中部地区戦最終戦は幸田で開催。激戦区SA4は西田哲弘ランサーが3勝目をマーク!
2021年10月13日
JAF中部ジムカーナ選手権は今季の最終戦となる第8戦が開催され、100台近いエントラントがシリーズを締め括る一戦に臨んだ。
2021年JAF中部ジムカーナ選手権第8戦
2021年JMRC中部ジムカーナ選手権第8戦
2021年JMRC全国オールスター選抜第8戦
MASC M-I TECHNICAL GYMKHANA 2021
開催日: 2021年9月19日
開催場所: 幸田サーキットYRP桐山(愛知県幸田町)
主催: MASC、M-I
6つの会場で計8戦のシリーズが予定されていた今年のJAF中部ジムカーナ選手権は、コロナ禍のため、2戦が中止を余儀なくされ、計6戦のシリーズとして成立する運びとなった。キョウセイドライバーランド(愛知)が2戦、奥伊吹スキー場(滋賀)、美浜サーキット(愛知)、イオックスアローザ(北陸)そして今回、最終戦の舞台となった幸田サーキットYRP桐山(愛知)が1戦ずつと、結果的には東海地区での開催の比重が高い一年になっている。
泣いても笑っても一年の決着がつく今回の最終戦には98台が参加し、15クラスに分かれて激戦を展開した。当日の天候は朝は晴れていたものの、その後曇りから、一時は雨も降り出すという目まぐるしく変化するコンディションに。フルウェットとはならなかったが、こうした天候も影響し、クラスによっては第2ヒートでタイムダウン傾向になるなど、出走のタイミングが勝敗に影響する一戦となった。
最初の決勝クラスとなったRPN1クラスは10台が参加した。前戦でタイトルを確定させた山崎哲也選手は他のクラスにエントリーし、不参加だったものの、10台中9台を占める現行のND5RCロードスター勢による上位争いが展開された。第1ヒートは菅野秀昭選手が1分42秒141でトップに立つが、第2ヒートに入ると各選手とも1分42秒台を連発し、菅野選手に迫った。しかしベストタイムは更新されないまま菅野選手が出走。1分42秒458とタイムを落とすが、その後も菅野選手を脅かすドライバーは現れず。結果、菅野選手が第1ヒートのタイムで今季初優勝を飾り、ND5RCロードスターでの初の1勝を獲得した。
1991年から当時の全日本ジムカーナ選手権C3クラスを4連覇するなど、改造車のトップドライバーとして知られた大ベテランの菅野選手だが、最近は最もノーマルに近いクラスでジムカーナを楽しんでいる。「地区戦は、こことキョウセイでしか勝ったことがないんです(笑)。去年まで抑え込まれていた森嶋(昭時)君が今年はラリーの方に行ってお休みなので、今年は勝てるかなと思ったら、若い子が出てきて、また勝てなくて(笑)。走りは、まぁまぁって感じでしたが、最後に勝てて嬉しいです」と笑顔を見せていた。
ND5RCロードスターが群雄割拠のもうひとつのクラス、PN1クラスでも小野圭一選手が参加13台という激戦区を制し、今季最後の一戦で初優勝を飾った。まったくの無名ながら今季の開幕戦で2位を獲得。続いて参戦した近畿地区戦開幕戦では優勝をさらい、一躍注目を浴びた小野選手だが、その後は低迷を余儀なくされた。
「最初にいい結果を出してしまったもので、これを維持しなければと変なプレッシャーを自分にかけてしまった」という小野選手だが、今回の一戦で長いブランクから抜け出せた形だ。「やっぱりメンタルが大きかったなと痛感しました。今日は焦らない、頑張らない走りができたのが勝因ですね。2本とも“99%の走りをする”という、今の目標に近い走りができたと思います」と小野選手。シリーズランキングも上がり、JAFカップの出場権を得たことに安堵の表情を浮かべていた。
今回の大会では小野選手と同じく20代の若手選手が活躍を見せた。SA1クラスでは社会人3年目の表和之選手が第1ヒートのタイムで逃げ切って今季2勝目を獲得。この勝利でランキングトップにも躍り出て、初のシリーズチャピオンを確定させた。第2ヒートでは表選手の大学自動車部の先輩に当たる近藤瑛貴選手が表選手を上回るタイムでゴールしたが、痛恨のパイロンタッチで逆転はならなかった。
「チャンピオンは意識はしていましたが、近藤さんに勝てるとは思わなかったので、凄くプレッシャーがかかったという感じではなかったんです。でも、1本目はマージンを取り過ぎた走りをしてしまいましたね。2本目も降ってきた雨に対応できなかったので、納得の走りではなかったです」と表選手。しかし出走した6戦中優勝2回、2位3回と、最後まで安定した速さを見せたことが、タイトルを手繰り寄せた形となった。
一方、SA4クラスは参加13台と今回も盛り上がりを見せた。2リッター4WDターボ車を主とした対象とするクラスは減少傾向にある地区も少なくないが、中部地区は今年も多くのエントリーを集めている。このクラスは前述した通り、今季は東海地区での開催が多い中、北陸の堀隆成、西田哲弘の両選手が勝ち星を分け合っており、最終戦は西田選手が0.015秒差という僅差で3勝目をマーク。勝ち星で掘選手と並んだが、チャンピオンは今回2位に入った堀選手が確定させた。
「1本目はパイロンの多い後半に合わせたタイヤ選択が当たって、タイム的にも後半に巻き返せましたが、2本目は逆に後半、伸び悩んでしまいました。チャンピオンも獲りたかったですけど、今日は痛み分けというところでしょうか(笑)。また北陸にタイトルを戻せて良かったです」と西田選手。26歳という若さで激戦区を制した堀選手は、「チャンピオンは、滅茶苦茶嬉しいです。今年は本当にタイヤも沢山買って練習したので、投資した甲斐がありました(笑)」と喜びを爆発させていた。
フォト&レポート/JAFスポーツ編集部