関東チャンピオンシリーズは早くも天王山。徳富太一インテグラがチャンプ獲得!

レポート ダートトライアル

2021年8月23日

7月25日、JMRC関東チャンピオンシリーズ第6戦が、群馬県の宝台樹スキー場駐車場で開催された。

2021JMRC関東チャンピオンシリーズ第6戦
2021JMRC埼群ジムカーナシリーズ第5戦
ネッツトヨタ群馬ジースパイスチャレンジ

開催日:2021年7月25日
開催場所:宝台樹スキー場駐車場(群馬県みなかみ町)
主催:G’SPiCE/THE・MC

 連日30℃を超える真夏日が続いている関東地方。会場となった宝台樹スキー場の駐車場は標高約1,000mの山あいに位置するため、平野部ほどの気温にはならないものの、朝から強い日差しが照りつける状況下での競技となり、熱対策も勝負の分かれ目となる。また、突然降り出すゲリラ豪雨も懸念される一日となった。ただしシリーズの方は、全7戦で行われる中での6戦目ということで、シリーズも佳境に入っており、各クラスのチャンピオン争いにも注目だ。

 コースは中低速を中心としたテクニカルな設定。スタート、ゴール地点からコース奥にかけて登り傾斜となっており、特にターンやブレーキング時には、傾斜分を考慮しないと、立ち上がりで大きなタイムロスとなってしまう。そして、いかに外周区間でスピードを乗せることができるかが、攻略ポイントとなったようだ。

ドライ路面で始まった今回の宝台樹ラウンドだが、第2ヒート途中からゲリラ豪雨が襲来し、勝負の行方に大きな影響を与えた。
今回のコース図。スタート直後とゴール直前にタイトなパイロンセクションが設定された。

 ロードスターが主力車種の中で、ノートニスモで孤軍奮闘している田尾光規選手がポイントリーダーのPN1クラス。しかし、今回優勝すればシリーズチャンピオンを決める事ができるのは、10ポイント差で2番手につけるロードスターの舟橋悟選手だ。最終戦までチャンピオン争いを持ち越したい田尾選手との攻防戦が注目された。

 その第1ヒート、トップタイムをマークしたのは舟橋選手。2位以下では最終戦への望みを繋げない田尾選手は3秒遅れの3番手と厳しい状況だ。そして第2ヒート、前走の舟橋選手は僅かにタイムダウン。このチャンスを活かしたかった田尾選手だが、やはり3秒の壁は厚かったか、中間では自己タイムを上回るものの、舟橋選手からは1.7秒遅れ、さらにパイロンタッチも喫してしまい、逆転ならず、舟橋選手が逃げ切った。

PN1クラスは舟橋悟選手が優勝でシリーズチャンピオンも決めた。「今回からダンパーを変えたのですが、久しぶりに『攻め』の走りができました。第2ヒートは少しタイムダウンしたのですが、路面温度を考えると、第1ヒートとほぼ同じタイムで走れたのは、全体的に悪くなかったと思います」。
PN1クラス優勝の舟橋選手。

 今季3勝を上げている藤田幸児選手が、シリーズチャンピオンに王手をかけているPN3クラス。現時点で20ポイント以上リードしている藤田選手は、今回4位以上でチャンピオンが確定する。上位陣が1分22秒台の争いとなった第1ヒート。トップで折り返したのは、今季はまだ勝ち星がない神宮司和孝選手だった。2番手には関東地区戦を主戦場とする松川文昭選手、そして3番手に藤田選手が続く。

 そして第2ヒート、神宮司選手は1分21秒台に突入するが、パイロンペナルティで第1ヒートのタイムで後続待ちとなる。神宮司選手がトップを保持したまま競技はラスト3台のトライに。ここで松川選手がベストタイムを更新し、トップに躍り出る。続くラス前、シリーズ2位の高橋真二選手の出走となるが、第1ヒート同様、またしてもパイロンペナルティとなってしまい、ポイント圏外へ。

 この時点でシリーズチャンピオンが決まった藤田選手だったが、中間は唯一の52秒台で通過するも、ゴールタイムは松川選手に100分の5秒届かず、2位でフィニッシュとなった。チャンピオンを決めた藤田選手は、「今シーズンは優勝3回と、それ以外は2位という好成績で満足できるシーズンでした。ただ、今回の2位は悔しいので、最終戦は優勝を獲りにいきます。どうなるか分かりませんが(笑)」と、シーズンを振り返り、最終戦へ向けての意欲を語った。

PN3クラス優勝の松川選手は、「今回はTAKENOKO選手とのWエントリーで、彼の作戦で第2ヒートに新品のフロントタイヤを投入しました。これが良かったと思います。また、NTR2クラスの山本(秀夫)選手にライン取りのアドバイスを頂いたお陰でタイムアップできました」と、勝因を語った。
PN3クラス表彰の各選手。

 大江光輝選手と川島一朗選手がチャンピオン争いを繰り広げているPN5クラス。第1ヒートをトップで折り返したのは、ポイントリーダーの大江選手。1分21秒台をマークし、チャンピオンに向けて好スタートを切る。しかし第2ヒート、クラス2番目のゼッケン、チャンピオン戦はスポット参戦の戸村雅俊選手が、大江選手のタイムを100分の2秒上回り、暫定トップに立つ。

 これで競技は仕切り直しと思われたが、戸村選手のタイムは一向に更新されず、ラスト3の川村智也選手まで進行。第1ヒートで2番手に着けていた川村選手は、ゴールタイムは0.1秒上回るも、パイロンペナルティを取られ、第1ヒートのタイムで5番手止まり。シリーズ2番手の川島選手も中間では自己タイムを上回るも、ゴールタイムは逆にタイムダウンとなり、8番手。

 これでシリーズチャンピオンが確定したラストゼッケン大江選手は、これまでのタイムを一気に縮める1分20秒台を叩き出すが、パイロンペナルティでタイム更新はならず。戸村選手が辛くも逃げ切りを果たすことになった。2番手に終わるもタイトルを決めた大江選手は、「今シーズンはチャンピオン戦を追って頑張りたいと思っていたので、このような結果が得られて本当に嬉しいです」と、表彰式で喜びを語った。

PN5クラスを制した戸村選手は、「タイム的には自分より速い選手がいましたので、今日は運で勝てましたね(笑)。第1ヒートはミスコースだったので、第2ヒートの一発勝負で、それなりのタイムを出せたのは良かったと思いますが、見直すべき点が多々ありました」と振り返った。
PN5クラス表彰の各選手。

 第2ヒート、懸念されていたゲリラ豪雨に見舞われてしまったのはNTF2クラスだ。前半ゼッケンの4~5台ほどが走行したあたりから、ぽつぽつと降り始め、その後一気に雨足が強くなり、タイムアップは絶望的な路面状況となった。そういった中、優勝を遂げたのは第1ヒートでトップに立っていた徳富太一選手。徳富選手を追うシリーズ2番手の野﨑裕太選手は、第1ヒートでは2番手に着けるも、第2ヒートは無情のウェット路面でタイムダウン。順位もひとつ落として3位となり、徳富選手が今季4勝目を上げ、シリーズチャンピオンを獲得した。

NTF2クラスは、第1ヒートで断トツのタイムを叩き出した徳富太一選手が、そのまま逃げ切ってシリーズチャンピオンを決めた。
NTF2クラス表彰の各選手。

 NTF2クラスから降り出した雨は途中で止んで、最終のS2クラスの第2ヒートになると、路面も徐々に乾き始めた。このクラスには何と地元群馬が誇る全日本のトップスラローマー、若林兄弟が参戦。ただし若林兄弟の腕を以てしても、第1ヒートの自己タイムを更新することは困難と思われたが、若林兄弟の兄、隼人選手が0.2秒のタイムアップを果たす。しかし弟の拳人選手が第1ヒートで叩き出したタイムには及ばず2位。拳人選手がオーギーオールウィンとなるタイムで逃げ切った。

 一方、3位に終ったAE86に乗る鈴木照夫選手は、このポイントでシリーズチャンピオンが確定した。「2本目は完全なドライ路面で走りたかったのですが、3位には満足しています。今シーズンは3勝もできたので、上手く行き過ぎたっていう感じですね(笑)。特に、勝てないと思っていた、さるくらの一戦でも優勝することができて、それが大きな1勝でした」と、笑顔でシーズンを振り返っていた。

S2クラスは、第1ヒートで総合ベストの走りを見せた若林拳人選手が優勝をさらった。
S2クラス表彰の各選手。
PN6クラスは、第1ヒートは2番手だった山口栄一選手が第2ヒートで逆転して、第4戦に次ぐ今季2勝目をマークした。
PN6クラス表彰の各選手。
NTF1クラスは、約28年ぶりにジムカーナに復帰した秋山義忠選手が優勝。アバルト595を駆る秋山選手は、「こういったクルマでもジムカーナを楽しめるということをアピールしたいですね。今日は、超、久しぶりに(笑)、表彰台に立てて非常に嬉しいです」と喜びを爆発させていた。
NTF1クラス優勝の秋山選手。
第2ヒートはウェット路面での走行となってしまったNTR1クラスは、ポイントリーダーの森好寿選手が第1ヒートのタイムで逃げ切り、今季2勝目をマーク。表彰式では、「今回は雨のおかげで勝てました。最終戦はドライ路面で勝てればと思います」と、チャンピオン争いに向けての意欲を語った。
NTR1クラス表彰の各選手。
NTR2クラスは、第1ヒートで圧倒的なベストタイムを獲得した山本秀夫選手がシリーズ3勝目を挙げて、チャンピオンも決めた。「今シーズンはタイヤが変わって、それに合わせるのに最初は少し戸惑いましたが、コサリックさんの協力もあり、早い時期に対応できました。今回は、ほとんど失敗なく、満足の行く走りができました」。
NTR2クラス表彰の各選手。
シリーズチャンピオンが決定している佐藤林選手は今回欠場となったNT4クラスは、大塚元貴選手がチャンピオンシリーズ初優勝を飾った。「今回は、天候に助けられました(笑)。第1ヒートは自分も含め、皆失敗していて、その中で運良くトップだったので、次は実力で勝ちたいですね」。
NT4クラス表彰の各選手。

フォト&レポート/友田宏之

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