TAMADAで開催の中国地区戦最終戦で、内田敦ロードスターがV3を確定!

レポート ジムカーナ

2021年12月28日

JAF中国ジムカーナ選手権第7戦が、11月28日、広島県のスポーツランドTAMADAで開催された。

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開催日:2021年11月28日
開催場所:スポーツランドTAMADA(広島県広島市)
主催:T4、SLT-C

 今シーズン、中国地区戰は全8戦のスケジュールが組まれていたが、今年も新型コロナウィルス感染症の感染拡大の影響を受け、第5戦と第8戦が開催中止となり、全6戦での争いとなった。今回開催された第7戦も、本来は8月にナイタージムカーナとして行われる予定だったが、この11月に延期され、今シーズンの最終戦として開催された。

 会場となったスポーツランドTAMADAは、中国地区屈指のジムカーナコースで、大小様々なコーナーで構成されているカートコース。コース幅はカートコースとしては比較的広いので、コース上にパイロンを置いてのスラロームや、8の字等のパイロン区間も設置できるスペースも有り、多彩なレイアウトが設定できる。また、古くから全日本選手権も開催されてきたコースということもあってTAMADAファンも多く、今シーズンは今回で3回目の開催となる。

 当日は好天に恵まれ、快晴の空の下での開催となったが、11月下旬ともなると朝の冷え込みは厳しく、冷えきった路面での競技開始となる。そのため安全面も考慮し、前半はパイロンターンを含むテクニカルセクションとし、タイヤが温まった後半にハイスピードセクションを設定というコースレイアウトとなった。

本来は8月にナイタージムカーナとして開催される予定だった一戦が、三か月の延期を経てシリーズ最終戦として開催された。
当日のコースレイアウト。コース中盤のタイトなパイロンセクションが大きな勝負所となった。

 全8クラス中、既にシリーズチャンピオンが決まっているのは、3クラス。残る5クラスが、この最終戦でのチャンピオン争いとなった。T28クラスは、シリーズ上位5人のチャンピオン争いが展開された。第1ヒートでトップに立ったのは、僅かながらチャンピオンの可能性を残しているシリーズ5番手の日高洋選手。しかし第2ヒート、シーズン途中からT28クラスに移籍してきたTomohide選手が日高選手のタイムを更新し、トップに立つ。

 このタイムがこの後のチャンピオン争いに、どういった影響を及ぼすのか気になるところだったが、日高選手はTomohide選手のタイムを抜けず、チャンピオン争いから脱落し、残る4人での争奪戦となる。しかし、続く西島公一選手、西岡良浩選手も、それぞれ3位、5位となりチャンピオンには届かず。

 これでラス前の野村英資選手と、ポイントリーダーの児玉直弥選手の勝負となったが、第1ヒートは2番手で折り返した児玉選手も、この時点で4番手まで順位が後退しており、野村選手は2番手以上のタイムを出せば、チャンピオンの権利を持って児玉選手の走りを見守ることができる。しかしゴールタイムは6位と大きく遅れ、児玉選手のウィニングランとなった。

「第2ヒートは、出走前にチャンピオンが決まったのですが、優勝して決めたいと思い、気合いが入り過ぎてペナルティが多かったですね。格好良く決めたかったのですが(笑)」と児玉選手。パイロンペナルティと脱輪ペナルティで順位を上げることができなかったが、自身初となるシリーズチャンピオンを獲得した。そして優勝は「昨年クルマを手放してしまったので、今シーズンは借り物で参戦です。第1ヒートはミスコースだったのですが(笑)、第2ヒートは何とかなりました」というTomohide選手。PN1クラスから移籍し、3戦のみの出場だったが、優勝でシーズンを締め括った。

T28クラスはRWDのスペシャリストとして知られるTomohide選手が優勝をさらった。
T28クラス表彰の各選手。

 BR2クラスは、ポイントリーダーの中本信一選手と、シリーズ4番手の尾崎則夫選手によるチャンピオン争いが展開された。有効で10ポイントの差があるが、関西から遠征の尾崎選手は、これまで3戦しか出場していないため、今回のポイントが全て加算される。対する中本選手は、3位以上でないと自身のポイントが加算されない状況だ。そして第1ヒート、暫定トップに立ったのは尾崎選手。2番手の中本選手に0.6秒の差を付け王手をかける。

 しかし第2ヒート、クラスファーストゼッケンの坂本稔和選手が、尾崎選手のタイムを塗り替えトップタイムをマーク。それぞれ順位を1つ落としての第2ヒートとなったが、尾崎選手はタイムアップを果たすも、坂本選手のタイムは抜けず順位は2番手のまま。このチャンスを活かしたいラストゼッケンの中本選手は、優勝タイムに届かなくても尾崎選手を抜いて2位でゴールすればチャンピオンを獲得できる。しかし約1秒ものタイムアップを果たすも、尾崎選手には0.2秒届かず3位でゴール。チャンピオンは尾崎選手の手に渡った。

「TAMADAは好きなコースなので16年通ってます。今回は優勝しなければチャンピオンには届かないと思っていたのですが(笑)、有効数の関係もあって、2位でも獲ることができて非常に嬉しいです。走りの内容は決して悪くなかったと思います。」と語った尾崎選手は関西地区から遠征し、シリーズ4位から逆転でチャンピオン獲得となった。

 また、第2ヒートで逆転し、優勝した坂本選手は「練習用に買ったラジアルが楽しくて、今回はBR2クラスに出ましたが、ターンがグダグダでした(笑)。クルマが速いので、高速区間で稼いだ感じですね。S2+クラスの1秒以内を狙っていたのですが、及びませんでした。でも優勝できて良かったです」と、やや課題はあったようだが、第1ヒートではパイロンペナルティで出遅れたものの、第2ヒートではきっちりトップタイムを叩き出し、逆転で優勝を収めた。

BR2クラスは坂本稔和選手が大差をつけて優勝した。
BR2クラス表彰の各選手。

 ポイントリーダー内田敦選手とシリーズ2番手、池澤亮太選手のチャンピオン争いとなったPN2+クラス。第1ヒートは唯一1分19秒台をマークした内田選手がトップで折り返し、まずは王手をかける。しかし第2ヒート、内田選手のトップは変わらず後半ゼッケンへと競技が進行する中、ラスト3の一番手、片山賢一郎選手が内田選手のタイムを100分の5秒更新しトップに立つ。さらにラス前、第1ヒートはパイロンペナルティで出遅れていた池澤選手が片山選手のタイムを0.1秒更新してトップ交代、池澤選手が逆王手をかける形となった。

 この時点で3番手まで後退し、追いつめられたラストゼッケン内田選手。しかし、叩き出したタイムは池澤選手を0.3秒上回り、トップを奪回。逆転優勝でチャンピオンを決めた。「今シーズンは車両トラブルにも悩まされ、苦戦を強いられました。今回、第2ヒートはメチャクチャ緊張しました(笑)。自分の中では走り切った感はありましたが、トップタイムを出せたかは分からなかったので、アナウンスを聞いた時は嬉しかったですね(笑)」と、笑顔で語った内田選手。接戦を制し、地区戦3連覇を飾った。

第2ヒートで接戦が展開されたPN2+クラスは内田敦選手が優勝し、タイトルも確定させた。
PN2+クラス表彰の各選手。

 S2+クラスは、今季3勝を上げている佃真治選手がポイントリーダーとなっているが、今回は欠場。その佃選手を追うのがTARO選手。佃選手の72ポイントに対して、TARO選手は67ポイントと現状は5ポイント差だが、有効数の関係で今回優勝しなければ、佃選手を抜くことができない状況だ。

 そして第1ヒート、暫定トップに立ったのは、シリーズ4番手に付ける藤井雅裕選手。藤井選手は既にチャンピオンの可能性は消滅しているが、今シーズンの初優勝に向けて唯一の1分18秒台という好タイムで折り返す。TARO選手は1分21秒台にパイロンペナルティも加算され、大きく出遅れてしまう。そして第2ヒートになると、藤井選手は自己タイムを1秒以上更新し、1分17秒台に突入してトップを保持する。

 優勝タイムのハードルが上がったことにより、実に4秒近いタイムアップを果たさなければ、チャンピオンには届かなくなってしまったTARO選手。その第2ヒートはペナルティこそ無かったものの、1秒のタイムアップに止まり、万事休す。優勝は藤井選手が飾り、シリーズチャンピオンは佃選手が逃げ切る形となった。

「今シーズンから体制を新しくして、少しずつ調整してきたのが、良い結果に繋がりました。特にタイヤの使い方が上手くハマってきましたね。第2ヒートは、持てる力をフルに使って挑みました。タイム的にも満足です」と語ったのは優勝の藤井選手。嬉しい今シーズンの地区戦初優勝となった。

S2+クラスは藤井雅裕選手が0.02秒の僅差で中田匠選手をかわして優勝した。
S2+クラス表彰の各選手。

 S4+クラスは、松村正吾選手がベストタイムを刻むも、パイロンペナルティとなってしまい、石原秀晃選手が第2ヒートのタイムで優勝。「どんなコースでも四駆は一番速くなくてはならないと思いますので、走りの内容はイマイチでした。デモランの小林規敏選手のロードスターのタイムは抜きたかったですね(笑)」と石原選手。

 一方、今シーズンのチャンピオン争いは多田淳選手と藤木拓選手が展開して来たが、藤木選手が欠場のため、2位の多田選手が獲得した。「第2ヒートは、完全に自分のミスで自滅しました。後半セクションはグダグダでした(笑)」とは石原選手とWエントリーした多田選手。1-2フィニッシュを飾った形となったが、両選手ともに悔いが残る走りだったようだ。

S4+クラスはWエントリーした二人が1-2フィニッシュ。石原秀晃選手が今季2勝目をあげた。
S4+クラス表彰の各選手。

 一方、シリーズチャンピオンがすでに確定しているのがBRK+クラスとPN1クラスだ。満点チャンピオンを決めているBRK+クラスのKAZUYA選手は、今回も第1ヒートから好タイムをマークし、第2ヒートでも自己タイムを約1秒更新する快走で優勝。「今回はターンが納得いきませんでしたね。来シーズンに向けて、もっと練習が必要ですね」と、課題が残る走りのようだったが、今季5勝目をあげシーズンを締め括った。

BRK+クラスはこのクラスの第一人者であるKAZUYA選手が優勝した。
BRK+クラス表彰の各選手。

 PN1クラスのチャンピオン高屋隆一選手は、第1ヒートは5番手と出遅れるも、第2ヒートは2秒以上のタイムアップを果たし、逆転で優勝を決めた。「TAMADAはホームコースなのですが、第1ヒートの路面温度の低さに合わせ切れませんでした。マージンを取り過ぎた感じですね。今回のように、いつもと違った路面を如何に攻略するかが自分自身の課題ですね」と、高屋選手も今一歩攻めきれない所がありつつも、チャンピオンの貫禄を見せ、最終戦を優勝で飾った。

高屋隆一選手が第1ヒートの5番手から逆転でPN1クラスを制した。
PN1クラス表彰の各選手。

 BR4クラスも難波信善選手が満点でシリーズチャンピオンを決めているが今回は欠場。シリーズ2位の川上智久選手が第1ヒートのミスコースから逆転で優勝となった。「まだまだですね。今回もミスコースしたり(笑)、ターンも上手くいったり失敗したりだったので、次は安定して走りたいですね。目標にしている(チャンピオンの)難波選手に、いつか勝ちたいです」という川上選手。今シーズンの初優勝を飾った。

BR4クラスは川上智久選手が第1ヒートのミスコースを挽回して優勝。
BR4クラス表彰の各選手。

 併催のJMRC中国フレッシュマンシリーズのFクラスでは、ジムカーナ歴3年の小原怜大選手が、第1ヒートのタイムで逃げ切り、優勝。「第2ヒートは、他の選手がタイムを上げてきたので、少し緊張しました、それもあってかタイムダウンしてしまったのですが、なんとか逃げ切ることができました(笑)」と振り返った小原選手は、シリーズチャンピオンを獲得。出走1台となったATクラスは木下裕司選手が、第1ヒートのミスコースから無事完走して優勝した。クローズドクラスは下山昂晃選手が、両ヒートともにトップタイムで優勝となった。

Fクラスは小原怜大選手が今季3勝目をマークした。
Fクラス表彰の各選手。
ATクラスは木下裕司選手が今回も優勝を飾った。
ATクラス優勝の木下選手。
CLクラスは下山昂晃選手が第2ヒートもしっかりタイムを詰めて優勝した。

フォト&レポート/友田宏之

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