FS-125部門・野澤勇翔選手、FP-3部門・柳沼光太選手、共に悲願の初優勝を遂げる!

レポート カート

2021年9月27日

全日本カート選手権・東地域第4戦が千葉県の高速コース、茂原ツインサーキット東コースで開催。FS-125部門では野澤勇翔選手(Formula Blue エッフェガーラ)が初優勝を飾り、FP-3部門では柳沼光太選手(ガレージC)がやはり初勝利を遂げた。

2021年JAF全日本カート選手権 FS-125部門/FP-3部門 東地域第4戦
2021年JAFジュニアカート選手権 FP-Jr部門/FP-Jr Cadets部門 東地域第4戦

開催日:2021年9月18~19日
開催地:茂原ツインサーキット東コース(千葉県茂原市)
主催:MTC

 全日本FS-125部門/FP-3部門の2021シリーズは、東西各地域で5戦ずつを行った後、両地域のドライバーたちが一堂に会して東西統一競技会を戦い、最終ランキングを決める。今回の大会は、東地域の後半戦に突入する4戦目。西地域ではすでに第5戦までを終了しており、東地域の面々はそれを追いかけながらポイントレースを戦っていく。

 タイムトライアルが行われた大会初日の土曜日は、台風14号の影響で強い雨に見舞われた。20台が参加したFS-125部門も、大会初日に雨の中でタイムトライアルが行われ、梅垣清選手(ガレージC)と五十嵐文太郎選手(Formula Blue エッフェガーラ)のルーキーコンビが1000分の8秒差で1・2番手に並んだ。3番手の野澤選手もトップから0.032秒差と極めて僅差だ。

 大会決勝日は一転、爽やかな秋晴れの一日となった。ドライコンディションに変わった予選では、ウェットと同様の好調ぶりを示したのが野澤選手。1周目にトップを奪うと、真っ先にゴールして初の決勝ポールを手に入れた。五十嵐選手もやはり速さを見せ、レース中盤にトップを走ったが、トラブルでリタイアに。2番手ゴールは伊藤祐選手(ガレージC)。3番手には開幕戦以来の参戦となるベテラン箭内優樹選手(brioly Racing)が、8番グリッドからの躍進で入ってきた。

 決勝は24周。野澤選手は危なげなくトップをキープしてレースを開始すると、背後にわずかなギャップを築いて1周目を終えた。ここから野澤選手は後続との間隔をぐいぐいと広げ、10周目には約1秒のリードを獲得、完全に独走状態となった。

 なおも手綱を緩めることなく走り続ける野澤選手は、ますますリードを拡大。最後は2番手を3.5秒近くも引き離し、完璧な独走で勝利をつかんだ。これは野澤選手の待ちわびた全日本初優勝。最後のコントロールラインをしっかりとまたいでからナンバー1サインを掲げた姿に、その感慨がにじんでいた。

 野澤選手の後方では、伊藤選手と箭内選手がやや間隔を空けて周回を続けていた。そこにハイペースで追いついてきたのが上野晴紀選手(チーム エッフェガーラ)。予選でフロントフェアリングのペナルティを受けて14番手に留まった上野選手は、ファステストラップを記録しながら順位を上げ、17周目には箭内選手を、20周目には伊藤選手をパスし、2番手でチェッカーを受けた。

 しかし、上野選手にはまたもフロントフェアリングのペナルティが下り、2位は伊藤選手のものとなった。開幕戦での見事なデビューウィンの後、不振のレースが続いていた伊藤選手は、復活を予感させる快走だった。

 2連勝でこの茂原大会を迎えた堂園鷲選手(ENERGY JAPAN)は予選でアクシデントに巻き込まれ、決勝は18番グリッドからのスタートに。そこから着々とポジションを上げて4番手でゴールし、繰り上がりで3位となって開幕戦からの4戦連続表彰台登壇を果たした。堂園選手はこれで東地域のポイントリーダーの座も堅持している。

優勝の野澤勇翔選手は「全日本3年目で危機感が強かったので、勝ててすごくうれしいです。ほっとしています。決勝の序盤は荒れることが予想できたので、スタートをちゃんと決めて、序盤からどんどん引き離そうって作戦でした。クルマはチームのみなさんが仕上げてくれてキマっていたし、自分も走り方を(ウェットとドライで)ちゃんと使い分けて走ることができました。決勝は何も考えず、自分のことに集中して前だけを見て、ていねいに走っていました。ただひらすら集中していたので(24周は)短かったです」と待望の初勝利を喜んだ。
FS-125部門の表彰式。左から2位の伊藤祐選手、1位の野澤選手、3位の堂園鷲選手が登壇した。

 FP-3部門では、ここまで2勝の村田悠磨選手(SPS川口)がポール、予選で6台抜きの柳沼選手がセカンドグリッドに並んで、20周の決勝が始まった。スタート直後のざわつきが収まると、村田選手と柳沼選手はタンデム状態で先頭集団を抜け出していく。5周目からはこのふたりのマッチレースだ。

 2台はぴったりとくっついたまま周回を続行、サーキットには静かな緊迫感が漂う。その様相が変わったのは残り5周、柳沼選手が満を持して村田選手の前に出た。ふたりのバトルは残り2周でヒートアップ。最終ラップは村田選手が1コーナーで前に出ると、その先で柳沼選手がトップを奪い返す。そして、フィニッシュは0.071秒差。昨年のFS-125部門へのスポット参戦を経て、今季からFP-3部門に参戦を開始した柳沼選手のうれしい初優勝だった。

 2位の村田選手は3勝目獲得こそならなかったが、ビッグポイントを稼いで東地域のポイントランキング首位の座をキープ。佐久間宇宙選手(YRHKS with M's Bear)が残り2周で熱海瑛達選手(ガレージC)をパスして3位になり、今季2度目の表彰台に上った。

「土曜日のタイムトライアルは、午前の有料走行でのトラブルや降雨で8番手に留まったけれど、ドライでのペースは金曜日から自信があったので、土曜日はこんなものだろうと落ち着いていました」という柳沼光太選手。決勝については「プランどおりのレース展開でした。(先頭に立ってから)村田選手が最後に仕掛けてくるとしたら最終コーナーだと思っていたので、そこだけを守れば大丈夫だと考えていました。今まで辛かった時もあったんですけれど、こうして勝てて素直にうれしいです。」と全日本初勝利を振り返った。
FP-3部門の表彰式。左から2位の村田悠磨選手、1位の柳沼選手、3位の佐久間宇宙選手が登壇した。

 同時開催のジュニアカート選手権・東地域第4戦。FP-Jr部門では、鈴木恵武選手(RT-APEX)が4番グリッドから挽回して序盤でトップに立つと、以降を独走して3連勝を飾った。2位は序盤戦をリードした岡澤圭吾選手(HRT)。ポールの白井京之介選手(Astech)は3位でレースを終えた。

 またFP-Jr Cadets部門では、2番グリッドから先頭を行く吉岩泰選手(ミツサダPWG RACING)とポールの遠藤新太選手(AAA motorsports)がマッチレースを展開した。遠藤選手は残り2周まで待って吉岩選手を逆転すると、吉岩選手もそれに応酬。最後まで競り合う2台は、ほぼ横一線でフィニッシュラインを駆け抜けた。ウィナーとなった遠藤選手と2位吉岩選手の差はわずか0.038秒。遠藤選手は開幕戦以来の2勝目だ。松井沙麗選手(BEMAX RACING)と坂野太絃選手(EDO Marine Racing Team)の3位争いは、松井選手に軍配が上がった。

ここまで3連勝の鈴木恵武選手は「予選はすごく調子悪かったけれど、3連勝がかかった大事なレースで勝ててうれしいです。前回の本庄で、毎周1位にこだわって最後のバトルで前に出られたことが心に残っていて、今回も予選で1位だった岡澤選手を待つよりも、自分が前に行って前回のようなレース展開を築けたら、と思っていました。次のSUGOでもちゃんと勝って東西統一戦に備えたいです」と語った。
FP-Jr部門の表彰式。左から2位の岡澤圭吾選手、1位の鈴木選手、3位の白井京之介選手が登壇した。
「久しぶりに勝てたのでうれしいです。決勝ではメカニックの人から合図があるまでは前を抜かない作戦で、残り3周で合図があったので勝負に行きました。ゴールした時は自分が勝ったかどうか分からなかったけれど、電光掲示板を見て優勝だと分かりました。残り2戦でも勝ちたいです」と、吉岩泰選手とのバトルを僅差で制した遠藤新太選手。
FP-Jr Cadets部門の表彰式。左から2位の吉岩泰選手、1位の遠藤選手、3位の松井紗麗選手が登壇した。

フォト/JAPANKART レポート/水谷一夫、JAFスポーツ編集部

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