関東ダートフェスが2年振りに復活。林軍市ランサーが圧巻のオーバーオールウィン!
2022年1月14日
関東ダートラ界の走り納めイベントとして親しまれてきたJMRC関東ダートトライアルフェスティバルが、昨年の12月12日に栃木県の丸和オートランド那須で開催された。
2021JMRC関東ダートトライアルフェスティバル
開催日:2021年12月12日
開催場所:丸和オートランド那須(栃木県那須塩原市)
主催:ARFA
JMRC関東ダートトライアルフェスティバルは、関東ダートラ界12月恒例のイベントとして関東や東日本のダートラドライバーに長く親しまれてきた。2019年にはオートランド千葉に場所を移して開催されたが、2020年はコロナ禍を受けて開催を中止。今回は2年振りの復活となり、丸和での関東フェスは2018年以来、3年振りの開催となった。
毎年、関東の各県ごとに分かれたチームがケータリングサービスを行うなど、走り納めらしい賑やかなイベントとして継続開催されてきたこのイベントだが、今回は新型コロナウイルス感染症拡大の懸念が未だ収まっていないとして、これまでの飲食サービスは自粛することとし、競技会のみを実施する形とした。ただし地区対抗戦については、これまで通り、ポイントを集計し、順位を決定。関東ナンバーワンチームを競う形は継続している。
N1500&PN1クラスは地区戦で上位につけたシードドライバーが参戦してきたが、この強豪達を抑えて第1ヒートでトップに立ったのは丸和カップで活躍中の佐藤羽琉妃選手だった。佐藤選手は第2ヒートでも3秒以上のタイムアップを果たす1分52秒88を叩き出したが、田代純士選手が1分52秒77で逆転、地区戦で上位の成績を納めているシードゼッケン勢の走りを待った。
そのシード勢は柿澤廣幸選手が1分52秒06までベストを更新したが、ラス前の川島靖史選手は1分54秒台に留まり、逆転はならず。だが最終ゼッケン、第1ヒートは3番手だった鈴木義則選手は、1分51秒16という文句なしのタイムをマークして土壇場で勝利をもぎ取った。
地区戦では開幕2連勝と順調なスタートを切ったものの、栗原まさき選手(今回はS1クラスにエントリー)に先を越されて2位でシリーズを終えた鈴木選手は、「今年はシリーズ後半がグダグダだったので、何とか最後に勝てて御の字です」とまずは苦笑交じりにひとこと。「1本目は地区戦勢が皆、丸和カップ勢の佐藤選手に負けてしまったので、地区戦ドライバーの面子にかけて負けないように走りました(笑)」と振り返った。
2本目は超硬質路面用のスーパードライタイヤをチョイスしたことが、スーパーなタイムに繋がった形だが、「感触は悪くなかったし、タイムを見る限りは正解だったと思います。スタートして最初のスラローム区間が下地の硬い路面が出ていたので、そこで稼ごうと思ってスーパードライにしました。2本目はほぼ完璧に走れたと思います」と鈴木選手。2022年はチャンプ獲得に向けて再挑戦の年となるが、「課題は苦手の野沢をいかに攻略できるか、だと思います(笑)」と気持ちを新たにしていた。
PN2&PN3クラスは、ZC33Sスイフトスポーツと86/BRZが一堂に会してのバトルとなった。第1ヒートでベストを奪ったのは関東期待の若手、大須賀智史選手で、全日本ドライバーの中島孝恭選手をコンマ1秒抑えて、その速さをアピールする。齋藤孝太選手が86/BRZ最上位の3位で続いたが、トップ2からは2秒以上も引き離されており、第2ヒートも大須賀vs中島のマッチレースが予想された。
注目の第2ヒートではまず中島選手が自らのタイムを5.6秒縮める1分50秒96をマーク。直後に走った大須賀選手も大きくタイムアップするが、1分52秒台に留まって再逆転は果たせず。後続のドライバー達も、この2台を脅かすことはできずにバトルは終了。全日本ドライバーの貫禄を見せた中島選手が逆転優勝を飾った。
「今日はデフのテストをしたくて参戦しましたけど、大須賀君には負けたくなかったので本気で踏みました(笑)」と中島選手。「というより中途半端な仕様だったので、本気で走らないと危なかったんですよ。デフが思っていた方向と違って曲がらなかったので、だいぶバタバタしたけど、無事に帰ってこられて良かったです」と振り返った。
「初めてこの時期の丸和を走りましたが、さすがに滑るなあという感じでしたね。路面は硬いけど、(タイヤが)食ってるかどうかが掴みづらかった。3月に開催されていた頃のここの全日本を走った感覚を思い出しながら走りました」と中島選手。最後は経験の差がタイム差に出たようだ。「若い人が簡単に勝っちゃうと後々あまりいいことはないので(笑)、今日は試練を与えられたと思ってもらえれば」と若き後輩の成長に暖かい眼差しを向けていた。
N1クラスはEG6シビックで健闘する島村茂選手が第1ヒートのベストタイムを奪う。地区戦のこのクラスのシリーズチャンピオンを早々に決めた杉谷永伍選手はインタークーラーのトラブルが出たため、1本目は不出走。第2ヒートで逆転を期した。
第2ヒートはこのクラスも各選手ともタイムアップを遂げ、島村選手の暫定ベストも更新され、仕切り直しに。鈴木良信選手のレビンが1分52秒01まで詰めると、島村選手が0.05秒更新して再びトップに立つが、満を持して出走の最終ゼッケンの杉谷選手は1分50秒17でゴール。チャンピオンの貫禄を見せつけた。
2022年からGRヤリスに乗り換えるため、ストーリアでのラストランとなった杉谷選手は、「ここはいつも走っている、どちらかというと得意なコースなので、今日のコースレイアウトも違和感なく走れました。ドライタイヤで行ったのもベストの選択だったと思います。路面も以前はゴツゴツしていた所も改良されているし、リニューアル後も改修が進んでいる感じがあるので、今日も楽しく走れました」と、ストーリアでの有終の美を飾った走りを満喫した様子だった。
N2クラスでも2021年のチャンピオンを決めたランエボマイスターの影山浩一郎選手が、第1ヒートからベストタイムを奪ってバトルをリードする。「“タイヤパイロン”の位置がいつもより微妙に違っていて行き過ぎると危ない所があったので、2本目はきっちり抑える所は抑えました」という影山選手は第2ヒートでも約4.3秒のタイムアップ。両ヒートともベストを奪ってライバルを寄せ付けず、優勝を飾った。
参加21台と今大会一番の激戦区となったS1クラスは“世代間バトル”が白熱した。第1ヒートは優勝候補ナンバーワンの小山健一選手が1分51秒50でベストタイムをマーク、とここまでは順当な展開。しかし2番手には若干25歳の平川慶一選手が全日本ドライバーの河石潤選手を抑えて0.24秒差で喰らいつき、会場を沸かせた。2021年は地区戦を追った平川選手は第2戦で3位を獲るも、その後は表彰台はなし。シリーズを6位で終えたドライバーだが、今回は並みいる強豪達に割って入る健闘を見せる。
しかし第2ヒートに入ると、真骨頂を見せたのはやはり小山選手だった。そのタイム、1分46秒22は、このヒートもしっかりと2番手に喰い込んだ平川選手を1.6秒突き離す、2WD車総合トップのスーパーベストだった。小山選手はこれで関東フェスティバル11連覇を達成。今回も“主役”の座を渡さなかった。
タイムだけ見れば圧勝だが、表彰式では、ゴール後しばらく立ち上がれない程、力を出し尽くしたと明かした小山選手は、「1本目が僅か0.2秒差だったので、全開で行かないと勝てないと思った。久しぶりに真剣に最後まで限界で攻めました。本当に今日は危なかった」と安堵の表情を見せた。
「関東フェスは毎年ウェットタイヤで走るのが当たり前だったんだけど、今年はいつもよりドライ寄りの路面になったので、悩みました。結果、ウェットで行ったんだけど、悪くはなかった。ダートの直線がザクザクだったので今日はそこで稼げたんだと思いますね」。11連覇の偉業達成については、「“いつまでこんな厳しい勝負をやんなきゃいけないんだろう”って今日は特に思った(笑)。でも勝ち逃げはできないんだろうから、もうちょっと頑張ろうと思います」と、今後も“受けて立つ”と、しっかり表明してくれた。
一方、敗れた平川選手は「2本目も自分ではいい感じで走れたと思います。ただ、周りで見ていた人からは、小山さんの方がアクセルを踏んでいる時間が長かったし、コーナーでも長く踏めるようなクルマのコントロールをしていたと教えてもらいました。その割には1.6秒差の2位は自分ではよくやったと思うんですが(笑)、これがいまの自分の実力ですね。何とか小山さんに近づけるよう今後も頑張りたいと思います」と振り返っていた。
一方、S2クラスは、2021年に全日本ダートトライアル選手権でシリーズ3位を獲得した林軍市選手が、地区戦第4戦以来となる丸和での実戦に登場。第1ヒートから1分41秒台という断トツの総合ベストを叩き出すと、第2ヒートでは今大会唯一となる1分39秒台にタイムを乗せてオーバーオールウィンを飾った。総合でも4番手に入る1分40秒台の好タイムをマークした中村雅之選手が2位を獲得した。
フェスティバルのトリを務めるDクラスは、地区戦でも最終戦まで熾烈なチャンピオン争いを演じた星野伸治選手と熊川嘉則選手が再び、がっぷり四つに組んだバトルを展開。第1ヒートは熊川選手がベストを獲るも、第2ヒートは星野選手が0.08秒、熊川選手を上回って逆転。地区戦のリベンジを狙った熊川選手を辛うじて抑え込んで、チャンピオンの面目を保った。
フォト&レポート/JAFスポーツ編集部
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