JN1クラスは勝田範彦/木村裕介組、JN3クラスは大竹直生/藤田めぐみ組がシリーズチャンピオン確定!
2021年11月10日
全日本ラリー選手権の実質的な最終戦となる第4戦「久万高原ラリー」が、愛媛県久万高原町を舞台に開催された。
2021年JAF全日本ラリー選手権第4戦「久万高原ラリー」
開催日:2021年10月29~31日
開催地:愛媛県久万高原町周辺
主催:MAC、ETOILE、DCR
本来であれば5月2~4日の日程で開催される予定だった全日本ラリー選手権第4戦は、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、4月19日付けでJAFにカレンダー変更申請書を提出。6月11日のJAF公示により、10月29~31日の日程で延期開催されることとなった。この延期により、今回開催される第4戦が今シーズンの実質的な最終戦となる。
新型コロナウイルス感染防止のため、選手やサービス員、メディア関係者、オフィシャルなどサービスパークへ入退場する大会関係者全員に、大会2週間前からの検温と問診票の提出を義務付けるほか、久万高原町と協議の結果、大会関係者全員に抗原検査またはPCR検査の陰性結果を提出するという厳重な感染対策が施された。
ラリーは初日に6.97kmと14.21kmの2本のSSを3ループする6SS、2日目は初日に走行した2本のSSを繋げて逆走で走行する23.28kmのロングステージを2回走行する計8SSが設定された。SS総距離は110.10kmとなり、得点係数は1.2。
初日は好天に恵まれて路面コンディションもドライだったが、2日目は未明から雨が降ったことによりウェットコンディションに。そのため、主催者は安全上必要と判断し、競技長の宣言により2本のタイヤを追加して使用できることとなった。
勝田範彦/木村裕介組のトヨタGRヤリスと、福永修/齊田美早子組のシュコダ・ファビアR5にシリーズチャンピオン争いが絞られたJN1クラスは、SS1で勝田/木村組が福永/齊田組を7.6秒リードするものの、福永/齊田組がSS2からSS4までを連取して逆転に成功。
SS5では勝田/木村組がこの日2回目のベストタイムを奪い、福永/齊田組との差を1.6秒差まで縮めるものの、初日の最終SSは2日目のためにタイヤ4本を温存する作戦を採った福永/齊田組と、3ループ目にフレッシュタイヤを投入した勝田/木村組が、両者一歩も譲らない同秒ベストタイムをマーク。福永/齊田組の1.8秒リードで2日目を迎えることとなった。
雨の降り方は弱いものの、ウェットコンディションとなった2日目は、オープニングのSS7で勝田/木村組が2番手タイムの鎌田卓麻/松本優一組に13.1秒差をつけるベストタイムをマーク。一方の福永選手は、「前後のタイヤ選択に失敗してしまいました……」と3番手タイムながらも勝田/木村組には30.3秒の大差をつけられてしまう。
このSS7で福永/齊田組に28.5秒差のトップに立った勝田/木村組は、最終SSとなるSS8でも福永/齊田組に3.1秒差のベストタイムをマーク。ウェットコンディションとなった2日目の逆転劇で今季4勝目を挙げるとともに、今シーズンのJN1クラスのシリーズチャンピオンが確定した。
2位に福永/齊田組、3位には「初日のタイヤ温存作戦は結果的に意味がないものになってしまいましたが、それでも2日目のウェットタイヤが効いてポジションアップに成功しました」という鎌田/松本組が入賞した。
JN2クラスは、今シーズンのシリーズチャンピオンが確定したヘイキ・コバライネン/北川紗衣組が、SS1から快走。2日間すべてのSSでベストタイムを奪い、総合でも8番手という速さで今季6勝目を獲得。今シーズンは出場したすべてのラリーで優勝を獲得するという速さと強さをみせた。
2位には、「要反省です。路面コンディションが悪い時の対応が特に悪かったですね」という中平勝也/島津雅彦組が入賞。3位には重量級のレクサスRC Fをしっかりとフィニッシュまで導いた石井宏尚/竹下紀子組が入賞した。
大竹直生/藤田めぐみ組、鈴木尚/山岸典将組、長﨑雅志/秋田典昭組による三つ巴のチャンピオン争いとなったJN3クラス。シリーズランキングは大竹/藤田組が鈴木/山岸組に12点差をつけてトップに立っているものの、鈴木/山岸組と長﨑/秋田組は有効戦数の関係で今回獲得する得点すべてが加点されるのに対し、大竹/藤田組は6点以上を獲得しなければ有効得点には加点されないため、最後まで予断が許されない状況だ。
初日は鈴木/山岸組がトップ、8.9秒差で長﨑/秋田組が2番手、スピンやタイヤのパンクに泣かされた大竹/藤田組は、長﨑/秋田組から30.2秒差の3番手と苦しい状況だ。
2日目に入ると、鈴木/山岸組がフロントを壁にヒットしてタイムを落とす中、長﨑/秋田組がセカンドベストタイムをマークしてトップに浮上。9.3秒差で鈴木/山岸組が2番手、ベストタイムをマークした大竹/藤田組は2番手とのタイムを17.4秒差に詰めるものの、3番手ポジションには変わりがない。
注目の最終SSは、トップに浮上した長﨑/秋田組がまさかのコースアウト。このアクシデントにより鈴木/山岸組が再びトップに浮上し、フィニッシュ。大竹/藤田組は2位に繰り上がり、さらにこの日のレグ別得点3点も加算し、優勝した鈴木/山岸組に対して3点差でシリーズトップの座を獲得、JN3クラスのシリーズチャンピオンを確定させた。
ちなみにこれまでの全日本ラリードライバーズチャンピオンの最年少記録は、1982年に神岡政夫選手が記録した24歳10か月だったが、大竹選手はその記録を大幅に更新する21歳5か月での獲得となる。
今シーズンのチャンピオンを確定させた西川真太郎/本橋貴司組が不出走となったJN4クラスは、岡田孝一/河本拓哉組と鮫島大湖/船木佐知子組が初日に一進一退の攻防をみせたが、2日目に入ると「前回のハイランドマスターズの反省を活かして、頑張って攻めました」という鮫島/船木組がベストタイムを連発。岡田/河本組を抜き去り、自身初となる全日本ラリー初優勝を遂げた。
JN5クラスは、初日に若手の渡部哲成/佐々木裕一組がSS3までラリーを大きくリードするものの、SS4で側溝に落ち大幅にタイムロス。順位をクラス最下位の7番手にまで落としてしまう。このSS4で、それまで2番手だった天野智之/井上裕紀子組が大倉聡/豊田耕司組をかわしてトップに立ち、2日目のSS7でも大倉選手とのタイム差をさらに広げるが、最終SS前のサービスアウトの時にまさかのマシントラブルが発生。ここでラリーを終えることとなった。
最終SSを迎えてトップに大倉/豊田組、45秒差の2番手に内藤学武/小藤桂一組。その内藤/小藤組から6.8秒差の3番手に小川剛/梶山剛組のオーダーとなったが、最終SSで小川/梶山組が大激走。50秒以上あった大倉/豊田組とのタイム差を一気にひっくり返し、逆転優勝を飾った。2位に内藤/小藤組、3位には「ペースのコントロールが難しい……」と嘆く大倉/豊田組が入賞した。
JN6クラスは、前戦のハイランドマスターズで全日本ラリー初優勝を飾った山本雄紀/井上草汰組が、このラリーでも快走。全SSでベストタイムをマークし、全日本2勝目を飾った。ちなみに山本選手が駆るトヨタ・ヤリスは、今シーズンのJN6クラスでチャンピオンを獲得した吉原將大/佐野元秀組のマシンでもあり、ふたりのドライバーによって今シーズンの8戦すべてで優勝を飾ったことになる。
フォト/CINQ、中島正義、山口貴利 レポート/CINQ、JAFスポーツ編集部
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