約3か月ぶりに富士が営業を再開! サポートレースのフォーミュラリージョナルは波乱の展開

レポート レース

2021年10月7日

当初の予定では9月第4週のレースウィークに、富士スピードウェイでWECことFIA世界耐久選手が開催されるはずだったが、新型コロナウイルスの感染拡大によって中止。そのサポートレースだった地方選手権のフォーミュラリージョナルはそのままの日程で残され、他のレースと組み合わされて開催されることとなった。

FORMULA REGIONAL JAPANESE CHAMPIONSHIP 2021 Round3
(2021インタープロトシリーズ第3大会内)

開催日:2021年9月25~26日
開催地:富士スピードウェイ(静岡県御殿場市)
主催:富士スピードウェイ株式会社、FISCO-C

 2年目を迎えたフォーミュラリージョナルは、この第3大会に16名のエントリーを集め、これが過去最多となった。うちマスタークラスが10台とエントリーの大半を占めたことでは、前2大会と変わりはない。

 金曜日に行われた専有走行では、ポイントリーダーの古谷悠河選手が好調。前大会のもてぎレース5で悲願の初優勝を飾ったことで、自信だけでなく安定感も身につけたようだ。特に3セッションの最後には、ひとり2分36秒台を連発していたほど。

 土曜日の富士スピードウェイは晴れてはいたが、未明の雨が路面に残ったまま予選1回目はスタートとなった。当然、徐々にコンディションは徐々に回復していったものの、「いちばんタイムが出そうなラスト3~4周で引っかかっちゃって、全然うまくラップできませんでした」と古谷選手。

 トップではあり続けたが、やむなくクリアラップを取るべく間隔を空けたその1周に、第9戦のグリッドを決めるセカンドベストタイムトップを三浦愛選手に奪われてしまう。

「それでもポールポジション(PP)と2番手で良かったというか。台数も多くてコンディションも難しかったので、特にマスタークラスの人とは仕方がない部分もありましたから」と安堵と不満、両方の思いがあったようだ。

 一方、初めてのPP獲得となった三浦選手もまた「正直、複雑です。本当はベストタイムの方でPP獲りたかったので。それでも路面状態の難しい中で、一番いいラインを見つけたり、タイヤの状況を感じ取るという部分では、自分の成長も感じられましたし、自信にもなりました」と悔しさの一方で、結果をしっかり前向きにとらえていた。

 続く予選2回目は、路面もほぼ完全なドライコンディションとなっていたことで、古谷選手が終始トップ。ほぼ1秒の差をつけ、「他の人のタイムを聞いていなくて、大丈夫かなと思いつつ走っていたんですが、終わってみたら結構な差がついていたので良かったです。昨日の走り出しからクルマはすごく感触も良かったので、流れはいい感じで来ていると思います」と、すぐに果たせたリベンジに満足そうだった。

 マスタークラスでは第7戦、第9戦で田中優暉選手がPPを獲得。一方、予選1回目でスピンを喫してタイヤ4本にフラットスポットをつくってしまったため、6番手と4番手に甘んじていた今田信宏選手だったが、予選2回目ではしっかりトップ。第8戦のPPを獲得していた。

 第7戦決勝レースを前にして「三浦選手はスタートがうまいので、なんとか前に行かれないように。最悪2番でも、そのまま行ければ必ず抜けると思います」と語っていた古谷選手だったが、まさにそのとおりの展開となってしまう。

 スタートを決めて、1コーナーまでに三浦愛選手は古谷選手を従える格好となった。その後方では初参戦で予選4番手だった小川颯太選手がエンジンストールで遅れ、最後尾に後退。予選5番手から、やはり初参戦の澤龍之介選手が順位を上げて3番手につけ、塩津佑介選手を従えていた。

 そして古谷選手の予想はまたも的中する。2周目のストレートで早々と三浦選手をかわしてトップに立っていたからだ。そのままアクセルを少しも緩めることなく、周回を重ねていく。そして3周目の1コーナーでは澤選手が2番手に浮上。三浦選手も遅れることなく続いたが、最後まで逆転はかなわなかった。

 最終的に古谷選手は13秒差の圧勝で2勝目をマークし、「やっぱりスタートに失敗しちゃったんですが、そんなに焦らずについていって、スリップについて1コーナーで抜きました。こういうレースがしたかったです。やっとという感じです」と、会心のレースだったことを明らかに。

 マスタークラスでは、スタートでトップに立ったDRAGON選手が徐々に後続を引き離していく展開だったものの、右後輪にトラブルを抱えて最終ラップにスローダウン。今田選手に抜かれたが、なんとかゴールすることはできた。「見た目良くないですよね。実力で勝ちたかったんですけど、結果的に転がり込んできて良かったです」と語る今田選手は、これが今季初勝利。

レース7優勝は古谷悠河選手(TOM'S YOUTH)。
レース7の表彰式。左から2位の澤龍之介選手、1位の古谷選手、3位の三浦愛選手。
レース7マスタークラス優勝は今田信宏選手(JMS RACING with B-MAX)。
レース7マスタークラスの表彰式。左から2位の田中優暉選手、1位の今田選手、3位のDRAGON選手(代理)。

 第8戦決勝レースのグリッドは、第7戦のゴール順と一緒で古谷選手、澤選手、そして三浦選手という並び。ここでも古谷選手はスタートに出遅れ、澤選手ばかりか三浦愛選手にも抜かれてしまう。それでもなんとか三浦選手を3周目の1コーナーでかわした古谷選手だったが、澤選手のガードは固く、なかなか逆転を許してはくれず。

 ようやく古谷選手が前に出たのは8周目の1コーナー。だが、振り切るまでには至らず、コカコーラコーナーの進入で両者は接触してコースアウト。先に復帰した澤選手は三浦選手に並びかけられたものの、なんとかトップをキープする。古谷選手は6番手に後退、その後はひとつ順位を戻すのがやっとだった。

 最後は2秒2の差をつけて三浦選手を振り切った澤選手だったが、先の接触に対して30秒加算のペナルティで10位に降格。繰り上がって三浦選手の初優勝となった。

「複雑ですが、自分にとってフォーミュラで(総合)優勝するのは初めてなので、こういう形ではあるんですが、たぶん後で振り返ると、この優勝はすごく大きな成績になると思うので、嬉しい気持ちはもちろんあります。前のふたりに追いつきたい、3人でバトルしたいって、邪念なく走っていたのが本当に良かったんだと思います。本当に集中できる環境で走らせてもらっている、チームに感謝しています」と三浦選手。

 マスタークラスでは今田選手が2連勝。一時は小川選手、塩津選手を相手に、総合でも3番手を競い合っていた。「いつも目標としている、若手と絡み合うようにしたいっていうのが、抜かせそうなところまで来たのは良かったです。最初から最後までペース落ちなかったですし、満足のいくレースでした」と今田選手。

レース8優勝は三浦選手(ARTA F111/3)。
レース8の暫定表彰式。左から暫定2位の三浦選手は1位に、暫定1位の澤選手はペナルティで降格に、暫定3位の小川颯太選手は2位に。なお3位は塩津佑介選手。
レース8マスタークラス優勝は今田選手。
レース8マスタークラスの表彰式。左から2位の田中選手、1位の今田選手、3位の植田正幸選手。

 そして三浦選手が初めてのPPから臨んだ第9戦決勝レース。ここでも好スタートを切った三浦愛選手だったが、ストレートエンドで接触があって2台が止まったため、即座にセーフティカー(SC)が導入されてしまう。これが古谷選手には何よりもの痛手となった。またもスタートに出遅れて5番手に後退。先導の3周分、挽回のチャンスを奪われたからだ。

 4周目からレースは再開、すぐに澤選手が小川選手をかわして2番手に浮上、そして古谷選手もまた塩津選手を抜いて4番手に躍り出る。勢いに乗る澤選手は6周目の1コーナーで三浦選手に迫るも、ここでの逆転は許されず。が、続くコカコーラコーナーで前に出る。古谷選手もまたコカコーラコーナーで小川選手をかわして2番手に浮上。

 この間に広げられた澤選手との2秒ほどの差を、古谷選手がどう詰めていくのか注目されたのだが……。間もなく降り始めた雨がふたりのペースを鈍らせ、間隔は最後まで保たれたまま。逃げ切りを果たして澤選手が初優勝を飾ることとなった。

「スタートには自信があったので、本当に決められて良かったです。めちゃめちゃ最高です。昨日の後味が悪かった分、優勝できてスッキリできました。エンジニアと相談してだんだんクルマは仕上がってきて、最後はめちゃめちゃ乗りやすかったです」と澤選手は高らかに語った。

 マスタークラスでは田中選手が最後までトップを譲らず。3勝目を挙げて今大会すべて表彰台に立ったことで、ランキングのトップをキープした。その田中選手は「練習や昨日まで、悪かったところを今日のレースで修正できたので、ちゃんと走れました」と語った。2位はTAKUMI選手だった。

レース9優勝は澤選手(D'station F111/3)。
レース9の表彰式。左から2位の古谷選手、1位の澤選手、3位の三浦選手。
レース9マスタークラス優勝は田中選手(ASCLAYlndサクセスES)。
レース9マスタークラスの表彰式。左から2位のTAKUMI選手、1位の田中選手、3位の三浦勝選手。

フォト/石原康 レポート/はた☆なおゆき、JAFスポーツ編集部

ページ
トップへ