2年ぶりの「モータースポーツジャパン・フェスティバル」はJAF鈴鹿グランプリで開催!

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2021年11月5日

例年は東京・台場で開催されてきたモータースポーツジャパン(MSJ)フェスティバルは、2020年は新型コロナウイルス感染症の影響などで開催を見送ったが、2021年はJAF鈴鹿グランプリとのコラボが決定。スーパーフォーミュラ最終戦の会場で賑々しく開催された。

「モータースポーツジャパン2021 in JAF鈴鹿グランプリ」
(2021年JAF全日本スーパーフォーミュラ選手権第7戦 第20回JAF鈴鹿グランプリ)

■開催日:2021年10月30~31日
■開催地:鈴鹿サーキット・グランプリスクエア(三重県鈴鹿市)
■主催:一般社団法人日本自動車連盟(JAF)
■後援:一般社団法人日本自動車工業会、一般社団法人日本自動車販売店協力連合会、株式会社日本レースプロモーション(JRP)、株式会社GTアソシエイション(GTA)、株式会社モビリティランド

 これまで、モータースポーツシーズンの開幕に合わせて、春の恒例行事として東京・台場で開催されてきた「モータースポーツジャパン・フェスティバル」。これは、モータースポーツ振興および自動車業界の活性化を目的とした、NPO法人日本モータースポーツ推進機構による振興事業の一環として、2006年から継続開催されてきたイベントだ。

 この催しは、スーパーフォーミュラやスーパーGTを始めとしたレースだけではなく、ラリーやクロスカントリーラリー、ドリフト、カートといった公認カテゴリーを戦う選手やマシンが一同に介して「サーキットの興奮をそのまま都会に持ち込む」ことをコンセプトに毎年1回開催されてきた。また、国内外の自動車メーカーやインポーターの協力による多数のブース出展などもあり、モータースポーツファンに限らず、すべてのクルマファンを対象として、モータースポーツの風を肌で感じられる総合イベントとなっていた。

 2020年シーズンは、東京2020オリンピック・パラリンピック開催の影響もあり、会場を東京・台場から渋谷に移して、新たなスタイルに変更した新機軸のイベントを開催する予定となっていたが、2020年開催は新型コロナウイルス感染症の感染拡大により中止となり、2021年シーズンについても、同様の理由により2021年春の開催を見送っていた。

 それが今年の開催については、2021年JAF全日本スーパーフォーミュラ選手権第7戦JAF鈴鹿グランプリとコラボレーションすることとなり、JAF鈴鹿グランプリが行われる三重県鈴鹿市の鈴鹿サーキットで、例年とは異なりJAFが主催者となり「モータースポーツジャパン2021 in JAF鈴鹿グランプリ」として、二年ぶりに開催されることになった。

 開催概要としては、日本のモータースポーツにおける活動領域の認知拡大およびモータースポーツ機運の醸成を狙い、モータースポーツの歴史を「見て」、「聞いて」、「体感する」ことをコンセプトに、ヒストリーを感じさせる出展を目標としている。それらの実現のために、会場には三つのテーマによる展示「トップフォーミュラの歴史」、「世界に挑戦するWRCマシンの温故知新」に加えて、体験型コンテンツとして「次世代デジタルモータースポーツ」が設定されていた。

 かつて台場で行われていた動的な催しは、サーキット本コースで行われるJAF鈴鹿グランプリが担う格好となったが、会場となったグランプリスクエアには、歴代フォーミュラマシンや日本の自動車メーカーが戦ったグループAやWRカーなどのラリーマシンが並び、TOYTA GAZOO RacingやHonda、モビリティランドによる現役マシンの展示、そしてデジタルモータースポーツ(eスポーツ)の体験ブースも設置され、リアルモータースポーツマニアからバーチャルまであらゆるファン層に対する訴求がなされていた。

 特に今回はJAF主催ということで、JAFブースを中心としたイベント展開がなされ、JAFスマートフォンアプリ登録キャンペーンとJAF会員限定抽選会、のほか、「JAFブースCUP」と名付けられたレーシングシミュレーター体験コーナーなどを二日間通じて実施。最終日の大会終了後には、JAF会員限定で、有料かつ事前申し込み制の「ストレートパルクフェルメ」と呼ばれる、本コースに並んだ決勝走行直後のSF19を間近で見学できる催しも設定。両日とも最終的には晴天に恵まれたこともあり、多くの来場者の注目を集めた。

 また、今回のJAF鈴鹿グランプリでは、日本政府・地方自治体が取り組む新型コロナウイルス感染症感染拡大防止に係る、モビリティランドによる新たな実証実験も行われた。これは、スーパーフォーミュラ最終戦とモータースポーツジャパン・フェスティバルの来場者を対象とした、いわゆる「ワクチン・検査パッケージ」の導入で、イベントの人数制限の緩和を目指す技術実証の取り組みとして、政府・自治体等と連携して実施された。

 条件としては、ワクチン2回目接種後に14日間を経過していること、またはPCR検査陰性証明を提示できること、このいずれかに該当する鈴鹿モータースポーツクラブ(SMSC)会員およびその同伴者を対象としており、ピットビル3階「ホスピタリティテラス」エリアで500席が用意された。また、この実証実験は、11月6~7日に開催されるスーパーGT第7戦ツインリンクもてぎ大会でも実施されることになっており、モビリティランドでは、一部エリアのチケット追加販売も行われていた。

鈴鹿サーキットのゲートには手指消毒器を多数設置しつつ、ゲートオープンまでの間も1箇所に密集させないよう段階的に入場させるなど感染拡大防止策が徹底された。
モータースポーツジャパン2021 in JAF鈴鹿グランプリの会場は鈴鹿サーキットのグランプリスクエア。ソーシャルバブルも導入されパドックとの自由な往来は制限されていた。
密集を避けるため周知事項はJAFブースのビジョンを通じて発信された。開会宣言は大会組織委員長のJAF島雅之専務理事と、大会組織委員でJAFレース部会の鈴木亜久里部会長。
テーマ出展「トップフォーミュラの歴史」では、FLやF2000、F2時代のJAFグランプリで活躍したフォーミュラマシンたちに加え、2018年で引退したSF14も展示されていた。
テーマ出展「世界に挑戦するWRCマシンの温故知新」では、サファリラリーを戦った240ZからヤリスWRCまで、日本メーカーのグループA車両やWRカーなどが展示された。
体験型「次世代デジタルモータースポーツ」出展では、オフラインのeスポーツ体験コーナーを設置。リアルレースでも活躍する岡田衛選手によるゴーストカーも出走した。
Hondaブースはアルファタウリ・ホンダのF1マシンとSRS-Formulaスクールカーを展示してステップアップの道程を表現。野尻智紀選手のお礼のサイン入りパネルも展示された。
TOYOTA GAZOO Racingブースには、退役したTS050 HYBRIDとSF19を展示。TS050 HYBRIDには、好評かつ各会場でおなじみの乗車体験ができるようになっていた。
グランドスタンドの近くには、今回の主催であるJAFがブースを出展。来場者の密集を防ぐために例年のようなステージは設置せず、大型ビジョンを通じて情報発信を行った。
数々の特典と体験型コンテンツが用意されたJAFブースでは、手指消毒器や飛沫防止のパネル設置などにより、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止対策を施していた。
ブースではモータースポーツ振興委員会がノミネートした現役ドライバー9名の中からJAF会員の投票により選出する新企画「ドライバー・オブ・ザ・イヤー」の周知も行われた。
JAFブース周辺ではJAF入会・継続やJAFスマートフォンアプリ登録キャンペーンが行われていたが、基本的にはスマートフォンで情報を読み取る非接触型の促進活動となっていた。
JAF地方本部・支部が実施する各地の催しですっかりおなじみとなっている子ども安全免許証の発行カウンターも設置され、多くの家族連れが免許証発行を体験していた。
レーシングシミュレーターでトップタイムを刻むと賞典がもらえる「JAFブースCUP」を実施。初日のトップタイムを刻んだのは最終戦の観戦に訪れていた高橋拓也さん。
初日の土曜には、モータースポーツ大好きタレント・玉腰佳弘氏とJAFモータースポーツ部の岡本博司氏の掛け合いによるライブ中継も行われ、出展車両を一台ずつ解説した。
JAF鈴鹿グランプリの決勝日。JAF藤井一裕会長による開会宣言がなされた後に、35周70分のJAF全日本スーパーフォーミュラ選手権最終戦の決勝レースがスタートした。
JAFブースのビジョンでは、予選セッションや決勝レースの模様をリアルタイムで中継。また、JAFブースやビジョン周辺では密集を避ける注意喚起が定期的になされていた。
今回のJAFブースの目玉企画はJAF会員限定の抽選会。その賞品は鈴鹿サーキットオリジナルパッケージのドロップ缶とオリジナルグッズ、JAFオリジナルトミカに加えて……。
2日間で6回行われたJAF会員限定抽選会で多くの注目を浴びていたのが、スーパーフォーミュラ参戦ドライバーの直筆サイン色紙。密集を避けつつ多くの来場者が抽選に臨んだ。
そして、もう一つのJAF会員限定の目玉企画は「ストレートパルクフェルメ」。決勝レース終了直後に車両保管されたSF19を本コース上から間近で見られる垂涎の内容だ。
この企画は観戦チケットが必要で、一人500円の有料コンテンツ。VIPラウンジ脇のゲートからの入退場となり、参加確認手段は非接触方式を採用。手指消毒も徹底された。
密集を避けるために各回110名上限で3回に分けて実施され、待機場所も密集を避けるために3箇所へ分散。車両前における密集を避けるための注意喚起も定期的に行われていた。
人数が限定されたことで密集を避けながらお気に入りのマシンを観察できるようになっており、興奮冷めやらぬタイミングでかなりプレミアムな時間を過ごすことができたはずだ。
JAF鈴鹿グランプリは福住仁嶺選手がうれしい初勝利を挙げ、2位は平川亮選手、3位は野尻智紀選手が獲得。賞典プレゼンターはJAF藤井一裕会長と坂口正芳副会長らが担当した。
そして、シリーズ表彰式も行われ、全日本スーパーフォーミュラ選手権の2021年ドライバータイトルは、すでに第6戦もてぎ大会で確定させている野尻智紀選手が獲得した。
モビリティランドでは、イベント人数制限の緩和を目指す技術実証として「ワクチン・検査パッケージ」を導入。11月のスーパーGT第7戦もてぎ大会でも実施される予定だ。

全国の大学自動車部員による「GT Young Challenge 2021」予選大会がJAF鈴鹿グランプリで開催

「GT Young Challenge 2021 予選大会@鈴鹿サーキット」
(2021年JAF全日本スーパーフォーミュラ選手権第7戦 第20回JAF鈴鹿グランプリ)

■開催日:2021年10月30日(土)
■開催地:鈴鹿サーキット・ピットビル2F(三重県鈴鹿市)
■主催:朝日新聞社総合プロデュース本部 ■後援:全日本学生自動車連盟
■協賛:株式会社ジャックス、株式会社スリーボンド他
■特別協力:株式会社ポリフォニー・デジタル、株式会社日本レースプロモーション、本田技研工業株式会社、TOYOTA GAZOO Racing

 今回のJAF鈴鹿グランプリでは、スーパーフォーミュラ最終戦とのコラボレーションによるデジタルモータースポーツイベント「GT Young Challenge 2021」の予選大会が行われた。この大会は朝日新聞社の主催による、全国の大学自動車部の部員を対象とする「グランツーリスモSPORT」を使ったイベントで、2020年に初回が実施されている。

 2021年大会は、10月30日に鈴鹿サーキットで予選大会が行われ、12月19日に東京ミッドタウン日比谷において決勝大会が行われる。予選大会はJAF鈴鹿グランプリ開催期間中の土曜に行われ、鈴鹿サーキットのピットビルに全日本学生自動車連盟所属の大学自動車部の選抜メンバーが、新型コロナウイルス感染症感染拡大防止策を徹底して集結した。

 予選大会は、5チーム3組でアタックを行い、各組上位3チームが決勝大会に進出する。予選各組の1位、そして予選レース前のグリッド決めのタイムアタック上位2チームをワイルドカードとして、合計5チームがエキシビションレースに進出できることになっている。

 このエキシビションレースは、スーパーフォーミュラを運営する日本レースプロモーション(JRP)の特別協力で実現したもので、現役のレーシングドライバーらをメンバーに加えた特別戦。15周の最終スティントをレーシングドライバーが担当して、スーパーフォーミュラの決勝前に、デジタルの鈴鹿サーキットで対決するという趣向となっていた。

 予選大会の当日は、出場校による予選レースが粛々と展開されていたが、それと同時に、待機するメンバーに対して、JRPを始め、特別協力の本田技研工業やTOYOTA GAZOO Racingなどの計らいにより、スーパーフォーミュラ決勝前のピット見学ツアーも実施された。受け入れチームはROOKIE RacingとThreeBond、TOM'Sらが担当し、学生たちがトップフォーミュラレースのナマの現場を体験できる貴重な機会となっていた。

 そして、エキシビションレースは山中智瑛選手を擁する慶応大学自動車部が優勝。予選大会の閉会式では、優勝の副賞としてスーパーフォーミュラ観戦チケットがJRPの上野禎久氏から贈呈されていた。そして気になる決勝大会への出場校は9校に絞られ、愛知工業大学と関西大学、慶應義塾大学、中央大学、名古屋工業大学、法政大学、明治大学、立教大学、早稲田大学に決定した。決勝大会は12月19日に東京で開催される予定となっている。

会場は鈴鹿サーキットのピットビル2階。手指消毒やマスク着用を始めとした感染拡大防止対策を徹底した状態で、全日本学生自動車連盟所属の出場校メンバーが集まった。
選手宣誓は2020年大会の優勝校である中央大学の尾形莉欧選手。使用車両はメーカー指定なしのN300。思い思いのカラーリングが施され、そこも見どころの一つとなっている。
予選レースは5チーム3組が、ドライ路面の東京エクスプレスウェイ東ルート外回り、15周のアタックに挑む。茨城国体でも活躍した尾形選手は他校の選手からも注目の的。
予選大会に出場した全メンバーを対象としたスーパーフォーミュラのピット見学ツアーを実施。リアルで使用されるSF19を間近に触れられるかなり貴重な機会となっていた。
そして決勝大会出場校の発表を前に、スーパーフォーミュラを運営するJRPとのコラボレーションによるエキシビションレースが行われた。こちらはSF19を使った15周レース。
チームにゲストドライバーが1名加わるルールで、大湯都史樹選手と牧野任祐選手、そして坪井翔選手と山下健太選手ら現役ドライバーに加え、山中智瑛選手が登場した。
エキシビションレースの実況にはスーパーフォーミュラの場内実況も務めるピエール北川氏が登場。学生メンバーにとっては現役ドライバーとタッグを組むかなり希少な体験に。
快晴でドライ路面の鈴鹿サーキットを15周するエキシビションレース。使用車両はもちろんSF19で、各ゲストドライバーは最終スティントを担当するルールとなっていた。
エキシビションレースの優勝は、ゲストドライバーにFIAグランツーリスモ選手権でも活躍する山中智瑛選手を擁する慶應義塾大学(慶應義塾体育会自動車部)に決定。
坂田佳哉主将率いる慶應義塾体育会自動車部のメンバーには、エキシビションレース優勝の副賞としてJRPの上野禎久氏からスーパーフォーミュラの観戦チケットが贈呈された。
12月の決勝大会への出場校は、愛知工業大学と関西大学、慶應義塾大学、中央大学、名古屋工業大学、法政大学、明治大学、立教大学、早稲田大学の9校に決定した。

フォト/遠藤樹弥、吉見幸夫、JAFスポーツ編集部 レポート/JAFスポーツ編集部

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