Honda、レッドブル・グループと2022年以降の新たな協力関係に合意!そしてモータースポーツ活動は二輪・四輪ともにHRCが運営へ

ニュース レース

2021年10月11日

本田技研工業株式会社(以下、Honda)は、Red Bull Groupe(レッドブル・グループ)とモータースポーツのさらなる発展を目指して2022年以降のモータースポーツ領域を中心とした新たな協力関係について合意したことを発表した。

 2020年10月2日に発表した通り、Hondaは2021年シーズンをもって、FIAフォーミュラ・ワン世界選手権(以下、F1。FIAはFédération Internationale de l′Automobile(国際自動車連盟)の略称)へのパワーユニットサプライヤーとしての参戦を終了し、F1で培った技術と人材を将来のカーボンニュートラル実現に向けた取り組みにシフトしていくという。

 一方、モータースポーツ活動は変わらずHondaのDNAであり、参戦しているカテゴリーでのNo.1を目指しチャレンジを続けていくと同時に、モータースポーツそのもののさらなる振興に努めていくそうだ。今回のレッドブル・グループとの新たな協力関係は、そのHondaの取り組みのひとつ、とのことだ。

 この合意では、Hondaがレッドブル・グループからの要請のもとに、Hondaのパワーユニット(以下、PU)技術をレッドブル・グループが2022年以降のF1に参戦するために使用することを許諾し、レッドブル・グループ傘下のScuderia AlphaTauri(スクーデリア・アルファタウリ)とRed Bull Racing(レッドブル・レーシング)のF1参戦を支援していくそうだ。

<主な合意内容>
・パワーユニットに関する知的財産権の使用許諾
・HondaによるRed Bull Powertrains(レッドブル・パワートレインズ。レッドブル・グループ内でF1向けパワーユニットを製造する会社)への2022年シーズンにおけるPUの組立支援や、サーキットおよび日本におけるレース運営サポートの実施
・現在、Hondaの英国におけるF1参戦活動の拠点であるHonda Racing Development UK(ホンダ・レーシング・ディベロップメント・ユーケー)従業員の、レッドブル・パワートレインズへの転籍

レッドブル・レーシング、そして角田裕毅選手擁するスクーデリア・アルファタウリも、Hondaが引き続き支援していくことが明かされた。

 また、日本におけるモータースポーツのプレゼンス向上に向けて重要となる日本人ドライバーの育成への取り組みも、レッドブル・グループと継続して行っていくことも明かされた。

 Hondaの展開する育成プログラム「Hondaフォーミュラ・ドリーム・プロジェクト(HFDP)」とレッドブル・グループが主催するプログラム「Red Bull Junior Team(レッドブル・ジュニアチーム)」で連携し、角田裕毅選手に続くF1をはじめとした世界のトップカテゴリーで活躍する日本人の若手ドライバーを共同で育成していく、とのことだ。

 さらに、レッドブル・グループがグローバルで行っているさまざまなスポーツやブランディング活動とのコラボレーションも強化することで、Hondaの企業姿勢やモビリティの多彩な魅力を発信していくという。

2021年シーズンはHFDP、そしてレッドブル・ジュニアチームの一員としてFIA-F3に参戦し、1勝を挙げた岩佐歩夢選手。

 なお、こうしたモータースポーツ活動を推進していくために、現在Hondaの二輪レース活動を運営している株式会社ホンダ・レーシング(以下、HRC)に四輪レース活動機能を追加し、Hondaのモータースポーツ体制を強化することも発表した。

 二輪・四輪の分野でそれぞれが持っている技術・ノウハウの相互連携と運営の効率化を図ることで、より強いレースブランドを目指し、モータースポーツ活動に取り組むという。また、上記のレッドブル・グループへのF1参戦活動に関する支援は、HRCが行うそうだ。

 Hondaはライダー、ドライバー、エンジニア、メカニックのほか、チームスタッフをはじめとしたHondaのモータースポーツ活動に関わる全世界の人々が一丸となり、世界中のお客様に夢や感動をお届けすることができるようにこれからも取り組んでいく、とのことだ。

 また、レッドブル・レーシング・ホンダ代表のクリスチャン・ホーナー氏からは、「レッドブルとHondaの現在の協力関係はとても素晴らしい成果を生んでおり、内容は変わりますが、Hondaとの関係が継続できることを嬉しく思います。

 レッドブル・パワートレインズのチャレンジに対して2022年にHondaが行ってくれるサポートは、レッドブルが車体とPUの両方を手掛けるコンストラクターになっていく上で心強い存在です。また、ドライバー育成をはじめとするさまざまなモータースポーツ活動などにおいてHondaとの協力が継続していくということも楽しみにしています」というコメントが寄せられたそうだ。

 そして、今回のオンライン説明会に登壇したHonda執行職 ブランド・コミュニケーション本部 本部長の渡辺康治氏は「かねてから議論を重ねていた2022年以降のHondaパワーユニット技術の取り扱いを含めた協力関係についてレッドブル・グループと合意できたことを嬉しく思います。

 このコラボレーションはHondaが今後もモータースポーツ界に貢献していきたいという思いの表れです。また、体制を強化するHRCを通じて世界中のお客様にモータースポーツをさらに楽しんでいただけるように、より一層努めてまいります」と語った。

中止になった2021年の日本グランプリ、その代替で開催されたトルコGPに、レッドブル・レーシングは日本GPで採用するはずだった、特別なカラーリングの車両で参戦。マックス・フェルスタッペン選手が2位、セルジオ・ペレス選手が3位と、揃って表彰台に登壇した。1965年のメキシコGPで故リッチー・ギンサー氏によってHondaがF1での初優勝を遂げた車両、RA272をモチーフとし、フロントノーズのカーナンバーは日の丸で囲まれ、リアウイングの後部とエンジンカバーには「ありがとう」の文字が載せられた。
フェルスタッペン選手(右)とセルジオ・ペレス選手(左)も、車両と同じ白を基調とした特別カラーリングのレーシングスーツでトルコGPに参戦。太ももの外側には「レッドブル」、腰の国旗の横にはフェルスタッペン選手は「マックス」、ペレス選手は愛称の「チェコ」と日本語が躍った。また、トルコGPでは角田選手が14位完走、ピエール・ガスリー選手が6位に入賞したスクーデリア・アルファタウリの車両は、リアウイング後部に「ありがとう」の文字が載せられた。

 そして、今回のオンライン説明会の最後には、参加した自動車およびモータースポーツ関連メディアやF1ジャーナリストたちからの質問に、渡辺氏とHondaブランド・コミュニケーション本部モータースポーツ部 部長の長井昌也氏が答えた。

 レッドブル・グループとの新たな協力関係については、2022年シーズンはテクニカルパートナーとしてレッドブル・グループの2チームを支援すること、F1パワーユニットのバッジにHondaの名は入らないであろうこと、レッドブル・ジュニアチームのドライバーたちも、日本のモータースポーツで活躍する機会が増える可能性があることなどを回答した。

 二輪と四輪のモータースポーツ活動を一手に担うことになるHRCについては、その活動は2022年シーズンから始まること、当面は現在と変わらず二輪は埼玉県の朝霞、四輪は栃木県のさくらを拠点に活動すること、HRCブランドの市販車への展開も検討していることなどを回答。そしてカーボンニュートラル実現について、モータースポーツにおける取り組みについても、他の国内自動車メーカーとも話をしつつ、検討をしていることも回答した。

 F1での活動終了後のHondaのモータースポーツ活動も、これまでと変わらず期待することができそうだ。

フォト/Honda、Red Bull Content Pool、JAFスポーツ編集部 レポート/JAFスポーツ編集部

ページ
トップへ