F1第21戦、初開催のサウジアラビアGPで角田裕毅選手は2戦連続でQ3進出を果たすも、決勝は接触の影響でポイント圏外に沈む

レポート レース

2021年12月15日

2021年のF1世界選手権、第21戦サウジアラビアGP。現在唯一の日本人ドライバーである、アルファタウリ・ホンダの角田裕毅選手は、予選8番手と好位置を獲得。しかし、決勝では接触により順位を落とし14位。第17戦アメリカGP以来のポイント獲得を逃す結果となった。

2021年FIAフォーミュラ1世界選手権 第21戦サウジアラビアグランプリ
開催日:2021年12月3~5日
開催地:ジェッダ市街地コース

 8月下旬から始まった後半戦、予選では度々Q3に進出して成長の軌跡を見せるも、決勝ではなかなかポイントを獲得できない角田選手。第21戦の舞台、サウジアラビアのジェッダ市街地コースは前戦に続きF1初開催のサーキット。全員がF1では初走行ということで、ルーキーの角田選手もウデの見せどころ。早速、金曜日から好ペースで周回を重ねていき、フリー走行2回目では8番手タイムを記録。良いかたちでレースウィークのスタートを切った。

「走っていてとても楽しいサーキットで、特にセクター1が印象的でした。今まで走ったことのないコーナーでできたサーキットで、とても特別な経験になりました。今日のペースの手応えはとてもよかったと思います。ハードタイヤでいい手応えはすでに感じられたので、他のコンパウンドのタイヤにもマシンを合わせこんでいけるように調整しなくてはなりません。総合的には力強さを見せることができたかと思います。ロングランを十分走行できていませんが、今日はポジティブなパフォーマンスを見せることができました」(フリー走行2回目終了後の角田選手のコメント)

 土曜日の公式予選での角田選手は、Q1やQ2で敗退していたシーズン中盤戦の面影はなく、今回も上位に食い込む速さを見せて、後半戦では5度目となるQ3進出を果たした。最後はトラフィック(渋滞)の影響を受けて満足のいく走りができなかったものの、8番グリッドを獲得。決勝に向けて好結果が期待できる位置に着けた。

「今日は複雑な気分です。Q1とQ2のパフォーマンスは素晴らしかったと思いますし、とても満足していますが、Q3での最終アタックでトラフィックに遭い、タイムを失いました。もっと上位のグリッドからスタートできたはずなので、今はフラストレーションを感じています。ただ、今日は多くのポジティブな点がありました。特に、ミディアムタイヤでQ2を突破できたことで、明日は周りのドライバーと同じタイヤでのスタートになります。ここはドライブしていて本当に楽しいサーキットなので、レースが楽しみですし、ポイントもしっかりと獲得できればと思います」(予選終了後の角田選手のコメント)

 迎えた日曜日の決勝。角田選手は8番グリッドから上位を目指したが、スタート直後のポジションの奪い合いで、他車と軽く接触した際に一瞬失速。ポイント圏外まで順位を落としてしまった。

 その後、ライバルにアクシデントが発生した影響で、レースは13周目で赤旗中断に。11番手からリスタートを切ることになった角田選手はハードタイヤに履き替えて、最後まで走りきる作戦を選んだ。しかし、そのリスタートでもアクシデントが発生して再び赤旗中断となってしまった。

 角田選手は2度目のリスタートを前に、ミディアムタイヤに交換。これが功を奏して9番手までポジションを上げたが、セバスチャン・ベッテル選手(アストンマーティン)との8番手争いの最中に接触。フロントウイングを失ったうえに5秒のタイムペナルティも受けてしまい、14位でレースを終えた。

「今日はタフな一戦になりました。レース序盤は苦戦することが多かったのですが、最後のリスタートを上手く利用していくつかポジションをあげることができました。少しプッシュしすぎたせいで、残念ながらベッテル選手と接触してしまいました。その時点でのペースは悪くなかったので、無理せずに次のチャンスを待つべきだったと感じます。これについては自分の判断ミスだったと思っているので、レース後に彼には謝りました。ポイント獲得まで目前だったこともあり、とても悔しいレースになりました。」(決勝後の角田選手のコメント)

 2021年シーズンも残すはアブダビGPを残すのみ。1年間の成長の成果を見せてポイントを獲得して、2022年シーズンにつなげられる最終戦になることを期待したい。

アルファタウリ・ホンダの角田裕毅選手は8番グリッドの好位置からスタート、フェラーリの2台も従えるなど奮闘したが、14位とポイント獲得はならなかった。
角田選手のチームメイト、ピエール・ガスリー選手は6番手スタートの順位を守りフィニッシュ。2021年シーズンは安定してポイントを獲得できる速さを見せている。

 一方、優勝争いは、またしてもチャンピオンを争うマックス・フェルスタッペン選手(レッドブル・ホンダ)とルイス・ハミルトン選手(メルセデス)の一騎討ちとなった。スタート直後から激しいトップ争いを展開していたが、37周目にコーナーをショートカットする形でポジションを守ったとして、トップを走るフェルスタッペン選手に向けて、ハミルトン選手に順位を譲るように指示が出された。

 ところが、その指示に対して2人の間で意思疎通の齟齬があったのか、前を譲る動きを見せたフェルスタッペン選手にハミルトン選手が接触。これによってハミルトン選手のフロントウイングは、軽いダメージを受けてしまった。

 その後、さらにコースではないところを通りアドバンテージを得た、という裁定も下り5秒のタイムペナルティが与えられたフェルスタッペン選手は2位でフィニッシュ。ハミルトン選手が今シーズン8勝目を挙げて両者同ポイントに並び、最終戦は先にフィニッシュした方がチャンピオン、という決戦の舞台が整った。

悲願のドライバーズチャンピオンを目指すレッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペン選手は、サウジアラビアGPでも王座を争うルイス・ハミルトン選手(メルセデス)と直接対決。2位で勝負の行方は最終戦アブダビGPに持ち越された。

フォト/本田技研工業、Red Bull Content Pool レポート/吉田知弘、JAFスポーツ編集部

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