神奈川シリーズも最終戦でタイトルレースが白熱!PN3クラスは樫谷達朗86が逆転で王座獲得
2022年1月13日
富士スピードウェイのふたつの駐車場を舞台とする、JMRC神奈川ジムカーナシリーズの2021年の最終戦が12月12日に行われた。
2021JMRC神奈川ジムカーナシリーズ第5戦
フレッシュマン&ビギナーズジムカーナin富士スピードウェイ
開催日:2021年12月12日
開催場所:富士スピードウェイ7番バーキング(神奈川県小山町)
主催:io
4月11日に開幕した2021年のJMRC神奈川ジムカーナシリーズは、今回の最終戦まで全5戦が開催された。5月30日に開催された第2戦から、第3戦は約4か月半のインターバルを経て10月10日に開催されたが、これは会場となる富士スピードウェイで夏季に東京五輪が行われたことによるもの。第3戦以降は約1か月置きの開催となったため、最終戦も通常よりは遅い12月の開催となった。会場となるのは富士スピードウェイ内のふたつのパーキングで、今季は7番バーキングで4戦、2番パーキングで1戦が行われた。
神奈川シリーズの最大の特徴は毎回、天候が快晴でもコースに散水して人工的にウェット路面を作るという点にある。また午前中は練習走行に当てて、本番のコースを走り込めるようにするのも、このシリーズのセールスポイントだ。フルパイロンジムカーナになるが、練習走行で攻略法をじっくり見極めた上で決勝の2トライに臨める形になっている。また総合順位の表彰を行うのも、このシリーズならではの特徴となっている。今回は17ものクラスでシリーズの最後を飾る熱戦が展開された。
神NTF2クラスは、シリーズ第2戦から参戦を開始した清澤裕介選手のZC33Sスイフトスポーツが3連勝中と絶好調。今回も第1ヒートから、CR-Zを駆る長畑年光選手を0.5秒差に下してトップに立つ。第2ヒートでも清澤選手の暫定ベストは更新されることなく競技は進み、長畑選手も2つのパイロンタッチを喫して逆転は果たせず。ウイニングランとなった最終ゼッケンの清澤選手は、1分切りの59秒302というタイムで自らの暫定ベストを更新して、2021年の有終の美を飾った。
「今回は初めて使ったタイヤだったので、あまり準備もできなかったこともあって、勝てないかなと思っていたのですが、何とか勝ててよかったです」という清澤選手だが、タイムは今大会FF車総合ベストをマークした。「ウェット路面を走るこのシリーズはやはり難しいですけど、他の大会で突然、雨が降って急にウェットになったような時でも、“自分のクルマはどういう動きをするのか”を、ある程度予測することができることが重要なので、ここでの経験を生かせると思います」と、このシリーズを追うことのメリットを解説してくれた。
神NTR2クラスは開幕から4戦すべてウィナーが入れ替わる激戦が続いてきたが、今回は前戦のウィナーである山本稔選手が優勝。唯一、2勝目をあげたドライバーとなった。第2ヒートで0.3秒のタイムアップを果たした59秒279の優勝タイムは、今大会の2WD車総合ベストを奪うタイムとなった。
「午前中の練習走行で非常に調子が良かったので、その勢いのまま走ろうと思ったんですが、1本目は意識しすぎて硬くなってしまって、うまく走れませんでした。2本目は周りの方々からアドバイスをもらったので、それを参考にしてちょっと走り方を変えたのが良かったと思います」という山本選手は、関東の中級シリーズとして知られるJMRC関東チャンピオンシリーズを主戦場とする一人。「2022年はこちらのシリーズにもまた参加しつつ、関東チャンピオン戦の方でも頑張りたいですね」と来たるシーズンに向けての抱負を語ってくれた。
PN3クラスは今回も参加9台と最多のエントリーを数えた。内訳は86が8台、BRZが1台と、事実上のワンメイククラスとなった。今季2勝をあげてランキング首位の本荘進之介選手と、未勝利ながら開幕から3戦連続で表彰台を獲得した樫谷達朗選手とのチャンピオン争いの行方も注目された。
第1ヒートの暫定ベストを叩き出したのは樫谷選手で、ただ一人、1分00秒台に乗せる圧巻のタイムでライバルにプレッシャーをかける。対する本荘選手は2番手につけて逆転を期したが、第2ヒートに入っても1分1秒台の壁が各選手に大きく立ちはだかって、樫谷選手の暫定ベストが更新されないまま、タイトルレースを展開しているラスト2台のトライに。
先に走った樫谷選手は再び1分00秒台をマークするも、自らの暫定ベストからは0.7秒も後退する不本意な走りでゴール。しかし本荘選手も樫谷選手と同じように約コンマ7秒のタイムダウンとなり、逆転はならず。樫谷選手がシーズン初優勝を決めるとともに、ポイントランキングでも逆転に成功してシリーズチャンピオンの座を手に入れた。
「実は去年もチャンピオンは獲っているんですが、今年は1勝もできないまま最終戦を迎えてしまったので、今日はともかく勝ちたいという気持ちが一番でした」という樫谷選手。「そのために色々とセッティングを変えて臨んだ一戦でしたが、結果的にはそれがうまくハマってくれたことが勝因です」と、大事な一戦での“賭け”が吉と出たことを喜んでいた。
一方、参加7台によるPN5クラスもPN3クラス同様、タイトルレースが白熱した。第1ヒートのトップに立ったのは今季3戦目の参戦となった向創選手。ランキングトップの佐藤翔大選手が2番手、佐藤選手を追う木下勉選手は4番手で折り返す。チャンピオンの権利を残す田中猛選手は新型のBRZを持ち込んだが、パイロンタッチを取られ、下位に沈んだ。
向選手は第2ヒートでも1秒近いタイムアップを果たす1分00秒284をマーク。リードを広げたかに見えたが、第1ヒート3番手だった和田安広選手が1分00秒012でゴールし、トップに躍り出る。再逆転を狙った田中、木下の両選手だったが、ベスト更新はならず。最終ゼッケンの佐藤選手は向選手を凌ぐタイムでゴールしたものの、パイロンタッチを取られて2位の座を失い、自らのベスト更新も果たせず。この結果、和田選手が優勝をさらい、土壇場でシリーズチャンピオンも獲得した。
終わってみれば、今シーズン参戦した3戦はすべて優勝と無敵を誇る形となった和田選手だが、「12月に開催されるイベントというのはあまりないので、ここまで冷えたウェット路面は、結構シビアでしたね」と苦戦を強いられた一戦だったことを明かした。「1本目はターンを失敗したり、ミスが多かったのですが、2本目は何とかリカバリーできたので、ギリギリ勝てた感じです」と、最後は胸をなでおろしていた。
フォト/滝井宏之 レポート/JAFスポーツ編集部