春まで待てないラリースト達が青森に集結!JMRC東北ラリーシリーズが早くも開幕。
2022年1月27日

2022年のJMRC東北ラリーシリーズが、1月8~9日、青森・切谷内の地で開幕した。
2022年JMRC東北ラリーシリーズ第1戦
MSCあきたウインターラリー2022
開催日:2022年1月8~9日
開催場所:青森
主催:AKITA
新たな年が明けて間もない1月8~9日の週末、2022年のモータースポーツシーズンの幕開けを告げるウインターラリーの一戦が東北青森で開催された。ラリーの拠点となったのは、全日本ダートトライアル選手権の東北ラウンドを受け持っているサーキットパーク切谷内。雪が存分に積もり、踏み固められた同敷地内にSSコースを設定するという形で競技が行われた。
主催を担当したのはモータースポーツクラブあきた(AKITA)。前身のMSC-20(トゥエンティ)の時代には、1980~1990年代に当時BC地区戦と言われたJAF東日本ラリー選手権の一戦をはじめとする、スノーラリーを盛んに開催したクラブとして知られている。
AKITAは昨年冬に全日本ラリー選手権も開催している横手市内で公道を使用したラリーを計画し、MSC-20時代以来となるスノーラリーの復活を期す予定だったが、大会直前に横手市のインフラにも影響を与えるほどの豪雪に見舞われたため、やむなく開催を断念。今回は切谷内に場所に移し、2年越しでウインターラリー開催を実現した。
切谷内は以前、冬季にスノーイベントや練習会を行った例はあるが、ここ数年は暖冬の影響で雪が降らなかったため、切谷内にとっても久々のスノーイベントの復活となった。今回のラリー開催に当たっては、オーナーの横町秋男氏をはじめとするコース関係者の尽力により、ダートラコースの他、隣接するモトクロスコースへの通行路やジムカーナコースも除雪され、SSコースの一部を担うことになった。
この結果、SSは2.5kmという、クローズドコースとしては十分な距離が確保された2種類のコースが用意された。ラリーはともに、同じレイアウトのSSを3回ずつサービスを挟んで走る計6本、トータル15kmという走り応えのある設定となった。切谷内と言えば高低差のあるコースとして知られるが、今回は急峻な上り勾配は避け、特に後半のセクション2では下り主体のフラットなコース取りを行うなど2WD車にも配慮した設定とした。結果、全車、無事完走を果たしている。





クラス1は、昨年はコロナ禍により中止を余儀なくされたが、秋田のどんぐりスポーツカークラブ秋田(DSCC-A)が、冬に大館で開催するハチ公ウインターラリーで連勝記録を保持している岩手の伊藤一也/平野正志組が、その実績を買われて1番ゼッケンで走行。伊藤組は、期待に応えるかのようにSS1で順当にベストを奪うが、SS2では伊藤組のチームメイトである橋本奨/吉田知宏組が、3.5秒差で伊藤組を下すベストをマークし、背後に迫る。だが伊藤組も応戦してSS3は再び橋本組を下してベスト。2.7秒差で橋本組を従えてトップで折り返した。
3本のSSを残すセクション2も両者のベストタイムの応酬になるかと思われたが、SS4で橋本組が痛恨のスピン。ここで20秒近い遅れを取った橋本組は、SS5で2度目のベストを獲い巻き返すも、大きなビハインドを埋めることはできず、2位でフィニッシュ。4本のSSでベストを奪う安定した速さを見せた伊藤組が、ウインターラリー王者の称号を守った。
これまでランサー・エボリューションIIで並みいるライバル達を下してきた伊藤選手だが、「GRBの橋本選手と勝負するにはエボIIではパワーで勝てない」と、グラベル競技用に用意しているランサー・エボリューションVIIIを今回、スノーラリーに初投入した。「ACDの動きがまだ掴めないし、やっぱり重いのでエボIIのようにはまだ曲げられませんね。セッティングも雪用のフロントの足が決まらなくてトラクションが抜けたりして、いまひとつでした」と伊藤選手。
「切谷内は数年前、エボIIで一度走っただけで、雪はもちろん初めてでしたが、ダートラコースの中にある“島”の間の距離感が掴めず、ミースコースしそうになって大変でした。ただ、ちょっとでも気を抜くと橋本選手にベストを獲られてしまうので、攻め続けないと絶対負けると思って最後までアクセルを抜かなかったのが良かったと思います」と最後はホッとした表情を見せていた。





クラス2はミラージュ3台、スイフト1台の計4台による戦いとなった。唯一、スイストを持ち込んだのは東北シリーズの常連である岩手の沼尾秀公/沼尾千恵美組。昨年までは86をドライブしたが、同じクラブの多田義和選手が乗っていたスイフトを購入した。多田選手はこのスイフトで、昨年9月に福井オートパーク今庄で開催された全日本ダートトライアル選手権で優勝を飾っている。
実績のあるマシンではあるが、「ほぼぶっつけ本番でラリーに出ました」という沼尾組はSSベストも1本奪ったものの、「SS1が遅すぎましたね」と最後までこのSSでのロスが響いて2番手に甘んじた。「ラリーの後半では乗れてきて、タイムもトップと変わらなかったので、今日はまぁまぁという所ですね。冬が終わったら、セットをラリー用に煮詰め直してグラベルラリーに備えたいと思います」と、沼尾選手はたしかな手応えを感じた様子だった。
沼尾組を6.5秒差で下して優勝を飾ったのは、こちらも沼尾組のチームメイトである佐々木松紀選手。コ・ドライバーは多田選手が務めた。「今日はコ・ドライバーのお陰で勝てました(笑)」と振り返った佐々木選手は、「多田選手が、“ここは踏め、ここは抑えろ”と言われた通りに走ったら、勝てたんです(笑)。雪の切谷内は初めてですが、去年の秋に一度だけここを走ったことがあって、その感覚が残っていたのも助かりました」と話した。
コ・ドライバーは未経験ながら、今回の参加者の中では断トツの切谷内走行経験を持つ多田選手は、「雪ではありましたが、ここを走った経験は活かせるラリーでしたね。走行中でも、“このラインから外れたらダメだ”という所はアドバイスしましたが、ダートラでも、分かっていてもうまく行かないものなので(笑)、佐々木選手はよく走ってくれたと思います」とドライバーを称賛した。





クラス1は、昨年、各地の地区戦やTGRラリーチャレンジで数々の勝利を飾った細谷裕一選手と石垣晴恵選手のコンビが大本命だったが、本番車のヴィッツがオフシーズンメンテに入ったため、今回は急遽、レンタル車のヴィッツで参戦。「初めてのクルマで、しかも雪ということもあり、絶対壊せないということもあって(笑)、踏み切れませんでした」とSSベスト2本を奪うも、9.2秒及ばず、2位に甘んじた。
優勝を飾ったのは神奈川から遠征してきた武藤亘輝/中島功組で、何と二人とも今回、ラリーデビューウィンを飾った。武藤選手はダートラ場の走行経験はあるが、雪は初走行。中島選手は丸和オートランド那須を主戦場とするダートラドライバーで、雪はスノートライアル等で走行経験はあるが、ラリーは初参戦だった。
武藤選手もクラス2の佐々木選手同様、コ・ドライバーのアドバイスが勝因になったとラリーを振り返った。「ラリースタッドレスは初めて履きましたが、思ったよりグリップがあって走りやすかったので、ラリー中は中島選手のアドバイスに従って走って、ひたすら雪の経験値を上げることに集中しました。特にワダチの使い方は教わる所が多かったので、後半はいいタイムが出せたと思います」。
一方、中島選手は、「切谷内は初めて走りましたが、ダートラ場ということで経験が活かせた面はありました。ドライバーも雪は初めての割にはコントロールできていたと思います」と武藤選手の走りを称えた。グラベルラリーを走りたくてラリーを始めたという武藤選手は現在22歳で、ダートのラリーが主体となる東北シリーズを今年から追う予定だ。東北ラリー界に久々に現れた若手の走りに期待したいところだ。






フォト&レポート/JAFスポーツ編集部
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