東海シリーズ最終戦で水越康支ロードスターが、劇的な逆転勝利でV獲得!

レポート ジムカーナ

2021年11月4日

中部地区の初中級スラローマーを対象としたシリーズとして知られる、JMRC中部ジムカーナ東海シリーズが10月10日に最終戦を迎えた。

2021年JMRC中部ジムカーナ東海シリーズ第5戦
M-I FINAL ATTACK 2021

開催日: 2021年10月10日
開催場所: キョウセイドライバーランド(愛知県岡崎市)
主催: M-I

 全5戦が組まれていた今年のJMRC中部ジムカーナ東海シリーズは、9月の第4戦がコロナ禍により、残念ながら中止を余儀なくされたが、今回の最終戦が無事、開催されたことにより、全4戦のシリーズ戦として成立した。シリーズチャンピオンについては、有効3戦分のポイントとパワーステージ2戦分のポイントの合計で競われることになった。

 パワーステージは、JMRC中部ジムカーナシリーズ独自の規定で、東海シリーズと同じミドルシリーズとして位置づけられる北陸シリーズのふたつのシリーズで、ポイントを加算し合えるというもの。例えば東海シリーズをメインに戦う選手が北陸シリーズに参戦した場合、北陸シリーズで得たポイントを東海シリーズのポイントに、高得点順に2戦分まで加算できるという仕組みだ。ただしこのパワーポイントを申請するためにはメインで戦うシリーズの最終戦にエントリーすることが条件。またパワーポイント取得を目的とした参戦は3戦までとされている。

 美浜サーキットでの序盤2戦、幸田サーキットでの第3戦を経たシリーズは、ミニサーキットを離れ、今季初開催となるキョウセイドライバーランドでの一戦を迎えた。パイロンの比重が高くなるとは言え、上記のミニサーキットにも劣らない中高速域のセクションも持つキョウセイでの開催とあって、最終戦にふさわしい、踏み所も盛り込んだスリリングなコースが用意された。

企業・団体向けのドライビングスクールの教習コースとしても使われているキョウセイのコースは、公道を想定したセクションなどもあり、モータースポーツ専用のコースとはまた違った趣を持つ。
当日のコース図。今回のように、通常は全体の半分程度のスペースを活用してコースを設定する。

 過去3戦すべてウィナーが入れ替わる激戦が続くRPN1クラスは10台による戦いとなった。第1ヒートでただ一人、1分21秒台にタイムを入れてトップに立ったのは、第2戦のウィナー、田中勇太選手。このまま首位を守り切ればチャンピオンの座は田中選手に転がり込むはずだったが、第2ヒートでは田中選手の前ゼッケン、水越康支選手が1分20秒784という、ライバルの度肝を抜くタイムをマークする。これに対して後続の田中選手と、チャンピオンの権利を有する横山雄一選手はいずれも1分22秒台にとどまり、逆転はならず。今季初優勝を達成の水越選手が劇的な形でチャンピオンも獲得した。

 「1本目、エキスパートクラスに使い古したタイヤで出た同じチームの山本(泰寛)選手のタイムと、新品で走った僕のタイムがほとんど変わらなかったので、自分がタイヤを相当余らせた運転をしていたんだなと気が付いたんです。だから2本目はタイヤのグリップを使い切る走りをしようと、だいぶ頑張りました(笑)」と水越選手。「今年はホームコースのここで終盤の2戦が組まれていたので、最後に2連勝して逆転すればいいんだと考えてたんですけど(笑)、コロナでその内の1戦がなくなったので、今日は凄いプレッシャーでした。でも最近は、勝ちを意識し過ぎに自分の走りをすることに集中する、という戦い方に専念できるようになって、今日も1本目はターンをミスったので、同じミスをやらかす可能性もあったんですが、2本目は落ち着いて走れたんですよ。その辺は成長できた部分かなと思います」。初のチャンピオンを手土産にして来季は地区戦に上がりたいと、水越選手は最後に抱負を語ってくれた。

RPN1クラスは第2ヒートで大きくタイムを上げた水越康支選手が優勝。
RPN1クラス表彰の各選手。

 参加19台と今回一番の激戦区となったRPN3クラスは、チャンピオンの権利を残す菊地理大選手が第1ヒートで1分22秒391を叩き出してトップに立ったが、第2ヒートでは地区戦ドライバーで今季、東海シリーズは初参戦となった奥山友貴選手が1分22秒190をマークして逆転し、後続の走りを待った。しかし注目の菊地選手は1分21秒台でゴールするも痛恨のパイロンタッチ。最終走者のポイントリーダー久保敦嗣選手も1分22秒後半のタイムにとどまったため、奥山選手の優勝が決まった。

 ホームコースのキョウセイで今季の走り収めをしたくて参戦したという奥山選手は、「2本目は最初のターンの次のコーナーの進入でオーバーステアが出てしまったので、ゴールした時は、“表彰台に残れるかな?”というくらいの感じでした。ただ、やり切った感はあったし、気持ちよりは抑えめに、と意識して走ったのが、結果的には良かったと思います」と振り返った。なおチャンピオンは中盤の2連勝が効いた久保選手が獲得した。

RPN3クラスでは奥山友貴選手が地区戦ドライバーの貫録を見せて優勝。
RPN3クラス表彰の各選手。

 RA1クラスも参加16台と混戦が予想されたが、終わってみれば2ヒートともベストを奪った遠藤貴郁選手が前戦に続いての優勝を飾った。ヒート2では唯一、1分19秒台に入れてライバルを突き離したが、「路温が上がった分、タイムアップできたんだと思います」と本人は冷静に振り返った。「セッティングが改善できたので今日はターンもうまく決められましたし、高速コーナーでも動きが安定するようになりました。来年は地区戦に集中したい気持ちもありますが、まだトップの人には1秒離されているので思案中です」と遠藤選手。シーズンオフは悩める日々が続きそうだ。

RA1クラスは遠藤貴郁選手が2連勝でシリーズを締め括った。
RA1クラス表彰の各選手。
RA2000クラスは松山充利選手が第1ヒートのタイムで逃げ切った。
RA2000クラス表彰の各選手。

 参加14台のRA2クラスでは、今季2度目の参戦となった坂本竜男選手が2ヒートとも1分19秒台にタイムを入れてトップを守り、快勝。「2本目はスラロームは良かったけど、パイロンでミスってしまいました。全体的には1本目の方がうまく走れましたね」ということで、第1ヒートのタイムで逃げ切った。勝因については、「今日のコースが僕のエキシージに合ってました。いつもテクニカルな所は厳しくてS2000の人達にやられてしまうんですが、今日のコースは、それほどテクニカルな所が多くはなかったので」と振り返り、久々の勝利の味を噛み締めていた。

RA2クラスはただ一台、ロータス・エキシージで参戦の坂本竜男選手が優勝。
RA2クラス表彰の各選手。
RA3クラスは八重梅崇選手が第1ヒートの4番手から逆転優勝。チャンピオンも決めた。
RA3クラス表彰の各選手。
SA1クラスは第2ヒートでライバルを引き離した鈴木教史選手が優勝した。
SA1クラス表彰の各選手。
CL1クラスは北海道出身の白尾泰選手が第1ヒートのタイムで逃げ切った。
CL1クラス表彰の各選手。
地区戦のトップランカーが集ったEXクラスは近藤瑛貴選手が優勝した。
EXクラス表彰の各選手。
Women'sクラスは児島祐子選手が優勝。
Women'sクラス表彰の各選手。

フォト/谷内寿隆 レポート/JAFスポーツ編集部

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