130台超えの大盛況!キョウセイシリーズ最終戦はダートラ車も大激走

レポート ジムカーナ

2021年12月27日

中部地区の入門ジムカーナシリーズとして知られる、キョウセイジムカーナシリーズの今季最終戦が11月下旬に行われた。

2021年キョウセイジムカーナシリーズ最終戦
開催日:2021年11月28日
開催場所:キョウセイドライバーランド(愛知県岡崎市)
主催:ZEST

 愛知県岡崎市のキョウセイ交通大学内にあるキョウセイドライバーランドで開催される「キョウセイジムカーナシリーズ」は、すでに30年を超える歴史を持つ、中部地区ではお馴染みのジムカーナシリーズだ。

 今年は全10戦のシリーズが予定されていたが、第1戦、第4戦、第8戦が新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受けて中止を決定。計7戦のシリーズとして成立した。今回の最終戦は、当初の予定通りの日時の開催となったが、シリーズ最終戦恒例のDTクラス(ダートトライアル&ラリー車両が対象のクラス)が設定されたこともあって、131名がエントリーと、賑やかな一日となった。

 キョウセイシリーズの特徴は、今回のDTクラスの設定の例に見られるように、参加しやすさを考慮した「間口の広さ」にある。2P(ペダル)クラスを設定し、ATのレンタル車を用意する他、今年は第3戦から、トヨタのGRブランドのモデルを対象としたGRクラスを2WD/4WDの2クラス新設した。また、このGRクラスにも、2WDのGRヤリスRS(CVT)、4WDのGRヤリスRZ(6MT)の2台のレンタル車両も用意した(各車両とも先着3名まで)。

 また今回のDTクラスのように、仲間を集める等の方法で、スポット参戦できるクラスを任意設定することも可能で、今回は「DT」、「TB」、「大同」、「うなぎ」の4クラスが設定された。なお注目の2Pクラスは4台、GR2クラスは5台、GR4クラスは7台のエントリーを集めている。また今回はジムカーナ初心者・入門者の多い2P、GR、DTのクラスについては、通常のクラスよりもパイロンの設定を緩めにしたレイアウトとし、ビギナー向けに便宜を図っている。

 決勝当日は朝から快晴となったものの、11月下旬としては寒く、気温は一桁台と冷え冷えとしたコンディションの中で競技は始まった。日が昇るにつれて気温も上昇し、路温も徐々に回復傾向となったため、各選手とも第2ヒートはタイムアップを果たして、今回は2本目勝負のバトルが展開されることになった。

岡崎市の郊外の高地に位置するとあって、この日のキョウセイドライバーランドは真冬に近い寒さとなった。選手達も手袋をして慣熟歩行に臨む姿が見られた。
キョウセイのコースは平日は企業の運転研修等で使われている。2輪のオフロードコースも備えており、この日も多くのライダー達で賑わっていた。
今回のコース図。入門クラス用にはパイロンの設定を簡単にしたコースレイアウトが別に用意された。
DTクラスでは例年、勝負度外視で派手なパフォーマンスを見せる選手も多く、今年も参加者、ギャラリーから喝采を浴びていた。写真は島根県から毎年、駆け付ける大谷竜三選手。中国地区の改造車ドライバーとして知られ、この日は息子の皇就選手とダブルエントリー。タイヤスモークを上げながらの激走を披露した。

 FFクラスはジムカーナでは超稀少車種とも言えるアコードに乗る川原和彦選手が今季も3勝、2位2回と絶好調。優勝候補本命と見られていたが、前日の練習走行会でマシントラブルが発生して、無念の不出走となってしまう。第1ヒートは前戦で川原選手に続いて2位に入った水野元彰選手が2番手の石川万智選手に1秒以上の大差を付ける1分6秒50を叩き出して暫定トップに立った。

 しかし第2ヒートに入ると1分6秒台前半に入れる選手が続出して水野選手の暫定ベストはあっさりと更新される。さらに石川選手が一気に1分5秒01をマークして断トツの首位に立った。だがラス前のゼッケンで走った水野選手も意地を見せて石川選手を何と0.03秒凌いで1分4秒台にタイムを乗せる。結局、このタイムが優勝タイムとなり、水野選手が今季初優勝を達成した。

「今日は1本目から、抑えながら走りつつも自分なりにはいいタイムが出ていたので、タイヤが食いついてくれる2本目は、もうちょっと突っ込めるだろうと思って走りました。所々ミスもありましたが、まぁ結果オーライということで(笑)」と僅差のバトルを振り返った水野選手は、キョウセイをホームコースとするベテランスラローマーだ。「このシリーズは結構クルマをイジれる規定になっているので、自分のZC32Sスイフトで現行のZC33Sスイフトに勝つのも可能だと思っています。来年もさらにセッティングを詰めていい勝負をしていきたいですね」と意欲を見せた。

FFクラスでは水野元彰選手が今季初優勝を飾った。
FFクラス表彰の各選手。

 一方、FRクラスはクラス2番目のゼッケンで走った、北陸からスポット参戦した平友和選手のS2000が第1ヒートのトップタイムを奪って、レギュラー勢の度肝を抜く。絶好調の平選手は第2ヒートでも自らのベストを0.7秒縮める1分4秒51をマークして後続の走りを待ったが、後続の選手達は1分5秒の壁をなかなか超えられない。クラスも終盤に入って前戦優勝の松山充利選手が1分4秒台に乗せてくるが、0.2秒届かず。平選手が2本ともベストを揃えて地元勢を抑え切った。

 本拠地の北陸のジムカーナ競技会が今季は終了したため、「走れる場所を探してここに辿り着きました(笑)」という平選手は、キョウセイの走行経験は数回あるのみ。ただし地元北陸のジムカーナはパイロンが主流なので、パイロンジムカーナは慣れている。「北陸なので冷えた路面は苦手じゃないですけど、今日のコンディションは難しかったです」という平選手。「1本目からタイヤがあまり食わなかったので、2本目もそう大きくはグリップは上がらないだろうという前提で、グリップに頼らない走り方をしたのが良かったと思います」と勝因を振り返った。

FRクラスでは北陸から参戦の平友和選手が優勝。
FRクラス表彰の各選手。

 4WDクラスは、今年の走り納めも兼ねてスポット参戦してきた、JAF中部ジムカーナ選手権でもトップランカーとして活躍する岡部隆市選手が順当に第1ヒートでベストタイムを奪って折り返す。さらなるタイムアップを狙った岡部選手だったが、第2ヒートは僅か0.06秒の短縮に留まってしまう。これをチャンスと見たキョウセイシリーズのレギュラー勢が次々と果敢な走りを見せ、中村友也選手が0.15秒差まで迫ったが、逆転は果たせず。岡部選手が逃げ切って接戦を制した。

4WDクラスでは中部地区戦で活躍する岡部隆市選手が接戦を制した。
4WDクラス表彰の各選手。

 PN2クラスでも、今季このクラス初参戦となった中村政則選手の86が、2本ともベストの走りで快勝した。キョウセイシリーズは今季、FRクラスには2度参戦した中村選手だが、4位が最上位。シリーズ今季初優勝という形となる。「今年は、ともかくジムカーナを楽しむ一年にしようということで、このシリーズもクラスを変えて参戦して、地区戦や東海シリーズにもスポットで参戦しました。まったりとした一年を送れて良かったです(笑)」と中村選手には存分にジムカーナを満喫した一年だったようだ。なおこのクラスの2位には、FRクラスの平選手同様、北陸からスポット参戦した川田優選手が入賞した。

86/BRZ勢が表彰台独占のPN2クラスは中村政則選手が優勝した。
PN2クラス表彰の各選手。

 毎年注目を集める年イチのDTクラスは、今季、全日本の王座を射止めた小関高幸、山崎利博の両名も参戦するなど、30台を超えるエントリーを集め、今回も盛り上がった。優勝を飾ったのは今季からGRヤリスを全日本ダートトライアル選手権に投入した河田富美男選手。ドリフト走行を我慢して敢えてグリップ走行に徹した走りが報われて(!!)、58秒66という好タイムで見事、優勝を果たした。中部&近畿地区のダートトライアルに参戦している矢木野昌俊選手が同じく1分を切るタイムで2位に続いた。

DTクラスは河田富美男選手が35台によるバトルの頂点に立った。
DTクラス表彰の各選手。
Dクラスでは中部地区戦を追う佐藤宗嗣選手が優勝。
Dクラス優勝の佐藤選手。
GR2クラスでは大谷眞太郎選手が2本ともベストタイムを奪って快勝した。
GR2クラス表彰の各選手。
GR4クラスは浦正史選手が第1ヒートのペナルティを挽回して逆転優勝を飾った。
GR4クラス表彰の各選手。
0.05秒差の接戦が展開された2Pクラスは今井健文選手が優勝。
2Pクラス表彰の各選手。
任意設定の大同クラスでは、第2ヒートで大きくタイムを上げた鈴木崇司選手が優勝した。
大同クラス表彰の各選手。
TBクラスでは室本誠悟選手が第2ヒートで大きくタイムを詰めて優勝した。
TBクラス表彰の各選手。
うなぎクラスは山﨑哲也選手が2本ともベストの走りを見せて優勝。
うなぎクラス表彰の各選手。
レディスクラスでは鈴木利英子選手が優勝した。
レディスクラス優勝の鈴木選手。
EJクラスは西川一男選手が優勝した。
EJクラス表彰の各選手。
今回は最終戦の表彰式の終了後にシリーズ表彰も行われ、まずシリーズ全戦に参加した選手達に記念品が贈呈された。
FFクラスシリーズ表彰の各選手。
FRクラスシリーズ表彰の各選手。
4WDクラスシリーズ表彰の各選手。
PN2クラスシリーズ表彰の各選手。

フォト&レポート/JAFスポーツ編集部

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