岡山国際での“夏祭り”はJAF-F4は元嶋成弥選手が、スーパーFJは岡本大地選手が連勝!!
2021年8月26日
岡山国際サーキットを舞台に、「OKAYAMAチャレンジカップレース第5戦 スーパーFJ & F4サマーフェスティバルin岡山」が8月7〜8日に開催された。台風接近で天気が心配されたものの、進路が逸れたことで両日ともに猛暑の中での戦いとなり、瞬間的に大粒の雨に見舞われることはあったが、幸いコースを濡らすまでには至らず。全てのレースで熱戦が繰り広げられた。
2021 OKAYAMAチャレンジカップレース第5戦
SFJ & F4 サマーフェスティバル in 岡山
開催日:2021年8月7~8日
開催地:岡山国際サーキット(岡山県美作市)
主催:株式会社岡山国際サーキット、AC
JAF-F4はシリーズ第5戦、第6戦のダブルヘッダー開催となり、予選のベストタイムで第5戦の、そしてセカンドベストタイムで第6戦のスターティンググリッドが決められた。その結果、第5戦のポールポジション(PP)は2019年のチャンピオン、徳升広平選手が獲得。
「改善すべきところを、夜しっかり話し合って、予選では理想に近づけられたので、昨日出せていないタイムが出せました。他のドライバーがどれぐらい出ているとか、後ろから来ているクルマがあってもバックミラー見ずに、自分の走りに集中して走った結果です。そこまで集中して走らせてくれたチームに感謝です」と徳升選手は予選での好調の秘訣を語ってくれた。
しかし、セカンドベストタイムでは徳升選手は2番手に。僅差ながらも上回って第6戦のPPは、宮下源都選手が獲得した。「同じようなタイムを連発していて、一発決めきることが、かえってできませんでした。そういうところが、ダメなのかなと。走りには納得できていません。その分、決勝で頑張ります」と力強く誓っていた。
土曜日に行われた第5戦決勝レースは、徳升選手に宮下選手が続き、2列目には元嶋成弥選手とジェントルマン(G)クラスのハンマー伊澤選手が並んだ。好スタートを徳升選手が決めて、オープニングラップのうちに頭ひとつ飛び出したのとは対照的に、2番手争いが熾烈。2周目のリボルバーで元嶋選手が宮下選手をかわすが、その間に徳升選手は2秒以上に差を広げていた。
しかし、勢いに乗る元嶋選手はファステストラップを連発して、徳升選手との間隔を詰めていき、テール・トゥ・ノーズ状態に持ち込んだ8周目、ヘアピンで並んで続くリボルバーでオーバーテイクに成功!そのまま逃げ切って、開幕戦以来となる2勝目を挙げた。
「実は僕、昨日初めて岡山を走って、未だに分からなかったんですよ。決勝で前に徳升選手がいて、走りを盗もうと思ったら、ラインが僕と違ったので、それ真似したらいいところに行きました!」と元嶋選手は語るからびっくり。敗れた徳升選手は消沈気味だった。3位は宮下選手が獲得し、総合では4位のハンマー選手はGクラスで圧勝も、「決勝では空回りしちゃって、なかなかうまくいきませんでした」と反省しきりだった。
日曜日の第6戦決勝レースのグリッドは、宮下選手、徳升選手、元嶋選手、ハンマー選手という順。ここでは徳升選手がややスタートに出遅れてしまい、2コーナーで元嶋選手の先行を許す。トップの宮下選手は徐々に差を広げていたが、その最中にドライビングスルーの指示が!スタート違反によるペナルティだった。
宮下選手がやむなくピットに入っていったことで、元嶋選手は労せずしてトップに浮上。徳升選手も背後につけて逆襲の機会をうかがうも、終盤に入ると徐々に引き離され、さらに12周目の1コーナーでは痛恨のオーバーランも。逃げ切った元嶋選手が連勝を飾った。
「急にエントリーすることになったんですが、本当にいい週末でした。いろいろ勉強になりましたし。宮下選手がいなくなったのは寂しかったです、追いかけてバトルしたかった。トップに立ってからは後半のペースには自信があったので、落ち着いていけば守れると思っていました」と元嶋選手は週末を振り返った。
徳升選手に次ぐ3位はハンマー選手。「ひとつ順位を上げられたんですが、昨日よりタイム差が開いちゃったんで、かなり悔しいですね。速さという点では上の3人に劣っていたので、次はしっかり準備を整えてチャレンジしたいです」と、Gクラス連勝ではまたも満足してはいなかった。
スーパーFJは岡山シリーズと、全国転戦の「スーパーFJジャパン・チャレンジ」とのダブルタイトルでの開催。予選ではレース1のグリッドだけ決定し、レース2のグリッドはレース1の結果に基づき、トップ6のリバースグリッドとされた。
PPを獲得したのは岡本大地選手。「タイムは想定どおりというか、あれが限界です。岡山では1年ぶりのレースで、自分との戦いになると思います」と語っていたとおりの展開になった。
まずレース1こと第4戦決勝レースで岡本選手は、スタートを決めて早々に独走態勢へと持ち込んでいったが、終盤になってペースがガクンと落ちる。「問題ないはずだったんですが、最後の方でエンジンの息尽きみたいなのが出て。接戦だったらやばかったですし、原因が分からないと明日のレースもやばいので」と、外から見れば圧勝だったものの、少々動揺気味でもあった。
対照的に2位争いは、激しく繰り広げられていた。予選5番手の三島優輝選手が絶妙のスタートを決めて、一気に3番手に上がったばかりか、ヘアピンでは予選2番手のチームメイト、小松響選手をもパス。その後も高口大将選手を加えて競い合うが、3ワイドで飛び込んでいった5周目のヘアピンで接触があり、タイヤを痛めた小松選手がリタイアしてしまう。
この間に、予選4番手だった冨田自然選手が代わってバトルに加わり、6周目には三島選手をかわして、3番手に立つ。11周目のヘアピンでは、冨田選手が高口選手をかわして2番手に浮上。これに続こうとした三島選手だったが、ファイナルラップのダブルヘアピン進入で接触してしまい、順位を落とすことに。これで冨田選手、高口選手の順でフィニッシュとなった。
第4戦のファイナルラップでの接触で6位となった三島選手は、図らずしてレース2こと第5戦のPPを手に入れた。対して優勝した岡本選手は6番手からのスタート。三島選手がトップを守れるか、岡本選手がどう順位を上げてくるか、ともに注目された。
PPからのスタートを決めて、三島選手はトップでレースを開始。2番手も鶴岡秀磨選手のままながら、オープニングラップのうちに冨田選手、岡本選手はふたつずつ順位を上げていた。
そして2周目のヘアピンでは岡本選手が、冨田選手をかわして3番手に、そして3周目のストレートで鶴岡選手をかわして2番手に浮上する。岡本選手はそのままトップの三島選手にも近づいていって、6周目のヘアピンでもう、トップに立つこととなった。
中盤からはトップの岡本選手、続く三島選手とも単独走行。その後方では5周目に3番手に立っていた、冨田選手と高口選手によるバトルが最後まで続く。しかし、ふたりとも隙を見せることなく走りきり、冨田選手が3位に入って2戦連続で表彰台に立った。
そして岡本選手は2連勝。今回は最終ラップにファステストラップも打ち立てていただけに、心配の種だったエンジンも「しっかり対策してもらって、大丈夫でした」と、ようやく笑顔を見せた。その上で、「普通にずっと全開で走っていたので、最後にファステストラップが出たのは、路面状態の向上でしょう」とも言葉を加えていた。
FIT 1.5チャレンジカップこと鈴鹿・岡山ツーリングカー地方選手権の第4戦のエントリーは、わずか6台に留まった。同日にもてぎ・菅生選手権も開催されている影響も大きかったのであろうか、第3戦を制している松尾充晃選手も欠場していた。
岡田拓二選手を僅差で下し、PPを奪ったのは、西尾和早選手。「いい感じだったんですが、ベストを出したタイミングで、最終コーナーちょっと失敗しちゃって。やっちゃったかと思いましたが、(トップを)守りきれて良かったです。スタートを決めて、どんどん引き離していくようなレースをしたいです」と決勝に向けた意気込みも語ってくれた。
しかし、決勝ではクラッチミートのタイミングこそ絶妙だったが、西尾選手曰く「一瞬、息尽きみたいな感じになった」間に、岡田選手が前に出る。とはいえ西尾選手も遅れを取ることなく続き、2周目のWヘアピン進入で早くも勝負をかけるも、ここでは接触あって逆転ならず。
なおもかけ続けるプレッシャーに「おそらく岡田選手はシフトミスして失速されたんでしょう」と5周目のモスS入口で西尾選手はトップに浮上。逆に岡田選手のかけてきたチャージをしのぎ続けて、今季3勝目をマークした。
昨年から鈴鹿サーキットだけでなく、岡山国際サーキットも舞台に加えたフォーミュラEnjoyも、第3戦と第4戦のWヘッダー開催。決勝グリッドはJAF-F4同様、ベストタイムとセカンドベストタイムの順で決められた。
そのいずれもトップだったのは辰巳秀一選手。「感触は良かったです。昨日、今日と走っていますけど、今の予選がいちばん。うまくスリップ(ストリーム)も利用して、それでタイムが出たんだと思います。決勝はもう、このままのポジションでレースを楽しんでいきたいです」と予選での快走を語ってくれた。
第3戦決勝レースでは辰巳選手が好スタートを切るも、2番手の山根一人選手が楽に逃がしてはくれず。そればかりか4周目のマイクナイトで逆転を許す。固いガードに阻まれ、もはやこれまでか……と思われたものの、最終ラップの最終コーナーで山根選手が痛恨のシフトミス。このチャンスを逃さずとらえ、0.011秒差で前に出た!
「何度も横に並んだんですが、なかなか。でも諦めずにいって良かったです。しんどかったですけど、楽しいレースでした」と辰巳選手は優勝を喜んだ。また、56歳以上のドライバーを対象とするマイスターズカップでは、Ryuu Mao選手が優勝を飾った。
第4戦決勝は、完全に辰巳選手のひとり舞台。スタートを決めると、そのあとは誰の追随も許さなかったからだ。「今日は楽な感じで、ペースが良かったので、自分のペースをずっと崩さず走れました」と語り、最後は2位の芦田将吾選手に4秒以上の差をつけていた。
一方、レース中盤に辰巳選手を超えるペースで走行していたのが永井秀和選手。芦田選手の背後にまで迫った7周目のアトウッドで「リヤを滑らせ」失速してしまったのが惜しまれる。
そしてマイスターズカップで2連勝を飾ったのはRyuu Mao選手。「少ない練習時間だったので、チームが気を使って準備してくれたのが、いちばんだと思っています。ひとりではできないので、とても感謝しています」。もちろん“Ryuu Mao”とはライセンスネーム。小学校5年生と1年生の孫にあやかっているとのことだ。
今季4戦目となるWEST VITAは、ポールシッターの大八木龍一郎選手がスタートで予選2番手の増本千春選手にトップを明け渡す一幕があったが、ヘアピンで早々とトップを奪還。その直後に増本選手は後続車両に追突されてリタイア、天国から地獄に落とされる。
続くリボルバーでも3台が絡むアクシデントがあり、3周にわたってセーフティカーが導入される。その後のリスタートも難なく決めた大八木選手は、2番手に浮上した有岡綾平選手を少しも寄せつけず圧勝。開幕4連勝を飾ることとなった。
「ちょっとスタートで遅れちゃったんですが、別に焦ることもないし、ペースを確認して後ろから行ったら、抜いた直後に混乱があったようで。うまく勝てて良かったです」と大八木選手。そして走り屋系YouTuberとして知られるガブリエル選手が、非力な旧型エンジン搭載車両にも関わらず、3位を獲得している。
N1ロードスターは「今日はそこそこまとまりましたかね」と語る、金森成泰選手がPPを獲得。4年越しの連勝こそ、前回の2時間耐久で3位に甘んじ、『12』で止まってしまったが、スプリントとなれば敵なし。
2周目のリボルバーで後続車両から接触を受けるも、「なんとかコントロールして耐えました」という後は、橋村剛選手からのプレッシャーに屈することなく走り続け、「最後はラストスパートをかけて」1秒4差での勝利となった。
ポルシェトロフィーは、予選最速タイムを記録したのはAクラスのAaron May選手だったが、コースオープン前にファーストピットレーンに進入したため、ベストタイムが削除されて幻のポールに。繰り上がってAクラスの山本賢選手が、先頭からスタートを切ることとなった。
決勝は直前に大粒の雨が降ったためウエットレース宣言が出されるも、すぐにやんでしまう。セーフティカースタートでの開始となり、3周目からバトルが勃発。May選手は早々と勝負をかけ、ヘアピンで山本選手をパス。そのまま逃げ切って総合優勝を飾った。
「予選は私のミスで残念でしたが、決勝で挽回することができて良かったです。少しずつ分かってきました、このコースのことを。普段はオートポリスで走っていて、6年ぶりなので」とMay選手は久々の岡山国際でのレースだったことを明かしてくれた。
Bクラスでは関正俊選手が圧勝。しかし、予選では総合3番手だったのに対し、ふたつポジションを下げたことから「クラスではぶっちぎりでしたが、総合でも三つに入りたかったんですけどね。でも、楽しくバトルさせてもらいました」と複雑な表情で語っていた。
フォト/吉見幸夫 レポート/はた☆なおゆき、JAFスポーツ編集部