高速設定の大日スポーツランドで、北陸シリーズ第4戦が開催!

レポート ジムカーナ

2021年8月13日

JMRC中部のミドルシリーズとして知られる北陸ジムカーナシリーズが、石川県の大日スポーツランドで開催された。

2021年JMRC中部ジムカーナ北陸シリーズ第4戦
IRCスラロームカップ

開催日: 2021年7月18日
開催場所: 大日スポーツランド(石川県白山市)
主催: IRC

 今年は全5戦が組まれているJMRC中部ジムカーナ北陸シリーズは、富山のイオックスアローザで3戦、石川の大日スポーツランドで2戦の開催が予定されている。しかしイオックスでの4月の開幕戦は無事、開催されたものの、5月大日、6月イオックスで開催予定だった競技会は、コロナ禍を受けて、中止及び延期を余儀なくされた。

 今回行われた大日スポーツランドの一戦は、本来はシリーズ第4戦として位置付けられていたが、実質的にはシリーズ2戦目としての開催。大日での開催は今年初となった。その大日スポーツランドは、石川県白山市の山間部にある競技コース。数年前まではスキー場として営業されていた施設の広大な駐車場を使用するフルパイロンジムカーナコースとして、中部のスラローマー達に親しまれてきた。。

 パドックは元スキー場のクラブハウスの前に置かれ、参加者は、そこから下った縦長の駐車場でトライを行う。コースは縦に広いため、スタート位置からコースの最奥部を見ると、時に陽炎が立つほどに遠く見える。それだけのスケールを持った広大なコースだ。設定によっては、この最奥部のスペースに3速からフルブレーキングで飛び込むという豪快な走りを味わえるのが、大日のセールスポイントだ。

 今回の大会には32名のドライバーが参加したが、目立ったのは東海地区からの遠征ドライバー達。JMRC中部では、この北陸シリーズと同様の初中級者を対象としたミドルシリーズを、東海地区にも設定している。このふたつのシリーズはパワーポイントという制度があり、メインで参加しているシリーズの間にもう一方のシリーズに参加してポイントが獲得できた場合、そのポイントをメインのシリーズのポイントに振り替えることができる仕組みになっている。普段は走れないコースを走れて、しかもポイントも獲れるという一石二鳥のこの制度は人気を博しており、今回は東海シリーズを戦うドライバー達がポイントの“補填”を狙って参戦したというわけだ。

大日スポーツランドは縦長のコース。スタート地点からコースを見る。
スタートから反対側のコース最奥部からコースを見る。
パドックはコース最上部の元スキー場の施設前の広場に置かれる。
今回のコース図。スタート直後の高速スラロームがまず最初の勝負所となるが、ゴール手前の3本パイロンを旋回するセクションも、グリップが微妙に異なるため、攻略に手を焼く選手が多かった。

 RPN1クラスは第1ヒート、地元北陸の清水雅人選手が1分21秒924の暫定ベストを奪うが、三重から参戦の水越康支選手が0.23秒差の2位につける。第2ヒートで、タイムアップを狙った清水選手だったが、痛恨のミスコース。対する水越選手は「ターンは1本目、全部失敗したんですが、2本目は何とか回れました」という走りで、自らのタイムを1秒近くも縮めるタイムをマーク。逆転優勝をさらった。

 参加7台と、今回最大の激戦区となった続くRPN3クラスは、第1ヒート、トップの川田優選手に葛城吉和選手が続き、北陸勢が1-2を固めて折り返す。第2ヒートでは、第1ヒートで好タイムをマークしながらパイロンタッチに沈んだ久保敦嗣選手が、1分21秒台に入れて川田選手の暫定ベストを更新。しかし続く川田選手は20秒台にタイムを入れて、すかさず首位を奪回する。一方、葛城選手は痛恨のパイロンタッチでタイムアップはならず。川田選手が開幕戦に続く勝利で地元の牙城を守った。

RPN1クラスは水越康支選手が開幕戦に続いて優勝を果たした。
RPN1クラス優勝の水越選手。「大日は4回目ですが、初めて勝てました。北陸シリーズは土曜も走れるので地元の人達との差も埋められます。また勝ちたいですね(笑)」。
RPN3クラスは川田優選手が頭ひとつ抜きん出たタイムで優勝し、開幕2連勝を達成。
RPN3クラス優勝の川田選手。「1本目は最初のスラロームの1本目を突っ込みすぎて、その後、アクセルを踏めなかったので、2本目はその1本目をしっかり回れたのが、その後の走りに繋がったと思います」。
RPN3優勝の川田選手と2位の久保敦嗣選手。

 続くRA1クラスは、1分19秒台に3選手がひしめく接戦となったが、大日が今回、初走行だったという静岡の牧田祐輔選手が、第1ヒートの2位から逆転で優勝をさらった。牧田選手は富士チャンピオンレースに参戦するレーシングドライバーだが、昨年からジムカーナも始めた。「フルパイロンコースは初めてだったので、パイロンの入り方が分からず、今日は慣熟で3周しました(笑)。でも全般に速度が乗るレイアウトだったので、自分にもクルマ(ZC33Sスイフト)にも合ったコースだったと思います」と振り返った。またRA2000クラスでは、牧田選手のチームメイトである松山充利選手のロードスターが、2位に1秒の大差をつけて優勝を飾った。

RA1クラスは静岡から遠征の牧田祐輔選手が大日デビューウィンを見せた。
RA1クラス優勝の牧田選手。「ターンも気持ちよく走れました。最後の3本パイロンも、“決まった!”と自分の中では叫んでましたね(笑)」。
RA2000クラスは、第1ヒート、断トツのベストタイムを叩き出しながらパイロンタッチに沈んだ松山充利選手が、2本目にきっちりタイムを残して逆転優勝。
RA2000クラス優勝の松山選手。「車速が乗るフルパイロンコースは、ここしかないですよね。30年前に初めて走った時から、楽しいコースという印象を持ってましたが、何年振りかで走った今日も、ドキドキハラハラの走りが味わえて、只々、楽しい一日でした」と振り返った。

 6台が参加したRA2クラスは、RWD車が対象のクラス。S2000が3台、MR2が2台そしてRX-7が1台という顔触れとなった。近畿からは岩崎玲生選手、また地元中部の大須賀義外選手といった全日本経験者も参戦するなど、レベルの高い戦いとなったが、そんな中、第1ヒートでベストタイムをさらったのは岐阜から遠征の村上晋二郎選手だった。

 村上選手は第2ヒートもただ一人、1分18秒台にタイムを叩き込んでライバルを寄せ付けず、快勝した。 「北陸シリーズ初優勝です!10年越しでようやく勝てました」と表彰式では喜びを爆発させた村上選手だが、実は10月から海外赴任が決定しており、今回の一戦が、とりあえずは今季の国内ラストランとなる予定。メモリアルな一戦での勝利に、最後は感慨深げな表情を浮かべていた。

RA2クラスは村上晋二郎選手が2本ともベストの走りで快勝。
RA2クラス優勝の村上選手。「1本目に、1カ所ミスした所を修正できた分、2本目はタイムアップできたと思います。全体的にテクニカルで、どこも気が抜けない設定でしたが、ダイナミックな走りができる、むちゃくちゃ面白いコースでした」。
RA2優勝の村上選手と2位の中田博信選手。

 アベレージスピードの高い設定とあって、オーバーオールウィンを巡る戦いは、やはりパワーで勝る2リッター4WDターボが集うRA3クラスで展開された。第1ヒートは地元の福島正人選手がベストを奪うが、第2ヒートでは、八重梅崇選手が1分18秒246をマークして逆転優勝をさらった。大日は2度目の走行となった八重梅選手はパワーポイント狙いで東海地区から参戦。「2本目は細かい所でミスはありましたが、何とか勝てました。2本目は後半のセクションの2速で回る所をなるべく失速させないように、ラインやクルマの向きの変え方を、考えた通りに走れたのが良かったと思います」と総合ベストの走りを振り返っていた。

RA3クラスは八重梅崇選手が優勝。オーバーオールウィンもさらった。
RA3クラス優勝の八重梅選手。「ここは傾斜が複雑に入っているので、パイロンに寄せるのが場所によって難しい。2本目も離れてしまった所があったので、次に走る時はもう少しアジャストしたいですね」と大日のコース攻略の難しさを語ってくれた。
ATクラスは東海地区から遠征の妖怪J清本選手が優勝を飾った。
SA1クラスではEG6シビックを駆った児島祐子選手が優勝を飾った。
CLクラスでは千葉豪和選手のデミオが第1ヒートのタイムで逃げ切った。
フォト&レポート/JAFスポーツ編集部
ページ
トップへ