全日本ダートトライアル最終決戦! すべてのクラスでタイトルが確定

レポート ダートトライアル

2021年11月2日

全日本ダートトライアル選手権第8戦「NANO TOP カップダートトライアル in タカタ」が、10月23~24日に広島県安芸高田市郊外のテクニックステージタカタを舞台に開催された。

2021年JAF全日本ダートトライアル選手権第8戦「NANO TOP カップダートトライアル in タカタ」
開催日:2021年10月23~24日
開催場所:テクニックステージタカタ(広島県安芸高田市)
主催:CCN

 同選手権の最終戦となる今大会は、当初のカレンダーでは10月9~10日に予定されていたが、大会1か月前の参加受付期間中に19都道府県で緊急事態宣言が発令されていたことにより、従来の予定から2週間後の10月23~24日に開催を延期。

 10月に入ってすでに緊急事態宣言は解除されていたが、万全を期すために無観客での開催となり、参加選手やオフィシャル、サービス員など、大会関係者すべてが問診票を提出の上、別会場のTSタカタサーキットで全員の検温を行ってから会場入りするなど、入念な感染防止対策が実施された。

 シリーズ最終戦となる今大会には、全クラス合わせて159台がエントリー。前戦までにJD11クラスは小関高幸選手、JD8クラスは谷尚樹選手、JD5クラスは細木智矢選手、JD4クラスは北村和浩選手が今シーズンのタイトル獲得を確定させているが、残るJD9、JD7、JD6、JD3、JD2、JD1の6クラスは、タイトル確定がこの最終戦までもつれ込む激戦となっている。

決勝タイムが2WDクラスで2分前後、4WDクラスで1分50秒前後というロングコース。路面コンディションも良好で、タカタのコースをフルに使ったハイスピードレイアウト設定となった。

 チャンピオン候補がシリーズランキングトップの炭山裕矢選手と同2番手の谷田川敏幸選手に絞られたJD1クラスは、第1ヒートで炭山選手がベストタイムを奪うものの、谷田川選手も約0.7秒差の2番手と一歩も譲らない構えだ。

 有効ポイントでは優勝しない限りチャンピオン獲得の可能性がない谷田川選手は、第2ヒートでベストタイムを更新してトップに立つものの、すぐさま第1ヒート2番手の鎌田卓麻選手が谷田川選手のタイムを約0.5秒更新。さらに第1ヒートトップの炭山選手が鎌田選手のタイムを約0.4秒更新し、今季3勝目を獲得するとともに、Dクラス時代から3年連続となるシリーズチャンピオンを確定した。

JD1クラス優勝は炭山裕矢選手(ZEALbyTSDLミラージュ)。
JD1クラスの表彰式。左から2位の鎌田卓麻選手、1位の炭山選手、3位の谷田川敏幸選手。また炭山選手がチャンピオンを確定させた。

 シリーズ2勝の目黒亮選手と、シリーズ1勝を挙げている亀田幸弘選手と上村智也選手がタイトルを争うJD2クラスは、ランキングトップの目黒選手が、昨年のチャンピオン大西康弘選手に約0.9秒差をつけ、第1ヒートのトップを奪う。亀田選手は後半セクションで遅れて4番手、上村選手はトップから約2.3秒差の5番手につける。

 路面の砂利が捌けた第2ヒートは、第1ヒートトップの目黒選手がベストタイムをさらに0.3秒更新してくるものの、本人は「失敗も多く、このタイムでは優勝できない……」と表情は固い。その心配が的中し、「最終戦は優勝したい」と出走前に語っていた吉村修選手が目黒選手のタイムを約0.2秒上回り、トップに浮上している。

 これで勝負あったかに見えたが、「前戦あたりから、やっとクルマの調子が良くなってきた」というクラスラストゼッケンの大西選手が、吉村選手のタイムを0.9秒更新。大西選手が、第2ヒートの逆転で今季初優勝を飾った。また、チャンピオン争い渦中の亀田選手が4位、上村選手が7位と低迷。3位に入賞した目黒選手が、自身初となる全日本チャンピオンを確定させた。

JD2クラス優勝は大西康弘選手(YH・TEIN・AGランサー)。
JD2クラスの表彰式。左から2位の吉村修選手、1位の大西選手、3位の目黒亮選手。また目黒選手がチャンピオンを確定させた。

 坂田一也選手と佐藤史彦選手、山崎迅人選手がタイトルを争うJD3クラス。迎えた最終戦は、坂田選手が6位以上でタイトル確定となる計算で、佐藤選手と山崎選手にとっては厳しい状況だ。

 第1ヒートは、タカタを得意とする地元の鈴鹿浩昭選手がトップタイムを奪い、坂田選手は0.038秒差の2番手につける。第2ヒートは全日本で優勝経験を持つ一柳豊選手がベストタイムを更新してくるが、第1ヒート3番手の奥村選手が一柳選手を約0.4秒上回るベストタイムをマーク。さらに山崎選手が奥村選手を約0.5秒上回り、トップを奪う。

 この時点で、第1ヒートのタイムで坂田選手は7番手。山崎選手に逆転チャンピオンのチャンスが生まれたが、坂田選手は山崎選手に敗れはしたもののクラス2位のタイムをしっかりとマーク。自身2回目となるシリーズチャンピオンを確定させた。

JD3クラス優勝は山崎迅人選手(YHマックスゲンシンミラージュ)。
JD3クラスの表彰式。左から2位の坂田一也選手、1位の山崎選手、3位の奥村直樹選手。また坂田選手がチャンピオンを確定させた。

 すでに北村和浩選手が今シーズンのタイトルを確定しているJD4クラスは、その北村選手が豪快な攻めを見せ第1ヒートのトップタイムをマーク。第2ヒートは、タカタをホームコースとする浜孝佳選手が「タカタは知っているコースだけにいつも気合いが入り過ぎて失敗することが多かったのですが、今回は冷静に走ることができたと思います」と第1ヒートに北村選手がマークしたベストタイムを更新してトップに浮上。

 この浜選手のタイムがなかなか更新されず、第1ヒートトップの北村選手も「ハイスピードレイアウトだったので、気持ち良く攻めすぎた(笑)」と、タイムアップを果たすものの、浜選手のタイムには0.3秒届かない。前走者のトラブルにより再出走となった林軍市選手も、前半セクションではトップタイムをマークするものの、後半セクションでわずかにタイムダウン。浜選手が、自身初となる全日本初優勝を飾った。

JD4クラス優勝は浜孝佳選手(itzz・ADVANランサー)。
JD4クラスの表彰式。左から2位の林軍市選手、1位の浜選手、3位の北村和浩選手。

 細木智矢選手が今シーズンのタイトルを確定さているJD5クラスは、その細木選手が両ヒートを制する走りで圧勝。今季4勝目を挙げ、有効ポイントでは満点チャンピオンとなった。2位には、昨年チャンピオンを獲得した葛西キャサリン伸彦選手が、3位には内藤修一選手がそれぞれ入賞した。

JD5クラス優勝は細木智矢選手(MJTDLSWKWMスイフト)。
JD5クラスの表彰式。左から2位の葛西キャサリン伸彦選手、1位の細木選手、3位の内藤修一選手。

 タイトル争いが北條倫史選手と岸山信之選手に絞られたJD6クラスは、どちらもこの最終戦で優勝すればチャンピオン確定となる。このふたりの戦いに他の有力選手がどう絡んでくるかが注目される中、第1ヒートは北條選手がトップ。わずか0.05秒差で岸山選手が2番手という緊迫した戦いが展開される。

 路面コンディションが良くなり、ベストタイム更新ラッシュとなった第2ヒートは、関東のベテラン・信田政晴選手が、これまでのベストタイムを1.5秒以上塗り替えてくる中、第1ヒートトップの岸山選手は信田選手に約1秒届かず2番手タイム。この時点でクラス最終走者の北條選手のチャンピオンが確定したが、その北條選手が信田選手のタイムを約0.4秒上回るベストタイムをマークし、4年連続となるタイトル確定を優勝で決めた。

JD6クラス優勝は北條倫史選手(DL☆MJT☆NTランサー)。
JD6クラスの表彰式。左から2位の信田政晴選手、1位の北條選手、3位の岸山信之選手。また北條選手がチャンピオンを確定させた。

 第7戦今庄で岡翔太選手が優勝したことにより、タイトル争いが最終戦まで持ち越しとなったJD7クラスは、第1ヒートでランキングトップの山崎利博選手がトップタイムをマーク。逆転チャンピオンを獲得するためには優勝が絶対条件の岡選手はトップから約1.9秒差の6番手と出遅れる。

 第2ヒートは熊久保信重選手、坂井義浩選手が次々とベストタイムを更新してくる中、「ギャラリーコーナーをすぎたあとにサイドブレーキを戻し忘れてしまって……」と言いながらも崎山晶選手が坂井選手のタイムを0.622秒上回るベストタイムをマーク。

 そのまま崎山選手が逃げ切り、今季初優勝とともにトヨタ86での初優勝を飾った。チャンピオン争いは、山崎選手が3位に入賞、岡選手が4位に入賞したため、山崎選手の2年連続のシリーズチャンピオンが確定した。

JD7クラス優勝は崎山晶選手(DL☆VX86)。
JD7クラスの表彰式。左から2位の坂井義浩選手、1位の崎山選手、3位の山崎利博選手。また山崎選手がチャンピオンを確定させた。

 今シーズンのチャンピオン確定となった谷尚樹選手が欠場したJD8クラスは、第1ヒートでトップタイムをマークした永田誠選手が、第2ヒート2位の中島孝恭選手に0.394秒差をつけるベストタイムをマーク。永田選手が、「今年で63歳になりますが、全日本優勝は初めてです」とうれしい全日本初優勝を獲得した。

JD8クラス優勝は永田誠選手(YH☆OT・オクヤマスイフト)。
JD8クラスの表彰式。左から2位の中島孝恭選手、1位の永田選手、3位の鳥居晴彦選手。

 ランキングトップの太田智喜選手と、その太田選手を1点差で追う濱口雅昭選手、さらに太田選手と濱口選手の結果次第では工藤清美選手と上野倫広選手にも逆転チャンピオンの可能性があるというJD9クラス。

 第1ヒートのトップタイムを奪った太田智喜選手が、第2ヒートでも「タイヤ選択もピッタリだったし、良いラインを走ることができたと思います」と第2ヒートでもベストタイムをマーク。2位の工藤選手に1.305秒の差をつけて今季2勝目を挙げるとともに、自身初となるシリーズチャンピオンを確定させた。

JD9クラス優勝は太田智喜選手(DLMotysクスコデミオ)。
JD9クラスの表彰式。左から2位の工藤清美選手、1位の太田選手、3位の上野倫広選手。また太田選手がチャンピオンを確定させた。

 前戦で小関高幸選手がAT車両クラスの初代チャンピオンを獲得したJD11クラスは、その小関選手が第1ヒートのトップタイムを奪うものの、第2ヒートは「想定外の場所に散水があって……」と2回のスピンで3位にポジションダウン。

 優勝は「ダブルエントリーの娘(寺田みつき選手)から『すごく滑る』とアドバイスをもらったことが良かった」という寺田選手が獲得した。また、2位には全日本初出場の大木厚選手が入賞した。

JD11クラス優勝は寺田伸選手(TガレージDLベルテックス86)。
JD11クラスの表彰式。左から2位の大木厚選手、1位の寺田選手、3位の小関高幸選手。

フォト/CINQ、中島正義 レポート/CINQ、JAFスポーツ編集部

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