荒尾創大選手と鈴木斗輝哉選手が勝利し、それぞれシリーズ2勝目を挙げる

レポート カート

2021年9月27日

全日本カート選手権OK部門2021シリーズの折り返し点となる第5戦/第6戦が、千葉県・茂原ツインサーキット東コースで開催。第5戦では荒尾創大選手(TONYKART RACING TEAM JAPAN)がポールから今季2勝目を獲得。第6戦では14歳のルーキー鈴木斗輝哉選手(K.SPEED WIN)が混戦を制して2勝目を遂げた。

2021年JAF全日本カート選手権OK部門 第5戦/第6戦
開催日:2021年9月18~19日
開催地:茂原ツインサーキット東コース(千葉県茂原市)
主催:MTC

 国内カートレースの最高峰たる全日本OK部門は、これが2021シリーズ3つ目の大会。前回のAPG大会から2カ月強の長いブランクを挟んでの戦闘再開だ。新型コロナウイルス感染症の感染拡大が続く状況、そして開催地となる千葉県に発出されている緊急事態宣言を鑑みて、大会は無観客で開催された。

 エントリーは最大出走台数のジャスト34台。そのエントリーリストには大きなトピックがあった。2017年、2018年のチャンピオンで、現在はスーパーフォーミュラ・ライツなどで活躍中の佐藤蓮選手(Rosa Drago CORSE)がスポット参戦してきたのだ。しかも今回は、かつて王座に就いた時とは異なり、ブリヂストン・ユーザーとしての参戦(2017年はダンロップ、2018年はヨコハマタイヤを使用)とあって、なおさら注目度は高まった。

 タイムトライアルと第5戦の予選が行われる大会初日は、台風14号の影響で雨の一日に。ウェットコンディションの中で行われたタイムトライアルでは、佐藤蓮選手がただひとり44秒を切る43秒860のトップタイムを叩き出した。2番手は44秒038の荒尾選手だ。

 続いて行われた第5戦の予選は、ヒートの途中で雨が強まり赤旗中断。周回数がレース成立に達しなかったため、翌日の最終日にやり直すこととなった。

 大会最終日は快晴の一日となった。ドライコンディションの下で行われた仕切り直しの第5戦予選は、高橋悠之選手(BirelART AccessRacing)が5番グリッドから躍進して前半戦をリードしたが、トラブルで後退。後半戦は荒尾選手と佐藤選手がオーバーテイクの応酬を演じ、荒尾選手がトップゴールで決勝のポールを手に入れ、佐藤選手が2番手となった。それに続いたのは清水啓伸選手(Drago CORSE)と佐々木大樹選手(TONYKART RACING TEAM JAPAN)。トップから6番手までをブリヂストン・ユーザーが占めた。

 28周の決勝は、荒尾選手が先頭のまま発進し、清水選手とスタートで出遅れた佐藤選手がそれを追う形で始まった。レースが中盤戦に入ると、荒尾選手のリードがじわじわと開き始める。しかし、レースは荒尾選手のワンサイドゲームとはならなかった。その背中に近づいてくる1台のマシンがあったのだ。それは7番グリッドからスタートした、ダンロップ・ユーザーの野村勇斗選手(EXGEL with MASUDA RACING)だ。

 野村選手は11周目に佐藤選手と清水選手の第2集団を捕らえると、2台を3周でパスして2番手に上がった。この時点で、荒尾選手と野村選手の差は約1.4秒。それが毎周0.1~0.2秒ずつ縮まっていく。ゴールまでに追い付けるペースだった。後方では朝日ターボ選手(MASUDA RACING PROJECT)も13番グリッドからぐいぐいと挽回を続けており、この局面でのダンロップ勢の好調ぶりは明らかだ。

 だが、残り7周で両者の間隔が0.8秒を切ったところで、野村選手のペースが鈍った。タイヤの限界が近づいたのだ。もう荒尾選手とのギャップは縮まらない。荒尾選手は逃げ切りに成功、ポール・トゥ・ウィンで第3戦に続く今季2勝目だ。

 野村選手は残り2周で右フロントタイヤがバースト状態となって完全にエアが抜け、一気に2秒もペースを落とした。それでもなんとかマシンをコース上に留めてゴールまで走り切り、2位の座を守ってOK部門初年度での初表彰台を手に入れた。

 佐藤選手はタイヤの摩耗に苦しみながらも3位でフィニッシュし、全日本復帰戦で見事に3位表彰台を獲得。4位の清水選手に続いてチェッカーを受けた平安山良馬選手(TEAM EMATY)はフロントフェアリングのペナルティを受け、代わって朝日選手が5位となった。

「ロングランがちょっと厳しそうだったので、後ろにベタベタにつかれて最後に抜かれるのかなと思っていたけれど、途中で後ろが離れてくれました」とレース展開を振り返る荒尾創大選手。終盤については「ペースを上げて力を出し切って、勝つことができてよかったです。それでもダンロップ・タイヤの野村選手に追いつかれそうになったので、次戦に向けてまだ改善が必要だと思います」とコメント。またスポット参戦の佐藤蓮選手については「予選では前に出られたけれど、タイヤがキツそうだったので、決勝では大丈夫だと思っていました」と元王者に気を取られずレースに集中していた。
第5戦の表彰式。左から2位の野村勇斗選手、1位の荒尾選手、3位の佐藤蓮選手が登壇した。

 続いて行われた第6戦の予選では、山越陽悠選手(Formula K JAPAN)が10番グリッドから目を見張るスピードでトップに浮上。ここまで10位が最上位だったルーキーの躍進に、場内がどよめいた。しかし、山越選手はやがてエンジントラブルで無念のストップ。代わってトップでゴールしたのは、5番グリッドから快調にポジションを上げた高橋選手だった。2・3番手は荒尾選手と鈴木選手。佐藤選手は残り2周でふたつポジションを下げて4番手となった。

 そして迎えた第6戦の決勝は、高橋選手、佐藤選手、鈴木選手、荒尾選手の4台一丸の優勝争いとなった。高橋選手と佐藤選手がたびたびトップの座を入れ替え合うと、そこに鈴木選手が割って入り、4番手に荒尾選手が続く展開だ。各者は流れを自分に引き寄せるべく駆け引きを繰り広げるが、トップに出て逃げ切れる者はいなかった。

 レースが大詰めを迎えた23周目、佐藤選手が3度目のトップ浮上を果たした。しかし2周後、ニードル開度をぎりぎりまで絞って勝負していた佐藤選手は最終コーナーでエンジンが壊れてストップ、レースを終えた。

 その直後、鈴木選手が高橋選手をパスして初めて先頭に立つと、一気にスパートをかけて背後にわずかなギャップをつくった。残り3周、高橋選手と荒尾選手は懸命に鈴木選手を追うが、勝負を仕掛けられる距離までは接近できない。熱闘を制した鈴木選手は天を仰ぎ、歓喜のガッツポーズでチェッカーをくぐった。これで第2戦に続く今季2勝目だ。

 高橋選手は2大会続けて勝利に手の届く速さを示しながら、チーム移籍後の1勝目ならず2位に。それでもトラブルやアクシデントが続発してまともな結果を残せずにいた高橋選手は、ようやく速さに見合ったリザルトを残して、安堵の笑顔をのぞかせていた。荒尾選手はマシンが完調でなく「前に着いていくのが精一杯」という状況だったが、苦しい戦いをなんとか3位表彰台でまとめ、ポイントランキングの首位に躍り出た。

 優勝こそ果たせなかったが変わらぬ存在感を見せつけた佐藤選手は、「第6戦ではやっとBSの特性をつかめて、タイヤの余力もありました。勝ちを狙っていたので悔しいです。今のOK部門はすごく台数が多いので、タイムトライアルなどの駆け引きも変わったし、予選で失敗するともう決勝で挽回することは無理ですね。レースは楽しかったので、機会があったらまた出たいです」と3年ぶりの全日本参戦を振り返った。

「土曜日の予選が日曜日のスケジュールに組み込まれて、すごく忙しい大会になりました。スタートでちょっと出遅れてしまったけれど、後半が速いことは分かっていたので、落ち着いて冷静に行こうと思っていました」と語る優勝の鈴木斗輝哉選手。「第6戦では路面のグリップが上がって、そうなると自分のカートはいい状態になってくるはずなので、すごく自信を持っていました。(同じDrago CORSEを駆る)佐藤選手とはペースが五分五分で、後ろについていて厳しいと感じるところもありましたが、トップに出た瞬間にプッシュしようと思っていました」と作戦の内を明かした。
第6戦の表彰式。左から2位の髙橋悠之選手、1位の鈴木斗輝哉選手、3位の荒尾選手が登壇した。

フォト/JAPANKART レポート/水谷一夫、JAFスポーツ編集部

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