埼玉群馬シリーズは宝台樹で最終戦。吉澤瞭介インテグラが刻一刻と変わる路面を制して優勝

レポート ジムカーナ

2021年11月12日

JMRC埼玉群馬ジムカーナシリーズの最終戦が、10月17日、群馬県の宝台樹スキー場で開催された。

2021JMRC埼玉群馬ジムカーナシリーズ第7戦
ボレロハイスピードスラローム

開催日: 2021年10月17日
開催場所: 宝台樹スキー場(群馬県みなかみ町)
主催: BOLERO

 今年のJMRC埼玉群馬ジムカーナシリーズは全7戦のカレンダーが組まれた。4月18日に群馬県の宝台樹スキー場で開幕したシリーズは、その後、第2戦、第3戦を茨城県の筑波サーキットジムカーナ場で行い、第4戦からは再び宝台樹に戻り、今回の最終戦までをこなすというスケジュールだ。第2戦はJAF関東ジムカーナ選手権とJMRC関東オールスターシリーズとのトリプルタイトル戦となり、第3戦と第5戦はJMRC関東チャンピオンシリーズが併催された。

 今回の一戦は、朝はウェット路面でスタート。その後、雨はパラつく程度で次第に止み、決勝がスタートする頃には路面はほぼ乾いた状態となった。今回の大会は朝の25分の慣熟歩行の後に、ドライバーズブリーフィングを経て、まず慣熟走行を2本行うという形が採られた。慣熟走行終了後5分後から決勝第1ヒートがスタート。決勝第2ヒートを含め、計4本、本番コースを走り込めるという特に初級者には有難い大会となった。

 しかし前述した通り、路面コンディションが決勝まで大きく変わったことが影響したか、第1ヒートでは、2本の慣熟走行の後でも7台がペナルティを喫した。加えて当日は、気温が上がらず、ひと桁台の寒さの中でのスタートとなった。スキー場の駐車場とは言え、この寒さは各選手、想定外であり、冷え切った路面に翻弄された選手も多かったようだ。

スキー場の営業を休止するオフシーズンの駐車場が舞台となる宝台樹では、埼玉群馬シリーズの他、JAF関東選手権やJMRC関東チャンピオンシリーズ等の一戦も行われている。
当日のコース図。地区戦やJMRC関東シリーズの際は一段下の駐車場がパドックとなるが、埼玉群馬シリーズではコースの一部がパドックとなり、コースも縦長のスペースに設定される形になる。

 最初の決勝クラスとなったPN3クラスは、86を駆った細渕賢一選手が第1ヒートで1分8秒253のタイムで暫定ベストを奪う。第2ヒートでは、「1本目、2速に上げた所で加速が鈍かったので、1速のまま行ったのが良かったみたいです」と0.5秒程のタイムアップに成功。第2ヒートでも首位を奪って快勝した。

PN3クラスは細渕賢一選手が2ヒートともトップタイムを守って優勝した。
PN3クラス優勝の細渕選手。「今日は路面が乾いてくれればちゃんとグリップしてくれるタイヤだったので、決勝の路面は、逆に“タイムを出さなければ”とプレッシャーが掛かりました(笑)。埼群シリーズはここで開催されるようになってからは、ずっと参戦しています。夏場は1本目勝負になることもあるので、慣熟走行が2本あるのは、1本目から攻めていけるので、助かりますね。ここは特に下りの勾配での速度の調整がポイントになると思います」。

 続くPN5クラスは、PN3クラスと同じく、86/BRZが主流だが、使用できるタイヤがPN3よりは規制されたクラスとなる。第1ヒートは参加3台中、唯一、ノーペナルティで走り切った谷添正慶選手の86がトップに立ったが、第2ヒートでは、1本目のミスを帳消しにする走りを見せた戸村雅俊選手が逆転して、優勝。「1本目はパイロンに突っ込んでしまって、自分で自分を追い込んでしまいましたが、2本目は何とかタイムを残せて良かったです」と、今季、宝台樹ラウンド全勝を守ったことに安堵の表情を浮かべていた。

PN5クラスでは、戸村雅俊選手が第1ヒートのペナルティを帳消しにする走りで優勝。
PN5クラス優勝の戸村選手も宝台樹をホームコースとする一人だ。「今日は10月ということを考えても想定外の路温の低さでしたね。1本目がやり過ぎたので(笑)、2本目でうまく修正できて良かったです。今年は結果は出せなかったですが地区戦で揉まれて、走りもメンタルも鍛えられたことが、今日の結果に繋がった気はしますね。でも、来季は新型の86/BRZも出てくるでしょうから、じっくりとオフの間は考えたいと思います」。

 NTF2クラスは、父親の吉澤久選手のDC2インテグラでダブルエントリーしてシリーズを追った吉澤瞭介選手が、第1ヒートでベストを奪う。第2ヒートに入ると、同じくDC2インテグラを駆る宮澤正樹選手が、吉澤選手と同じ1分6秒台に入れてくるが、届かない。ラストゼッケンの吉澤選手はタイムアップを果たせなかったものの、第1ヒートのタイムで優勝が決定。「今日は路面が微妙だったので、最短距離に拘らずに敢えて大きなラインを取ったのが良かったのかもしれませんね」と勝因を振り返った。

NTF2クラスは吉澤瞭介選手が第1ヒートのタイムで逃げ切った。
NTF2クラス優勝の吉澤選手は今後の活躍が期待される若手の一人。「今日はタイヤにもかなり助けられましたが、今年、何回か勝てたのはやはり練習の成果だと思います。特に今年は走り込んだ一年だったので、ジムカーナは練習が一番だと痛感しました。来季はZC32Sスイフトを購入したので、地区戦等にもスポットで挑戦したいと思います」。

 NTR1クラスはRWD車が対象のクラス。スバルのお膝元の群馬とあって、BRZが4台エントリーと過半数を占めたが、第1ヒートをトップで折り返したのは静岡から遠征してきたMR-Sの森好寿選手だった。「これ程、路面が冷えてグリップしない宝台樹は初めて走りました」と言いながらも、森選手は第2ヒートでも0.6秒のタイムアップに成功。追いすがるライバル達を振り切って優勝を決めた。

NTR1クラスはジムカーナでは稀少車種と言えるMR-Sをドライブする森好寿選手が優勝した。
NTR1クラスを制した森選手は関東チャンピオンシリーズをメインに戦うドライバーの一人。「もういい歳なので(笑)、最後は本当に自分の好きなクルマでジムカーナをやろうと思って、このクルマにしました。でもMR-Sは特にブレーキバランスが難しくて、1年半くらい試行錯誤して、ようやく乗れるようになった所です。宝台樹はチャンピオン戦でしか走ったことがないんですけど、凄いグリップするわけでもないけど、かと言ってまったくグリップしないというわけでもない、面白いコースですね。機会があればまた出たいと思います」。
NTR1クラス表彰の各選手。

 一方、NTR2クラスでは、S15シルビアを持ち込んだ岡崎公司選手が両ヒートともベストタイムをマークして優勝した。ともに2番手を1秒以上も引き離しての走りで、タイムだけを見れば快勝だが、「路面が乾いてくれて良かったです。ウェットのままだったらダメだったでしょうね」と岡崎選手。「ここは上りの勾配もあるので本来はターボを活かせるはずですけど、ダメでしたね」と慣れないローグリップの宝台樹に苦心した様子だった。

NTR2クラスはS15シルビアで参戦した岡崎公司選手が優勝した。
同じく関東チャンピオンシリーズを戦うNTR1クラス優勝の森選手に誘われて今回、スポット参戦したというNTR2優勝の岡崎選手。「チャンピオン戦はシリーズが終わってしまったんですけど、まだ走り足りないので(笑)、参加しました。今日は最初のスラロームが、失敗すると後に響くのでポイントかなと思いましたけど、思った通りにはうまく走れませんでしたね。ウェットの宝台樹は走ったことがなかったので、戸惑いましたが、この経験を次に繋げたいと思います」。

 S2クラスは第1ヒートからコンマ差の接戦となったが、第2ヒートで1分2秒台に叩き入れた近藤岳士選手のCR-Xが、深谷洋選手のインテグラを抑えて優勝。過去、全日本ジムカーナを制した速さ健在をアピールした。またエキスパートクラスは、1週間後に控えた全日本ジムカーナ選手権最終戦の練習も兼ねた全日本の選手達が参戦して盛り上がったが、GRヤリスをドライブした奥井優介選手が、予想通りのオーバーオールウィンのタイムで勝利をさらった。

S2クラスは関東が誇るパイロンスペシャリストの近藤岳士選手が、貫録勝ちを収めた。
S2クラス優勝の近藤選手。
エキスパートクラスでは奥井優介選手が優勝した。
エキスパートクラス優勝の奥井選手。
F2WDクラスでは須藤涼太選手が第1ヒートのミスコースを挽回して優勝した。
F2WDクラス優勝の須藤選手。

フォト&レポート/JAFスポーツ編集部

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