角田裕毅選手がF1の2021年シーズン最終戦のアブダビGPで4位!! フェルスタッペン選手は王者に輝き、ホンダのラストイヤーを飾る!

レポート レース

2021年12月22日

2021年シーズンのF1もいよいよ最終戦。その舞台はアラブ首長国連邦でのアブダビGP。デビューシーズン最後の1戦を迎えた角田裕毅選手(アルファタウリ・ホンダ)が4位入賞、自己ベストリザルトの更新を果たして、波乱万丈のシーズンを良いかたちで締めくくった。

2021年FIAフォーミュラ1世界選手権 第22戦アブダビグランプリ
開催日:2021年12月10~12日
開催地:ヤス・マリーナ・サーキット

 22戦と長丁場となったF1の2021年シーズン。最終戦の舞台は角田選手もFIA-F3やFIA-F2時代から走り慣れているヤス・マリーナ・サーキット。今回はコースの一部が改修され、シケインや鋭角コーナーなどの低速コーナーが改められ、より高速なレイアウトになった。

 角田選手は初日の金曜日からコースの改修箇所を確かめながら順調な走りをみせ、フリー走行2回目では7番手を獲得。土曜日の予選でも順当にQ2突破を果たした。そしてQ3では1回目のアタックでトラックリミットを取られてしまいタイム抹消を受けるが、気を取り直して再びアタックを敢行。チームメイトのピエール・ガスリー選手の12番手を上回る、8番手につけた。

「今のところいいレースウイークを過ごせていますが、今日はフラストレーションが溜まる日でした。Q3のアタックラップでトウ(スリップストリーム)を使わなくてもいいタイムを出せていたにも関わらず、トラックリミットでタイム抹消となってしまいました。このレースウイークで自信を取り戻すことができ、その結果が走りにも表れていると思います。バーレーンでの開幕戦以来、一番自信を持って走れているとてもポジティブなレースウイークです。Q2で記録したラップにはとても満足しています。明日の決勝はミディアムタイヤからのスタートとなり、いい選択ができたと思います。予選の力強さからシーズンを締めくくるのにふさわしい方向へ進めているので、明日はすべてをまとめて結果につなげられるよう戦います。」(予選終了後の角田選手のコメント)

 2021年シーズン最後となる決勝。スタートを無難に決めた角田選手は、ライバルたちがピットインしている間に、一時は4番手まで浮上。23周目に1回目のピットストップを行い、ハードタイヤを装着した。

 その後も6番手を守る走りを見せていたのだが、レース終盤になって大胆な動きを見せる。残り4周のところでライバルにアクシデントが発生し、セーフティカーが導入されたのだが、そのタイミングでピットイン、ソフトタイヤに交換したのだ。

 セーフティカー先導により前後の間隔が縮まった状態で、残り1周というところで再スタート。この時点で5番手につけていた角田選手は、前を走るメルセデスのバルテリ・ボッタス選手に果敢に仕掛けていくと、バックストレートエンドのシケインでオーバーテイク。チャンピオンチームの一角を崩す見事な走りで、F1での自己最高位となる4位入賞を獲得した。

「このレースウイークを通して、マシンは最高のパフォーマンスを発揮してくれました。レースペースがここまで良くなると予想をしていなかったのですが、結果的に最高の日になりました。シーズンをこんなに良い状態で終えることができるなんて、本当に最高です。ここまで来るのに長い道のりでしたが、これで自信を取り戻すことができましたし、最高の結果をもってオフシーズンに入ることができます」(決勝後の角田選手のコメント)

 ガスリー選手は角田選手のすぐ後ろ、5位でフィニッシュ。最終戦でようやく予選と決勝の両方でガスリー選手を上回る成績を残すことができた。デビュー戦が衝撃的だっただけに期待も大きく、つらいデビューシーズンとなっていたが、厳しい中で学んだことを最後に発揮して自己最高位を獲得した角田選手。2022年シーズンのさらなる活躍への期待に胸ふくらむ最終戦となった。

8番グリッドからスタートしたアルファタウリ・ホンダの角田裕毅選手。8年連続コンストラクターズチャンピオンを獲得することになったメルセデスの一角、バルテリ・ボッタス選手をレース終盤にオーバーテイク、F1自己最高位の4位でフィニッシュした。
角田選手のチームメイト、ピエール・ガスリー選手は12番グリッドから追い上げて5位フィニッシュ。アルファタウリ・ホンダはドライバー2人がポイントを積み重ね、コンストラクターズランキング6位で2021年シーズンを終えた。

 そして、注目の2021年シーズンのチャンピオン争いは、劇的なかたちで幕を閉じた。第21戦サウジアラビアGPを終えたところで、レッドブル・ホンダとともに悲願の初チャンピオンに挑むマックス・フェルスタッペン選手(レッドブル・ホンダ)と、2020年シーズンまで4シーズン連続チャンピオンのルイス・ハミルトン選手(メルセデス)が同点で並び、この1戦で先にフィニッシュした方がチャンピオン、という緊迫感漂う展開となった。

 予選ではフェルスタッペン選手がポールポジションを奪い、決勝がスタート。2番グリッドのハミルトン選手も負けじと好スタートを決めて、1周目からサイド・バイ・サイドの一騎討ちを展開。一瞬接触する場面も見られた2人だが、ハミルトン選手がレースをリードし後半戦に突入していった。

 緊迫したレースも、ハミルトン選手がこのままフィニッシュかと思われた残り4周のところでセーフティカーが導入された。フェルスタッペン選手はすかさずピットストップを行い、新しいソフトタイヤを装着。2台が接近したなか、あと1周というところでレース再開となった。

 フェルスタッペン選手は新品ソフトタイヤの利を活かして一気に勝負をしかけ、ターン5でハミルトン選手をオーバーテイク。その後も“世界一”をかけた攻防が展開されたが、最後までトップを守り抜いたフェルスタッペン選手がトップチェッカー、悲願の初ワールドチャンピオンを獲得した。

 ホンダにとっては1991年、マクラーレン・ホンダでの故アイルトン・セナ氏以来、30年ぶりのドライバーズチャンピオン獲得となった。ホンダは、2021年シーズンでF1での活動を終了させることをすでに発表しており、彼らにとってはF1チャンピオン挑戦の最後の機会。劇的な展開でこの絶好の機会を逃さず獲得したことに、モータースポーツ界のみならず、世界中で大きな話題となった。

「ワールドチャンピオンになることができて、すばらしい気分です。これ以上のすばらしいレース、シーズンを望むことはできなかったと思います。今日はジェットコースターに乗っているようでしたし、最終周まで勝機があまり見えないレースでしたが、最後にすべてがうまくいったので、あとはチャレンジするだけでした。常に自分に『最後まで持てる力を出し切るのみだ』と言い聞かせ、実際にそれができたと思います。もちろん、セーフティカー明けとなったラストラップでは僕たちは新しいタイヤを履いていましたが、それでもチャレンジをしなければいけない状況でした。そして、幸いにもそれがうまくいきました」(決勝終了後のフェルスタッペン選手のコメント)

 レース後はセーフティカー導入中における周回遅れの車両への対応など、レースディレクターの判断に物議を醸したが、『レースは最後まで、何が起こるか分からない』ということを改めて思い知ることができた、最終戦だった。

 F1の2022年シーズン第1戦は3月18~20日、2021年シーズンと同じバーレーン・インターナショナル・サーキットでのバーレーングランプリ。ホンダの活動終了は寂しいが、新車両規定による、全く新しい車両が登場するとあって、角田選手の活躍とともに新シーズンの開幕が待ち遠しい。

マックス・フェルスタッペン選手(レッドブル・ホンダ)はポールポジション獲得で初チャンピオン獲得を引き寄せたに見えたが、決勝では王座を争うルイス・ハミルトン選手(メルセデス)が逆転。後塵を拝する苦しいレースが続いたが、ファイナルラップでのチャンスを逃さずオーバーテイクし、悲願のチャンピオンに輝いた。
1991年以来のドライバーズチャンピオンを獲得したホンダ。山本雅史マネージングディレクター(左端)はレース直後、フェルスタッペン選手(右端)と日の丸の旗を持ってチャンピオン獲得を祝った。

フォト/本田技研工業、Red Bull Content Pool レポート/吉田知弘、JAFスポーツ編集部

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