長江修平ランサー、サバイバルの一戦を制して中四国ラリー開幕3連勝!

レポート ラリー

2021年8月31日

JAF中四国ラリー選手権は7月末にシリーズ第3戦が、前戦に続いてグラベルラリーとして開催された。

2021年JAF中四国ラリー選手権第3戦
2021年JMRC中国・四国ラリーシリーズ第3戦
TRD RALLY CUP by JBL 2021 Rd4
西日本グラベルラリーツアー2021第2戦
四国のてっぺんラリー2021in嶺北

開催日:2021年7月31日
開催場所:高知県
主催:MS.SRS

 JAF中四国ラリー選手権は四国ラウンド2戦目となる、お馴染みのてっぺんラリーを迎えた。今回のラリーでSSとして用意されたのは約4.8kmと約6.1kmの2本の林道ステージ。ふたつのセクションに分かれて3本ずつ走る、トータル約32kmとなる計6本のSSが勝負の舞台となった。

 6.1kmのSSはオールグラベルのステージとなるが、4.8kmのSSはスタート後しばらくは細くツイスティなターマックが続いた後にグラベルに突入する。ターマックの部分は3本で計4.5kmに及んだが、今回のラリーではこの区間でコースオフしてタイヤやクルマを痛めたクルーも少なからずいたため、結果的には“鬼門”とも言えるセクションとなったようだ。

シリーズの中でもタフな路面で知られる一戦とあって、一部のクラスではサバイバルラリーの様相を呈した。

 長江修平選手が開幕2連勝と順調な滑り出しを見せているFG-1クラス。今回も中部、近畿、九州といった他地区からもエントリーがあり、計11台による戦いとなった。SS1でベストを奪ったのは3番ゼッケンで走ったベテランの渡部洋三/井関美貴組。長江修平/中岡和好組は、「砂利掻き役となる先頭ゼッケンだったので1ループ目は無理をしなかった」と0.5秒差の2位でスタートする。

 長江組は同じく先頭ゼッケンは不利となるSS2で「セーブした」と言いながらも、この日、最初のベストタイムを奪取して首位に浮上。さらに砂利掻き役から解放されたSS1の再走となるSS3でも大差でベストを奪い、リードを広げるが、好事魔多し。SS4でパンクを喫して一気にマージンを吐き出してしまった。

 代わってトップに立ったのはマクリン大地/大橋正典組。長江組は0.9秒落ちの2番手に下がって3ループ目となる残る2本のSSに臨んだ。ラリー前半のペースを見れば長江組の逆転は十分、可能と見られていたが、FG-1クラスはこの時点で過半数の6台がリタイヤするというサバイバルな状況に。最も路面が荒れる3ループ目で勝負を賭けるのはかなりリスクの高い行為となる。しかし結果は長江組が2本のSSともマクリン組を抑えてベストタイムを奪取。トータル7.4秒差をつけて優勝を果たした。

FG-1クラスは長江修平/中岡和好組が開幕3連勝と今回も速さを見せた。
FG-1クラス優勝の長江/中岡組。「1ループ目は無理せずに2ループ目からペースを上げる作戦でしたが、(パンクした)SS4はもう少し落とすべきだったかもしれませんね。最後の2本は全開でしたが、ワダチの中にも危険な石があったりしたので、最後まで集中を切らすことができないラリーでした」と長江選手。
FG-1クラス2位にはマクリン大地/大橋正典組が入賞した。

 一方、FG-2クラスは、前戦で2位に入り、今回も優勝候補の一台だった小西健太郎/藤島義孝組がSS1スタート直後に駆動系トラブルでリタイヤを強いられるという波乱の展開となる。これで俄然、優先に立ったのは松岡竜也/縄田幸裕組。SS4まで後続に大差をつけてベストを連取。開幕戦に続く今季2勝目をマークした。

FG-2クラスでは松岡竜也/縄田幸裕組が優勝。中四国シリーズでは排気量区分の違いにより、GRヤリスは2リッター4WDターボ車とは別のクラスになっている。
FG-2クラス優勝の松岡/縄田組。「今日もバックギアを使った所があったりしたので、走りもセッティングも、まだまだこれからですね。ただパワーのある速いクルマですから、セッティングさえ出せればランサーのクラスとも互角に戦えるクルマであることは間違いないので、その辺を今後は詰めていきたいと思います」(松岡選手)。
最終SSではベストを奪うなど速さを垣間見せた高木充/草加浩平組が、FG-2クラス2位に入った。

 またFG-1クラス同様の接戦となったのがFG-3クラス。前戦でもデッドヒートを演じた細谷裕一/大西恵理組のヴィッツと松原久/和田善明組のデミオが再び火花を散らした。先手を取ったのは松原組、SS1で細谷組を約5秒差で下すが、SS2では細谷組が巻き返して逆に6秒のリードで2ループ目に突入した。

 しかしここから松原組は僅差ながらもSS3、SS4とベストを獲って追い上げ、SS5でも細谷組を2秒差で下して遂に逆転。0.7秒差で最終のSS6を迎えた。だが注目のSS6では、細谷組が前走のSS4のタイムを5.8秒削り取る激走を見せたのに対して、松原組は逆にSS4から約3秒のタイムダウンとなって5連続ベストはならず。土壇場で打っちゃりを見せた細谷組が前戦に続く勝利をさらった。

前戦同様、トップ2台の激しいバトルとなったFG-3クラスは、細谷裕一/大西恵理組がシリーズ2連勝を飾った。
3週連続でラリー出場の細谷選手。「クルマを直している暇がないので(笑)、毎回やれるだけのことはやろう、という気持ちでラリーに臨んでいます。今日は走る前には序盤は様子見のつもりでしたが、やっぱりラリーが始まってみたら、最初から全開で行かないと勝てない気がしてきたので、ともかく最初から踏んで行きました」と細谷選手。コ・ドライバーの大西選手も、今年は20戦のラリー参戦を目標に掲げて精力的にラリーに参加している一人。「今年は修業の年にしたいので、なるべく多くのラリーに参戦したいと思っています。細谷さんはドライバーとしても優れた選手なので色々と勉強になります」と振り返った。
松原久/和田善明組はあと一歩及ばず、FG-3クラス2位に甘んじた。

 参加9台と過去2戦から大きくエントリーが増えたFG-4クラス。7年ぶりにラリーに復帰した山本剛/伊藤洋幸組が、SS1、SS2とライバルを圧倒するベストタイムを連発し、ラリーをリードする。ラリー休止中も地元のテクニックステージタカタでのダートトライアルにスポット参戦していた山本選手は、グラベルの感覚は維持できていたようで独走態勢を築くかと思われたが、SS3でパンクを喫して大きく後退してしまう。

 代わってトップに立ったのは前戦で優勝の日高重貴/吉田賢吾組。日高組は山本組に敗れたとは言え、SS1で3番手以下を大きく引き離すセカンドベストをマークしていたため、そのマージンをキープ。最後までライバルを寄せ付けず、最終的には1分近い大差をつけて2連勝を果たした。大接戦となった2位争いは大ベテランの松井繁往/武田友己組が終盤のSS5、SS6で激走を見せたが、0.5秒及ばず。松井組の猛追をしのいだ都築英明/仲野篤組が2位を確保した。

FG-4クラスは、九州宮崎から参戦の日高重貴/吉田賢吾組が優勝した。
2戦連続勝利の日高/吉田組。「こういう道は自分の走りにも合うので大好きなんですよ」と振り返った日高選手。「今日は最後まで、クルマを壊さない程度に攻め続けられたと思います。多分、クルマはあちこち傷んでいると思いますが(笑)、楽しく走れたラリーでした」。
FG-4クラス2位には都築英明/仲野篤組が入賞した。
FCクラスは村上義将/津野裕宣組がタフなラリーを走り切って優勝を果たした。
FCクラス優勝の村上/津野組。

TRD RALLY CUP by JBL 2021 Rd4
CUP-1クラスでは桒村浩之組が早くもシリーズ3勝目を獲得!

 TRD RALLY CUPは、今季唯一のグラベル戦となるシリーズ第4戦を迎えた。CUP1クラスには5台が参戦。同じくグラベルで行われたJAF中四国ラリー選手権の前戦に併催された、2021年JMRC中国・四国ラリーシリーズのFCクラスで優勝した辻井利宏選手が、再び新井敏弘選手をコ・ドライバーに招いて今回はTRD RALLY CUPに参戦してきた。

 ラリーは地元四国在住の桒村浩之/ミキスケ組がSS1でベストを奪い、辻井組が4.2秒落ちの2位で続くという展開でスタート。SS2では桒村組が再びベストを奪うが、辻井組も0.5秒差で喰らいつく。辻井組はオールダートのSS2、SS4では桒村組に肩を並べるタイムをマークして、3度目の走行となったSS6では遂にこの日初のベストタイムを奪取するが、舗装を含むSS1、SS3、SS5では苦戦。桒村組が最後まで首位を守って第1戦、第2戦に続く今季3勝目をマークした。なおCUP2クラスでは岩田晃知/増田好洋組が優勝し、開幕4連勝を飾った。

CUP2クラスは岩田晃知/増田好洋組が優勝。開幕4連勝を達成した。
CUP2クラス優勝の岩田/増田組
CUP1クラスは桒村浩之/ミキスケ組がシリーズ3勝目を獲得した。
CUP1クラス優勝の桒村/ミキスケ組。
CUP1クラス2位には辻井利宏/新井敏弘組が入った。

フォト/中島正義、JAFスポーツ編集部 レポート/JAFスポーツ編集部

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