全日本/ジュニアカート選手権東地域は東西統一競技会前の最終決戦

レポート カート

2021年10月22日

全日本カート選手権2021シリーズの東地域第5戦がスポーツランドSUGO西コースで開催。FS-125部門ではSUGO育ちの小林利徠斗選手(Formula Blue Super Racing Junkie!)が今季初優勝を飾り、FP-3部門では豊島里空斗選手(HRT with カローラ新茨城Jr)がマッチレースを制して初勝利を挙げた。

2021年JAF全日本カート選手権 FS-125部門/FP-3部門 東地域第5戦
2021年JAFジュニアカート選手権 FP-Jr部門/FP-Jr Cadets部門 東地域第5戦

開催日:2021年10月16~17日
開催地:スポーツランドSUGO西コース(宮城県村田町)
主催:SSC

 全日本FS-125部門/FP-3部門の2021シリーズは、今回が東地域ラストの一戦だ。西地域はすでに5戦すべてを終了しており、この大会を終えると、残すは東西統一競技会のみ。チャンピオン争いの趨勢を決める重要なレースだ。

 10月に入っても夏のような暑さが続いていた気候は、ようやく秋らしさを取り戻し、スポーツランドSUGOは急な冷え込みに見舞われた。2DAY開催のレース期間は、大会初日の早朝から2日目の昼前までが雨、以降が曇り空。びしょ濡れだった路面は2日目の午後には乾き始め、コースコンディションはすべての部門で予選がウェット、決勝がドライとなった。

 19台が参加したFS-125部門では、ウェットコンディションのタイムトライアルに第4戦までとの変化が表れた。トップタイムを叩き出したのは、東地域ランキングで目下8番手の植田晴斗選手(KP BUZZ)。2番手に地元勢の小林選手が続き、前戦優勝の野澤勇翔選手(Formula Blue エッフェガーラ)は6番手に、2勝を挙げて東地域のポイント争いをリードする堂園鷲選手(Energy JAPAN)は7番手に留まったのだ。

 予選では、スタートでトップを奪った小林選手がウェットレースを独走して決勝のポールを獲得。富田星羅選手(MORISHITA RACING)が2番手、植田選手が3番手となった。堂園選手はこのヒートでも精彩を欠き、決勝は11番グリッドからのスタートだ。

 26周の決勝は、全車スリックタイヤを履いてのレースに変わった。小林選手はここでもスタートを決め、トップのまま発進。そして2番手に上がった植田選手を一気に引き離し、4周で1秒のリードを築いてみせた。

 その小林選手に、後方から急接近してくる1台のマシンがあった。予選までの不振を脱して速さを取り戻した堂園選手だ。単独走行で2番手を走っていた植田選手に堂園選手が追いつき、堂園選手が前に出ると、ここから小林選手のリードがどんどん減っていく。9周目、小林選手と堂園選手は一丸となった。

 レースが折り返し点を迎えた14周目、ついに堂園選手がトップを奪った。小林選手も意地を見せて堂園選手にぴたりとついていくが、両車の間隔は18周目から開き始め、残り6周で約1秒に広がった。独走状態で26周を走り切った堂園選手は、右手でナンバー1サインを掲げてフィニッシュ。ところが、結果は堂園選手の3勝目とはならなかった。

 黒く湿った部分が残るコースで10台を抜いてきた堂園選手のマシンはフロントフェアリングが落ちており、堂園選手には5秒加算のペナルティが。優勝は繰り上がりで小林選手のものとなった。今季、不振にあえいでいた小林選手にとって、これは昨年第3戦以来の待ちわびた勝利だった。

 2位は9番グリッドから猛追の伊藤祐選手(ガレージC)、3位は野澤選手。堂園選手は植田選手に続く5位という結果になったが、それでも東地域のポイントリーダーの座を守っている。

久々の優勝を喜ぶ小林利徠斗選手。「優勝は昨年の茂原以来1年ぶりだったので、やっと勝てたうれしさと安心感がありました。シーズン中は結果が振るわない間もあきらめずにやってきたので、それがようやく結果につながってうれしいです。セッティングや走り方も大切だけれど、そもそもマシンに不調がないかといったような、もっと根本的な見直しをしたらガラッと状況が好転しました。東西統一が行われるもてぎは勝てる自信があるコースなので、このいい流れをもって全力を尽くしたいと思います」と次戦の表彰台獲得に強い意志を見せた。
FS-125部門の表彰式。左から2位の伊藤祐選手、1位の小林選手、3位の野澤勇翔選手が登壇した。

 18台が参加したFP-3部門では、ポールから先頭の座をキープして発進した豊島選手を、スタートを決めて4番グリッドから2番手に上がった大越武選手(BEMAX RACING)が捕らえ、2台は10周目からゴールまでテール・トゥ・ノーズの戦いを延々と繰り広げた。

 13周目には大越選手が豊島選手の前に出る場面もあったが、豊島選手はすぐにこれを抜き返してトップを奪還。最後の1周をイン寄りのラインで走ってポジションを死守した豊島選手が、歓喜の初勝利を果たした。大越選手は逆転優勝こそならなかったものの、開幕戦以来のスポット参戦で2戦とも2位の好成績を残してみせた。

 ウェットコンディションでは振るわず10番グリッドから決勝をスタートすることとなった村田悠磨選手(SPS川口)は、スリックタイヤに変わった決勝で調子を取り戻して3位に入賞し、ランキング首位をキープ。スポット参戦でタイムトライアル1位、予選2位と輝きを放った高橋侑司選手(teamX43)は、決勝では順位を下げたが、それでも全日本デビュー戦を6位入賞で終えた。

「SUGOは得意なコースだったので、勝ててうれしいです。自分は新品タイヤの皮むきが全然できてなくて、雨が少し降ってきた時は頭が混乱したけれど、なんとか冷静さを取り戻して走ることができました。(大越選手に)1回インに入られたけれど、相手がオーバーランしてついていくことができ、いいレースができたと思います。最終ラップはしっかりブロックして、クロスをかけられる場所も分かっているので、そこもきちんと抑えて、優勝することができました」とレースを振り返った豊島里空斗選手。
FP-3部門の表彰式。左から2位の大越武選手、1位の豊島選手、3位の村田悠磨選手が登壇した。

 同時開催のジュニア選手権・東地域第5戦。FP-Jr部門では、ポールの春日龍之介選手(SPS川口)がオープニングラップで大きなリードを手に入れ、独走で初優勝を遂げた。2位は、4秒以上あった春日選手のリードを1秒強まで削り取ってみせた岡澤圭吾選手(HRT with カローラ新茨城Jr)。前戦まで3連勝の鈴木恵武選手(RT-APEX)が3位に入り、5戦連続の表彰台登壇を果たした。

 FP-Jr Cadets部門では、序盤戦を独走した遠藤新太選手(AAA motorsports)に吉岩泰選手(ミツサダ PWG Racing)が追いつき、最終ラップの激闘の末に吉岩選手が逆転優勝を遂げた。第3戦から参戦の吉岩選手は、これで3戦2勝だ。遠藤選手はゴール目前のバトルの際にスピンを喫し、その脇をすり抜けた松井沙麗選手(BEMAX RACING)が2位を獲得。遠藤選手は3位となった。

リードを守って優勝した春日龍之介選手は「ブッチ切りのレースだったかと言うとそうでもなくて、最初の10周くらいは後ろを引き離すことができたけれど、そこから岡澤選手が追いついてきて、内心はひやひやでした。ゴールした時はすっごくうれしかったです。次のもてぎはローカルレースで2連勝中のコースなので、今度も勝ちたいです」と初優勝を喜んだ。
FP-Jr部門の表彰式。左から2位の岡澤圭吾選手、1位の春日選手、3位の鈴木恵武選手が登壇した。
「一回、遠藤選手に離されてしまったけれど、ドライの速さには自信があったので、追いつけるだろうと思って落ち着いて走りました。最後にまた離された時は焦ったけれど、どう抜くかを考えながら勝負しました。東西統一競技会では酒井龍太郎選手もいるので、今回のように自分の展開にもっていって勝ちたいです」と優勝の喜びも束の間、東西統一競技会に照準を合わた吉岩泰選手。
FP-Jr Cadets部門の表彰式。左から2位の松井沙麗選手、1位の吉岩選手が登壇した。3位は遠藤新太選手。

フォト/JAPANKART レポート/水谷一夫、JAFスポーツ編集部

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