0.1秒を競う超硬質ダート決戦! 4クラスでチャンピオンが確定

レポート ダートトライアル

2021年9月13日

全日本ダートトライアル選手権第7戦「スーパートライアルin今庄」が、9月4日~5日に福井県南越前町のオートパーク今庄で開催された。昨年は新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響により開催中止となった今庄ラウンド。2年ぶりの開催となる今大会は、特別規則書で定められた参加台数の上限枠となる150台がエントリーした。

【開催情報】
2021年JAF全日本ダートトライアル選手権第7戦「スーパートライアルin今庄」

開催日:2021年9月4日~9月5日
開催地:オートパーク今庄(福井県南越前町)
主催:SHALET、FASC、CCST

 今回の戦いの舞台は、オートパーク今庄をよく知る地元の選手たちが「これまでの全日本や地区戦を含めて、経験したことがない」という新しいレイアウトが設定された。

 公開練習、決勝を通して50%の降水確率が予報されていたが、決勝日の天候は晴れ。JD11クラス、JD6クラス、JD3クラスが走る前に各ヒート3回ずつの散水、計6回の散水が行われたが、路面状況は概ねドライ。

 大会本番前にしっかりと路面が転圧されていたこともあり、第2ヒートは散水直後のJD11クラスを除き、まるで簡易舗装されたかのような超硬質のダート路面で、各クラスとも0.1秒を争う激戦が繰り広げられた。

 またこの今庄ラウンドが開催される前に、延期を予定していた第6戦野沢ラウンドの中止が発表されたため、シリーズの有効戦数が5戦から4戦に減少。これにより、今庄ラウンドの開催を待たずして、JD5クラスでランキングトップに立っている細木智矢選手のシリーズチャンピオンが確定した。

超硬質ダート路面が特徴のオートパーク今庄で行われた第7戦。低速から高速までバラエティに富んだコースレイアウトだ。
第4戦を終えた時点で68ポイントを獲得した細木智矢選手は、野沢ラウンドの中止の公示によってシリーズチャンピオン確定となった。

 小関高幸選手と寺田伸選手がチャンピオン争いを展開するJD11クラスは、第1ヒートで「まわりから練習の時のように走ればとアドバイスされたことが良かった」という小関選手が、寺田伸選手に約1.8秒の差をつけるベストタイムをマークする。

 第2ヒートは、出走前の散水量が多かったためか、小関選手も寺田伸選手もタイムダウン。結局、第1ヒートのタイムで逃げ切った小関選手が今季3勝目を飾り、2WDのAT車によるJD11クラスの初代チャンピオンを、優勝で確定させる結果となった。2位には寺田伸選手、3位には寺田伸選手の娘の寺田みつき選手が、全日本デビュー戦で表彰台の一角を獲得した。

JD11クラス優勝は小関高幸選手(DL・KIT・AT-BRZ)。
JD11クラスの表彰式。左から2位の寺田伸選手、1位の小関選手、3位の寺田みつき選手。
丸和から3連勝でポイントを大きく伸ばし、今庄でJD11クラスのタイトルを確定させた小関選手。

 開幕戦から3連勝を飾っている谷尚樹選手が、自身初となるチャンピオンに王手をかけているJD8クラス。このクラスには2戦目の出場となる多田義和選手が「第2ヒートは超硬質用タイヤと路面がピッタリでした」と、第1ヒート4番手から大逆転。1993年に全日本に初出場して以来、実に28年目で全日本初優勝を獲得した。

 第2ヒートは多田選手が暫定ベストを叩き出し、谷選手は前戦の勝者・中島孝恭選手に続く3番手に終わり渋い顔を見せる。第1ヒートでトップを獲ったランキング3位の鳥居晴彦選手は第2ヒートでは2番手に留まり、ランキング2位で最終走者の濱口龍一選手は、まさかのタイムダウンで8番手。この結果、谷選手は中島選手に次ぐ4位を獲得し、条件ギリギリでのタイトル確定劇となった。

JD8クラス優勝は多田義和選手(DLオクヤマRYPスイフト)。
JD8クラスの表彰式。左から4位の谷尚樹選手、2位の鳥居晴彦選手、1位の多田選手、3位の中島孝恭選手、5位の永田誠選手。
破竹の勢いで開幕から3連勝した谷選手。大一番の今庄では初タイトルを気持ち良くキメられず複雑な表情に。

 JD4クラスは、タイトルに王手をかけている北村和浩選手が「有効得点的にも気持ちに余裕があった」と、前日の公開練習、決勝第1ヒート、決勝第2ヒートそれぞれでベストタイムをマークする鉄壁の走りで今季4勝目を獲得。

 有効得点でも満点となる80点を獲得し、2020年には逃したシリーズチャンピオンを2年ぶりに奪還する結果となった。2位には、第2ヒートでフロントデフを破損した荒井信介選手が、第1ヒートのタイムで入賞。その荒井選手から0.15秒差となった3位には林軍市選手が入賞した。

JD4クラス優勝は北村和浩選手(MJT☆HKS☆DL☆ランサー)。
JD4クラスの表彰式。左から4位の鈴木信地郎選手、2位の荒井信介選手、1位の北村選手、3位の林軍市選手、5位の浜孝佳選手、6位のマイケルティー選手。
5戦4勝と圧倒的な強さでJD4クラスを制した北村選手。チャンピオンを確定させて思わず笑みがこぼれた。

 第6戦野沢ラウンドの中止が決定した状態で、この第7戦を迎える前に細木智矢選手がチャンピオンを確定させたJD5クラス。第1ヒートでトップタイムをマークした葛西キャサリン伸彦選手が第2ヒートでさらに約1.3秒更新するも、第1ヒート3番手タイムの河石潤選手が第2ヒートで3秒以上更新して逆転、全日本では2009年以来となる優勝を果たした。

 2位には北淳選手、3位には横内由充選手たち地元勢が入賞し、チャンピオンを確定させた細木選手は6位入賞を果たした。

JD5クラス優勝は河石潤選手(モンスタースポーツDLスイフト)。
JD5クラスの表彰式。左から4位の外山嘉賢選手、2位の北淳選手、1位の河石選手、3位の横内由充選手、5位の福山重義選手、6位の細木選手。

 JD9クラスは、第1ヒート9番手の太田智喜選手が「昨年はタイヤ選択で失敗したけど、今年は第2ヒートの路面とタイヤが合っていた」と逆転優勝。ランキングトップの濱口雅昭選手が9位に終わったこともあり、シリーズランキングでも濱口選手に1点差をつけてトップに浮上した。

 この結果、最終戦のチャンピオン争いは太田選手と濱口選手の直接対決となり、太田選手と濱口選手の結果次第では、ランキング3番手の工藤清美選手とランキング4番手の上野倫広選手にも逆転チャンスがあるという、4人のドライバーもよるチャンピオン争いが展開されることとなる。

JD9クラス優勝は太田智喜選手(DLMotysクスコデミオ)。
JD9クラスの表彰式。左から4位の川島秀樹選手、2位の渥美孝太郎選手、1位の太田選手、3位の上野倫広選手、5位の原靖彦選手、6位の川島靖史選手。

 山崎利博選手がチャンピオンに王手をかけているJD7クラスは、その山崎選手が8位と失速してしまう。一方、このラウンドで優勝しなければチャンピオンの可能性を失う岡翔太選手が、両ヒートを制する気迫の走りで今季初優勝を獲得。これで岡選手は山崎選手に3点差のシリーズ2番手に浮上し、最終戦に望みを繋いだ。

JD7クラス優勝は岡翔太選手(itzzオクヤマDLBRZ)。
JD7クラスの表彰式。左から4位の浦上真選手、2位の坂井義浩選手、1位の岡選手、3位の崎山晶選手、5位の熊久保信重選手、6位の和泉泰至選手。

 JD6クラスは「散水直後の路面とタイヤがベストマッチした」というランキング2番手の岸山信之選手が、第1ヒート5番手から逆転優勝。ランキングトップの北條倫史選手は3位に終わり、有効得点で8点差に詰め寄った。

 最終戦は、北條選手が優勝以外は有効得点が伸びず、岸山選手が優勝の場合は北條選手の有効得点を2点差で逆転する可能性が出てきた。今回2位となった西田裕一選手や、GRヤリスで4位に入賞した宝田ケンシロー選手など、北條選手と岸山選手のチャンピオン争いに、他のライバル選手がどう絡んでくるかが注目の1戦となる。

JD6クラス優勝は岸山信之選手(itzz☆DLルーカスランサー)。
JD6クラスの表彰式。左から4位の宝田ケンシロー選手、2位の西田裕一選手、1位の岸山選手、3位の北條倫史選手、5位の角皆昭久選手、6位の河田富美男選手。

 第1ヒートは奥村直樹選手と山崎迅人選手が同タイムでトップに並んだJD3クラスは、第3戦丸和ラウンドから連勝を重ねている坂田一也選手が、第2ヒートで奥村選手と山崎選手を逆転し、3連勝を獲得。

 山崎選手が2位、奥村選手が3位に入賞し、ランキングトップの佐藤史彦選手が4位に入賞した。この結果、坂田選手はランキングトップに浮上。最終戦は佐藤選手と山崎選手にもチャンピオン獲得の可能性はあるものの、坂田選手が6位以上入賞でタイトル確定となる。

JD3クラス優勝は坂田一也選手(itzzDLグローバルアクセラ)。
JD3クラスの表彰式。左から4位の佐藤史彦選手、2位の山崎迅人選手、1位の坂田選手、3位の奥村直樹選手、5位の松田宏毅選手、6位の山下貴史選手。

 JD2クラスは、第1ヒートトップの大西康弘選手が第2ヒートでは6位、第1ヒート2番手の上村智也選手が7位、第1ヒート3番手の目黒亮選手が5位と、第1ヒートと第2ヒートで上位の順位が大きく変わる結果となった。その中、「今庄の超硬質路面が大好きなんです。自分好みの路面になりました」という亀田幸弘選手が、第1ヒート6番手から逆転優勝。

 吉村修選手が今季3回目の2位入賞、岩下幸広選手が今季初表彰台となる3位に入賞した。最終戦は、目黒選手と上村選手のチャンピオン争いの中に、両社の結果次第では今回優勝の亀田選手にもチャンピオン獲得の可能性が出てくる結果となった。

JD2クラス優勝は亀田幸弘選手(YH栗原オート企画インプレッサ)。
JD2クラスの表彰式。左から4位の熊川嘉則選手、2位の吉村修選手、1位の亀田選手、3位の岩下幸広選手、5位の目黒亮選手、6位の大西康弘選手。

 谷田川敏幸選手、炭山裕矢選手、田口勝彦選手、鎌田卓麻選手がそれぞれ1勝ずつ挙げているJD1クラスは、ランキングトップの谷田川敏幸選手が、第2ヒートでまさかの転倒リタイアという波乱の展開となった。このラウンドを制し、最終戦に望みを繋ぎたい鎌田選手は2位、田口選手が3位に終わり、チャンピオン争いからは脱落という結果に。

 前戦スナガワラウンドをエンジントラブルのためにノーポイントで終えた炭山選手が今季2勝目を挙げ、シリーズランキングもトップに浮上。最終戦のチャンピオン争いは、炭山選手と谷田川選手の2選手に絞り込まれる結果となった。

JD1クラス優勝は炭山裕矢選手(ZEAL by TSDLミラージュ)。
JD1クラスの表彰式。左から4位の田辺剛選手、2位の鎌田卓麻選手、1位の炭山選手、3位の田口勝彦選手、5位の亀山晃選手、6位の谷田川敏幸選手。
オートパーク今庄の会場に入場する際には、ドライブスルー方式で手指消毒と検温および健康問診票の回収が行われた。
今大会は無観客で行われたが、会場の至るところに「マスク装着」などを促す注意喚起がなされた。
開会式は大会役員のみが参集して行われ、ドライバーズミーティングはリモート形式で実施された。選手はパドックで注意事項を確認し、質問のある選手のみミーティング会場に訪れて質問していた。
表彰式は表彰対象の選手のみが参集する形式で実施。風通しの良い場所で密集を避けて実施された。

フォト/CINQ、中島正義、JAFスポーツ編集部 レポート/CINQ、JAFスポーツ編集部

  • 掲載内容に不十分さがあったため、修正して再公開しました。
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