F1ハンガリーGP、角田裕毅選手が大波乱の中、自己最高の6位!FIA-F3で武者修行中の岩佐歩夢選手が初優勝と日本人が大活躍!!
2021年8月13日

2021年のF1に参戦中の角田裕毅選手(アルファタウリ・ホンダ)。シーズン序盤は、うまく歯車が噛み合わないレースが続いていたが、中盤戦に入り安定してポイントを獲得し始めた。今回の第11戦ハンガリーGPでは、自己最高となる6位フィニッシュを果たした。
2021年FIAフォーミュラ1世界選手権 第11戦ハンガリーグランプリ
開催日:2021年7月30~8月1日
開催地:ハンガロリンク
前回のイギリスGPで、F1では4度目の入賞を飾った角田選手。前半戦最後となるハンガリーGPでも勢いに乗りたいところだったが、金曜日の走り出しからリズムをつかめず、公式予選でも16番手とQ1敗退。角田選手もフラストレーションを溜め始めていた。
「今週末はずっとマシンバランスに苦しんでいて、難しい状況です。FP3では走行時間を最大限確保して昨日失った時間を挽回しようとしました。予選には自信を持って臨みましたし、グリップは少し不足していると感じたものの、ラップ自体は悪くなかったと思います。過去にも走行経験がある好きなサーキットなので、そこでもっと上位からスタートできないことはフラストレーションが溜まります 」(予選後の角田選手のコメント)
迎えた8月初日の決勝は一転してウエットコンディションとなり、今シーズン一番と言えるほどの大波乱の展開となった。
スタート直後に前方で多重クラッシュが発生し、マックス・フェルスタッペン選手(レッドブル・ホンダ)をはじめ、多数のマシンがダメージを受けた。そのうちの一台、セルジオ・ペレス選手(レッドブル・ホンダ)はリタイアを余儀なくされた。
事態収束のためレースは中断されたのだが、再開された頃には雨も上がり、路面はドライコンディションになり始めていた。再スタートではポールポジションのルイス・ハミルトン選手(メルセデス)を除く全車がピットインしスリックタイヤに交換。激動の展開となった。
角田選手は、この展開に乗じて16番手から一気に5番手にポジションアップ。その後もポイント圏内でレースを進めていった。
22周目に再びピットストップを行い、最終的に後方からの追い上げに屈してしまったものの、予選までの悪い流れを取り戻す走りを見せて7番手でフィニッシュした。レース後に2番手でチェッカーを受けたセバスチャン・ベッテル選手(アストンマーティン)の失格裁定があり、角田選手は自己ベスト順位となる6位を繰り上げで手にした。
「1周目を終えて5番手にポジションを上げられたことには満足しています。今週末はずっとマシンに苦しんでいましたが、レースでのペースは問題なく、チームに貴重なポイントを持ち帰ることができました。僕にとっては、レースが始まるまではとても厳しい週末だったので、サマーブレイクでリセットするとともに、スパに向けて何が必要か確認していきます。後半戦では、安定してポイント獲得を果たしていければと思います」(決勝後の角田選手のコメント)
苦しい状況からでも、着実にポイントを持ち帰るようになってきた角田選手。8月下旬から始まる後半戦で、さらなる飛躍が見られそうだ。



SRS-Fの秘蔵っ子、岩佐歩夢選手がFIA-F3初優勝でついに覚醒か!?
ハンガリーGPのサポートレースとして行われたFIA-F3の第4戦。そのレース1で、ハイテックから参戦している岩佐歩夢選手が、待望の初勝利を飾った。
岩佐選手は2019年に鈴鹿サーキットレーシングスクールでスカラシップを獲得し、翌年からヨーロッパに拠点を移してレース活動を開始。フランスF4でチャンピオンを獲得し、今年はFIA-F3参戦のチャンスをつかんだ。SRS-Fの佐藤琢磨校長もイチ押しということで、将来F1へのステップアップも大きく期待されているドライバーだ。
FIA-F3にステップアップして以降は、なかなか好結果を残すことができていなかった岩佐選手だが、ハンガロリンクで見事な活躍を見せた。
予選では10番手に終わったが、レース1は上位12台がリバースグリッドとなるため、3番手からスタート。直後の1コーナーでは激しい2番手争いを繰り広げたが、ここでトップを奪うことはできなかった。その後は3番手をキープしていた岩佐選手だったが、8周目にトップを走っていたジョニー・エドガー選手(カーリン)がトラブルでスローダウンし、そのままリタイアとなった。
これでロレンツォ・コロンボ選手(カンポス)との一騎打ちとなったが、なかなか突破口を見いだすことができなかった。そんな中で迎えたレース後半、コース脇でストップした車両が発生してセーフティカーが導入。19周目に入るところでレースが再開。しかし、コロンボ選手がセーフティカーとの間隔を大きく開けていたことが審議対象になっていた。
結局トップ争いは最後までこう着状態が続き、コロンボ選手がトップでチェッカーを受けたのだが、彼に対して5秒加算のペナルティが言い渡され、岩佐選手が繰り上がりで同シリーズ初優勝を飾った。
「レース1での優勝はとてもうれしく、今後につながる結果だと思います。ただ、実際には周りに比べてペースが足りなくて、マシンバランスがあまりよくなかったので、追い抜きが難しいコースに助けられた面もあると思っています。マシンのバランスがよくないので、その分タイヤへの負荷も大きくなってしまい、終盤はタイヤが厳しい状態でした」(決勝後の岩佐選手のコメント)
初優勝に喜びつつも、自身の課題と向き合ってさらなる高みを目指そうとしていた岩佐選手。今後さらなる活躍に期待したい。


フォト/本田技研工業、Red Bull Content Pool レポート/吉田知弘、JAFスポーツ編集部