JMRC関東ジムカーナフェスティバルが2年振りに新潟で復活。関東各地から、“走り納め”の一戦に集結!

レポート ジムカーナ

2021年11月26日

関東のスラローマー達が一堂に会する年イチのイベント、関東フェスティバルが、スピードパーク新潟を舞台に開催された。

2021 年JMRC 関東ジムカーナフェスティバル
2021フェスティバル in SPN

開催日: 2021年10月31日
開催場所: スピードパーク新潟(新潟県胎内市)
主催: TASK

 10月1日に緊急事態宣言が解除されたこともあって、10月からは全国各地でモータースポーツイベントが開催され始めた。昨年は新型コロナウイルス感染症の影響で中止になってしまったJMRC関東ジムカーナフェスティバルも、10月31日にスピードパーク新潟で開催された。今年は、コロナ禍の影響で様々なイベントがスケジュール変更を余儀なくされたが、このイベントも当初の予定より、1週間遅れでの開催となった。

 JMRC関東ジムカーナフェスティバルの歴史は長く、第1回目は1993年10月31日に千葉県の浅間台スポーツランドで開催された。昨年は新型コロナウイルス感染症拡大により、中止となったため、今回で28回目の開催となる。前日の公開練習は菊日和の中での走行となり、参加者は晴天の下で、本番に向けて十分に備えることができた。本番当日は曇り時々晴れ、と前日のようなスッキリとした天気とまではいかなかったが、例年より温かい天候の中でスタートを迎えることとなった。

公開練習が行われた土曜から日曜の決勝まで降雨はなし。ドライコンディションが最後まで保たれた。
パイロンセクションは、定石通り、コース中央部の広場に設定された。
決勝ヒート前には、まず主催者、参加者全員で準備体操を行い、体をほぐした。
開会式での選手宣誓も関東フェスティバルならではの光景。今年もしっかりと再現された。

 PN3クラスは、地元の新潟県シリーズで、間光正選手に敗れてシリーズ2位となってしまった保坂久慶選手がリベンジを果たすべく、関東フェスに挑んできた。保坂選手は、バネレートの見直しや、前日の公開練習から新品タイヤを投入するなど、万全の態勢で臨んだのが奏功し、第1ヒートは間選手や新潟シリーズの開幕戦で敗れた松川文昭選手を抑えて1位のタイムで折り返す。

 迎えた第2ヒートでは、一番出走の松川選手が保坂選手のタイムを0.7秒上回ってトップに立つが、2番目出走の保坂選手は、前半で0.4秒、松川選手に遅れるものの、後半セクションで巻き返し、ベストタイムを出して首位を奪還。間選手も4番手に留まったため、そのまま逃げ切って念願の優勝を勝ち取った。

PN3クラスは保坂久慶選手が優勝。「新潟戦での悔しい思いがあったので、今日の優勝は凄く嬉しいです」。
PN3クラス表彰の各選手。

 今回、参加台数が一番多かったのはPN5クラス。第1ヒートは坂本玄人選手が1位、2位には0.4秒差で杉谷伸夫選手が着けた。第2ヒートに入ると、各選手、自己タイムを更新するも、坂本選手のタイムは上回ることができず、当の坂本選手自身もタイムダウンとなるが、その時点ではまだクラス1位をキープする。

 杉谷選手もタイム更新を果たせない中、第1ヒートで3番手の蔵増將智選手が走り出す。第1ヒートでも前半のセクションでは速いタイムを出していた蔵増選手は、第2ヒートでも坂本選手より0.8秒も速い中間の1番時計を出して後半セクションへ。本人は不得意と言うパイロンが続く後半セクションでも、タイムダウンを最小限に抑えて坂本選手に0.3秒の差をつけて優勝。「得意な前半の高速セクションでの貯金で逃げ切れました。後半はダブルエントリーのためタイヤがタレてきましたが、何とか耐えました」と逆転の走りを振り返った。

PN5クラスは蔵増將智選手が見事な逆転勝ちを収めた。
PN5クラス表彰の各選手。

 1位野﨑裕太選手、2位佐藤健選手のオーダーで折り返したNTF2クラス。しかし第2ヒートに入ると、向吉智樹選手が野﨑選手のタイムを更新。シャフトトラブルにより第1ヒートをリタイヤした、続く島貫輝選手は中間で向吉選手を0.5秒凌ぐと、1本目はトラブルで走れなかった後半区間もタイムを伸ばし、クラス初となる1分31秒台を叩き出して最終の野﨑選手の走りを待った。

 しかし逆転を賭けてスタートした野﨑選手は、痛恨の脱輪によりタイム更新はできず、1本目のタイムで3位に留まることに。「今シーズンは良い結果が残せなかったのですが、チームメイトのアドバイスもあり、最後に納得の行くタイムを出せました」と、島貫選手は快心の笑顔を見せた。

NTF2クラスは第1ヒート、マシントラブルでノータイムに終わった島貫輝選手が逆転で勝利を獲得。
NTF2クラス表彰の各選手。

 NTR2クラスは今年のJMRC関東チャンピオンシリーズを制した優勝候補の山本秀夫選手が、第1ヒートはパイロンタッチで4位に沈むという波乱の展開に。迎えた第2ヒートでは、まず山本稔選手が1分31秒台を出して首位に躍り出る。実は第1ヒートは新品タイヤで走ったため、ややコントロールが難しかったという山本秀夫選手は、第2ヒートではタイヤがしっかりとグリップしたことも手伝って、山本稔選手を2秒近くも突き離すクラス唯一の1分29秒台をマークして優勝。「昨日から調子が良くて、S2000もこのコースに合っていたので、楽しく走ることができました」と断トツのタイムをさらった走りを振り返った。

NTR2クラスは、関東ではRWDのスペシャリストとして知られる山本秀夫選手が快勝した。
NTR2クラス表彰の各選手。

 JMRC関東チャンピオンシリーズ1位の佐藤林選手と、2位の市川尚彦選手の一騎打ちとなったNT4クラス。第1ヒートでは0.7秒差で、市川選手がベストを奪うが、第2ヒートでは自己のタイムを更新できず。しかし、佐藤選手も中間でベストタイムを出すも、痛恨のパイロンタッチで逆転は果たせず。ゴールタイムでは1分28秒台にタイムを乗せながらも2位に甘んじることとなり、市川選手が優勝。「チャンピオンシリーズで敗れた佐藤選手に勝てて良かったです。自身のスキルアップも図れたという点でも今年は良い1年になりました」と、市川選手は成長の一年を締め括った。

NT4クラスでは市川尚彦選手が第1ヒートのタイムで優勝を決めた。
NT4クラス優勝の市川選手。

 今年の関東チャンピオンシリーズと千葉・東京シリーズを制してダブルチャンピオンとなったS2クラスの徳冨太一選手は、今年でDC2インテグラを卒業する。その最後の場所に選んだのがこのフェスティバルだ。第1ヒートから2位に1秒以上の差をつけると、第2ヒートでは総合でもベストタイムとなる1分28秒777のタイムで優勝を決めた。「新潟は好きなコースですが、練習は年に一回程度しか来ていません。ただ、データはありましたから、それをタイムに繋げられたと思います。今日はちょっとミスもありましたが、地元勢に勝てて幸せです(笑)。成績も満足が行く一年間でした」と徳冨選手。インテグラのラストランで獲得した勝利の味を噛み締めていた。

S2クラスは、第2ヒートで1秒以上ものタイムアップを果たした徳冨太一選手がオーバーオールウィンを飾った。
S2クラス表彰の各選手。
PN6クラスは1分29秒台のタイムで第1ヒートを制した山口栄一選手が第2ヒートでもタイムアップを果たし、自らの暫定ベストを更新して優勝。オーバーオールでも2番手タイムを記録した。
PN6クラス優勝の山口選手。「ここを走るのは2011年以来でした。直線が長くて前日の練習では戸惑いましたが、本番ではタイヤが凄くグリップしてくれたので、安心して踏めました」。
NTF1クラスは、第1ヒートはパイロンタッチを喫したアバルト595の秋山義忠選手が逆転で優勝。「1速に落とし切れなかったコーナーがあったので、自分では納得できないタイムですね。他に同じクルマに乗っている人もいないので、クルマのセッティングに悩んだ一年でした」と秋山選手。
NTF1クラス優勝の秋山選手。
新旧のロードスター3台とS15シルビア1台が参加したNTR1クラスは、フェスティバル初参戦となった地元新潟の植竹富雄選手が、唯一人、1分32秒台に入れた第1ヒートのタイムで逃げ切った。「今年は新潟県戦とフェスティバルを目指して頑張ってきたので、勝てて良かったです。タイムはもう少し出したかったですけど、2本目は気負いすぎてしまいましたね」と植竹選手。
NTR1クラス優勝の植竹選手。
JGPN2クラスは残念ながら1台のみの出走。今年度の地区戦チャンピオンの徳武銀河選手が翌週のJAFカップのセッティングも兼ねてのエントリー。「1本目は良い走りができましたが、2本目は守りに入ってしまいました。でも来週のための良い練習になりました」。
JGPN2クラス優勝の徳武選手。

 そして関東ジムカーナフェスティバルの目玉の一つが、各地区ごとに全6チームに分かれて戦うチーム対抗戦。各地区全員の平均タイムを算出して争うが、選手ごとにハンディタイムが与えられるので、一概に選手のレベルだけで勝てることもできない。前回の覇者、栃木・茨城チームはタイムを伸ばすことができず、約半分のクラスが終わった時点で何と最下位。PN6クラスが終わった時点では、山梨・長野チームがトップに立った。

 千葉・東京チームはPN5クラスが終わった時点では4位だったが、NTF2クラスの終了時点でトップに立つ。最終的に1分33秒989というタイムをマークした千葉・東京チームが優勝して賞金を獲得。2位は埼玉・群馬チームで、トップとの差は0.8秒だった。この関東フェスティバル、来年は長野の主催で、さるくらモータースポーツランドで開催の予定。新型コロナウイルスが収束して、沢山の参加者が集まってくれることを願いたい。

地区対抗戦は千葉・東京チームが優勝した。

フォト&レポート/小竹充

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