地方選手権もてぎシリーズは激戦の末、中村仁選手がチャンピオン確定!
2021年11月9日

ツインリンクもてぎ北ショートコースを舞台に行われる、地方カート選手権もてぎシリーズ。その2021年の戦いを締めくくる第6戦が10月31日に開催され、鈴木斗輝哉選手(K.SPEED WIN)が2勝目を獲得。中村仁選手(チームTKC with CSI Racing)がシリーズチャンピオン確定となった。
2021 地方カート選手権もてぎシリーズ第6戦
2021 もてぎカートレース第6戦
開催日:2021年10月31日
開催地:ツインリンクもてぎ北ショートコース(栃木県茂木町)
主催:株式会社モビリティランド
この地方選手権は、ツインリンクもてぎのローカルレースシリーズであるもてぎカートレースのFS-125/X30クラスにかけられたもの。幅広い地域から強豪ドライバーたちが集まり、ハイレベルな戦いが繰り広げられている人気のシリーズ戦だ。
とりわけ今回は、3週間後にこの北ショートコースで開催される2021年全日本カート選手権最終戦/東西統一競技会のテストマッチ的な存在として、全日本OK部門や同FS-125部門・東西両地域のトップドライバーたちが多数参戦。出走は今季最多の27台に達した。
大会当日の天候は、終日くもり。時折り細かい雨粒がコースを湿らせることもあったが、ウェットタイヤを履いてレースに参加したのは、大会全参加者のうちギャンブルを仕掛けた1台のみだった。
この最終戦にチャンピオン候補として挑むのは、今季1勝の野澤勇翔選手(チームエッフェガーラ)と同2勝の中村選手のふたり。野澤選手にとっては2年連続シリーズ制覇がかかった一戦だ。
シリーズポイントは野澤選手109点、中村選手104点と僅差。全6戦中5戦有効のポイントシステムを勘案すると、両者の立場はほぼイーブンで、決勝を相手より上位で終えた者がチャンピオン獲得という状況になっている。ただし、中村選手の戴冠には2位以内のフィニッシュが必須だ。
ふたりは予選ヒートで他の選手たちを引き離して周回を重ね、野澤選手、中村選手の順でフィニッシュ。15周の決勝は、グリッドの最前列にチャンピオン候補ふたりが並んで始まることとなった。そして決勝でも、ふたりはうまくスタートを切ると、たびたびポジションを入れ替えながら3番手以下を引き離していった。
しかし、4周目に雨粒がポツポツと落ち始め、状況が急変。7番グリッドから3番手まで上がっていた鈴木選手が勢いを得て先頭集団を捕らえ、レースの折り返し点でトップに浮上すると、一気にリードを広げていく。さらに五十嵐文太郎選手(チームエッフェガーラ)もペースアップして中村選手と野澤選手をかわし、2番手に浮上した。
11周目、中村選手が野澤選手をパスして3番手に。するとその直後、逆襲を仕掛ける野澤選手がまさかのスピンを喫して大きくポジションを落とした。これで中村選手は3番手単独走行に。この位置ではタイトルを獲れない中村選手は、懸命に五十嵐選手を追い距離を詰めるが、真後ろまでは追い付けない。
これでチャンピオン争いは決したかと思われた最終ラップ。ゴールまでふたつのコーナーを残すのみとなった複合コーナーで、五十嵐選手がコントロールを乱してコースを外れた。鈴木選手は背後に約2秒のアドバンテージを保ったままフィニッシュして、第4戦に続く2勝目を飾った。続いて中村選手がチェッカーをくぐった。野澤選手の結果は12位だ。
この結果、有効ポイントは中村選手110点、野澤選手109点。2021もてぎシリーズは、劇的な幕切れで新チャンピオンの確定となった。中村選手は2020年の全日本FP-3部門チャンピオンに続く、ふたつめのJAFタイトル確定を果たすこととなった。
3位は10番グリッドから追い上げた梅垣清選手(ガレージC)。レース中盤のポジションダウンを挽回した酒井仁選手(LUCE MOTOR SPORTS)が4位に入り、5位に最後尾の27番グリッドからスタートした箭内優樹選手(brioly racing & Quick)、6位に13番グリッドから浮上の浅見謙心選手(RL Astech)が入賞した。



この日のもてぎカートレースではFS-125/X30クラスの他に6つのレースが行われた。15台が参加したSenior MAXクラスでは、同クラスの日本シリーズ王者である小島風太選手(WAIBLINGEN)と全日本OK部門のトップドライバー三村壮太郎選手(K.SPEED WIN)の対決に注目が集まった。
その結果は三村選手の勝利。ポールからのスタートで小島選手の先行を許した三村選手だったが、2周でトップに戻るとやがて独走態勢を固め、今季2勝目を飾った。小島選手は3秒弱の遅れで2位フィニッシュ。ゴール目前のアクシデントを回避した熊谷憲太選手(KP BUZZ)が3位表彰台に上った。


YAMAHA SSクラスには、全日本FP-3部門やジュニア選手権FP-Jr部門のドライバーたちが大勢参戦し、今季最多の38台が出走。予選は全参加者を3つのグループに分け、その総当たり戦で行われることとなった。
この激戦区を制したのは、最年少12歳の中島獅王選手(BUNZOU RACING with WISE)だ。ここまでノーポイントだった中島選手は、強豪ぞろいの一戦で2周目から独走を続けて見事な飛躍を演じ、価値ある初優勝を飾った。その後方では大集団の熱闘が繰り広げられ、豊島里空斗選手(HRT with カローラ新茨城レオンJr.)が2位、山本祐輝選手(チームTKC)が3位となった。


スーパーリードクラスでは、かつて全日本KF部門で活躍したNAKAMORI TAKEHARU選手(MUSASHINO KART RACING)が独走優勝。3台一列の集団を抜け出した山田隆二選手(チームオーガスト)が2位、青木諒選手(BEAR R.C.)が3位を得た。


最年少42歳、最年長63歳の13名が参加したYAMAHAスーパーSSクラスでは、57歳の石川竜也選手(SPS川口)がポール・トゥ・ウィン。佐藤次郎選手(チャリ走!GO!KART!)が終盤に石川選手を追い詰めて2位フィニッシュ、遠藤晴久選手(チームエッフェガーラ)が3位でチェッカーを受けた。


ジュニアドライバー対象のレースはふたつのクラスが行われ、両方にダブルエントリーする選手も数名現れた。YAMAHA SSジュニアクラスでは、ポールから独走していた春日龍之介選手(SPS川口)を、2クラス制覇を狙う酒井龍太郎選手(ミツサダ PWG RACING)が追い上げたが、春日選手が0.159秒差で逃げ切って3連勝。初参戦の松土稟選手(LIFE・ROAD. Racing)が3位フィニッシュを果たした。


YAMAHAカデットオープンクラスでは、酒井選手と松尾瀬那選手(brioly racing)がトップ争いを繰り広げ、酒井選手が優勝。松尾柊磨選手(brioly racing)がセカンドグループの戦いを制して3位となった。


フォト/長谷川拓司、JAFスポーツ編集部 レポート/水谷一夫、JAFスポーツ編集部