au TOM'S GR Supraが逆転優勝でチャンピオンを確定、SUBARU BRZ R&D SPORTが3位ゴールで悲願の初戴冠!
2021年12月8日
スーパーGT最終戦となる第8戦が、11月27~28日に富士スピードウェイで開催。GT500は序盤にトップに立った36号車au TOM'S GR Supra(関口雄飛/坪井翔組)が優勝、そして大逆転でチャンピオンを確定させた。GT300は終盤にトップに立った60号車SYNTIUM LMcorsa GR Supra GT(吉本大樹/河野駿佑組)が今季2勝目を挙げた。また3位でゴールした61号車SUBARU BRZ R&D SPORT(井口卓人/山内英輝組)が初チャンピオンの快挙となった。
2021 SUPER GT Round8 FUJIMAKI GROUP FUJI GT 300km RACE
開催日:2021年11月27~28日
開催地:富士スピードウェイ(静岡県小山町)
主催:株式会社GTアソシエイション、富士スピードウェイ株式会社、FISCO-C
5月の第2戦以来のスーパーGT開催となる富士スピードウェイ。今回は最終戦ということで、これまで搭載されてきたサクセスウェイトがすべてなくなった状態に。車両本来の性能が発揮されるのは開幕戦以来ということになる。
また新型コロナウイルス感染症の感染者数が大幅に減ったことを受け、入場者数の制限も緩和された。ただし従来どおり、エントラントやレース関係者にはPCR検査が義務づけられ、一般のファンとの動線を明確に区分しての開催だ。
27日の予選日は朝から晴れたものの、北東の冷たい風が吹き、体感温度は低く感じられた。公式予選ではスープラ勢が好調ぶりを見せ、14号車ENEOS X PRIME GR Supra(大嶋和也/山下健太組)がコースレコードを更新して、今季初のポールポジションを獲得する。
フロントローにポイントリーダーの1号車STANLEY NSX-GT(山本尚貴/牧野任祐組)、3番手に37号車KeePer TOM'S GR Supra(平川亮/サッシャ・フェネストラズ組)。ランキング実質2番手の8号車ARTA NSX-GT(野尻智紀/福住仁嶺組)は6番手につけたが、同3番手の17号車Astemo NSX-GT(塚越広大/ベルトラン・バゲット組)は10番手スタートとやや厳しい位置となった。
GT300クラスでは61号車BRZの山内選手が今季4回目となるポールポジションをコースレコードで獲得する。公式予選ポールポジションで得られる1点を追加して、タイトル獲得に一歩前進した。
2番手は52号車埼玉トヨペットGB GR Supra GT(吉田広樹/川合孝汰組)、3番手は60号車スープラ。ランキング2番手の56号車リアライズ日産自動車大学校GT-R(藤波清斗/ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ組)は17番手、同3番手の55号車ARTA NSX GT3(高木真一/佐藤蓮組)は20番手、同5番手の11号車GAINER TANAX GT-R(平中克幸/安田裕信組)は24番手で、それぞれ苦しい位置からのスタートとなった。
決勝の28日も前日に続いて晴天となり、風も弱まった。気温13度、路面温度23度というコンディションの13時6分、3万5,300人という今季最多のファンが固唾を飲む中、66周の決勝レースがスタートした。
まずはポールスタートの14号車スープラの大嶋選手がリードを築き、36号車スープラの関口選手がオープニングラップで2番手へ浮上。また37号車スープラのフェネストラズ選手も、2周目には1号車NSXの牧野選手をかわして3番手へ上がり、スープラがトップ3を独占する。
3周目のパナソニック(最終)コーナーで、17号車NSXのバゲット選手が他車両と接触してマルチクラッシュとなり、車両を傷めた17号車NSXはピットインしてレースを終えることとなった。また7周目のダンロップコーナーではGT300車両のアクシデントが発生し、セーフティカー(SC)ランとなる。
隊列が組み直され、各車両の間隔が縮まった12周完了でリスタート。直後の1コーナーで36号車スープラがトップを奪い、ヘアピンでは37号車スープラが2番手に上がり、TOM'Sの2台が1-2態勢となった。
22周目に1号車NSXと8号車NSXが早めのピットイン。しかしここで8号車の左ドアが外れるというトラブルがあり、8号車は作業に時間を要して順位を大きく落とすことになった。上位では36号車スープラが25周でピットインして坪井選手に、37号車スープラが26周でピットインして平川選手に交代する。
32周ですべての車両がピットインを済ませると、36号車スープラがトップ。これに14号車スープラの山下選手が続き、3番手は37号車スープラ、そして4番手に1号車NSXの山本選手で、8号車NSXの野尻選手は9番手。このままの順位でレースが終われば、1号車NSXの連覇が決まる。
しかしレースも終盤の51周目、1コーナーをターンしようとしていた1号車NSXに、ブレーキを遅らせて曲がり切れないGT300車両が接触して、1号車NSXはスピンを喫する。足回りにダメージを負ったためピットインして修復することになり、順位を大きく落とすことになった。
これで8号車は3位以上でタイトル獲得のチャンスが巡ってくるが、依然5番手走行中で逆転は厳しい状況に。36号車スープラはそのままトップを守りきり、今季初優勝。何と16点差のポイントを大逆転してのチャンピオン確定となった。関口選手、坪井選手共にGT500の初タイトルとなる。
GT300クラスは、スタートから61号車BRZの井口選手がリードを築く。そして2周目に2番手へ順位を上げた60号車スープラの河野選手、そして52号車スープラの川合選手が追う展開に。だが7周目にアクシデントが発生してSCランとなり、2秒あった61号車BRZの井口選手のマージンは消えてしまった。
11周完了でリスタートすると、トップの3台はひとかたまりとなったが、19周目で52号車スープラが早めのピットインで吉田選手に交代。今回、GT300車両は全車タイヤ4本交換が義務づけられており、いつものように無交換とはならず。それでも31秒と短い時間でピットアウトした。
23周目のストレートで60号車スープラがついに61号車BRZを抜いてトップを奪う。61号車BRZは27周でピットインして山内選手に交代。しかし燃費が悪い上に給油量が多いため、ピット作業は40秒を要することに。トップの60号車は28周でピットインして吉本選手に代わり、こちらは36秒でコースへ出て行った。
上位陣のピット作業が落ち着くと、実質的なトップは52号車スープラとなる。これを60号車スープラ、65号車LEON PYRAMID AMG(蒲生尚弥/菅波冬悟組)が追いかけ、4号車グッドスマイル初音ミク AMG(谷口信輝/片岡龍也組)、88号車JLOCランボルギーニGT3(小暮卓史/元嶋佑弥組)、61号車BRZの3台が4番手争いを展開していた。
その4番手争いに加わったのが55号車NSXの佐藤選手。さらにその3秒後方には、61号車BRZと7点差でランキング2番手の56号車GT-Rのオリベイラ選手が迫っていた。
44周で全車のピットインが完了し、52号車スープラがトップを走行。しかし47周目の1コーナーで55号車NSXがGT500車両と接触して後退。51周目には何とトップの52号車スープラが他車両と接触し、左リアタイヤがバーストしてピットイン。53周目には88号車ランボルギーニも左リアタイヤがパンクしてスロー走行と上位陣が脱落する。
終盤の51周目に60号車スープラが再びトップに立ち、65号車メルセデスが続き、さらに4号車メルセデス、61号車BRZ、56号車GT-Rの3台が3番手争いを展開した。
60周目のヘアピンで61号車BRZが4号車メルセデスを捕らえて3番手へ。そして61周でチェッカーとなり、60号車スープラが今季2勝目。65号車メルセデスが2位、61号車BRZが3位で表彰台を獲得した。そしてこれで61号車BRZはチャンピオンを確定。井口選手と山内選手のコンビになって7年目の悲願のタイトルとなった。
フォト/石原康、遠藤樹弥 レポート/皆越和也、JAFスポーツ編集部