三つ巴の大接戦となったN1-1000を制した面野一選手が、ランキングトップに急浮上!
2021年9月14日
十勝スピードウェイを舞台に、「北海道クラブマンカップレース第3戦」が8月29日に開催された。当初は2日間での開催で、大人気のTGR 86/BRZレース、ヤリスカップ東日本シリーズが併せて行われるはずであったが、新型コロナウイルスの全国的な広がりと、感染予防のため延期開催となった。十勝独自クラスによる3レースだけのワンデーイベントとなったが、3レースとも接戦の優勝争いが繰り広げられた。
2021北海道クラブマンカップレース第3戦
開催日:2021年8月29日
開催地:十勝スピードウェイ(北海道更別村)
主催:TOSC、MSF株式会社
トヨタSCP10型ヴィッツのN1車両で競われるN1-1000には6台がエントリー。独自のレギュレーションで前戦のウィナー、三浦稔呂選手が30kgのウエイトハンディを背負い、4番手に留まる中、面野一選手が計測2周目に記録したトップタイムを、最後まで誰にも破られることなくポールポジション(PP)を獲得。
「練習どおりの走りができました。ちょっと丁寧に運転したのもタイムにつながったのかと。想定よりちょっと速かったです(笑)。決勝は後ろを見ながら、できれば逃げられたらいいですね」と語っていた面野選手。だが、10周の決勝では背後につけたドライバーたちが、面野選手の思惑を簡単には許してくれなかった。
まずスタートを決めて、いきなり面野選手に迫ってきたのが予選2番手の中村高幸選手。しかし、1コーナーでの逆転を逃した隙を、予選3番手の安藤義明選手に突かれてしまう。それでも3台は完全に縦一列、面野選手に対して、安藤選手、中村選手とも隙あらば、の構えを見せていた。そんな中、7周目の1コーナーでトップに立ったのは安藤選手。だが、依然として3台は離れない。
勝負が決したのは9周目の1コーナー。再び面野選手がスリップストリームから抜け出してトップを奪取。それに中村選手も続こうとしたが、それだけは安藤選手が許してくれず。逃げ切った面野選手が今シーズン3人目のウィナーに輝いた。
「気温が予選よりも上がったので、タイヤをいたわってタイムを変に落とさず、自分のペースで走っていたんですけど、後ろのペースが思った以上に良くて、スリップつかれて抜かれてしまって。でも、なんとかなんとか。1コーナーのクロスラインで、2コーナーまでに前に出て、という流れでした。優勝は大昔にありますが、ここ1、2年カムバックしてから、このクラスでは初めてです」と面野選手。アツい優勝争いの中でも、冷静なレース運びをしていたことを明かしてくれた。
次戦ではハンディを背負うことになるが、「それは仕方ないです、レギュレーションだから。レギュレーションと仲良くしていって頑張ります」とも語っていた。
N0-Vitzは当初7台のエントリーだったが、うち2台が取り消して5台となった。昨シーズンまでNetz Cupヴィッツレースで用いられていた車両そのもので争われ、往時は二桁のエントリーを集めていたが、道外からの遠征がないのが寂しい理由ではある。しかし、そのおかげで道産子ドライバーたちの初優勝ラッシュとなっているのだから、話としては悪くなかろう。
ただし、PPだけは、チャンピオン経験を持つ加藤由記選手が譲らない。予選では早々にベストタイムを記録、2番手につけた佐久間進選手に0.7秒以上の差をつけて、チェッカーを待たずしてピットに戻る余裕さえ見せていた。
しかし、加藤選手は「けっこう暑くて、思ったよりタイム出なかったですね。もうコンマ5秒ぐらい行けるかと思ったんですが。暑い分、ちょっと走ったらエンジンのパワー落ちていますね。タイムもある程度行ったら、それ以上伸びないので、途中でやめました」と納得がいかぬよう。そして、前戦はスタート違反のペナルティで2連勝ならなかったため、「今日はスタート、すっきり決めます」とつけ加えていた。
10周で争われる決勝は、予選3番手のえふで校長選手が絶妙なスタートを披露。スムーズなスタートを決めた加藤選手を抜くまでには至らなかったものの、佐久間選手を抜いて2番手に浮上した。その後もえふで選手と佐久間選手が激しく競う間に、加藤選手は早々に1秒の差をつけた。
そのまま逃げる加藤選手は5周目に2秒近いリードを築くも、それがピークとなってしまう。そして、6周目の1コーナーで佐久間選手がえふで選手を制して2番手に浮上。勢いに乗る佐久間選手は、そのまま加藤選手との差も詰めていった。
そして、加藤選手の背後にまで迫った9周目、1コーナーで「ブレーキがきつくなった」加藤選手がインを開けたところを、鋭く突いた佐久間選手がトップに浮上。ファイナルラップは追いすがる加藤選手を振り切って、初めてのトップチェッカーを受けることとなった。
「タイヤ的には私の方が山はあるから、このまま様子をうかがってチャンスがあれば行こうと。えふで校長は何とかパスできたんですけど、加藤さんはかなり難しいと思っていました。ただ、近づいていったらなんかきつそうで、ミスもしていたので、これはワンチャンスあるかなと思った時に、1コーナーでたまたま私、イン側にいたのでズバッと前に行けました。皆さんの後押しもあって、こんな形でいちばん前を走ることができたので、たいへん光栄に思います」と、佐久間選手はレース後も興奮冷めやらぬ様子で、そう語っていた。
この日最大となる12台がエントリーしたVITA-01は前戦のウィナー、佐藤元春選手が2戦連続でPPを獲得。「このぐらいの温度だと、4〜5周目がピークなので、しっかりタイヤを温めて、いちばんおいしいところでクリアを取れて、アタックできてPPが獲れました。ポール・トゥ・ウィン目指します!」と佐藤選手。2番手には平中繁延選手、そして浅井康児選手、中川隆吾選手、鬼塚益生選手の順で続いた。
12周で争われる決勝で、誰よりも鋭いダッシュを決めたのが御年66歳の大ベテラン、平中選手だった。佐藤選手に並んで1コーナーに飛び込み、立ち上がりで待望のトップに躍り出る。しかし、佐藤選手も負けてはいない。背後に続いて、逆転のチャンスを待つ。
一方、開幕戦のウィナーながら、予選では6番手だった坂野研選手は1コーナーの立ち上がりで一気に4番手に浮上したものの、抜かれた中川選手と鬼塚選手が接触。鬼塚選手は大きく順位を落とすもレース続行が可能だったが、中川選手は無念のリタイアを喫してしまった。
早々と後続を引き離し、一騎討ちでトップを争っていた平中選手と佐藤選手は、終始コンマ差。それでも66歳の大ベテランは隙を見せず、なかなか佐藤選手の逆転を許さない。しかし、ファイナルラップだけは佐藤選手の気迫が優った。1コーナーで平中選手に迫って、インからパス!最後の最後でトップに躍り出て、2連勝を飾ることとなった。
「きつかったです!平中選手が速かったんですが、最後まで諦めずに行こうと思っていたので、それが功を奏しました」と会心の勝利に大喜び。平中選手に続く3位は坂野選手が獲得。中盤から続いた浅井選手とテール・トゥ・ノーズでの争いを、9周目の1コーナーで制して獲得した。
前戦に続きVITA-01との混走となったザウルスJr.には3台がエントリー。予選トップの吉田哲也選手がスタートで吉田拓未選手の先行を許すも、5周目に逆転。そのまま激しいバトルが続くかと思われたものの、8周目に吉田拓未選手はスピンを喫して戦線離脱、その後は吉田哲也選手の独走となった。
「(吉田拓未選手は)上手な方なので、バトル自体はすごく楽しかったので、最後まで続けられれば、なお良かったですね」と語った吉田哲也選手は2連勝となった。
残念ながら延期となってしまったTGR 86/BRZレースの第5大会は10月30~31日、ヤリスカップ東日本シリーズの第3戦は10月31日に、十勝スピードウェイで開催されることになった。
そして次回、北海道クラブマンカップレース第4戦は9月26日のワンデー開催が予定され、N0-Vitzは1戦お休みとなるが、N1-1000とVITA-01は混走による3時間レースとして競われる。これがシリーズ最大の山場となりそうだ!
フォト/加藤和由、JAFスポーツ編集部 レポート/はた☆なおゆき、JAFスポーツ編集部