シリーズ戦4回目の開催を迎えた富士スピードウェイのオートテストは大盛況!

レポート オートテスト

2021年11月2日

JAFオートテストin富士スピードウェイ
開催日:2021年10月17日
開催地:富士スピードウェイ内カートコース(静岡県小山町)
主催:VICIC

 緊急事態宣言およびまん延防止等重点措置が9月末に全都道府県で解除され、全国的に人出が増加傾向にある10月中旬の週末。年初の1月より新型コロナウイルス感染症の感染防止対策を徹底して開催されているJAFオートテストin富士スピードウェイは、シリーズ戦として4回目の開催を数え、関東近郊在住のオートテストファンをはじめ、モータースポーツに興味を持つ参加者がサーキットに集まった。

 全国的に曇りまたは雨となった10月17日、オートテストの会場となった富士スピードウェイも朝から雨に見舞われたが、日頃の自粛生活を強いられてきた鬱憤を晴らすべく、多くの参加者で賑わった。また富士スピードウェイという場所柄、モータースポーツを肌身で実感できる環境であること、そして都心からのアクセスにも長けていることから、JAF公認クラブのビクトリーサークルクラブ(VICIC)主催のオートテストは注目を集めている。

 それを裏付けるのが参加台数の増加だ。1月30日開催の第1回は初開催ということもあり、参加台数をあえて50台以下と絞ったものの、VICIC代表の今宮眞氏からは今後100台くらいに増やして開催していくというプランを第1回終了時にうかがった。実際、その宣言どおりに第2回は87台、第3回は83台が参加と、開催毎に手応えを掴んでいったようで、今回の第4回は92台のエントリーとなった。

 またシリーズ戦と銘を打っていることから、富士スピードウェイ開催ならではのオートテストの固定ファンも存在している。JAFスポーツ編集部調べによると、第1回から第4回までフル参戦の皆勤賞は11名だ。諸事情で1回だけ欠場している参加者も14名と多い。SNSを使った参加者同士の独自のコミュニティもあるようで、十人十色にオートテストを楽しんでいる様子が伝わってくる。

 しかしながらこのような常連参加者が多いと、オートテスト初心者には参加への敷居が高いように思われがちだが、そのような空気は皆目ない。実際のところ今回のビギナークラスの大半は初めて参加する人ばかりで、誰もが気軽に楽しめる雰囲気があった。中には日本語が流暢ではない外国人選手の笑顔も見受けられたほどだ。

富士スピードウェイ内のカートコースがオートテストの会場となった。ちなみにこのカートコースは国際レーシングコースのコースレイアウトをイメージしてつくられているのが特徴だ。
当日は朝からあいにくの雨だったが、このオートテスト開催を待ちわびた参加者が受付開始前から続々とカートコース駐車場に集まった。
トランスポンダ(発信機)をエントリー台数分用意し、参加者全員へ貸与。ラップタイム計測の結果はコース外周にある電光掲示板に表示される。
自ら選手としてオートテストに参加しながら、待ち時間には他の参加者の走りを撮影するという「JAFオートテスト勝手に撮影隊」。SNSでその撮影画像を公開、配布してくれているようだ。
ブリーフィングではルールや注意事項の最終確認が行われた。参加者からの疑問や質問にも快く対応していく。
この大会に協力したJAFウィメン・イン・モータースポーツ作業部会の飯田裕子座長が挨拶。女性選手の激励を行う。

 午前中より受付を開始して、昼過ぎから競技が始まるというゆったりめのスケジュールとなった。いち早く慣熟歩行を行いながら設定コースをじっくり確認したり、お互いの車両を見せあって撮影や談笑しあったりといった、オートテストならではの光景が会場のあちこちで見られた。

 クラス分けはシンプルにビギナーとエキスパートの2クラス設定。競技が始まると順番どおり車列が形成され、次々にスタートが切られていく。今回は主催者の計らいで、コース上に設置されたすべてのパイロンに、車両の侵入方向を指示する矢印マークが貼られていた。これはミスコースを軽減する目的で行われた取り組みで、オートテストをより一層楽しんで帰ってもらうのが狙いだ。

 コースは大小メリハリのあるスラローム中心のレイアウトが採られた。パイロンを左右交互に抜けながら、中盤にキモとなる車庫入れがあり、再びスラロームをこなしていきゴールを目指す、といった内容だ。降雨の影響で若干視界が曇るタイミングもあったが、落ち着いていれば初心者でも分かりやすいコースだった。

 会場となったカートコースは一般道の舗装とは異なり、高いミュー舗装が施されていることから、ウェットコンディションではあったものの、その路面のグリップ力の強さを参加者は少しでも体感できたことだろう。競技中に大きなスリップ等のトラブルも起きなかったことが、論より証拠と言える。

 さて、競技は大半の選手が1ヒート目が様子見で、2ヒート目にタイムを更新するというパターンが多く目についた。その中で際立ったのが、1ヒート目から全開で攻めたエキスパートにエントリーの日紫喜俊夫選手と大塚拓哉選手の43秒台のタイム。電光掲示板にラップタイムが表示されると、それを上回れる選手が現れなかった。

 だが、1ヒート目に4番手だった浜屋雅一選手が2ヒート目で気を吐き、自身のタイムを3秒以上も縮めて、唯一総合42秒台を叩き出した。巻き返しを図るオートテスト常連の日紫喜選手はまさかのDNF、大塚選手は1.1秒届かず悔しい2位。浜屋選手が逆転優勝を飾り、富士スピードウェイ開催のオートテストで2連勝を飾った。

 一方、ビギナーは50秒を切るか切らないかのボーダーラインでトップ争いが繰り広げられていたが、スイフトスポーツの鈴木正吉選手が2ヒート目で47秒245のタイムをマーク。他選手も自己タイムを塗り替えていくも、48秒台が精一杯だった。鈴木選手は初めての参加で初優勝を遂げた。

今回初めて参加したというスイフトスポーツを駆る鈴木正吉選手は、1ヒート目から50秒を切るタイムを叩き出して2番手になると、2ヒート目でさらに2.6秒縮める好走を見せて勝利。クラス唯一の47秒台で優勝を遂げた。
ビギナー表彰式。1位は鈴木選手、2位は渡邉恵佑選手、3位は島田秀雄選手、4位は中野瞬選手、5位は佐藤羊治選手、6位は原和史選手、7位は須永一嘉選手、8位は石田拓也選手、9位は軍司浩伸選手、10位は小山雅紀選手。
富士オートテスト常連の日紫喜俊夫選手と大塚拓哉選手が1ヒート目に43秒台を出して0.01秒差の接戦を見せるも、浜屋雅一選手が2ヒート目に42秒台でタイム更新、逆転優勝を飾る。浜屋選手は第3回に続く連勝で、シリーズ4戦中3勝を挙げる強さを見せた。
エキスパート表彰式。1位は浜屋選手、2位は大塚選手、3位は日紫喜選手、4位は畠山翔選手、5位は北見裕亮選手、6位は林孝選手、7位は佐藤尚敬選手、8位は小嶋正巳選手、9位は朽津進選手、10位は森信彦選手。
女性参加者の中でベストタイムを出した選手に贈られるLady's Best Time賞は、S660でエントリーしたツクイマリ選手。ツクイ選手は第3回開催時はビギナーで参戦し、今回はエキスパートにクラス変更して挑んだ。
今回のオートテストには女性選手が9台参加した。思ったようなタイムが出せたり出せなかったり、緊張でミスコースをしたりと、さまざまな想いがあったと思われるが、最後は皆、素敵な笑顔を見せて競技を終えた。
ドライビングポジションの改善指南や、助手席に同乗してのコース攻略の助言など、女性選手たちをフォローして精力的にオートテストを盛り上げる飯田座長。
JAFウィメン・イン・モータースポーツ作業部会の福島佳苗氏が、一選手として愛車でオートテストに参戦。飯田座長にコース攻略のアドバイスを乞うた。

 この大会のかたわらでは、JAFがオートテストにおけるさまざまな試みを実施していた。8月10日にJAFより公示された「オートテストオーガナイザーガイドラインの改定について」にて追加および修正された内容を受け、特に「参加者からのアンケートの取得」に力を入れていた。

「オートテストを盛り上げるためのアンケート」を積極的に参加者へ配布し、忖度のない選手の生の声を拾い上げ、現在のオートテストがどのように評価されているのかをヒアリング。そこから見えてくる意見や不満から課題を設定して、今後のオートテスト開催に生かされていくことだろう。

 そしてもうひとつのトピックスとして、ブリーフィングで挨拶を行ったJAF東京支部事業課モータースポーツ係の高木直之氏より、2022年よりオートテスト上級者向けのステップアップ・プログラムとして位置づけた、JAF公認オートテスト・シリーズ戦開催の告知がなされた。

 これはJAFモータースポーツライセンスを必要としたJAF公認競技の大会となる。上位にはJAFメダル、そして年間ランキング上位にはシリーズトロフィーが贈呈され、JAFモータースポーツサイトに結果表が永久保存される、というものだ。近い将来、オートテストが今以上に濃い競技になっていくことだろう。

JAF東京支部の高木直之氏より、JAFオートテストin富士スピードウェイでの“JAF公認”オートテスト・シリーズ戦の同時開催計画が発表された。
JAF職員がオートテストを盛り上げるためのアンケートを参加者にお願いするとともに、現状のオートテストの把握に努めた。
まずは交通社会を思いやりから変えていく「思いやりティドライブ」プロジェクトのPRブースを出展。オートテスト参加者へ賛同者を募った。

フォト/小竹充、JAFスポーツ編集部 レポート/JAFスポーツ編集部

ページ
トップへ