ドリフトの聖地・エビス南決戦! 中村直樹選手が単走&追走の両方でシリーズタイトル確定!

レポート ドリフト

2021年12月1日

新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響で、第5戦と第6戦のエビスラウンドが延期となった今年のD1グランプリシリーズ。本来なら最終戦となるはずだった第9戦&第10戦オートポリスの後にリスケジュールされ、エビスラウンドが事実上の最終戦となった。

2021 D1グランプリシリーズ第5戦&第6戦 2021 EBISU DRIFT
開催日:2021年11月20~21日
開催地:エビスサーキット南コース(福島県二本松市)
主催:株式会社サンプロス

 舞台となったエビスサーキットの南コースは、D1グランプリシリーズ設立当初から使用され続け、開催回数も最多の会場だ。しかし、今年いっぱいで改装され、ダートコースに生まれ変わることが決定しているため、南コース最後のD1グランプリとなった。

 この南コースは高低差のある緩い左コーナーのセクター1でジャンプしながら車体を横に向けつつ、着地後はその角度を増しながらストレートのアウトにあるゾーン1を通過させる、デンジャラスなコースである。

 今回はゲスト解説者として、スーパーGTなどで活躍するレーシングドライバーの松田次生氏を迎えた。ニスモのワークスドライバーでありながらプライベートではシルビアやスカイラインでドリフトを楽しんでいるそうだ。

エビスラウンドの実況やMC、解説の面々。左から鈴木学氏、松田次生氏、川崎隆介氏、辻直樹氏。松田氏は今回ゲスト解説を務め、自身もプライベートでドリフトを嗜んでいる。
若干のラインの変更はあるものの、セクター切りは昨年と同様。手前左コーナーをジャンプしながら飛び出むセクター1は迫力満点。

 第5戦の単走ではほとんどの選手が97~98点台の得点をマークしている中、1本目で99.22点をマークした横井昌志選手(NANKANG TIRE DRIFT TEAM D-MAX)が優勝を果たす。1本目で横井選手の予選通過は確定していたが、いつものラウンドようにタイヤ温存のために2本目をキャンセルしなかったのは、単走シリーズ優勝がかかっていたためだ。しかし2本目は気負ったのか、ミスで得点が伸びなかった。

単走優勝の横井昌志選手のシルビアには、チームの母体となるD-MAXから発売されている市販バージョンのパーツが各種装着されている。タイヤはナンカンだ。

 続く第5戦追走の決勝は、エビスサーキットに勤務する末永直登選手(LINGLONG TIRE DRIFT Team ORANGE)と、大活躍ルーキーの目桑宏次郎選手(alpinestars LINGLONG G-MEISTER)との対戦となった。

 後追い得点は両者とも同じだったが、目黒選手は先行時のカウンターのフラつきが減点となり、末永直登選手が優勝。昨年は惜しくもチームメイトの小橋正典選手(LINGLONG TIRE DRIFT Team ORANGE)に破れて準優勝だっただけに、喜びもひとしおだ。自身2度目の優勝を最後のエビスサーキット戦で飾った。

 そしてシリーズの行方は、ランキング2番手の横井選手がベスト8で敗退し、またランキング首位の中村直樹選手(MUGEN PLUS team ALIVE VALINO)がベスト4に進出した時点で決着。中村選手は初のD1グランプリのシリーズチャンピオンを確定させた。

シルビア対180SXとの戦いとなった決勝。共に2JZエンジン搭載でパワー的には互角、装着タイヤもおなじリンロンだ。この戦いを制したのはシルビアを駆る末永直登選手。
8年ぶりの優勝をホームコースで飾って感無量の末永直登選手。ここで4回の優勝を飾った後輩の小橋正典選手から、足回りのセットアップや攻略法などを伝授してもらったそうだ。
第5戦の優勝は末永直登選手、2位は目桑宏次郎選手、3位は中村直樹選手、4位は小橋選手、5位は横井選手、6位は松井有紀夫選手、7位は末永正雄選手、8位は畑中真吾選手、9位は田中省己選手、10位は齋藤太吾選手。

 翌日に開催された第6戦最終戦。第5戦で単走優勝の横井選手は、1本目で失敗するも2本目で挽回。前日より高得点をマークして連続単走優勝を果たしたものの、ランキング首位の中村選手が3位に食い込んだため、逆転チャンピオン獲得は叶わなかった。そして中村選手は単走と追走のダブルチャンピオンに輝いた。

横井選手はジャンプ後に壁際に寄せて刺すようにインに向けるライン取りを行い、DOSS(D1オリジナル・スコアリング・システム)の特性を掴むことに成功しての単走優勝と思われる。

 第5戦の準決勝で大クラッシュを喫して第6戦の参戦が危ぶまれたほどのマシンダメージを負った中村選手。なんとか修復して満身創痍の状態で第6戦に臨んだ。だが、さらに不運が襲い、メインで使用していた4速を壊し、ベスト8から3速で走行していたという。その状況下でトーナメントを勝ち進み、準決勝では前戦で敗北した目桑選手を撃破して決勝進出を果たす。

 決勝の対戦相手は横井選手を撃破して決勝に進んだ小橋選手だった。前日の第5戦では3位で終えて不完全燃焼だった中村選手が、エビスマイスターの連勝を阻んで見事優勝。シリーズを優勝で終えるという、シリーズチャンプらしい有終の美を飾ることとなった。

昨年の筑波ラウンドでは、シリーズチャンピオンを決めた小橋選手と最終戦の決勝で対決して敗れている。今回は逆の展開となり「あの時の借りを返す。絶対に負けられない」と中村選手はいつも以上に闘志を燃やしていた。
表彰式ではクラッシュからの復活、そして優勝というドラマチックな展開を見せた新チャンピオンの目に涙が光っていた。
第6戦の優勝は中村選手、2位は小橋選手、3位は横井選手、4位は目桑選手、5位は田中選手、6位は藤野秀之選手、7位は高橋和己選手、8位は笹山栄久選手、9位は北岡裕輔選手、10位は上野高広選手。
エビスサーキット南コースでのD1グランプリはこれで最後。表彰式の最後は選手一同より感謝の意を込めた寄せ書きがエビスサーキット社長の熊久保信重氏に贈られた。熊久保氏はチームオレンジの総監督であり、自身もD1グランプリで活躍したひとりだ。

フォト/SKILLD川﨑隆介 レポート/SKILLD川﨑隆介、JAFスポーツ編集部

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