勝田貴元選手のWRC第11戦は我慢と勉強のラリーとなるも、TOYOTA GAZOO Racing WRT勢はランキング首位を堅持、いざ最終決戦へ!

レポート ラリー

2021年10月29日

2021年のFIA世界ラリー選手権(WRC)第11戦「ラリー・スペイン」が10月14日~17日、スペイン北東部のサロウで開催。
TOYOTA GAZOO RacingのWRCチャレンジプログラムから参戦している日本人初のフルタイムWRCドライバー、勝田貴元選手はSS1でのアクシデントによりデイリタイアを喫し、デイ2で再出走を果たしたが我慢のラリーが続き、総合39位で終えた。

2021年FIA世界ラリー選手権 第11戦 ラリー・スペイン
2021 FIA World Rally Championship Round 11 RallyRACC Rally de España

開催日:2021年10月14日~17日
開催地:スペイン・サロウ周辺

 ラリー・スペインはここ数年、ターマックとグラベルを併せ持つミックスサーフェスラリーとして開催されてきたが、2021年はフルターマックラリーに生まれ変わった。「スペインのステージはサーキットのようなイメージがあるんですけど、今年はインカットが多く、例年以上にグラベルが出ていてアンダーステアに苦戦しました」と印象を語った勝田選手。

 それでも2019年もヤリスWRCでこのラリーに挑んだ経験を持っていただけに、勝田選手の活躍が期待されていたのだが、15日のデイ1で予想外のハプニングが発生した。 「スタートから18km地点でペースノートを聞き間違えてしまいました。タイトなコーナーだったんですけど、その認識がなくて、オーバースピードで入ったところ、コーナーの出口でガードレールに当たってしまいました。」

 と語るように、オープニングステージとなるSS1で勝田選手はクルマの左フロントを破損。なんとかこのステージを走り切ったものの、クルマのダメージが大きかったことからデイリタイアを決断した。

2位で表彰台に上った第6戦ケニアまでは連続入賞を果たし、安定感のある走りを見せていた勝田貴元選手だったが、第7戦以降のポイントは第10戦のパワーステージで獲得した2ポイントのみ、と苦戦が続いている。

 勝田選手にとって波乱の幕開けとなったこのラリーだったが、翌16日のデイ2で再出走を果たしてからもタイムが伸び悩み、各SSで7番手から10番手あたりで推移する苦戦を強いられた。その原因について「ペースノートとフィーリングでいい感覚が掴めなかったので抑えて走っていました。自信を取り戻すのに時間がかかってしまいましたね」と勝田選手は振り返った。それでもSS12では5番手タイムをマークするなど、デイ2終盤にさしかかると自信が戻ってきたのか、ペースアップの兆しを見せ始めた。

 しかし、最終日のデイ3も勝田選手は7番手や8番手のタイムで推移していたが、SS16で今ラリー2度目の5番手タイムをマークするなど、ペースを取り戻したSSもあった。残念ながら総合順位は39位に沈み、「SS1でコースアウトしただけに自分としてもがっかりしました。その後も、納得のいく走りはできなかった」と勝田選手は反省しきり。

 その一方で「コ・ドライバーのアーロン・ジョンストン選手と組んだのはこれで2戦目ですが、再出走を果たすことでコンビを深めることができました。最初は集中して聞かないとダメでしたが、最後は違和感もなく聞き取れたし、リーディングのタイミングも合ってきました」と語るように、高速ターマックラリーで多くのことを吸収した1戦となったようだ。

「2021年の前半戦は順調でしたが、それでもドライビングとペースノートに関しては、まだまだ改善点が多くあります。それにクルマのフィーリングが自分にマッチしていない時、例えばアンダーステアの状態だったとしても、セバスチャン・オジエ選手やエルフィン・エバンス選手は表彰台を争える技量を持っているので、自分も底上げを図りたいと思います。」

 そのように今後の課題について語る勝田選手は最終戦のラリー・モンツァについては「今年のモンツァは昨年と同じようなステージにプラスして、山岳ステージが2箇所も増えたので昨年の大会以上にラリー要素が増えてくると思います。最後のWRカーでのラリーになりますので、自分としても最大限の力を発揮したいと思います」と意気込みを語った勝田選手。今季を締めくくる一戦での活躍に期待したい。

結果は残念なものだったが、コ・ドライバーのアーロン・ジョンストン選手との連携を深めることができた勝田選手。昨季はSSウィンも果たしたラリー・モンツァで好結果を残し、今季を締めくくれることに期待したい。

 そして優勝争いはヒュンダイi20クーペWRCを駆るティエリー・ヌービル/マーティン・ヴィーテガ組が、デイ1のSS5でトヨタ・ヤリスWRCを駆るエバンス/スコット・マーティン組から首位を奪取すると、その座を一度も譲らずフィニッシュ。やはりターマックラリーだった第8戦のドイツ以来となる、今季2勝目を獲得した。

 TOYOTA GAZOO Racing World Rally Team(WRT)勢はドライバーズ/コ・ドライバーズチャンピオンを争うランキング2番手のエバンス組が2位表彰台を獲得。オジエ/ジュリアン・イングラシア組は4位に入賞してランキング首位を守り、5位にカッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン組が続いた。マニュファクチャラーズランキングでも2位のヒュンダイに47ポイント差で首位を堅持し、それぞれの王者が決まる最終戦を迎える。

序盤はラリーをリードしたものの、逆転を喫して2位となったエルフィン・エバンス(左)/スコット・マーティン(右)組。最終戦は逆転での王座獲得に挑むこととなった。

 また、ラリー・スペインが開催される前の10月7日には、TOYOTA GAZOO Racing WRTがWRCにデビューした2017年から2季在籍したエサペッカ・ラッピ選手が、2022年からチームに復帰することが発表された。ラッピ選手は、フルタイムドライバーから退くオジエ選手とシートをシェアすることも明かされた。

2022年シーズンのTOYOTA GAZOO Racing World Rally Teamは4組のクルーでチャンピオンに挑むこととなった。左からエバンス選手、ロバンペラ選手、オジエ選手と復帰を果たしたエサペッカ・ラッピ選手。

フォト/TOYOTA GAZOO Racing、Red Bull Content Pool レポート/廣本泉、JAFスポーツ編集部

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