、できればボトムスピードを落とさないように走ることができるラインを意識して、気持ちが切れないように走っています」と、両ヒートを制して今季3勝目を獲得。2位には「地元開催なので優勝を狙っていたけど、一番最後の穴に落ちてしまいました。残念です」と悔しがる内藤修一選手が入賞。3位には、内藤選手と同じく「地元開催なので、なんとか勝ちたかった」という川口昭一選手がそれぞれ入賞した。

JD5クラス優勝は細木智矢選手(MJTDLSWKWMスイフト)。
JD5クラスの表彰式。左から4位の井之上優選手、2位の内藤修一選手、1位の細木選手、3位の川口昭一選手、5位の葛西キャサリン伸彦選手、6位の外山嘉賢選手。

 北村和浩選手が3連勝を飾っているJD4クラスは、昨年のシリーズチャンピオン・荒井信介選手が第1ヒートでマークしたタイムを第2ヒートに入っても誰も更新することができず、今季初優勝を獲得。荒井選手は第2ヒートでもベストタイムを塗り替え、2位を約1.7秒近く引き離す圧倒的速さを見せた。その2位には「第2ヒートは北村選手にコース上の穴のレクチャーをしっかり受け、『外、またぐ、行って行ってまたいで行って、またぐ』という言葉どおりに攻めました(笑)」という鈴木信地郎選手が入賞。そのコース攻略を伝授した北村選手は3位となったが、「シリーズポイントを考えると、今回は3位でも十分」と、チャンピオン奪還に向け着実に駒を進めた。

JD4クラス優勝は荒井信介選手(クスコADVANitzzランサー)。
JD4クラスの表彰式。左から4位のマイケルティー選手、2位の鈴木信地郎選手、1位の荒井選手、3位の北村和浩選手、5位の三浦昴選手。

 JD3クラスは、2017年から2019年にかけて3連勝を飾っている坂田一也選手が速さを見せた。第1ヒートでトップに立った坂田選手は、第2ヒートで奥村直樹選手にベストタイムを約2.3秒更新されるが、すぐさま坂田選手が約0.6秒更新。第3戦に続き、今季2勝目を獲得した。2位に奥村選手、3位に則信重雄選手が入賞し、シリーズランキングは今回5位に入賞した佐藤史彦選手が死守しているものの、3点差で坂田選手、山崎迅人選手、奥村選手が並ぶという混戦模様となってきた。

JD3クラス優勝は坂田一也選手(itzzDLグローバルアクセラ)。
JD3クラスの表彰式。左から2位の奥村直樹選手、1位の坂田選手、3位の則信重雄選手。

 JD2クラスは、第1ヒートで亀田幸弘選手がトップタイムを奪うものの、第2ヒートはギャップに落ちた衝撃でドライブシャフトを破損し、第1ヒートのタイムで3位という結果に。優勝は「予想外の場所にギャップがあって戸惑った部分はあったけど、それ以外は理想どおりに走れたと思います」という上村智也選手が今季2勝目を獲得。「今回は公開練習からあまり調子が良くなかった」という目黒亮選手が2位に入賞し、シリーズランキングトップの目黒選手と同2番手の上村選手とのポイントは10点差に縮む結果となった。

JD2クラス優勝は上村智也選手(ナナハitzzYHランサー)。
JD2クラスの表彰式。左から4位のアキマただゆき選手、2位の目黒亮選手、1位の上村選手、3位の亀田幸弘選手、5位の岩下幸広選手。

 昨年のチャンピオン・炭山裕矢選手が公開練習中にエンジントラブルに見舞われ、決勝ヒートはリタイアという波乱が起きたJD1クラスは、「ギャップのいなし方や荒れた道は、やっぱりラリードライバーの方が強いので、チャンスだと思い全開で行きました」という鎌田卓麻選手が優勝。シリーズランキングトップの谷田川敏幸選手が0.02秒差の2位に入賞し、トップの座を死守。3位には、第2ヒートでドライブシャフトを破損した田口勝彦選手が入賞した。これでJD1クラスは4戦を終えて谷田川選手、田口選手、炭山選手、鎌田選手の4名が優勝を獲得。今シーズンの残りのラウンドも、最終戦まで激しい優勝争いが展開されることが予想される。

JD1クラス優勝は鎌田卓麻選手(itzzオクヤマDL栗原BRZ)。
JD1クラスの表彰式。左から4位の田辺剛選手、2位の谷田川敏幸選手、1位の鎌田選手、3位の田口勝彦選手、5位の亀山晃選手、6位の須藤正人選手。

フォト/加藤和由、CINQ レポート/CINQ、JAFスポーツ編集部

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